2020年10月9日

インターネットを介したビデオストリーミング/ビデオ会議サービスの基本

インターネット経由のビデオは、ライブまたはオンデマンドで配信されます。どちらの場合も、特定のビジネスニーズを満たす製品やサービスがあります。

多くの組織がライブビデオとオンデマンドビデオを配信して、従業員、顧客、サプライヤー、パートナーとコミュニケーションしています。こうした取り組みに役立つ、さまざまなライブビデオとオンデマンドビデオのサービスが無償または有償で提供されていますが、その中から適切なサービスカテゴリと、そのプロバイダーを見分けるのが難しい場合があります。

この記事では、ライブ/オンデマンドサービスの主なカテゴリを概説し、選択するカテゴリとサービスプロバイダーを検討する際の推奨事項も示しています。では、最初にライブサービスを見ていきましょう。

 

ライブサービス

ライブコミュニケーションを目的とする際に検討すべき4つの主な製品カテゴリは 次のとおりです。

  • ビデオチャット: 1対1のチャット、または少人数でのチャットに適しています。
  • ビデオ会議: この会議では、多数の参加者全員がビデオを介してコミュニケーションできます。
  • ウェビナーサービス: 豊富な種類のメディア (PowerPoint、スクリーンカム、ライブ/オンデマンドビデオ) によるコンテンツをグループユーザーに提供できます。使用できるのはユーザー側に配信されるビデオのみです。投票やクイズといった、エンゲージメントやプレゼンテーションツールのほか、バックエンドにおける、マーケティング用自動システムの統合など、そのサービスは多岐にわたります。
  • ライブストリーミング: ファイアウォールの内側でも外側でも、高品質のストリーミングビデオを配信できます。

 

では、各カテゴリを詳しく見ていきましょう。

 

ビデオチャット

ビデオチャットは、2人または少数の参加者で行うビデオ通話に適しています。こうした通話を行えるさまざまな無料または有料のサービスが存在しますが、概して最も優勢なのはSkypeです。Skypeは、多くの人に利用され、よく知られており、さまざまなプラットフォームで利用できます。一度に最大50人の発信者をサポートし、すべての通話を記録できます。発信者が、画面、チャット、ファイルを共有でき、背景をぼかすことも可能です。ベッドをきれいに整えていなかったり、キッチンを片付けていなかったりした場合に非常に便利です。

Skypeではほとんどの場合、通話をアプリケーションから直接発信しますが、新しいオプションのSkype Meet Nowを使用すると、リンクを作成して最大50人の参加者にメールまたはSMSで送信できます。受信者はそのリンクをクリックするだけで通話に参加できます。コンピューター間の通話は無料で利用可能です。市内番号または国際番号に発信できる有料のオプションもあります。

Skypeの「公正使用ポリシー」では、1回のビデオ通話を4時間、1日の通話を合計で10時間、1か月の通話を100時間にそれぞれ制限しています。計画した使用時間がそれを超えるようであれば、別の選択肢を見つける必要があります。

 

ビデオ会議

ビデオ会議サービスは、対面で行う会議の環境と生産性を向上させます。また、数百人規模でなければ多数のユーザーに対応可能です。この分野には多くのサービスプロバイダーが存在し、BlueJeans Meetings、Cisco Webex、Google Hangouts、Google Meet、GoToMeeting、Zoom、Microsoft Teamsなどのサービスが提供されています。

プロバイダーの選択はどのように進めればよいでしょうか。参加者の数が限られている小規模組織の場合、機能と料金に注目することをお勧めします。たとえば、ブレインストームや分科会セッションで会議内コラボレーションを行えるホワイトボード機能を備えているか、または無料のオプションの有無や、その中からどれを選択すべきかを検討します。

非常に多くのユーザーが参加するイベントを計画している大規模組織の場合、候補のサービスを、ビデオ会議システムといった既存のハードウェアの機能とどのように統合できるかを評価するとよいでしょう。音声のみの外部接続をダイヤルインで利用できるかどうかと、その料金も確認します。ビデオ会議に同時に参加できるユーザーの最大数に加え、参加者のビデオを見やすく並べて表示するオプションがあるかどうかもチェックします。参加者全員をタイル状に表示できたり、主催者と発言中の参加者のみが表示される画面があったりすると非常に便利です。

