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2020年4月10日

医療の現場でインテリジェンスを活用して命を救う方法

病院の医療従事者は、命に関わる敗血症の感染を迅速に検出して処置を施すために、エッジコンピューティング、AI、およびWi-Fiデータネットワークを組み合わせて使用しています。

入院中の患者に敗血症の感染が疑われる場合、迅速に診断を行って処置を施すことがきわめて重要であり、感染を検出できなければ、その患者が数時間のうちに死亡してしまう可能性があります。しかし今では、アルゴリズムとエッジセンサー、Wi-Fiデータネットワーク、および人工知能を組み合わせて使用することにより、病院の医療従事者は敗血症などの深刻な病気を迅速に診断して命を救うだけでなく、命を脅かす事態に発展する前に健康上の問題を検出できます。

これについて、Cerner社とともに病室のテクノロジーをネットワークに接続して「データを有効活用する」ための取り組みを続けてきた、Hewlett Packard Enterpriseの医療/生命科学担当業界マーケティングマネージャーであるRich Birdは、「今日の医療従事者はネットワークに接続されたテクノロジーを使用してあらゆるデバイスからデータを取得し、コンピューターのスピードでそれらのデータを分析できる」と述べています。

また、Cerner社のMissy Ostendorf氏が説明しているように、患者のバイタルが「安全値から外れると、医療チームがすぐに処置を施せるよう (Cerner社の敗血症アルゴリズムから) 自動的にアラートが送信されますが、このように早い段階で介入ができれば、救命率が80~90%向上します」。

このようなインテリジェントエッジテクノロジーが病院、地域社会、さらには全世界の患者ケアにどのような変革をもたらしているのかについて、Dana Gardnerが司会を務めるこのHPE Voice of the Customerポッドキャストでの詳細をご確認ください。

Dana Gardner: こんにちは。BriefingsDirect Voice of the Customerの新しいポッドキャストシリーズへようこそ。Interarbor Solutionsで主席アナリストを務めるDana Gardnerです。このポッドキャストの司会進行役として、これからディスカッションの中でエッジコンピューティングと人工知能 (AI) の融合に関する最新の有益な情報をお届けしてまります。

これから行うインテリジェントエッジの導入のメリットに関するディスカッションでは、深刻な敗血症に感染している恐れがある患者について、病院がどのようにプロアクティブなアラートを受け取っているのかという点を中心に話を進めていきます。世界中の患者に多く見られる敗血症は、早い段階で対処すれば、高い確率で抑制することが可能です。

そして今では、敗血症の発症を防いだり、深刻な病気や死者を減らしたりできるよう、病院の医療従事者は、エッジセンサー、Wi-Fiデータネットワーク、さらには危険な状況を特定するAIソリューションを使用することにより、感染しやすい患者に関するアラートを早期に受け取っています。

では、ほぼリアルタイムのAIを有効活用して命に関わる感染症の蔓延を食い止めている最先端のユースケースに関するポッドキャストをお聴きください。

ここで本日のゲストをお迎えしましょう。まずはCerner社のグローバルセールス/事業開発担当プラクティスマネージャーであるMissy Ostendorfさんです。Missyさん、本日はよろしくお願いいたします。

Missy Ostendorf: よろしくお願いいたします。

Gardner: 次にCerner Europe社のシニアディレクターであり、看護部門の役員でもあるDeirdre Stewartさんです。Deirdreさん、よろしくお願いいたします。

Deirdre Stewart: よろしくお願いいたします。

Gardner: そしてHewlett Packard Enterprise (HPE) 社で医療/生命科学担当ワールドワイド業界マーケティングマネージャーを務めるRich Birdさんです。Richさん、よろしくお願いいたします。

Rich Bird: こちらこそよろしくお願いいたします。皆様、こんにちは。

 

インテリジェントな医療テクノロジーの新時代

Gardner: Missyさん、医療におけるテクノロジーやプロセスの向上が求められる要因となっている主要な動向について教えていただけますか。医療業界では、現在何が原因で優れたテクノロジーの活用を求める声が高まっているのでしょうか。

Ostendorf: その質問の答えなら簡単です。どの業界でも、常にリソースに起因してテクノロジーによる効率化やコストの削減が求められていますが、医療業界でも同じことが言えます。

