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2019年1月17日

従量制のIT環境を検討する際に確認しなければならない5つのポイント

重要な決定を下すときと同じように、IT消費モデルを検討する企業は、それがビジネスにもたらす影響についてじっくりと考える必要があります。この記事では、IT消費モデルを導入する前に検討すべきポイントを紹介します

サービスを提供するインフラストラクチャに投資するのではなく、利用したサービスの料金を支払うだけで済む従量制のビジネスモデルは新しいものではありません。通信会社や公益事業体は、収益を予測できるようにしてサービスのコストを下げ、安定的かつ継続的な顧客関係を築くために以前からこうしたモデルを使用してきました。
最近では、他の業界でもこのモデルが定着しつつあり、プロビジョニングに時間がかかったり、作業負荷の高さがイノベーションの妨げになったり、コスト、使用量、パフォーマンスに関するレポートの作成を求められたりといった、一般的なキャパシティ管理の問題が変化を促進する要因となっています。

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このような問題を抱えている人は、組織全体のテクノロジー戦略に従量制のIT環境を加えることを検討しているかもしれませんが、現在では多くのプロバイダーが、サービスの使用量に基づいて毎月料金を請求し、複雑で無駄になることもあるITインフラストラクチャに対する投資の必要性をなくす、(大規模なインフラストラクチャの展開とITの使用状況を監視するものをはじめとした)幅広いソリューションを企業顧客に提供しています。
従量制のIT環境のメリットは、使用した分の料金を支払うだけで済む柔軟性と急速に変化する今日のデジタルエコノミーにスムーズに適合させることができるITのアプローチにあります。ただし、従量制のIT環境を導入するのは容易ではなく、こうしたアプローチを検討する企業は、その選択がビジネスにもたらす影響についてじっくりと考える必要があります。
ではここから、確認しなければならない5つの重要なポイントについて見ていきましょう。

 

1. IT組織が新製品の発売に対応できる状態になっているか

デジタルエコノミーでは、企業は新たなビジネスチャンスに対応するための容量を確保しておく必要があり、容量の使用量を適切に管理することが迅速な市場投入の鍵となります。
ITキャパシティプランニングは、極めるのが難しいことで知られており、容量をオーバープロビジョニングするとコストがかさむ一方、容量が少なすぎると機能停止に陥るリスクが生じます。キャパシティプランニングのエキスパートを目指したことがある人なら、データを収集して容量を予測し、潜在的なリスクを評価しなければならないことはおわかりかと思いますが、こうした作業はいずれも時間がかかるうえ、すべてのIT部門が適切なレベルの専門知識を持つ人員を擁しているわけではありません。
キャパシティプランニングに苦労しているお客様は多く、将来の潜在的なニーズに備えて不必要に容量をオーバープロビジョニングしていることが原因となり、CFOとの会話が気まずくなる場合がある、という話を聞くことも少なくありません。ITの単価が下がる一方、データの使用量が急増していることから、お客様のITの使用量は増えています。また、季節性が高く、突然需要が増加する期間のある小売などの業界では、特にキャパシティプランニングが困難です。

たとえば、小売業者の場合は、夏の繁忙期に間に合うように新しい店舗をオープンしたり、新しいOEMのサングラスを追加したりしなければならないことがあります。またさらに、そのサングラスのアートワークを2週間で完成させて自社のWebサイトに画像をアップしなければならないこともありますが、それを可能にするには、高い処理能力が必要です。
これまでは、企業が予想される容量の増加に対応するために機器を注文する調達サイクルが障害となっていました。この種の容量の追加に関しては、最近451 Research社が実施した調査である程度時間がかかることが明らかにされており、調査回答者の59%は、自社のIT部門がこうしたタスクを完了するまでに3か月以上かかる可能性があると述べています。
この期間は明らかに長すぎますが、従量制のITモデルを導入すれば、ITマネージャーが容量について頭を悩ませる必要がなくなるため、市場投入期間を短縮できます。ITプロバイダーは、時間のかかる調達プロセスを経ることなく必要なときに使用できるコンピュートリソースのバッファーを提供し、バッファー容量の使用量を監視する中で、予想される需要の増加に先立って使用可能な容量を追加します。

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2. どの程度のITの柔軟性が必要か

ITのニーズは企業の成長とともに変化しますが、そうしたニーズの変化は一様であるとは限らず、短期間のうちに規模が大きくなる部門もあれば、そのペースが遅い部門もあります。どの程度のITの柔軟性が必要なのかは、こうした要因によって決まります。
IT部門はこれまで、多額の設備投資と長期間の調達サイクルを伴う定額のITソリューションを購入することでこうした変化に個別に対応してきましたが、このようなアプローチはコストがかかるうえに複雑で、IT部門のリソースを浪費してしまう可能性があります。複雑なIT環境には、ニーズの変化に合わせて容量を増やすことでコストのかかるオーバープロビジョニングを回避できる、柔軟な従量制のITモデルが適していると思われます。
ITサービスプロバイダーは、提供するITインフラストラクチャモデルの柔軟性をカスタマイズします。たとえば、お客様に100台のサーバーが必要であるとITサービスプロバイダーが判断した場合、一般的な従量制のITモデルの契約では、お客様が70台分の料金を支払うことに合意し、ITサービスプロバイダーが残り30台のリスクを負担します。また100台のサーバーに加え、ITサービスプロバイダーは、10%のバッファーを提供する(10台すべてのリスクをITサービスプロバイダーが負う)場合があります。そのため、使用量が80~90%に収まっていた場合、お客様は使用していない容量の料金を支払わなくて済みますが、容量を増やして想定外の需要に対応することも可能です。
製造や小売などの企業では、事業部門のニーズに応じて、ITプロバイダーとの間で柔軟性が異なる複数のモデルを契約する場合があります。需要が安定している企業もあれば、急増する企業もありますが、従量制のITのアプローチを導入すれば、自社の容量のニーズに後れを取ることがなくなります。


