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2020年9月25日

ニューノーマルに対応できる組織とは

外部で起こった出来事の隠れた利点は、組織が、一度は不可能と思われた働き方に対する検討を余儀なくされることです。

多くの組織では、パンデミックによる変化はすぐに戻ると考えられているかもしれません。ただし、危機的状況の間に必要不可欠だったことが、延び延びになっていた組織改編を実行する絶好の機会となる可能性もあります。

差し迫った危機への対応が済んだ組織には、新しい働き方を始めるという目標を持って、可能な変更を特定することが推奨されます(図1参照)。勢いに乗って結果を改善することは、潜在的な新しい組織文化へと移行するための途中段階です。最終的にはニューノーマルへと移行し、イノベーションとブレークスルーを推進し、時には新しいビジネスモデルを導き出すことが目的です。

 

差し迫った危機の管理

従業員に関して、危機的状況の管理の間の最優先事項は、健康や体調に気を付けながら可能な限り生産性を維持することです。

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最初のタスクは、ビジネスクリティカルな業務を維持し、顧客にサービスを提供し続けるために緊急の対応が必要な分野を特定することです。既存の組織構造とプロセスは低速で複雑すぎるか、未曾有の事態に対する通常とは異なる、まったく新しいソリューションを見つけられるようにはできていない可能性があります。

これらの課題と向き合うには、緊急事態対応チームが必要な場合があります。たとえ一時的にでも、従業員を新しいチームに組み入れ役割を割り当てるのです。これによって、移動する従業員も元の役割にとどまる従業員も、一定レベルの不安定性を経験することになります。緊急事態対応チームが可能な限り早く順応できるようにするために、新しいルーティンを確立することで不安定性に対処する必要があります。

モバイル環境での仕事を可能にすることは、最優先事項となりました。オンラインアクセスが可能で、適切な機器が揃っていることは不可欠ですが、コラボレーションとコミュニケーションのためのさまざまなツールを効果的かつ効率的に使用する方法を把握することも、同じように重要です。

チームメンバーがどのような影響を受けるにしろ、新しい環境に慣れるためのサポートが必要です。士気を保つと同時に可能な限り最高のビジネス成果を達成するには、多数の支援アクティビティが必要となります。

リモートワーク環境への移行を推進および加速するために、従業員は正確でタイムリーな情報とトレーニングによって最新の知識を取り入れ、必要なスキルを取得する必要があります。リモートで仕事をすることはゲームチェンジャーであり、慎重な準備を要します。最初から、コラボレーションのための手順とガイドラインを用意する必要があります。たとえば、文書を作成、編集、保管、回覧するためのルーティンを確立する必要があります。Eメールは最善のソリューションではないためです。その場でやり取りすることが難しくなるため、レビューと承認のための新しい手順を作成することが重要です。おそらく最も重要なことですが、リモートワーカーは、在宅勤務によって増大するサイバーセキュリティとデータ保護のリスクを認識する必要があります。

それぞれのチームメンバーにとって鍵となるのは、新しい環境において自己管理に取り組むことです。リモートワーク環境では、その場で対面でのやり取りができません。廊下で自然に会話が始まることも、ランチの最中に非公式に意見を交換することも、予期せずエキスパートと関わることもできません。同僚から隔離されると、タスクを優先順位付けしたり、時間どおりに割り当てられた仕事を終えたりすることが難しくなる従業員もいます。チームはリモートワークの潜在的な落とし穴と、新しいコラボレーションの方法を認識する必要があります。チームがリモートワークを開始するに当たって、引き続き足並みを揃え、フラストレーションを緩和し、誤解を避けるための実証済みのテクニックやシンプルなツールとヒントについて話し合うことが重要です。

これらの手法によって危機的状況の間も従業員が生産性を保つことができますが、新しい慣習は、災難の時期を超えて次のレベルに引き上げることもできます。基本的な業務が再度軌道に乗ったら、組織は機会を捉えてプロセスを改善し、成果を最適化することが推奨されます。

 

勢いを保つ

危機的状況によって、人々は新しい方法で働き、過去には従業員の管理や生産性の観点からリスクが高いと考えられていたことをしなければならなくなっています。ただし、障害は取り払われ、新しい習慣が上手くいきつつあります。今こそ、結果を改善し、働き方を最適化するときです (図2参照)。

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モバイルワークやリモートワークは一時的なソリューションに過ぎないという考えで、それらを始める組織もあるかもしれません。ただし、一度成功すれば、これらの環境には通勤時間の削減、オフィススペースの節約、仕事と家庭生活の両立など、長期的にも役立つ可能性のある利点があることに気づくはずです。