医療業界でテクノロジーの進化が緩やかになる傾向が見られた場合、それはミッションクリティカルなリスクではなく、ライフクリティカルなリスクがあることが原因であり、その好例が敗血症アルゴリズムです。敗血症を発症した患者は4時間で死亡してしまう可能性があるため、おわかりかと思いますが、医療の世界では1秒1秒が非常に重要なのです。

Gardner: ではRichさんにお伺いしたいのですが、テクノロジーの本質の何が変わったことで敗血症を迅速に阻止するこのアルゴリズムのようなものへの適用が可能になったのですか。

Bird: テクノロジーの変化のスピードは、病院にとって非常に衝撃的です。ですから病院は、HPEとCerner社という世界で広く知られている2つの組織が問題の解決をサポートできれば大きなメリットを得られるのです。

医療システムに対する需要の急増を見ると、長期間にわたって複雑な病気を抱えている人の寿命が延びていることがわかりますが、そのような人が病院に来るのは、最大限の支援が必要なときです。

このようなネットワークに接続された病室のテクノロジーの活用方法を理解する、というのが (HPEとCerner社が) 共同で取り組んできたことであり、私たちなら、病室の患者の手元にあるモノのインターネット (IoT) デバイスと、これまで自動的にではなく人間が接続してきた医療機器を統合することが可能です。そして今日の医療従事者は、ネットワークに接続されたテクノロジーを使用してあらゆるデバイスからデータを取得し、コンピューターのスピードでそれらのデータを分析できます。

このように、私たちは確かに現場を担当するチームの専門技術、専門知識、そしてチームによるケアに頼っていますが、それと同時にこのような新たなレベルのインテリジェンスでチームをサポートしています。こうしたインテリジェンスは、現場を担当するスタッフだけでなく、Cerner社のアプリケーションに入ってくる生命科学に関するあらゆる指標を読み取るテクノロジーによってケアが行われているという事実をチームと患者に示すことで信頼を高めます。

 

全世界で敗血症を阻止

Gardner: Deirdreさん、医療の現場でのインテリジェンスの活用を容易にするテクノロジーとプロセスについて、どのような点が新しく、またどのような点が他と異なるのでしょうか。看護師やその他の医療従事者は、敗血症のアルゴリズムなどの新たな機会にどのように対応しているのでしょうか。

Stewart: 私はこのような機会が世界中で増えるのを目の当たりにし、中東で長い年月を過ごす中でカタール、UAE、サウジアラビアといった国において敗血症アルゴリズムが普及するのを見てきました。そして今では、このアルゴリズムはヨーロッパ、アイルランド、そして英国へと広がっています。

看護師や医師は最初、「なぜコンピューターから指示を受けなければならないのか。それならばもっと知識を身に付けるべきだ」などと考えますが、その後すべての状況を把握すると、非常に大きなメリットを得ることになります。

Danaさん、しかし医師だけでなく患者にもメリットはあります。というのも、私たちは患者が敗血症になってしまうのを阻止したいと考えていますが、このようなアルゴリズムは早い段階で最前線のスタッフにアラートを送信し、患者が敗血症を発症するのを阻止できるようにするのです。

いくつかの非常に印象的なデータを見ると、敗血症の発症数が減る一方、深刻な炎症反応が起きる敗血症の初期段階での特定数が増加していることがわかります。そして医師や看護師は、こうしたデータを受け取ると、このようなリアルタイムドキュメンテーションの重要性を理解します。

電子医療記録が普及し始めた頃、私は多くの看護師がこのようなリアルタイムドキュメンテーションに抵抗を持っていたことを覚えています。しかし、このアルゴリズムがシステム内でどのように動作して、あるべきではない、または異常なものを特定するのかがわかると、導入数が増えてシステムとその機能が支持されるようになるは間違いありません。

Gardner: では、このシステムがどのような影響をもたらすのかを考察する前に、その機能について詳しく見ていきましょう。Missyさん、Cerner社のCareAwareプラットフォームのアプローチについて教えていただけますか。

Ostendorf: St. John Sepsis Surveillance Agentは、命を救うのに役立つ初期兆候の検知に取り組んでおり、そのための3つのポイントとして、監視、アラート、規定の介入を挙げています。

