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2019年10月18日

中規模企業がITの効率化を実現する方法

競争は厳しく、使えるリソースは限られていますが、それでも、現在のビジネス環境で競争力を高めるには、ビジネス目標の達成を助けるテクノロジーを採用することが欠かせません。

中規模企業にとっては、スピードがすべてです。デジタル経済における新しいビジネスチャンスは絶えず生まれおり、彼らは、これまで相手にしてきた競合他社だけでなく、革新的な新しいアイデアを持つ小規模な新興企業や、競争相手を押しつぶす豊富なリソースを持つ大企業とも戦い続けなくてはなりません。
そのような争いを続けるのは楽なことではないため、多くの企業はビジネスの特に複雑な部分、つまりITインフラストラクチャを従量制課金サービスプロバイダーに任せることを検討しています。

「中規模企業のITリソースは限られているので、彼らはITの効率化が進まないことに苦しんでいます」とAnurag Agrawal氏は言います。彼は中堅企業向け市場およびチャネルITの調査会社であるTechaisle社の創業者兼主任グローバルアナリストです。「最近の調査では、中規模企業のITスタッフは平均12.7人であることが示されており、これは大企業の20分の1です。中規模企業の83%は、ITスタッフが少ない労力で多くの成果を上げることを期待していますが、79%のケースでは、彼らは時間のかかるサポートとメンテナンスチケットの処理で手一杯になっています」
当然ながら、ITスタッフが日常の局所的な活動で消耗している場合、より大局的な問題に専念する余裕はありません。大局的な問題とは、たとえば、成長している企業がその運命を左右するようなテクノロジーの革新の速度についていけるようにすることです。

そこで、IT消費 (またはAs a Service) モデルの出番になります。このアプローチを採用すると、中規模企業は、オンプレミスからクラウドやエッジにいたるまで適切に管理されたハイブリッドクラウド環境にアクセスできるようになり、大企業の能力に負けずに競争力を発揮できます。また、IT部門はインフラの規模を即座に拡大/縮小し、今日の競争の激しい求人市場で手に入りにくいオンプレミスとクラウドの専門知識を利用することができます。

 

コスト、効率性、生産性のバランスを取る

さらに、IT消費モデルを採用すると、会社は必要となるサービスとリソースにのみ料金を支払えばいいので、機器を事前購入する必要がなく、オーバープロビジョニングを避けることができます。いくつかの見積りによれば、中規模企業では、今後の成長に伴うIT要件を予測するための確かな方法がないため、最初のコンピューティングやストレージへの投資で40~50%の余分な支出が生じています。IT消費モデルに移行することで、現在の支出手法を止めて最大30%節約できる可能性があります。

「中規模企業の20%は運用支出ベースの契約に移行しつつあり、38%は資本支出と運用支出を組み合わせて使用しています」とAgrawal氏は言います。「これらの企業が求めているのは柔軟性であり、彼らは使用量に基づくテクノロジー、つまりIT消費モデルを手に入れたいのです」

最終的な目標は、コスト、効率性、生産性の最適なバランスを実現することです。そのために、企業はIT運用をサポートしてその改善を手助けしてくれる信頼できるITアドバイザーと協力します。そのようなパートナーがいれば、最新のイノベーションやテクノロジーを利用することもできます。これらは、中規模企業がはるかに多くの資金を持つ大企業と渡り合うために欠かせません。さらに、専任のITセキュリティスタッフを獲得し、サイバーセキュリティとプライバシーポリシーを最新の状態に保ち、政府の規制に準拠することもできます。

そのようなレベルのITマネジメントを独力で確立することは、優秀な人材を獲得するための予算と能力 (またはその不足) を考えると、ほとんどの中規模企業にとって困難でしょう。それでも、彼らは成長するために解決策を必要としています。

「大企業は、素晴らしい給与、福利厚生、昇進の機会を提供できるため、あらゆる種類の専門知識を持つ人材をすぐに雇うことができます」とSMB Group社の共同創業者兼パートナーのLaurie McCabe氏は言います。「しかし、中規模企業では、ITの優れた人材を採用することがますます厳しくなっています。そういった中で、IT消費モデルは魅力的です。小規模な企業であっても大企業と同じ規模の経済性を活用できるからです」

 

移行のコストと複雑さを最小限に抑える

IT消費モデルには、多くの組織が常に言及しているわけではありませんが、価値があると認めているもう1つの利点があります。それは、古いシステムでは競争についていけなくなった場合に迅速かつ容易に新しいテクノロジーにアップグレードできることです。

たとえば、以前からある企業の多くは創業時にWindows Server 2008を採用しています。彼らは、そのオペレーティングシステムに必要なハードウェアとソフトウェアを購入し、ITスタッフはスムーズかつ効率的に運用し続けました。その後のアップグレードのためにさらに費用をかける差し迫った必要性もなかったので、何も手を加えることはありませんでした。

しかし、ある時点で、それらのシステムはいくらか時代遅れになり、老朽化してきました。動作も遅くなり、バグが増えて、サイバー攻撃を受けやすくなります。そのため、管理により多くの時間と費用がかかるようになりました。事態が悪化しているため、Microsoft社は来年早々にWindows Server 2008のサポートを完全に終了する計画を発表し、既存の顧客にAzureクラウドコンピューティングプラットフォームへの移行を促しています。