構造的なリモートワーク環境を導入し、それを企業の方針とすることが次のステップです。まずは、より多くの業務プロセスをデジタル化する必要があります。従業員の準備を完全に整えるには、ペーパーレスなオフィスと、時間と場所を問わずさまざまなデバイスからアプリケーションおよびドキュメントにアクセスできる環境が必要です。それを実現するにはシステムアクセス、作業の安全性、サイバーセキュリティ、オフィスの稼働時間など、いくつかの重要な分野に対応する必要があります。さらに、以下のような、他の多くの問題についても考慮する必要があります。

  • リモートの従業員の推奨事項と禁止事項
  • コミュニケーションを持続する方法
  • 情報を共有する最も効果的な方法
  • 従業員が潜在的な孤立の影響を管理し、ストレスと負荷に対処する方法
  • 軋轢を発見し、解決する方法
  • 同僚 (特に新入社員) との良好な関係を築き、維持する方法
     

リモートまたはモバイルチームの管理には直接顔を合わせるチームの管理よりもずっと多くの労力と明確なアクションが必要なため、チームリーダーの役割は非常に重要です。その場で簡単に業務を確認することや、休憩室で短い会話を自然に交わすことは不可能であるため、リーダーは新しい一連のリーダーシップコンピテンシーを確立する必要があります。すばやく業務を確認することや、自然に指示を出すことはもはやできません。チームメンバーは自らの決断で日常的な問題を解決し、リーダーの関与なしで、独立して業務の成果を出す必要があります。リーダーは、チームを信頼すること、独自に決断することをさらに促進すること、遠距離で関係を管理することを学ばなければなりません。

危機的な状況によって、問題解決方法も変わりました。緊急の問題に対処するための、創意工夫や短期間での意思決定などの迅速な問題解決に焦点が当てられています。多分野にまたがるチームは、プロセスを加速し、知識を共有することが求められる場合があります。そのような解決策は最初から完璧ではないかもしれませんが、すばやく確立し、確実な結果を出す必要があります。

つまり組織は、完璧さよりもスピードに焦点を当て、事前にあらゆる落とし穴を詳細に分析することなく、さまざまな手段を試行しなければなりません。必要に迫られた緊急事態対応チームは、すでにこのような課題の多くに対応し、革新的な問題解決、サイロ間のコラボレーション、学習の機会として失敗を許容することなど、新しいコンピテンシーの前例を作ってきました。

 

コミュニケーション、コラボレーション、変更管理

リモートワーク環境では、チーム内および組織全体で、コミュニケーションとコラボレーションをこれまでよりも重視する必要があります。チームは、オンライン会議を促進し、積極的に意見に耳を傾け、対立する利害関係のバランスを取る方法を把握しておかなければなりません。新しく、より優れたコミュニケーションとコラボレーションの方法を学ぶには時間と訓練が必要で、過去の習慣の刷新は一晩では達成できません。

危機的状況によって余儀なくされる変更に固有の人的課題に対応するには、変更管理プログラムが推奨されます。このプログラムにより、変更によって影響を受けるすべての従業員が、何がいつ変更されるのか、どのような影響が及ぶ可能性があるのか、どのような行動が期待されているのかを認識できるようにする必要があります。従業員が、新しい働き方に挑戦したいと思えることが理想です。

従業員の士気を高め、ポジティブな変化を推進するには、効果的なコミュニケーションプログラムが重要な成功要因となります。迫りくる変更について伝達し、その影響について個人およびチームに知らせることをしなければ、どのような変更も失敗に終わるでしょう。コミュニケーションプログラムは、すべての対象グループに対して実施し、フィードバックを受け入れ、質問をする機会を用意する必要があります。従業員が新しいテクノロジーおよびプロセスについての情報をどこで見つけられるかを把握し、必要なスキルを習得し、利用可能なリソースにアクセスできるようにする必要があります。

世界は急速に変化しているため、従来のトレーニングではもはや十分ではありません。公式のトレーニングと、非公式の知識の交換を可能にするスキルアッププログラムは、新しい環境で業務を進める方法を学ぶ手段となります。チームとリーダーは、コーチングプログラムによって新しい環境における働き方と、特定の障害を乗り越える方法を決定できます。

 

