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2019年4月16日

AIのトレンドに乗り遅れまいと慌てるウサギ

AI分野で主導的立場を取ることが強く求められる中、米国は、STEM教育の徹底と質でその他の国に大きく後れを取っています。しかし、最近のWashington Post紙によるテクノロジーイベントの登壇者は、こうした状況を改善するさまざまな取り組みが進んでいると語っています。

米国は、『不思議の国のアリス』の白ウサギに少し似ています。「大変だ、大事な約束に遅刻する!」と急いでいるものの、全体像が見えていません。つまり、国内の労働者に対して、AIとAIソリューション開発の教育やトレーニングを行う必要性が非常に高まっているにもかかわらず、そのことに気付いていないのです。

それが、Washington Post紙のイベントで述べられた重要なポイントです。イベントでは、政治家、研究者、テクノロジーイノベーターが登壇し、AIの進歩に関する最新情報について意見を交わし、この技術をどのように (倫理的に) 活用すれば、企業、消費者、テクノロジー企業が利点を享受できるかを見出だしました。

AIコンサルタント、Oxford Insightsが評価したAIの国際的な対応状況では、米国が重視すべき、デジタルスキルのトレーニングやデータインフラなどの分野が強調されています。同コンサルタントは、このように報告しています。「米国の対応は、政府の注目や投資を得られなくても、シリコンバレーなどのテクノロジー集団によって順調に進んでいるように見えます。しかし、デジタルスキルのギャップは今後も拡大し続け、結果的に、さらに大勢のAIエキスパートを国外から確保する必要性が生まれます。国内での人材育成を行えない可能性があるからです」。

従業員は、自分たちがこの新しい技術に取って代わられると不安になっていますが、エキスパートはパネルディスカッションで、楽観的に考えるよう勧めています。

「それは、仕事を失う不安です」。そう語るのは、ヒューレット・パッカード エンタープライズでAIのバイスプレジデントを務めるBeena Ammanathです。Beenaはこのイベントの主催者でもあります。「しかし、AIによって仕事を効率化できます」。

移行は予想されても、そのためのトレーニングが行われます。「仕事はあります。しかも給料の良い仕事です。ただし、その内容は変わります」と、Pete Olson議員 (テキサス州共和党) は、プレゼンテーションで語りました。Olson議員は米国議会AI党幹部会の共同議長も務めています。「IBMの例を考えてみてください。IBMはかつてメインフレームとチップを大量に製造していましたが、今はそうではありません。当時の従業員は、新しく生まれ変わったIBMで今でも仕事を続けています」と同議員は語り、「この変化を受け入れてください。恐れることはありません」 と呼び掛けました。

 

何より優先される子どもたちの教育

登壇者は、主な懸念事項として、子どもたちの教育の重要性をあげています。新たな技術であるAIを、子どもたちがいつでも利用できるようにする必要があるのです。

生徒の学習到達度調査 (PISA) では、3年ごとに世界規模の調査を実施しています。非常に多くの先進国と途上国で、15歳児を対象に、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーが測定されます。最新のPISAによると、米国は、その他の多くの先進工業諸国に後れを取っています。実際にPew Researchの直近 (2015年) の評価では、このように述べられています。「米国の成績は振るわず、数学で71か国中38位、科学では24位でした。また、このPISAのイニシアティブを主催する経済協力開発機構の加盟国35か国のうち、米国は、数学が30位、科学が19位でした」。

さらに、米国科学振興協会の会員を対象とした2015年の調査によると、米国のK-12のSTEMは、調査対象者の46%が平均値を下回りました。

「AIは、現代の私たちにとって大きな挑戦です。この好機に重要なのは、優秀な人材を数多く集めることだと私は考えます。この活動に関わる人が多ければ多いほど大きな成果を得られます」と、Shift7社のCEO、Megan Smith氏は語ります。同氏は2014年から2017年まで米国CTOを務めました。

「すべての子どもたちをデータサイエンスに引き込む方法はあるでしょうか」 とSmith氏は質問を投げかけ、いくつかのプログラムを紹介しました。

  • ワイオミング州では、幼稚園児以上のすべての子どもたちがプログラミングとコンピューティングの考え方を学んでいます。
  • シカゴの高校ではプログラミングを学習していない生徒は卒業できません。
  • オクラホマ州のMuscogee Creek Nationでは、ヘッドスタートプログラムでロボット機構を教えています。

「すでに利用できるこうした素晴らしい取り組みを知り、直ちに共有する必要があります。こうした活動にはすでに私たちの予算が使われています。これらの学習を、読み書きと同じように不可欠なものにしなければなりません」と Smith 氏は呼びかけています。

 

大人向けのAIトレーニング

大人向けのトレーニングとして、Smith氏が3か月の技術見習いと表現したTechHireがあります。このイニチアチブには、1,500の雇用者が終了生の受け入れに協力しています。その他の選択肢は 、指導プログラムのCodeCrewです。このプログラムでは、過小評価されている若者がイノベーターやリーダーになるための、実用的かつ実践的なコンピューターサイエンス教育プログラムが提供されています。

Washington Post紙のイベント中、その他のプレゼンテーションで、AIの応用範囲が実質的に未開発であることが明らかになりました。登壇者は、未だAIが狭い範囲でしか使用されていないことに注目し、その範囲が、平等、正義、貧困などの社会問題に広がってほしいと話しました。たとえば、自律型AIは、医療分野ですでに利用されています。

「AIによる技術の進歩は、10年以内に、世界経済に17兆ドルの価値をもたらします」とOlson議員は語りました。

この記事/コンテンツは、記載されている個人の著者が執筆したものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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