2019年1月17日

データセンター: エッジで示す存在感

900名近いIT従事者とデータセンターオペレーターを対象とした調査から、エッジコンピューティング関連を中心にしたデータセンターの最新化について、また、人員の配置と多様性に関する課題ついて、有益な情報を得ることができました。

Uptime Institute社の最近の調査『Data Center Industry Survey』によれば、データセンターがその利用方法と提供するサービスにおいて、ITの変化に急速に適応していることが分かります。残念な結果としては、半数の回答者から、障害、またはサービスの重大な品質低下が過去3年間で増加したという報告があり、こうした問題の80%が予防可能でした。
大多数のデータセンターで、ハイブリッドITの運用が最も重視されつつあるのは当然です。データセンターは、プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方のインフラストラクチャを活用し、ハイブリッドITの要として機能することで、今でも存在意義を示しています。データセンターによって、企業は、高いコスト効率でサービスとアプリケーションを展開し、純粋なクラウドによる展開でしか得られないと考えられていた柔軟性を実現できています。この調査は、ハイブリッドITの採用がデータセンターの最新化の中で容易な過程であることも示しています。データセンター運用を将来拡張するには、データセンターのプロセスと運用にかなりの投資が必要になります。


近い将来データセンターに何が起こるのか

おそらく近い将来、明らかな課題となるのはエッジコンピューティングです。回答者の40%以上が、エッジを将来のエンタープライズ環境と見なしており、そうしたコンピューティングに対応するのは、企業が直接所有または運用しているエッジのタスクを主に担うデータセンターであると考えています。また15%未満が、これをパブリッククラウドプロバイダーに完全にアウトソースできるタスクと捉えています。ただし、コロケーション、小規模のエッジデータセンター、マイクロデータセンター、単独で所有および運用される施設、共有サービスといったさまざまなモデルが議論されており、エッジデータセンターの性質は不明なままです。と言っても、エッジでのサービスが将来のデータセンターにおいて重要な役割を果たすことはほぼ確実です。

もう1つの重要な変化は、データセンターの利用状況です。以前は、ラックの集積度がデータセンターの利用状況を示す主要な指標と考えられていました。クラウド、AI、ハイパフォーマンスコンピューティング (HPC) といったサービスの導入によって、その視点が変わったようです。ラックの集積度で示していたエネルギー消費モデルが2つに分岐しています。この調査は、こうしたモデルが、集積度が全般的に増加しているのではなく、2つの方向に分かれているのが現状であることを示しています。
多くのハイブリッドITおよび多目的コンピューティングのワークロードが処理されているデータセンターでは、ラックの平均集積度が減少し始めています。ただし、これは、AIとHPCに主に対応するデータセンターのラック集積度の増加によって相殺されます。こうした環境を持つ回答者のうち、ラック集積度がラックあたり30kWを超えるとしたのは20%近くに、50kW以上としたのは5%に上ります。これは、以前展開した高可用性のデータセンターにおける集積度のほぼ2倍で、下位3分の1を占めるデータセンター (集積度10kW未満) の5倍以上に相当します。


今後の鍵を握る管理ツール

またこの調査では、データセンターインフラストラクチャ管理 (DCIM) ツールが普及しているという重要な結果も報告されています。こうしたツールの採用に成功したかどうかの回答では、失敗率の高さが顕著 (35%以上) ですが、50%以上が環境全体にツールを展開しています。また、これで十分ではなく、自社運用のデータセンターと、パブリッククラウドにまで範囲を広げ、ハイブリッド環境全体を管理可能なツールを探すことが将来非常に重要になると考えている点には注目すべきです。ハイブリッドITをエッジコンピューティングに拡張すると、こうした種類の管理ツールが重要になります。


人員の配置と多様性に残る問題

優秀なスタッフの発掘と獲得は容易ではありません。3分の1が人員削減は終了または保留中であると報告しているにもかかわらず、40%近くが、優れた人材の確保を継続中の問題として報告しています。3分の1が、特定の技術的役割を果たす人材探しに問題を抱えていると回答し、50%以上が、特に共通の問題として、基本的なデータセンターの人員配置、運用、管理業務のために、確実な候補者を見つけることを挙げています。
このレポートによれば、データセンターの人員配置が多様性に欠けていることも明らかになっています。半数以上がデータセンターの女性スタッフが6%に満たないことを報告し、70%がこれを問題視していないと回答しています。
ビジネスの成長のために重要な別のスキルがデータセンターで必要になることが明らかになりました。しかし、データセンターの人材不足は今後も続きます。候補者を効果的に集めておくことだけが多様性の向上につながります。


エネルギー効率の改善が進むデータセンター

最後に、データセンターの評価を落とす要因になっているエネルギー使用について述べます。測定基準としての総合的な価値が議論されることもありますが、Power Usage Effectiveness (PUE) をエネルギー効率の長期的な測定基準として使用するのは、エネルギー消費量をデータセンターでいかに効率よく削減できているかを測定するのに効果的な方法です。Uptime Institute社の調査によると、同社の関係者が報告した平均PUEが、過去10年間で2.5から1.58に低下しています。これは、地球に優しく、コスト効率とエネルギー効率を高める方法でサービスを提供するために、データセンター業界が尽力したことを反映しています。

この記事/コンテンツは、記載されている個人の著者が執筆したものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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