同機関は、集中治療室 (ICU) の看護師がポケットに入っている紙を取り出して、たとえば患者のバイタルサインを記録するといった、これまでのやり方ではなく、先ほどDeirdreさんからお話のあったリアルタイムドキュメンテーションを取り入れています。

これまでのやり方では、看護師はおそらく、4時間後にコンピューターの前に座って、15分ごとに記録したその患者の4時間分のバイタルを入力することになるわけですが、ご想像のとおり、ICUでは4時間のうちに多くのことが起きる可能性があります。しかし今では、すべての情報を電子医療記録に送ることにより、敗血症アルゴリズムに絶えずデータを監視させることができます。

このアルゴリズムは、患者の体温、心拍数、および血糖値を確認し、それらの数値が変化して安全値から外れると、すぐに処置を施せるようケアチームに自動的にアラートを送信します。そしてこのような即時の処置により、ケアチームは患者の治療方法を変え、患者の静脈内に抗生物質と輸液を投与することが可能になるわけですが、このように早い段階で介入ができれば、救命率が80~90%向上します。

このように、私たちはすでに手元にあるデータを活用することで大きな変革をもたらしていますが、私たちがしているのは、早い段階で処置を施せるよう、こうしたデータを利用して医師に必要な情報を届けるということだけです。ただし、これが最も重要なポイントであり、私たちはデータを有効活用できるのです。

Gardner: Richさん、これは簡単なことのように思えますが、これを実現して患者がいる現場でデータを提供したり、入手したり、保護したり、データのセキュリティやコンプライアンスを確保したりするには、しなければならないことが多くあります。Cerner社のソリューションに関してMissyさんから先ほどご説明いただいたようなことをサポートするには、どのような連携が必要なのでしょうか。

 

さらなる進化を遂げる医療テクノロジー

Bird: 成果を重視することが非常に重要であり、そうすれば医療チームが常に自信を持って行動できるようになります。ただし、ケアチームがどこにいても、リアルタイムで安全に利用できる方法で成果を得られるようにすることがきわめて重要です。また、あらゆるデバイスが接続されているという事実は、医療テクノロジーのさらなる進化という点で多大な潜在的機会をもたらします。

私たちはこれまで、すでにあるワークフローをデジタル化してきましたが、それは今、医療テクノロジーのさらなる進化をもたらしており、紙に記録されていた情報がデジタル情報に変わりつつあります。では、そうした情報を有効活用するにはどうすればいいのでしょうか。サイト全体をWi-Fiで接続するのは簡単なことではありません。私たちはお客様に代わってそれを簡単に行えると自負していますが、重要なポイントは先ほど言われたようにセキュリティを確保することです。

あらゆるものが互いに通信できるようにすると、攻撃を受ける可能性も生じます。では、攻撃を防いですべてのデータが安全な方法で収集、転送、記録されるようにするにはどうすればいいのでしょうか。攻撃者が外部ネットワークや内部ネットワークに侵入した場合、それを特定して閉め出すにはどうすればいいのでしょうか。

私たちは、パートナーと連携することでセキュリティを確保できると自負しています。医療以外の他の業界では、モビリティは通常、ユーザーがモノに幅広くアクセスできることを意味します。

ただし病院では、当然のことながら、モビリティは医師が場所を問わずデータを収集したり、データにアクセスしたりできる方法を示すものです。ケアチームがときどき使用する、部屋の隅にあるワークステーションだけでなく、現在のテクノロジーは、処置のベースとなるデータが正しく収集および保護され、タイムリーに提供されるという確信をケアチームにもたらします。

Gardner: Missyさん、基盤となるテクノロジーのもう1つの構成要素としてアルゴリズムが挙げられますが、機械学習とAIはどのような役割を担うようになるのでしょうか。何を活用することでこのようなアルゴリズムを開発できたのでしょうか。なぜ単なるレポートやアラートの一歩先を行くものになったのでしょうか。

Ostendorf: これは、今日におけるCernerと医療業界の最も画期的な取り組みと言えます。St. Johnの敗血症アルゴリズムは多くの命を救っており、その点に多くの注目が集まっていますが、世界中で可能になったことは数多くあります。