それはまったく異なるOSモデルです。多くの組織が慣れているような、すぐに使える形でパッケージ化されたものではありません。そのため、ITに関するさまざまなレベルの専門知識とサポートするインフラストラクチャが必要になりますが、これらは、すべての企業が自社で簡単に用意できるものではありません。

この状況では、企業がとれる選択肢は限られています。既存のシステムをもう少し長く維持して、近い将来に事態が悪化しないことを望むことはできますが、Windows Server 2008からの移行計画が整っていない組織に選択の余地はなく、いずれ強制的に移行することになります。さもなければ、サポートされなくなったサーバープラットフォームの運用に伴うリスクを負うことになるでしょう。彼らは別のプラットフォームに完全に移行して、その費用と複雑さに苦労するか、IT消費モデルを選択して、他の組織にほとんどの負担を肩代わりしてもらうことができます。

SMB Nation社のCEOであり、長期にわたってMicrosoft社の動向に注目してきたHarry Brelsford氏によれば、多くの組織は同社のサポート終了声明をきっかけとして最終的にマネージドITへの移行を果たすでしょう。しかし、彼は中規模企業にいろいろなソリューションを見て回ることを勧めます。各プロバイダーが提供するサービスは、さまざまなレベルで異なっているからです。

「Windows Server 2008のサポート終了は移行の引き金となるでしょう」と彼は言います。「とは言え、移行先としてAzureを選ぶ前によく考えてみてください。最初に差し出されたからという理由でそれを買うことはお勧めしません」

 

移行に伴う最も明らかな影響に対処する

業界の観測筋によれば、主な考慮事項の1つは、顧客が未使用の容量に対して料金を支払わずに済むようにサービスプロバイダーがどのように取り組んでいるかという点です。たとえば、ある主要なベンダーは、自社のIT As a Serviceの顧客に前もって使用量を予測してもらい、その見積りに基づいて課金しています。その予測が間違っていたとしても、あらかじめプロバイダーに委託した容量に対して料金を支払う必要があります。

「オーバープロビジョニングは重大な問題です」とTechaisle社のAgrawal氏は言います。「うまく対処するには、過去のワークロードを把握し、将来のワークロードを予測し、そして、プロビジョニングの要件を決定しなければなりません。オーバープロビジョニングが発生したら、クラウドとIT消費モデルによるコスト削減のメリットを得られないかもしれないのです」
これが、使用量の測定という概念をIT消費モデルに欠かせない要素と見なすべき理由です。使用量を測定する場合でも、たとえば、5%、10%、15%など、成長率とそれに伴うニーズを予測します。しかし、増分バッファーが導入されるので、設定した使用量に達しない場合は、余分な容量に課金されることはありません。引き続き、より高い範囲にコミットしてコストをいくらか削減する選択肢がありますが、そうする必要はないでしょう。

「実際に使用した分だけ支払う場合に、私たちがよく聞く懸念事項は、「使用した分にのみ課金されていることがどうやってわかるのか?」、「その量が正確であることがどうやってわかるのか?」、「すべてをどのように管理しているのか?」といったことです」と、HPE PointnextサービスのマーケティングマネージャであるKatie Lenahan氏は言います。「私たちの回答は、今やそのすべてに対処できる非常に洗練された測定ツールがあるということです」

その強力な測定ツールがあれば、ワークロードの使用量を非常に細かいレベルで追跡するだけでなく、使用量の経時的なトレンドを分析し、将来の容量のニーズを予測できるようになるとLenahan氏は付け加えます。組織がこれらのツールを使用すると、当て推量に基づいた多くの作業を排除しつつ、コストを削減できます。
もう一つの考慮事項は、評価中のIT as a Serviceの選択肢で、重要な機能を引き続きオンプレミスで運用できるかどうかという点です。それがもたらす技術上の利点だけでなく、あらゆるものをクラウドに配置することに不安を持つビジネスリーダーもいるということを認識することも重要です。彼らの多くは、ITの運用と管理を外部の第三者に100%頼ることを不安に思っています。

「使用した分だけ支払えばいいように消費量に合った見積り値を綿密に計画することは難しいことではありません」とSMB Nation社のBrelsford氏は言います。「しかし、中規模企業に入ると社内政治が増えることを間違いなく実感するでしょう。私は、オンプレミスにこだわる一派とクラウド推進派との間のはっきりとした争いを目にしてきました」

McCabe氏によれば、成長著しい中規模企業では、IT消費モデルのバリュープロポジションは「大いに理にかなっている」ので、彼らはこれを選択肢として検討すべきです。

「新しいものを取り入れる際は、人々がそれに気づいて、理解し、考え、自社のニーズに照らして大局的な視点から捉えるまでに時間がかかります」と彼女は言います。「IT消費モデルは今後のトレンドだと確信していますが、どのくらい迅速に事が進むかはわかりません。しかし、今後20年のうちに、周りを見回して「古いやり方でITを利用している企業はほとんど目にしなくなりましたね」と言うことになるでしょう。

 

中規模企業がITを効率化する方法: リーダーのためのアドバイス

  • 実際に必要なことは、スタッフと予算の使用を最大限に効率化することです。

  • 強制的なアップグレードのような重要なIT支出は避けることができません。それらに取り組む際は、予算とマンパワーの両方に負担がかかる場合があります。

  • 必要なリソースを必要なときに、予算を超えずオーバープロビジョニングを避けて手に入れることは、ITにとって大きな成功です。

この記事/コンテンツは、記載されている個人の著者が執筆したものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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