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2021年3月26日

デジタルトランスフォーメーションを成功に導く5つの戦略パターン

最近の調査結果から、デジタル戦略を推進する際に、企業が繰り返し利用してカスタマイズできる指針が明らかになりました。

何かが起こったり行われたりする場合に繰り返される様式をパターンといいます。私生活では、パターンは、遅刻ややけ食いといったネガティブな性質として現れる場合も少なくありません。私たちは、こうしたものを反復的な行動として認識すると、新しいパターンを構築して問題を克服し、生活を変えようとします。今日話題となっている自己最適化の文化とは、こうしたパターンを継続的に再評価し、必要に応じて変更するというものです。

企業にも同様のサイクルがあります。歴史ある企業の多くは、古くからのビジネスモデルに縛られており、デジタル化によるイノベーションやトランスフォーメーションを推進して現在および将来の顧客のニーズに対応することができないか、もしくは二の足を踏んでいます。こうした企業は、自己変革の必要性を認識してはいますが、その方法を理解していません。デジタルトランスフォーメーションを成功させると同時に、顧客のニーズに対応して競争に勝つために、企業は戦略的な計画を策定して実行し、古いパターンを新しいパターンに置き換えようとしています。

デジタルネイティブではない従来型の企業の多くがデジタル戦略の策定や実行に苦慮する中、ヒューレット・パッカード エンタープライズが最近行った調査では、企業が組織の全階層 (ビジネス、運用、文化、インフラストラクチャ) でデジタルトランスフォーメーションを実現するうえで役立つ5つの重要なパターンが明らかになりました。

HPEの調査では、デジタルネイティブではない従来型の企業7社の詳細な事例を基に、これらの企業におけるデジタルトランスフォーメーションの推進状況を戦略的観点から分析しました。その結果、デジタル戦略の策定や実施における共通の課題を企業が共有するという結論に達しました。こうした課題は、程度の差はあるものの、さまざまな組織で生じる可能性があり、同様の方法で解決されることが多いためです。

以下の5つの最も重要なパターンは、デジタル戦略を推進する際に、企業が繰り返し利用してカスタマイズできる指針となるものです。

1. ビジネスモデルのイノベーション

大変なことのように思われるでしょうが、必ずしも難しくはありません。企業は、既存のビジネスモデルのコンセプトや要素を再構成することで、軽微な変更や根本的な変革を実現できます。

お客様は絶えず変化しており、これまでの方法で満足していたバイヤーも、満足しなくなる可能性は大いにあります。現在のビジネスモデルを今すぐ見直す必要があります。ただし、異なる製品で最初からやり直したり、販売サイクル全体をオンラインに移行したりする必要があるわけではありません。ビジネスモデルを多少変更するだけでも、劇的な成果が得られる場合があります。

たとえば、数十年間も産業機械の販売に成功しているメーカーについて考えると、従来のビジネスモデルでは、企業は製品を販売し、その売上によって利益を挙げ、事業の拡大を図ります。ビジネスモデルを変革すると、製造する製品の成果も販売できます。つまり、単に機械を販売するだけでなく、サブスクリプションモデルを通じてその機械をサービスとして提供できるようになります。

バイヤーは、製品を所有しません。基本的には車のようにリースし、製品の使用状況に応じて段階的に月額または年額料金を支払います。顧客は、機械類に多額の投資を行うことなく、常に最新かつ最良のモデルを利用できることで満足感を得られます。メーカーは、まったく新しいビジネスモデルを通じて同一の事業を行うことができます。

2. 運用モデルの変革

ビジネスモデルのイノベーションが、社内 (従業員のコラボレーション方法) および社外 (顧客に新たな価値を提供する方法やコミュニケーション方法) における新しい運用パターンの確立につながることは間違いありません。運用モデルの変革は、プロセスの調整や自動化だけを意味するわけではなく、バリューチェーン全体、働き方、そして組織の考え方を完全に再構築することも含まれます。

たとえば、大学、テクノロジー企業、または競合企業などの社外の組織と連携することでエコシステムを拡大し、協力して顧客の求めるソリューションを模索するという方法もあります。バリューチェーンに対する従来の見方は、顧客が棚から製品を取ったら終了するという前提に基づいて、孤立して運用されているというものでした。

顧客のバリューチェーンは購入時点で始まっていることを認識することが、成功の鍵となります。パートナーシップを通じて、技術的な要件、スキル、専門知識を補完して拡張することで、顧客を包括的に把握するとともに、製品が市場にもたらす価値を明らかにすることができます。

運用の変革にあたっては、組織内の文化を変革することも必要となります。これには、マルチモーダルやリモートワークなどのデジタルソリューションのトレーニングによる、従業員の拡張も含まれます。最近McKinseyが行った調査によると、社内での自動化の取り組みが成功していると回答した従業員の49%が、成功の要因として、事業部門や職務の枠を超えた協力を挙げています。