Deirdreさんが先ほど挙げたアイルランドには私たちのお客様がいるのですが、そのアイルランドのダブリンにあるSt. James's Hospitalは、2009年にまでさかのぼりますが、データを活用して医師がCTスキャンを行うときに使用するフロントエンドのアプリケーションに意思決定に関する質問を組み込む決定を下したことで話題になりました。他のX線ほどではありませんが、CTスキャンも放射線を放出します。そのため、患者に不必要にCTスキャンを使用したくはないわけですが、使用する回数が増えると、それだけリスクは高まります。

3つの質問を組み込むことにより、コンピューターは、これまでの患者のエクスペリエンスに基づいて、傾向だけでなく医師がCTスキャンを行う必要があると考えた理由を考察し、CTスキャンの効果はあったのか、またどのように患者の診断が行われたのかを明らかにします。そして今ではMLを活用することにより、患者を治療するための検査にCTスキャンが必要ないということを初期段階で医師に伝えられるまでになっています。

医師はいつでもこのようなコンピューターの決定を覆し、X線部門に「判断が異なると考える理由」を伝えることができますが、アイルランドでは、常に自動的に行っていたCTスキャンの回数を減らすことに成功しています。このように、1つの例として、MLを活用することで行動が変化し、地域社会に健康がもたらされているのです。

私たちがデータとMLを活用しているもう1つの例として、米国のCerner Opioid Toolkitがありますが、これに関しては、2018年に医療システムのパートナーが全米で起きているオピオイド危機に対処できるようサポートすることを発表しました。

この研究について、Deirdreさんは医師として意見を述べることができるのではないでしょうか。

 

アルゴリズムを活用したオピオイド中毒の治療

Stewart: そうですね。米国で行われている、いわゆるオピオイド誘発性呼吸抑制 (OIRD) に対する取り組みは興味深いものです。病院に入院する外科患者の約200人に1人がオピオイド誘発性換気障害になっているそうですが、医療業界ではそれが原因で膨大なコストが発生しており、米国だけでも、2011年の推定コストは20億ドルに達しています。そして医療施設認定合同機構は、患者の評価をパーソナライズする方法について、いくつかの提案を行っています。

評価では、質問の回答に基づいて割り出されたスコアを含む、標準化された1つのフォームだけでなく、患者の年齢、人口統計、これまでの病気、過去24時間に摂取したオピオイドなどの履歴を確認し、患者のリスクによって投与するオピオイドの数を制限するよう勧めます。また、同機構が呼吸困難に陥った患者を調べたところ、それを緩和するための薬の管理があまりにも頻繁に行われ、患者の安全に関連するコストが高すぎることがわかりました。

しかし今では、アルゴリズムを活用することで呼吸困難に陥る患者の数が減り、特定の患者に使用する麻薬の数が制限されるようになりました。これはもはや一般化されたルールではなく、特定の患者、アラート、および介入を調べるものとなっているわけですが、私は、世界中のお客様がこうした情報を全世界で共有しようと取り組んでいることを好意的に受け止めています。また私は最近、ヨーロッパや中東でこのアルゴリズムを使用したいという連絡をいくつかいただいたのですが、これによって成果を向上させている病院は1つではなく、今では世界中でこのような流れが見られます。私たちのお客様が成果を向上させているのはどこでも同じで、こうした事例は世界中で数多く報告されています。

Ostendorf: 今ではデータを収集するだけでなく、それを有効活用できるようになりつつあり、私たちは患者に素晴らしいエクスペリエンスが、そして地域社会に健康がもたらされている状況を目の当たりにしています。

Gardner: これは、人の認知能力と状況判断能力、そして膨大なデータと分析の自動化とオーケストレーションを可能にするマシンの能力を最大限に活かした好例と言えます。Richさん、このように人とマシンのバランスを取ってそれぞれの能力を最大限に活かすことについてどのようにお考えですか。これらの医療のユースケースは、どのような点でその可能性を示しているのでしょうか。

 

人の代わりをさせるのではなく、マシンと人を組み合わせる

Bird: AIについて考えてみると、私はAIが脅威となるSFを見て育ってきました。

しかし私たちは、この点について明確にする必要があります。私たちは医師やケアチームをこのテクノロジーに置き換えるのではなく、彼らがより多くの情報に基づいて的確な判断を下せるようサポートしています。Missyさんが言われたように、主導権を握っているのは今も医師やケアチームであり、私たちは、彼らが患者の病状を改善して提供するケアのコストを削減できるようデータを提供しているのです。

