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2021年12月17日

オープンな設計が5G業界を牽引

産業界は、イノベーションと競争の活性化を目的とするDoDとNTIAの共同イニシアチブを興味深く見守っています。
米国の電気通信情報局 (NTIA) と国防総省 (DoD) は、米国全土にわたる5Gネットワークに長期的影響を及ぼす可能性が高いオープンな5Gエコシステムの構築を共同で奨励しています。

2021年1月、この2つの政府機関は、オープンな5Gフレームワークを開発するためのイニシアチブを立ち上げ、このプログラムに対して業界関係者から意見を募るために「5G Challenge Notice of Inquiry (5Gチャレンジ情報請求告示)」を発表しました。

この取り組みは、サイバーセキュリティ上の懸念から米国政府が拒否した中国の構想に代わる非常に堅牢な5G実装を開発するために、多くの関係者の参加を促すことを目的とします。このイニシアチブは、5Gシステム向けのオープンRANテクノロジーの採用や軍事基地における5Gテストベッドの構築を義務付けたStrategic Allied Telecommunications Act of 2020 (2020年戦略的連合電気通信法) に沿ったものです。

国防総省をはじめとする米国政府関係者の多くは、電気通信製品の国内開発の奨励も望んでいますが、この取り組みには米国外からも多数の関係者が参加しています。市場調査を専門とするLightCounting社のチーフアナリストであるStéphane Téral氏は、「中国の事業者を除き、5Gエコシステム全体での競争が期待される」と述べています。「これはあらゆるベンダーが、エンドツーエンドの5Gアーキテクチャーとサービスに関与することを意味します」。

単一ベンダーがあらゆるネットワーク機能にわたって卓越したスペシャリストになるのは不可能です。
JEFF EDLUND HPE通信・メディアソリューションズ、CTO

コラボレーションが鍵を握る

HPEのコミュニケーションテクノロジーグループのCTOを務めるJeff Edlundは、5Gの領域では多くの関係者のコラボレーションが欠かせないと説明します。「コアネットワーク (ユーザープレーンとコントロールプレーンの両方) は、膨大なネットワーク機能で構成されています。単一ベンダーがあらゆるネットワーク機能にわたって卓越したスペシャリストになるのは不可能です」と指摘し、単一ベンダーソリューションの場合は何らかの点で妥協が避けられないと付け加えます。Edlundが例として挙げているように、HPEは5Gテクノロジーの分野で、セッションやユーザープレーンテクノロジーに関して、Samsung社やCasa Systems社などの複数企業と提携しています。

こうしたコラボレーションは、O-RAN Allianceによって開拓された、多くのベンダーによる競争が可能なエコシステムの構築、という理念に沿ったものです。「オープンRAN環境では、標準化されたハードウェアと低いコストにより、多様な組み合わせが促進されます」とDoyle Research社主席アナリストのLee Doyle氏は指摘します。事実、ある参加者によると、オープンRAN上ですでに進行中の活動が国防総省とNTIAによる5Gチャレンジにおいて重要な役割を担うことが期待されています。

通信事業者大手のEricsson社は、このチャレンジへの回答として、5Gスタックチャレンジを、国防総省が管理し、あらゆるベンダーが自社のオープン5Gスタックコンポーネントを持ち込んで機能テストや相互運用性テストを行うことが可能なラボで実施することを提案しました。Ericsson社は、マルチベンダーによる5Gコンポーネントの「オープンエコシステムプラグフェスト」を開催することで、既存ベンダーと新規ベンダーの双方が、各社が強みとする専門知識やイノベーションを生かして、オープンな5Gスタックコンポーネントに貢献できると主張しています。

IDC社のシニアリサーチアナリストであるPatrick Filkins氏によると、参加ベンダーは、高性能無線ユニットを含むオープンRANシステムの研究開発に対して、部分的に資金提供を得られる可能性があります。ただし連邦政府が行うチャレンジでは賞金が出るケースが多いのに対して、NTIAの広報担当者によると、オープン5Gチャレンジには賞金はありません。

将来的に期待されるメインストリームのメリット

このイニシアチブは、政府の活動やグローバルな地政学のコンテキストの下で行われていますが、数年後にはメインストリームのビジネスや個人にもメリットが及ぶと期待されています。

「オープン性のメリットにより、ベストオブブリードソリューションの構築が促進されます」とFilkins氏は述べています。「オープンシステムでは、より多くのベンダーが競争し、ベストオブブリードアプローチによって勝利を収めることになるため、CSP (クラウドサービスプロバイダー) は競争の活発化によるコスト削減を期待できます」とFilkins氏は指摘します。さらに同氏は、分散型システムはCAPEXコストの抑制にも貢献すると見ており、CSPはその節減分を顧客に還元することで、より効果的に価格競争を展開できると付け加えます。

Téral氏も同様に、このイニシアチブは、競争の活発化、サプライヤーの選択における柔軟性向上、セキュリティ基準の厳格化などにより、コスト削減につながる可能性が高いと見ています。

ネットワークスライシングのような高度な機能を、複数ベンダーによる相互運用可能なテクノロジーで実現できるかどうかは、現時点では定かでありません。「ネットワークスライシングでは、コアだけでなく、エッジとコアが必要であり、さらにエンドツーエンドであることを求められます」とDoyle氏は述べる一方で、「将来的には複数ベンダーの参加が可能になる」と予想しています。

リーダーへのアドバイス

  • オープン性は5Gの領域にイノベーションと可能性をもたらします。
 
  • バイヤーは、個々の機能に対するベストオブブリードの選択を可能にするため、オープンな設計を要求する必要があります。
 
  • 競争とイノベーションにより、5Gネットワーキングは将来的にはよりメインストリームのアプリケーションに移行すると期待されます。

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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