3. インフラストラクチャモデルの最新化とカスタマイズ

従来のインフラストラクチャとシステムでは、変革後のバリューチェーンのニーズに対応できない可能性が高くなります。これは、ITシステムだけの話ではありません。デジタルトランスフォーメーションは、ハイブリッドIT環境にあるさまざまなソースから取得したデータを統合、保存、分析してビジネス全体で有益な情報を引き出す機会をもたらします。データ主導の考え方を確立することを文化とワークフローに組み込むだけでなく、背後に隠れているすべてのITシステムに組み込むことで、異なるデータポイントを接続して組織全体でその価値を最大限に活用できるようにする必要があります。

企業が運用のバックボーンを最新化する方法の1つに、レガシーインフラストラクチャを標準化するか、またはモジュラー型のシステムソリューションを構築するという方法があります。たとえば、すべての共通管理システムを統合して標準化された方法で運用することで、新たに生じた要件にも簡単かつ柔軟に対応できるようになります。同様に、製品開発にモジュラー型のアプローチを取り入れることで、実行までの時間を短縮できます。

たとえば、モノリシックなアプリケーションを使用するのではなく、接続された3つのソフトウェアマイクロサービスを使用することで、既存の顧客に代わって製品メンテナンスを監視することも可能です。また、企業が予測メンテナンスサービスの提供を検討している場合、同じマイクロサービスをビルディングブロックとして利用し、その上に新しいサービスを構築することができます。それにより、テストや展開までの時間を短縮できます。

4. データを資産に変えて、確かな経済的メリットを創出

組織は、顧客と製品またはサービスとのあらゆる接点において生み出されるデータから、有益な情報を引き出すことができます。関連データを活用できるようにするという第1段階を終えた企業は、さらなる一歩を踏み出し、こうしたすべてのデータを統合してコンテキストに当てはめることでデータを有益な情報に変えて、その有益な情報を顧客向けの新しいエクスペリエンスやサービスに変えていく必要があります。

最終的な目標は、組織のインテリジェンスを獲得することにあります。そのために、たとえば物理的な対象物をデジタルかつリアルタイムで表現したもの (デジタルツイン) を利用したり、カスタマイズを次の階層まで高めたりします。データ分析からリアルタイムで得られる有益な情報は、顧客の意思やまだ顕在化していないニーズと企業の対応との間で、ゲームチェンジャーとなる可能性を秘めています。

その典型的な例が、プリンターカートリッジのビジネスです。世界のデジタル化が進むにつれて、インクとプリンターは不要になると警告されていました。しかし、プリンターのアクティビティを監視できるスマートプリンターをメーカーが開発すると、顧客はすぐに、インクカートリッジがなくなる前に補充するというサービスを契約していました。これは、顧客にとって革新的なソリューションになると同時に、プリンターのメーカーにとって新たな収益源となりました。

5. 組織の内外で信頼を醸成

あらゆる業種において、データ収集とプライバシーの問題は切り離せないものです。企業は、顧客を中心に置いてデータとプライバシーに関する意思決定を行う必要があります。収集するデータとその利用方法については、事前に明示することが求められます。これらすべての根底にあるのが、セキュアで法規制に準拠した基盤です。

その事例は至るところにあります。Uberは、私たちの旅行パターンを熟知しています。Amazonは、ユーザーが出産することを知っています。Instacartは、顧客がダイエット中であることを把握しています。ビジネスモデルを成功させるうえで必要なデータを特定したり、顧客が満足する領域を把握したりする段階から、次の段階に進むと、デジタルトランスフォーメーションは想像するよりも早く完了します。

デジタルの未来をアクティブに構築

さて、貴社が活用すべきパターンは、これらのうちどれでしょうか。デジタルトランスフォーメーションに対する万能のアプローチは存在しません。しかし、5つのパターンをすべて検討したうえで、現在のビジネス、または将来目指すべきビジネスに適した結論を導きだす必要があります。これは持続的な取り組みであり、個人の自己最適化のように、新しい考え方や、新しいものを積極的に受け入れる姿勢が必要となります。

デジタルトランスフォーメーションを戦略的なメリットだけにとどまらず、戦略的に不可欠なものとし、顧客をその取り組みの中心に据えて、現状を評価することが求められています。一定の段階については、外部の専門家が取り組みを後押しすることができます。

企業 (中でもデジタルネイティブではない企業) は、過去に執着することを止めて、顧客がまだ認識さえしていないニーズや要望に対応していく必要があります。ビジネスを多様化する機会を模索しなければなりません。たとえば、古くから事業を行っているメーカーは、同業他社に販売するデータサイエンスサービスを創出できるだけのデータや有益な情報を保有している可能性があります。同業他社が話を持ちかけてくる前に、慎重に、かつプロアクティブに新規ビジネスを立ち上げることをお勧めします。

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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