2020年10月2日

柔軟なネットワークによって急速に発展する遠隔医療

Vancouver Clinicは、治療継続のために、遠隔医療とリモートワークに短期間で移行する必要がありました。どのようにしてそれを記録的な早さで達成できたのかをご紹介します。

ワシントン州南西部でも新型コロナの感染が拡大し、その対策としてVancouver Clinicでは、ネットワーキングを中心に据えた2つのイニシアチブを早急に展開することになりました。

その1つは遠隔医療プログラムです。それをゼロから計画し、1週間足らずで立ち上げなければなりません。達成できれば40%の予約患者が来院せずにビデオによる診察を受けられ、私たちも、定期的な治療が必要な患者だけでなく、新型コロナ関連の不安を抱える人の診察を予定できます。

2つ目のプロジェクトは、最前線で働く重要な従業員向け仮想コールセンターの拡大です。これが完了すれば、患者サービス担当者 (PSR) と呼ばれるこうした従業員のほとんどが、新型コロナが流行している間、自宅で勤務できるようになります。

通常私たちのクリニックでは毎月5万~10万人の患者を対面で診察することができますが、私たちには、新型コロナウイルスがこの地域に及ぼす影響について、正確な知見がほとんどありませんでした。医療従事者の誰もが同じ状況だったでしょう。しかし、そのほかの危機的状況に備えて行ってきた緊急時の取り組みを思えば、事前に対策が必要なことはわかっていました。

 

優れた治療の伝統を守りつつ、スタッフの安全を確保する

Vancouver Clinicの経営者は、私たちITチームが導入したばかりのHPE Arubaネットワークインフラストラクチャが、そうしたイニシアチブのモデルにどのように対応できるのかを知りたがりました。そのネットワークでは、Web会議での良好な接続がすでに実現しており、遠隔医療の最初の取り組みは、Epicの電子カルテシステムと、同社の、ビデオによる来院用モジュールを統合することでした。私たちはプロジェクトを記録的な早さで完了しました。

すでにPSR向け仮想コールセンターのパイロットを開始していたので、新型コロナ関連の取り組みで必要なのは、80%のPSRが自宅で勤務できるように展開環境を拡張することでした。HIPAAによる患者のプライバシーの規制を考えると、データセンターへの安全な接続が不可欠でした。

そのパイロットでは、複数のリモートアクセスポイント (RAP) を購入して、規制に準拠した安全な接続を行えるようにしました。当然ながら、ほとんどのPSRに対応すべく急遽拡大したことで、少数精鋭のITスタッフが、流通している中から必要な数を慌てて揃えることになりました。すでに供給が厳しい状況になっていたのです。そのため、今後どのモデルのRAPを追加すれば、標準のThinクライアントデスクトップと物理的なVoIP電話機に対応できるのかを把握しなければなりません。

幸いなことにほぼ同じ頃、HPEの担当者が私たちに手を差し伸べ、コロナ禍を乗り切る支援を申し出てくれました。状況を説明するとすぐに、代替となるRAPのアドバイスを得られました。適切な特性を持ち、しかも長期的な投資利益率を最大化するモデルを選定することができました。

RAPの配布が終わると、PSRはクリニックで用意した機器を自宅に持ち帰りました。彼らの話によると、RAP、コンピューター、電話機を、完全にシームレスに接続でき、患者からの電話を取れるようになるまでに数分しかかかりません。少数精鋭のITスタッフにとっても組織全体にとっても大きな成果となりました。

 

Wi-Fiを拡張して、臨時対応型の医療施設をすぐに開設

事前対応の一環として、屋外のWi-Fiアクセスの拡張を綿密に計画しました。たとえば、車に乗ったまま受けられるウイルス検査を実施したり、必要に応じて歩道でのサービスを提供したりできるように、クリニックの周囲で拡張を行いました。

さらに、現場以外でも対応可能な場所をすぐに確保できるように、ターンキーのWi-Fiキットを組み立てました。これにより、地域の高校の駐車場や高齢者施設など、スタッフが必要に応じて出向くことができるさまざまな場所に、臨時対応型の医療施設を開設できます。こうしたキットでは、院内のシステムに接続する1つのRAPと、カバレッジエリアを拡大するそのほかのアクセスポイントが活用されています。

どちらの事例でも、私たちは仮説シナリオをモデル化して、適切な設定に基づいてただちに対応できるようにしています。またネットワークアクセスとポリシー管理のセキュリティソフトウェアを使用して、院内コミュニケーションを行うためのWi-Fiアクセスを確保しています。

 

どのような状況にも備える

非臨床スタッフの健康維持を考慮して、その大部分を現場以外での勤務に移動させることができました。これでどのような状況にも備えられます。

不安が高まる状況の中、私たちのPSRはこれまでになく重要な役割を果たしています。かなりの数に増えた、患者からの電話への対応、質問への適切な回答、ビデオの来院者と実際の来院者の予約変更、新型コロナ関連の症状を持つ患者のトリアージュなどを行うほか、必要に応じて各来院者に、看護師による電話相談の案内を円滑に行っています。

こうした混乱の時期であっても高度な医療を継続的に提供できることが、私たちのすべての患者に平穏と安心をもたらします。この不確かな時代には、このことが非常に重要です。

ITに携わる私たちにとって、現在の出来事は、このネットワークインフラストラクチャに、望みどおりのレジリエンス、柔軟性、拡張性が備わっていることに加え、顧客のニーズを最優先するネットワークベンダーとの連携が重要であることを実証していると言えます。

 

概要

  • 新型コロナの影響に直面するVancouver Clinicでは、遠隔医療のプログラムをゼロから計画し、1週間足らずで立ち上げました。
  • 現場以外でも、必要に応じて、対応可能な場所をすぐに確保できるように、ターンキーのWi-Fiキットを組み立てました。
  • 最前線で働く重要な従業員向け仮想コールセンターの拡大も行いました。これにより、従業員のほとんどが、新型コロナが流行している間、自宅で勤務できるようになります。

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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