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2019年7月19日

企業が技術革新につまずく5つの理由

健全で競争力のある企業を目指すには、イノベーションが不可欠です。しかし、変革のアイデアをあえて抑止しようとする企業も少なくありません。この記事では、変革につまずく理由と、そうした状況を好転させる方法をご紹介します。

「イノベーション」は、グローバルビジネスの世界で、最もよく知られる言葉になりました。企業はイノベーションに夢中です。それを宣言して実行に移し、積極的に支持しようとしています。にもかかわらず、従業員やビジネスパートナーが、技術的に非常に革新的なアイデアを提示すると、意に反して、それを台無しにしてしまうことがよくあります。
「戦略を骨抜きにするのは文化です」。Gramener社の共同設立者であり、分析とイノベーションの責任者を務めるGanes Kesari氏は、そう考察します。同社は、データをビジュアル化し分析するサービスを提供している会社です。Kesari氏は、変化を拒む文化によって最も犠牲にされやすいのはイノベーションであると考え、こう語ります。「組織の規模が拡大すると、イノベーションが、融通の利かないプロセス主導の文化、標準化、想定外の階層化によって、立ち消えになります」。
一般的な理屈に反して、多くの場合、成功を収めた企業は革新的ではなくなります。「成功した企業、さらに残念なことに、大成功した企業では、ビジネス上の優先順位が変わる可能性があります」とJon C. Wolfe氏は語ります。同氏は、ビジネスロイヤルティプログラムのコンサルタントを手がけるHouse Advantage社のCEOです。目標がより戦術的になると、イノベーションが後回しにされます。同氏はこう指摘します。「徐々にそうなっていきます。それで、数年後に気が付くのです。製品に斬新さを感じられない時期が長く続いていると。新しい機能や顧客の要望が発表されますが、それはイノベーションとは言い難いものです」。
あなたの企業では、イノベーションを犠牲にする慣行により、デジタルディスラプションの力を発揮できない状況が生まれていませんか。次の5つの前兆に気付いたら注意が必要です。

 

イノベーション重視の企業文化を育めない

イノベーションを支えるのは、変化もたらす要因です。「つまり、探求と実験の精神を支持する従業員です」と、Kesari氏は語ります。「リーダーは、こうした人の居場所を作り、変革の火を消さないようにする必要があります」。
イノベーションは、価値体系の確立と、それを信じて現実化できる人を雇用することから始まります。「チャンスが訪れたら、そうした人のチームと一緒に、その内容を検討します」とWolfe氏は語ります。「イノベーションは、結婚してしばらくたった後の夜のデートのようなものです。つまり、そのために時間を作る必要があるのです」。
Wolfe氏は、ビジネスリーダーに、組織内でのイノベーションへの熱意を繰り返し高めることを勧めています。「イノベーションに対して受け身になってはいけません。そのための努力を重ね、継続的に成果を得られるようにしましょう」。
イノベーションは、結婚してしばらくたった後の夜のデートのようなものです。つまり、そのために時間を作る必要があるのです。
ビジネスロイヤルティプログラムのコンサルタント会社、House Advantage社、CEO、Jon C. Wolfe
テクノロジーを重視する大企業の多くにとって中核的能力となるのは、最適化と信頼性確保のほか、効率的かつ安定的なサービス提供であると、Kristian Simsarian氏は見ています。同氏は、企業のイノベーション実現を支援するCollective Creativity社の創設者です。そうした企業では、イノベーションは優先されたとしても、2番目の留意事項です。「多くの場合、効率性と最適化を追求することと、実験の間には微妙な力関係があるため、計画や研究が終わる前に、有望な方法がなくなることもあります」と同氏は語ります。
短期間の安全と引き換えにイノベーションが二の次になるのを防ぐには、強力で自信に満ちたリーダーが必要です。Nokia社の例を考えてみましょう。「2007年に市場をリードし、答えは出ましたが、同社は、ローエンドからミッドレンジの携帯電話市場におけるキャッシュフローを優先しました。そうして製造した携帯電話では、インターネットサービスへの接続で、優れたユーザーエクスペリエンスを提供できませんでした」とSimsarian氏は語ります。同社は、その後すぐに停滞し、売上高が2008年から2012年の間に47%減少。2013年には、携帯電話事業を72億ドルでMicrosoft社に売却しました (結局、この取引によって、Microsoft社は損失処理を行いました)。

 

イノベーターを責める

コミュニケーションと共有は、信頼に基づく活動であり、拒絶されることを望む人はいません。「リーダーは、コミュニケーションを円滑にする方法を学ばなければなりません。そうすることで、スタッフが提示した新しいアイデアを承認できなくても、それを尊重し、次のアイデアを引き出す必要があります」とKarolyn Hart氏はアドバイスします。同氏は、チームコミュニケーションプラットフォームを開発するInspireHub社の創設者です。「真のイノベーションを心から望むなら、最初に、お互いを尊重する文化を育む必要があります」。
チームメンバーは、自分の知識が誤っていたとしても同僚から拒絶されず、自信を持って快適に過ごしたいと考えています。自由な発想と新しいアイデアは称賛されるべきである。Kristina Podnar氏はそう語ります。同氏は、デジタルガバナンスのコンサルティング会社、NativeTrust Consulting社で、デジタルポリシーコンサルタントを務めています。場合によっては、いまだかつてない楽しさがあります。「これまでを振り返ってみても、成功を収めているのは、楽しむことを奨励する企業です。そうした楽しみが創造力を生むのです」と同氏は考えます。「経営者やリーダーが、そのような雰囲気を作る必要があります。そうすることで、組織での境界を定め、デジタルイノベーションを推進できます」。
イノベーションには、その本質上、失敗を、成功に至るまでのステップと見なす環境が必要です。「失敗を理解する過程を持つ必要があると分かりました。こうした失敗は、従業員の学びにつながっており、イノベーションの推進に不可欠です」とHart氏は語ります。「問題が発生した場合、まず、スタッフにプロセスの誤りについて教えます。その後、プロセスが失敗した原因をレビューします」。
有用なイノベーションを提案した従業員は、賞与を与えられたり、評価されたりするが、彼らが求めているのはそうしたことではない、とWolfe氏は語り、こう続けます。「イノベーターには、自由、柔軟さ、活動の場、失敗を許される環境のほか、努力を重ねるためのリソースという見返りを与える必要があります。イノベーターにとってはこれらが非常に重要なのです」。