重要なのは、テクノロジーを使用して患者にもたらされる成果を向上させるためのケアの時間とコストを削減するとともに、医師の専門的技術を高めることです。

またMissyさんから、ワークフローにいくつかの質問を組み込むというお話がありましたが、私は以前、薬は地位の高い人、つまり薬を提供する個人の経験に基づいて処方されるものであるとよく口にしていた、ある病院の最高技術責任者と仕事をしていました。医療システムはそれを提供する個人によって実にさまざまですが、このデジタルテクノロジーで少し流れが変わる可能性があります。このようなテクノロジーは、基本的に「いつもと同じことをするのではなく、今までしてきたことを検証して少し改善できるかどうかを確認する」よう指示します。

個人の医療データを共有できないことはわかっていますが、安全な方法で共有してデータの価値を示すことができれば、医療チームにどのような価値がもたらされるのかをわかってもらえます。このようなテクノロジーは流れを変え、ケアの向上に貢献するのです。

ここでは一般的なトピックとしてデジタル化を取り上げていますが、これに関連してアナログのバイタルサインのデジタル化について述べていきます。どの業界でも、デジタル化を成功へと導くのはユーザーであり、たとえば、エンターテインメント業界では、店舗のDVDではなくNetflixを選択したユーザーがデジタル化の原動力となっています。

この話の流れで医療テクノロジーの提供について述べた場合、私たちは個人の医療データを共有できないことをわかっています。医療データは世の中で最も個人的なデータであり、共有することはできませんが、厳しい規制はあるものの、安全な方法で共有してデータの価値を示すことができれば、医療チームにデータを使用することでもたらされる価値をわかってもらえます。そしてそれにより、テクノロジーのコストが変化していきます。では、このテクノロジーを使用することでどれだけコストを削減できるのでしょうか。

これについて私が本当に素晴らしいと思うのは、ケアの向上と病院内の患者の保護に役立つうえ、場合によっては初めから病院に行く必要をなくすテクノロジーです。

Gardner: Missyさん、ここで生活の質を高めたり命を救ったりといったメリットの重要な具体例となる、敗血症の問題に話を戻しますが、その規模についてお話しいただけますか。救命の観点から、このテクノロジーはどれほどのメリットをもたらしているのでしょうか。

 

命を救う革新的なテクノロジー

Ostendorf: そのメリットは実に大きいと言えます。世界保健機関の2018年の統計情報によると、全世界で3,000万人が敗血症を発症しており、そのうち600万人が死亡する恐れがあります。そして実際、英国では2018年に15万人が敗血症を発症し、そのうち44人が死亡しています。

この敗血症アルゴリズムが、特定のお客様だけでなく世界中の誰にとっても革新的であるのは、医師がすぐに処置を施して命を救うことができるよう、医師に必要な情報をタイムリーに届けるという点です。

そしてRichさんが言われたように、リソースを節約してコストを削減できるわけですが、そうしたことはどれもきわめて重要です。患者、または患者の家族は、実際のところ病院から家に帰る人物であり、このような点に関して資金を投じたり、効率化に取り組んだりすることはできません。

このアルゴリズムはまさに命を救うものであり、それは本当に素晴らしいことです。私たちは、すでに収集されているデータをSt. Johnの敗血症アルゴリズムで実行し、医師が迅速に処置を施せるようアラートを送信することでこれを実現しています。

Stewart: 私が約11か月間複数の病院で敗血症アルゴリズムを実行したカタールのHamad Medical社が、アルゴリズムのデータを利用して64人の命を救った可能性があるということを知ったときは、私にとって非常に感動的な瞬間でした。

そのとき私は現地のある病院にいたのですが、その病院は混み合っており、外を見ると60~70人の人が座っていました。そしてその瞬間、私は突然、敗血症アルゴリズムがもたらす成果によって、この部屋にいるすべての人を救えるのだと思いましたが、このアルゴリズムがなければ、そこにいる全員の命が奪われていたかもしれません。

私はその人たちの母親、父親、夫、妻、息子、娘、兄弟、姉妹のことを考えたとき、「これを続けていかなければならない」と強く思いました。私たちはこれからさらに取り組みを進め、状況を改善して命を救うサポートができる別の地域を余すところなく調査していかなければなりません。