次のレベルへ

リモートワークに関するOwl Labsのレポートによれば、世界の企業の44パーセントはリモートワークを一切認めていません。しかし、少なくとも組織の一部で新しいプロセスと業務習慣を取り入れることで、業務を改善する方法を大幅に再検討する機会が生まれ、より広範なレベルでの変革につながります。この危機的な状況が収束したあと、ビジネスの世界はもはや以前と同じではないはずです。新しい製品やサービスが登場し、購入プロセスや商品パターンが進化し、個人やグループの価値観や考えも変わる可能性があります。何が可能かを理解することで、ニューノーマルに移行するチャンスを得ることができます。

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危機的状況によって働き方を変えることが余儀なくされることで、他の場合よりも速く障害が取り払われます。変革が起こる前、多くの組織は、フレキシブルなチームによってリモートで業務を行うことで従来の方法と同様の優れた結果を達成できるとは考えていませんでした。今回の災難により、それが誤りであったことが証明されました。多くのスーパーバイザーとリーダーにとって、これまで考えていたよりも多くのことが可能であることが明らかになりました。そして、将来は、働き方を変えることにもっと自信を持てるようになるはずです。データもこのことを裏付けています。

  • 76パーセントの労働者が、フレックスタイムで働けるなら現在の職場を継続することを希望しています。
  • 21パーセントの労働者が、フレックスタイムのオプションを利用するためなら休暇時間の一部を諦めると回答しています。
  • Owl Labsのレポートによれば、リモートワークを許可する企業は従業員の離職率が25パーセント低くなっています。
     

次のレベルへと進むには、サイロで生み出されるのではなく、多人数の知恵によって構築される新しい形のイノベーションが要求されます。新しい課題へのソリューションとイノベーションのための新しい機会を見つけるには、組織のあらゆる分野のエキスパートがコラボレーションする必要があります。新しい組織モデルによって、より高速なイノベーションと高品質なカスタマーサービスを実現できる可能性があります。

柔軟性と俊敏性の課題に対応するには、新しい業務の手法が必要です。これを可能にするには、組織の文化を変える必要があります。それには個人の成功ではなく、チームの成功を土台とします。失敗に対する耐性を高め、継続的な学習に基づいて文化を構築する必要があります。また、幅広いキャリアオプションを容認すると同時に、旧式の階層型モデルを見直し、場合によってはそれを克服する必要があります。新しい合言葉は、すばやく行動し、優れた俊敏性を持って先に進むことです。意思決定はチームにゆだねられており、最優先事項は (内部または外部の) 顧客の利益を最大にすることです。

これらの目標を達成するには、組織開発プログラムによって意識的に文化を変革し、新しい働き方をサポートする必要があります。まずは組織の構造を変更し、柔軟性と俊敏性の高い目的に特化した一時的なチームを作ってサポートします。従来の階層型の管理スタイルはここでは機能しません。つまり、リーダーの役割や行動を変える必要があります。リーダーが日常のタスクに関与することは少なくなります。その代わりにビジョンと目的を提示し、全員に向けて枠組みとガードレールを設置します。リーダーはコーチングのスキルを習得し、未来が予測できない不安定な時代でチームを率いる方法を学ぶ必要があります。

組織の全従業員が、継続的にスキルとコンピテンシーを習得する必要があります。急速に変化する世界でスキルを習得するには、幅広い学習機会にアクセスできることが必要です。たとえば、オンライントレーニング、eラーニング、オンサイトクラス、同僚やエキスパートとの知識の共有、メンタリング、ジョブエイドなどです。最新のテクノロジーや手法に関連する知識やスキルは、組織内で習得できるようにする必要があります。誰もが専門知識を共有し、情報やアイデアを交換できるスマートな方法が要求されます。組織全体で知識を蓄積し、専門知識を活用することで、理想的なイノベーションを達成し、将来の複雑な課題に対してクリエイティブなソリューションを推進できます。

 

新しい働き方

現在の危機的状況により、組織は突然、何の警告もなしに、新しい方法で従業員の生産性を維持して顧客のニーズに対応することを迫られています。企業は、以前は考えることもできなかった働き方の検討を余儀なくされるため、これらの課題は隠れた利点でもあります。

組織は、従業員が働き、コラボレーションを行い、コミュニケーションを取る方法、時間、場所にはさまざまな選択肢があることに気付き始めています。危機的な状況を乗り越えるために学んだ教訓によって、組織は新しい働き方により適した構造と業務習慣を確立することができます。それは理屈や理想によってではなく、ベストプラクティスを試行およびテストすることで確立されます。

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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