3. ITコストとビジネスアクティビティは一致しているか

大部分のIT意思決定者は、容量のニーズを多く見積もって容量不足に伴うコストを回避し、ビジネスリスクを軽減しようと考えます。企業は一般的に必要な量の2倍の容量を購入しますが、即金で機器を購入すると、オーバープロビジョニングによってビジネスに必要な現金の不足につながる不必要な設備投資が発生し、利益をもたらす可能性がある新しいプロジェクトに資金を投入できなくなります。
最近発表された451 Research社のレポートでは、IT部門によってどれだけオーバープロビジョニングが行われているのかが数値化されており、コンピュートに関しては平均59%、ストレージに関しては48%がオーバープロビジョニングされているという結果が出ています。このような企業は、安全策を取って障害や容量不足に伴うコストの増大を回避しようと考えているのかもしれませんが、オーバープロビジョニングも財務面に大きな影響を与えます。
451 Research社は、たとえば、1,000ドルのサーバーで稼働する最大8台の仮想マシンのうち、ビジネス価値を引き出している仮想マシンが4台しかなければ、各仮想マシンのコストは実質的に250ドルになると指摘しています。8台すべての仮想マシンが活用されれば、単価は125ドルにまで下がりますが、実際には実現することが難しい、ITの使用率をできる限り100%に近づけるというのが理想的なシナリオです。
アンダープロビジョニングにもリスクがあり、451 Research社が実施した調査では、調査対象企業の半数が、需要に対応するための十分な容量がなかったことでダウンタイムが発生したと述べる一方、34%はパフォーマンスが低下し、32%は自社に十分なITリソースを提供できなかったと回答しています。このような状況は深刻で、顧客が別の企業に乗り換えたり、企業が新しい潜在的な機会を逃してしまったりすることになる可能性があります。
それよりは、キャパシティ管理とコストを最適化し、ビジネスリスクを軽減できるツールを使用する方がはるかに賢明で効果的です。ITインフラストラクチャを管理して絶えず消費のニーズを監視してくれるITプロバイダーを利用すれば、困ったときに過去のデータを確認するのではなく、リアルタイムでこうしたことが行えるようになります。また、測定された使用量を明確に把握し、常にどの部分にコストが投入されているのかを正確に知ることができます。


4. どれだけ効果的にリスクを最小化できているか

最近、世界中で貿易戦争が起きて株式市場の不安定さが増していますが、このような状況の中、一部の企業、特に金融セクターの企業は、ITリスクを最小化することの重要性を認識するようになると思われます。
賢明な金融企業は、演算を行うための容量がなければ多額のコストが発生することになる可能性がある、取引の急増などの潜在的なリスクをモデル化するために膨大なコンピューティング性能を投入してきましたが、柔軟性の高いITプラットフォームを持たない企業は、このような高度なモデリングを行うためのリソースを有していないため、取引で想定外のことが起きると、かなりの資産をリスクにさらすことになります。
このようなビジネスリスクは、小売などの他の経済セクターにまで広がっており、たとえば、小売業者が大成功を収めた製品ラインを売り出す場合、需要の増加に対応するための予備の容量を確保しておかなければ、あらゆる状況に対応して利益を得ることができなくなる可能性があります。
企業は、容量を正確かつ効率的に管理するためにきめ細かいモデリングを行い、あらゆる状況に対応できるようにしなければなりませんが、ITプロバイダーなら、数百社の顧客と連携してきたメリットを活かしてニーズを予測し、ITインフラストラクチャのリスクを回避することが可能です。


5. 発注書の管理に膨大な時間を費やしていないか

今日の企業は、事務作業に膨大な時間を費やしており、それが原因で新しいプロジェクトの実施に遅れが生じています。多くの企業は、新しい容量の導入に必要な時間を考慮して事前に容量をオーバープロビジョニングする傾向にあります。
安定した、信頼性が高く効率的なサービスを提供する、信頼できるテクノロジープロバイダーにITの管理を任せれば、事務作業に膨大な時間を費やしたり、容量の管理にリソースを浪費したりしなくて済むようになります。ITプロバイダーは、長期間にわたる調達プロセスを経ることなく、必要なときに使用することが可能なコンピュートリソースのバッファーを確保し、数か月ではなく数分で容量を増やすことができるようお客様をサポートします。
ITサービスプロバイダーとともに従量制のIT環境に関する契約を作成すると、原契約の締結後にメールをやり取りする程度で済むようになり、一般的に時間のかかる承認プロセスがある不便な発注書を使用する必要がなくなるため、お客様はこれまでより短時間でIT環境を稼働させることが可能になります。
これまで多くの企業がハイブリッドITを導入してきましたが、現在では、レガシーIT、クラウドベースのIT、およびオンプレミスシステムを含む、広範なITインフラストラクチャが構築されています。特にデジタル時代においては、このようなハイブリッド環境の運用が難しくなる可能性がありますが、ここで紹介した現在のIT環境の5つのポイントを確認すれば、従量制のアプローチを取り入れることでメリットが得られるのかどうかを判断しやすくなります。
データソース: 451 Research社、2016年11月、米国の500人以上のIT意思決定者。

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもHewlett Packard Enterpriseの見解を反映しているとは限りません。

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