Gardner: 私たちには、こうしたテクノロジーとプロセスを取り入れて人とAIを連携させるということに関して、このような説得力のある論理的根拠が示されています。また私たちはその先例を作るため、より多くの過去のデータを収集する機会を設けています。ご存知のとおり、データが増えれば分析の機会が増え、より多くの分析を行えば、人がその情報を活用できる機会が増えるため、好循環が生まれて導入が促進されるのです。

Richさん、データを収集する能力を確立して過去のデータを得たら、私たちはその後どこに向かうのでしょうか。さらに多くの命を救ったり、患者の治療を改善したり、患者のエクスペリエンスを向上させたり、コストを削減したりする機会としては、どのようものがあるのでしょうか。将来の考え得るロードマップについてお話しいただけますか。

 

パーソナライズが患者ケアとポリシーを向上させる

Bird: 興味深いのは、個人の医療情報のすべてを取得して、医療チームがユーザーの生活の一端から現在に至るまでの情報を確認することが可能な方法でそれを提供できれば、よりパーソナライズされた薬を処方し、それぞれの病状に合わせた治療が行えるようになるという点です。

Missyさんからは、患者に特定の種類のスキャンを行うかどうかをより正確に評価する方法についてのお話がありましたが、それには別の側面もあります。私たちは患者に特定の種類の薬を処方するのでしょうか。

患者のすべてのデータプロファイルが手元にあった場合、医療チームはより的確に判断を下せます。すでに特定の薬物治療を受けていないかどうか、処方しようとしている薬にアレルギーがないかどうか、そして患者のDNA、さまざまな生理機能、症状、複数の症状などがわかれば、より的確な臨床的判断が可能になり、それぞれの症状に合わせた治療を行えます。

私は最近、Hewlett Packard Labsである人とビッグデータが医療にどのような革命をもたらすのかについて話していたのですが、そこでは、患者の中に特定の症状を呈している特定の種類の患者がいた場合、同じ症状の患者の集団に関して、特定の期間により的確な判断を下すにはどうすればいいのか、そしてまた、個人レベルでそれを行うにはどうすればいいのか、ということが話題になりました。

患者を集団として考えるのではなく、世界中の政策立案者や政府が、健康維持に力を入れるといった予防治療の効果に基づいて判断を下したならどうでしょうか。私たちなら、長期間にわたってそうしたデータを可視化し、患者に関してより的確な判断を下すことができます。

これはどれも非常に複雑なことのように思われますが、今後研究が進んでコンピューティングの能力が向上すると、医療チームがこのような有益な情報をより一層活用できるようになると期待しています。

また公衆衛生に関しても、患者を個人や患者集団として考えるのではなく、世界中の政策立案者や政府が、健康維持に力を入れるよう患者に奨励するといった予防治療の効果に基づいて判断を下したならどうでしょうか。私たちがこの先長期間にわたってそうしたデータを可視化し、患者に関してより的確な判断を下すにはどうすればいいのでしょうか。

私たちは、患者のセキュリティと匿名性を確保する安全な方法でこのようなデータのすべてを集約したいと考えていますが、そうすれば、患者に関する臨床的判断を下す医師だけでなく、すべての人に関わる政策立案者にも、より多くの情報に基づいた判断を下すための手段が提供されます。私たちは、予防に関して大きな可能性があると見ており、予防によって実際に患者の治療が必要になるまでの医療費が削減されるかもしれません。

これらはどれも非常に画期的なことですが、近い将来に実現するのではないかと思います。現在のところ、私たちが収集しているデータポイントはすべて、それぞれのサイロの中にあり、相互運用性の観点からやらなければならないことはまだ残っていますが、もうすぐすべてのデータが関連付けられるようになるでしょう。これについては、たとえば公衆衛生のデータに関して、Cerner社が飛躍的発展を遂げています。

Gardner: Missyさん、エッジコンピューティングに医療業界の要件とAIを組み合わせると、どのような面でメリットが向上すると見ていますか。

 

疾病予防の最先端

Ostendorf: 正直なところ、可能性は無限にあると思います。医療システムが半島で機能している、北イングランドのような地域のデータを見ると、すべての住民に医療が行き届いています。