 

イノベーションのためのプログラム開発とチーム育成に失敗する

イノベーションチームは、適切に構成されると、生産性が大幅に向上します。次の3つの基本的なタスクが、チームを成功に導きます。ビジネスニーズをあらゆる面から把握する。特定したビジネス目標を達成できるアイデアを生む。そして、リーダーとその他の利害関係者の間に立って計画を実行する。これらを指摘したのは、高い技術でオフィス家具を手がけるスタートアップ、Bureau社の共同設立者であるSib Mahapatra氏です。「これを行うには、チームが、組織のさまざまなレベルで、部門を超えた関係を築けるようにする必要があります。残念ながら、多くのイノベーションチームが、経営部門にのみ報告を行っています。これはチームの追い風にはなりません」と同氏は語っています。
Hart氏は、白熱電球と蓄音機など、多くの破壊的技術を生み出したトーマス・エジソンと、伝説的なメンロパークの研究スタッフを例に挙げて、完全に特化され、支援を受けた研究開発チームであれば何を達成できるのかを指摘しました。残念なことに、小規模企業では一般に、本格的なアイデアチームの配備に必要な財務上のリソースが不足しています。「ほとんどの企業にとって、これは現実的ではなく、組織の規模が小さいほど実現が難しくなります」とHart氏は語ります。「こうした場合は、組織の文化によってイノベーションが推進されます」。

 

ディスラプションを恐れる

デジタルディスラプションの動きを止めるのはほぼ不可能であり、それが、現状を非常に快適と感じるビジネスリーダーの多くを怯えさせています。「企業で行える最善の策は、最新の技術に対応できるようにし、納得した技術を、アプリケーションやソリューションスタックに採用することです。あらゆる最新技術にいつでも対応できるように備えましょう」とWolfe氏はアドバイスします。
テクノロジーが急速に変化する時代に成功するためには、ディスラプションよりも、柔軟性を重視します。Hart氏はこう考えます。「私たちは、破壊的になり得る多くのテクノロジーに日々圧倒されています。今日では、成功の秘訣が、これまでの「最も早く発明する」から、「最も早く適応する」に変化しています」。
デジタルディスラプションに直面しつつも、イノベーションで成功を収めるには、早い段階で失敗し、その後の取り組みを加速する必要があります。「現在取り組んでいるものがすでに時代後れである事実を最も受け入れるチームが、デジタル化の将来をコントロールします」とHart氏は語ります。同氏は、スタッフのメンバーが変化を受け入れたり学んだりできるプロセスに投資するとよいとアドバイスします。そうすれば、ディスラプションが起こっても、知識と変革的な適応を通じて、迅速かつ柔軟に回復できる方法が分かります。

 

イノベーションの概念に基づいたビジネスパートナーとの連携を行わない

サードパーティのパートナーは、イノベーションを発進させる優れた方法を提示します。しかも、その方法なら、直接のコストがほとんどかかりません。「すべてを自身の部署で構築することにこだわれば、将来を厳密にコントロールできるでしょう。しかし、結果的に製品化までに時間がかかったり、革新的なソリューションを得られなかったりします」とWolfe氏は語ります。
Wolfe氏は、時折、さまざまなパートナーに会い、現在どのようなことに取り組んでいるかや、自身のビジネスに役立つアイデアがないかを尋ねているといいます。「パートナーも定期的に私に会い、自社に役立つオファーがないか同様に尋ねます」と同氏は語ります。「小規模の企業にとっては、それが、市場で競合の大企業に勝つための付加価値になることもあります」。

 

イノベーションを推進する: リーダーのためのアドバイス

  • イノベーションに秀でた大企業は、一連の安全基準をまとめること、つまりデジタルポリシーの策定を得意としています。このポリシーによって、安全を確保すると同時に、従業員によるイノベーションと自由な発想を奨励しています。

  • 企業の多くが、最適化と実験の両方を同じ人たちに期待しますが、これは非現実的です。多くの場合、非常に優れた人にのみ、それを期待できます。

  • 企業がイノベーションを重視しているかどうかは、質問の捉え方で判断できます。ほとんどの企業が、質問できる環境を作ることに失敗しています。

  • 完全な統合と標準化によって、イノベーションが抑止される場合があります。また、イノベーションを独立した要素として切り離していると、新たなサイロ化が生じます。イノベーションプログラムを、自由さに考慮して慎重に保護するとともに、賢明に統合して結果に反映する必要があります。
     

この記事/コンテンツは、記載されている個人の著者が執筆したものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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