組織の規模に関係なく、従業員がよく利用しているアプリケーションに、会議システムをどのように統合できるかを検討しましょう。たとえば、Microsoft 365、Google G Suite、Slack、Salesforceなどとの統合を想定し、シングルサインオンに対応可能かどうかも確認します。また、サポート対象のオペレーティングシステム、ブラウザ、デバイスとともに、ブラウザとアプリケーションのどちらで実行できるのかを把握します。それがわかれば、ダウンロードとインストールに備えることができます。

組織の規模に関わらず、セキュリティとプライバシーにも注意を払うべきです。こうしたシステムでは、基盤となる下層のほとんどでセキュリティが非常に強化されており、暗号化などの技術でコンテンツが保護されています。しかし、特に、Zoomは、最近、個人情報の暴露関連で訴訟を起こされるなど、ロックダウンによって注目度が高まったことで、セキュリティ上の問題が次々と発覚しています。同社はこうした問題のいくつかに対処しました。

もちろん絶対確実なセキュリティスキーマなどなく、すべてのシステムとデータでセキュリティが完全に確保されることもありません。選択する前に、セキュリティとプライバシーのポリシーに加え、候補となるサービスの記録を必ず調査しましょう。また会議を計画している期間、サポートオプションを手頃な料金で利用可能かどうかも確認します。

 

ウェビナーソフトウェア

ビデオチャットとビデオ会議のサービスでは、多対多での低レイテンシビデオストリームが制作および提供されますが、ウェビナープログラムでは基本的に、トレーニング、コミュニケーション、セールス、マーケティングなど、1対多のサービスが提供されます。この分野でよく知られているサービスには、GoToWebinar、GlobalMeet、WorkCast、Cisco Webex、Onstream Webinars、Intrado、On24などがあります。では、ウェビナー制作の一般的なワークフローを念頭に置きながら、こうしたサービスの主な機能を確認していきましょう。

ウェビナーの多くは、連絡先の情報を調査目的で取得できるように制作されており、ほとんどのサービスで、ブランド化した登録ページを作成して、一般的な確認用の電子メールとリマインダーを送信することができます。欧州連合内で調査を行う場合は、システムがGDPRに準拠していることを確認しましょう。また、有料ウェビナーを検討している場合は、そのサービスでペイウォールを利用または統合できるかどうか検討します。

このサービスでは、イベントの間、ビデオ、音声、スライド、画面共有などの入力機能や、クイズ、投票、チャット、Q&A、ダウンロードといった機能を利用できる必要があります。ホワイトボードは一様に提供されるわけではありませんが、利用できれば、非公式のディスカッションやブレインストーミングを行う場合に便利です。ウェビナーのインターフェイスでブランディングを行えることも重要です。また、コンピューターまたはモバイルデバイスからのウェビナーの視聴と参加に、プラグインまたはアプリが必要かどうかも確認しておきます。

通常のPowerPointを、発言者の小さいビデオ画面で表示する場合、ビデオ解像度が大きな問題となることはありませんが、全画面で表示する場合は720p以上の解像度が必須です。また、すべてのサービスが、Webカメラの入力、またはRTMP (Real-Time Messaging Protocol) のキャプチャーデバイスを介したビデオカメラに対応している必要があります。ただし、ビデオ会議機器との統合は一般的ではありません。ほとんどのシステムが、複数の場所から複数の参加者が発言することに対応していますが、操作の難易度と料金はサービスによって異なります。複数の発言者がいる場合は、この機能がユーザーフレンドリであるかどうか確認しましょう。

このシステムは、ライブ、事前録画、疑似ライブの各プレゼンテーションに対応している必要があります。これにより、事前に録画したウェビナーの配信と、Q&A/チャットへのライブ応答を行うことができます。オンデマンドの視聴向けにウェビナーを録画できる機能も必要です。また、イベントの間、エンゲージメントデータ (例: チャット、資料のダウンロード、質問、アンケートへの回答などを行う参加者の数) にアクセスできることも重要です。イベント終了後、これらのデータをリードスコア (サービスで利用可能な場合) とともにマーケティング自動化プログラムに転送しなければなりません。最後にもう1点、請求額の急増を回避できるように、シンプルな料金体系の定額サービスを探します。低コストで迅速なサポートのオプションが付いたサービスも検討しましょう。

 