先ほどRichさんから公衆衛生管理の話がありましたが、現在では、データから糖尿病などの住民に影響を与える要素が特に地域社会にどのような影響をもたらしているのかを知ることが可能です。医師は患者とともに治療に取り組み、その後地域社会と連携して2型糖尿病の患者を減らすことができます。そしてそれによって医療費が削減され、罹患率が低下します。

次にAIが大きな効果をもたらすのはこの段階です。AIはもはや、病院に入院している患者に対して実行される敗血症アルゴリズムで命を救うだけでなく、地域社会全体に、また地域社会としてどのように健康の問題に取り組むのかといったことや、医療イニシアチブに対する資金の提供方法にまで変化をもたらします。そしてこれからは、地域社会ごとによりプロアクティブに健康を管理できるようになるでしょう。

Gardner: Deirdreさん、他の医師がAIの可能性とAIを活用するために必要なことを理解するうえでのアドバイスをいただけますか。医療の現場で働く人は、現在のエッジコンピューティングサービスやAIサービスのメリットを最大限に活用する方法について、どのようなことを考えるべきなのでしょうか。

Stewart: 誰もが分析に関して、常に非常に基本的なことを疑問に思っているはずです。今していることを改善するにはどうすればいいのか。今していることを簡単にするにはどうすればいいのか。病院や地域社会の住宅など、場所に関わらず私と同じ気持ちで、また私と同じ方法で患者の世話をしてきた人から得られる膨大な情報を活用するにはどうすればいいのか。より簡単に情報にアクセスするにはどうすればいいのか、またどうすれば自分がその改善に役立っているということを確認できるのか、といったことを自らに問いかけているはずです。

すぐに情報にアクセスできるということは、すべてを覚えておく必要がないということであり、手元にある情報は私にアイデアをもたらしてくれます。私はいつも、結果や分析を振り返り、それらが今後の改善にどのように役立つのかをもう一度考えています。

寝室から会議室まで、誰もが場所を問わず、必要な情報にアクセスしたか、どのようにすれば改善できるか、他に何をする必要があるのか、といったことを自問すべきです。

Gardner: さて、そろそろ時間がまいりました。本日は、病院が命に関わる敗血症に感染するリスクのある患者についてのプロアクティブなアラートをどのように受け取っているのかをお話ししました。また全世界の医療従事者が、より多くの問題に対応するとともに、よりインテリジェントにケアを向上させるうえで、エッジコンピューティングとAIがどのような役割を果たすのかを幅広く紹介しました。

ここで、本日のゲストであり、Cerner社でグローバルセールス/事業開発担当プラクティスマネージャーを務めるMissy Ostendorfさんにお礼を述べたいと思います。Missyさん、本日はありがとうございました。

Ostendorf: ありがとうございました。ご一緒できて楽しかったです。

Gardner: 今回はCerner Europe社のシニアディレクターであり、看護部門の役員でもあるDeirdre Stewartさんにもご参加いただきました。Deirdreさん、本日はありがとうございました。

Stewart: こちらこそ、ありがとうございました。

Gardner: そして、HPE社の医療/生命科学担当ワールドワイド業界マーケティングマネージャーであるRich Birdさんです。Richさん、ありがとうございました。

Bird: ありがとうございました。

Gardner: 最後になりますが、BriefingsDirect Voice of the CustomerのモノのインターネットとAIの戦略に関するインタビューをお聴きいただいた皆様にお礼を申し上げます。本日お送りしましたHPE社主催のディスカッションシリーズの司会は、Interarbor Solutionsの主席アナリストである私Dana Gardnerが務めさせていただきました。

改めましてご清聴ありがとうございました。このシリーズを皆様のコミュニティにもご紹介ください。次回もどうぞお楽しみに。

 

エッジインテリジェンスによる救命: リーダーのためのアドバイス

  • 医療従事者は、病院で命に関わる敗血症の感染を迅速に検出して監視し、処置を施すために、エッジコンピューティング、AI、およびWi-Fiデータネットワークを組み合わせて使用しています。
  • Cerner社とHPEは、共同で病室のテクノロジーの接続を強化し、データを有効活用してきました。
  • インテリジェントエッジデバイスは、より迅速な敗血症の治療だけでなく、オピオイド中毒をはじめとする、その他の深刻な病気の治療の改善にも貢献しています。

この記事/コンテンツは、記載されている個人の著者が執筆したものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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