2019年1月17日

テレワークに前向きな上司と躊躇する部下

雇用者はテレワークを積極的にサポートしたいと考えています。しかし、そうした理想の働き方が現実に即しているとは限りません。

「自宅で働けるだけで…」と、交通渋滞の中、通勤に1時間をかけた会社員が不満をもらします。「ずいぶん生活がスムーズになるのに」。
少なくとも、そうなればいいのにと、誰もが思っています。調査によると、従業員の77%が、在宅勤務は最高の働き方で、それを許さないのは気むずかしい上司だけであると考えています。
しかし、企業が最近、以前よりもテレワークに寛容になっていることが分かりました。多くの場合、テレワークを躊躇しているのは、従業員自身です。オフィスで協力し合う機会や、その他のオフィス内での利点を得られなくなることが不安なのです。従業員の誰もが在宅勤務を好み、オフィスを離れたがると考えると、こうした矛盾が生じます。
Robert Half社は最近、テレワークを中心とした従業員の態度や状況について調査と報告を行いました。その結果、従業員のテレワークに反対する管理者はほとんどいないことが分かりました。しかし、同レポートの従業員自身の回答は、管理者とは相反するような結果になっています。リモートで働ける仕事に惹かれるものの、実際にそうした仕事に就くことに強い不安を感じていることを示しています。つまり理想と現実が矛盾しています。これは、こうした不安材料が、テレワーク可能な仕事を避ける大きな要因であることも意味します。少なくとも、リモートで働くメリットを得られる仕事に就く人は、そのための準備が必要です。


人々が思い描く最も幸せな働き方

多くの人がテレワークを望んでいることは、間違いありません。FlexJobs社によると「テレワークまたは在宅勤務」は去年、4番目に多い仕事探しのキーワードでした。同社は、テレワークできる仕事のマーケットプレイスを運営しており、複数のソースから最新のデータを収集しています。また、現在アメリカ国内において、就業時間の少なくとも半分を在宅勤務に充てている会社員はわずか2.9%ですが、その割合が10年以内に3分の1に増加すると予測しています。
自宅で仕事できることはさまざまな理由で魅力的です。個人的な日課を抱えていても、テレワークなら究極の自由を手に入れられそうです。朝起きて、コーヒーを飲んだり、メールをチェックしたりした後に、すぐに仕事に取りかかれます。服装を気にする必要もありません。おそらく、常に監視されているわけではないのですから。
テレワークの支持者は企業側にも存在します。雇用者は、従業員にオフィス外で働いてもらうことで得られるメリットをいくつも挙げています。たとえば、働く場所を柔軟に選べることは、よい人材を引き付ける最も有効な雇用条件になっています。また、従業員がその選択肢を活用するようにインセンティブを与える企業もあります。Global Workplace Analytics社は、4,000以上の調査をレビューし、企業にとってのメリットを示す20以上のカテゴリーを明らかにしました。その顕著な例としてオフィスビルにかかる費用の節約を挙げています。意外なカテゴリーでは、従業員の意欲向上、差別の未然防止、摩擦の軽減、従業員の満足度向上といったものがありました。同社の調査によると、Best Buy、Dow Chemical、British Telecomなどの企業が、リモートで勤務する従業員の生産性はオフィスで働く従業員よりも35~40%高くなると報告しています。

リモートで働きたいという願望には、年齢的な相関関係が見られます。若い人ほど働く場所の柔軟性に関心があり、18~34歳の求職者の86%が、少なくともパートタイムでのテレワークを選択できる求人を前向きに検討すると回答しています。その一方で、55歳以上でそうした選択肢に魅力を感じる労働者は若い人よりもやや少なく、65%でした。