ライブストリーミング

ライブストリーミングも、1対多で配信されるビデオのみのメディアであり、最小の操作で視聴できるようになっています。無料 (YouTube Live、Facebook Live) または有料 (BoxCast、Brightcove、Dacast、Vimeo、StreamShark、Wowza) のさまざまなサービスが提供されています。すべてのサービスで、アダプティブビットレート技術を使用した、解像度1080pのビデオ配信が行われるため、デバイスごとに最良の画質でストリーミング動画を再生できます。

どのサービスでも、完全なターンキーパッケージを利用可能です。ライブストリームをサービスに接続すると、コード変換、配信、視聴用プレーヤーの提供が行われます。また、ライブストリームは、オンデマンドファイルに変換できるため、これをダウンロードしてさまざまな場所に展開することが可能です。

価格が適正であるにもかかわらず、サポートオプションがないため、組織の多くは、Facebook LiveとYouTube Liveを主要なストリーミングプラットフォームとして採用しようとしません。しかし、心配は要りません。これらのプラットフォームがブランド上重要であれば、そのほかの同様のサービスを検討しましょう。大部分のサービスが、これらのプラットフォームで視聴するストリームの配信と、自社サイトからのストリームの配信に対応しています。

そのほかのサービスを選択するときには、主に2つの点を考慮します。1つ目は、ファイアウォールの内側と外側でビデオを配信する場合、CDN (企業のコンテンツデリバリネットワーク) の機能を利用できるかどうか確認することです。この機能によって、ネットワークに負荷をかけずにファイアウォールの内側で配信できます。2つ目は、オンデマンド用に変換したライブビデオを含むすべての企業ビデオでYouTubeのような環境を作る場合、次の項で説明するオンデマンド機能を検討することです。

 

オンデマンドビデオ

ウェビナー、ストリーミングビデオ、ビデオ会議のコンテンツを制作したら、いずれの場合も、中央の特定の場所に保存して、オンデマンドで視聴できるようにします。ほとんどの組織が、ライブラリを構築してトレーニング、コミュニケーション、オンボーディング、セールス、マーケティング用に制作したビデオを保存しています。これらのビデオにも一元的な保存場所が必要です。

多くの組織が、マーケティングや、そのほかの外部向けビデオをYouTubeでホスティングしています。しかしその方法は、収益化を図るプレミアムコンテンツや、一般公開を避けたいビデオには適していません。広告、またはサブスクリプションによる収益を目的としてコンテンツを配信している組織は、BrightcoveとKalturaなどのオンラインビデオプラットフォーム (OVP) を一般に使用しています。これらのプラットフォームは、コンテンツ管理、エンコーディング、配信、プレーヤー開発、メンテナンス、分析といった、YouTubeと同様の機能を備えています。OVPのほとんどで、ライブとビデオオンデマンド (VOD) の機能を利用できます。ライブとオンデマンドの両方でコンテンツを配信する場合、事前の分析でもその両方を検討しましょう。

ビデオを社内で配信している企業は通常、エンタープライズYouTubeと呼ばれる企業ビデオプラットフォームを介して展開を行います。たとえば、Microsoft、VIDIZMO、MediaPlatform、Panopto、Intradoなどがこうしたプラットフォームを提供しています。ほとんどの製品がコンテンツ固有または部門固有のチャンネルのほか、カスタマイズ可能なポータルをサポートしています。これらのポータルには、既存の認証サービスを使用して、シングルサインオンでアクセスできます。また、一般的にこうした製品では、役割を定義して、ユーザーごとに、コンテンツのアップロード、モデレート、承認などの権限を持たせることが可能です。

一部のシステムでは、特定の従業員にビデオを割り当てて、視聴の完了を確認できます。これは、オンボーディングや、規制コンプライアンスの維持に役立ちます。通常VODは、さまざまなタイミングで利用されるため、ライブイベントに比べネットワークに負荷を与えません。それでも、ファイアウォールの内側でビデオ利用が急増しそうな場合は、負荷分散しながら配信できるシステムを優先的に選択しましょう。

ビデオには、セールス、マーケティング、トレーニング、コミュニケーションなど、企業が持つほとんどの機能を推進する力があります。この記事をお読みになって、システムの種類、展開を検討すべきシステム、候補のシステムに期待する機能が明確になったとすれば幸いです。

 

インターネットビデオの基本: リーダーのためのアドバイス

  • 組織のニーズを明確に把握してベンダーを選択しましょう。
  • ライブイベントの間、特定のサポートを十分に利用できるようにします。
  • 社内の会議用ハードウェアをベンダーがサポートしているかどうかを確認します。

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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