在宅勤務に消極的になる理由

日常業務を上からの指示なしでこなせる人たちは、リモートでも効果的に働くことができます。しかし、これがすべての人に当てはまるとは限りません。
従業員は、気が散ることを始めとして、オフィスに留まりたい理由を自覚しています。Global Workplace Analytics社によると、職場での注意力散漫が原因で毎年6,000億ドルもの莫大な損失が生じていると企業が報告しています。その一方で、自宅で発生する日々の問題によって気が散ることが、在宅勤務を躊躇する理由のトップになっています。つまり、従業員は、自宅とオフィスのどちらで働いても注意力散漫になる問題に直面します。
管理者は、自分の目の届くところにいない従業員が真剣に仕事するとは信じていない。テレワークについて、長年そう考えられてきましたが、その仮定は誤りであることが判明しました。Robert Half社の調査では、管理者の75%が、従業員はリモートで仕事していても時間と努力を惜しまない、と信じていることが明らかになっています。
管理者は、ある程度まで従業員を信用しています。従業員を日中に確認したいと回答した管理者は3分の1で、従業員への信頼に限りがあることを示しています。確認のために、カンファレンスコールの間にWebカメラにアクセスするのか、従業員のコンピューターで時間追跡ソフトウェアを使用するのかは定かではありません。
しかし、そうした完全には信用できない状況が、従業員自身の意見にも表れています。Robert Half社の報告によると、自宅の環境では注意散漫になる原因が多いように思われるため、テレワークのメリットを悪用してしまうことを従業員が懸念しています。
Robert Half社によると、在宅勤務を検討している従業員は孤立も恐れています。オフィスでの仲間意識に加え、ほかの従業員の視野や心から自分が消えてしまうことを懸念しており、とりわけキャリアアップに関連してその想いは強くなります。上司に毎日は会えないため、自分の貢献が伝わらず、それを次の昇進に必要な実績と認めてもらえないのではないかと考えるのです。
同様の願望が、グループに参加するという点でも、職場環境全体で従業員の好みに表れます。私たちの多くは、ITにかかわっていても社交的です。Robert Half社のレポートによると、従業員の73%が、オフィスでグループとして協力することを好んでいます。それとはきわめて対照的に、オフサイトの仮想コラボレーションを望んでいるのは12%、オフサイトの自律的な勤務を希望しているのは5%です。
そうしたことが、テレワーク導入の障壁になるかどうかは分かりません。なぜなら、多くの雇用者はスタッフが週に数日オフィスで仕事することを求めており、そのときに対面で協力し合って働けるからです。Global Research社のレポートによると、従業員が働く場所を問わないフルタイムのポジションを望んでいても、テレワーク可能な職の内でそうした選択肢を用意しているのはわずか3.5%しかありません。


テレワークがすべて期待どおりとは限らない

雇用者は誰もが、リモートで働く従業員がどのように行動すべきかについて、独自の期待を持ちルールを定めています。従業員はより良いワークライフバランスを望み、自宅で過ごせる時間が増えればそれがかなうと直感的に信じています。しかし、仕事と家庭の両立は燃え尽きや過労につながりかねません。
単純に、実働時間が増える場合もあります。Global Workplace Analytics社によると、AT&T社ではリモートワーカーの週あたりの労働時間が、オフィス勤務の従業員よりも5時間多くなっています。同僚のリモートワーカーや上司から、当然24時間いつでも働けると期待されていることを気にしたためと思われます。こうした状況が時間外労働につながります。通勤中のメール確認を仕事と見なされることに不満を持つ従業員もいます。
従業員は在宅勤務を望んでいても、オフィスを不在にすることや働く様子を見せられないことが自分の仕事に影響を与えないかと強い不安を感じています。一方で、管理者は、従業員がオフィス外で働くことに関してそれほど懸念を抱いてはいません。ワークライフバランスを実現したい従業員は、上司とよく話し合うとよいでしょう。そうすることで、その考えが期待以上に受け入れられる可能性があります。


テレワークの難問: リーダーへの教訓

  • 従業員の大多数 (77%) が、少なくとも一部の時間帯にテレワーク可能な仕事に就きたいと考えています。
  • 管理者の大多数 (75%) が、少なくとも一部の時間帯にリモートで働くことに対して寛容です。
  • 従業員の大多数 (73%) が、オフィスを離れて単独で働くよりも、グループで協力して働きたいと今でも考えています。

この記事/コンテンツは、記載されている個人の著者が執筆したものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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