2020年10月2日

カスタマー・エクスペリエンスのデジタル化

今こそすべてのチャネルでお客様を最優先に考えるべきときです。

デジタルビジネスの時代にはさまざまな側面がありますが、何よりも重要なのはカスタマー・エクスペリエンスです。オンライン、店舗、または電光掲示板のいずれであるかにかかわらず、お客様が企業とやり取りするプロセスはデジタルテクノロジーによって実現されており、オンラインで情報を収集したり、コミュニケーションを取ったり、何かを購入したりすることに慣れているお客様は、注目の的になることを期待しています。お客様が企業とやり取りするプロセスはお客様がその企業のことを記憶にとどめるプロセスであるため、企業が提供するエクスペリエンスがその企業のブランドになると言っても過言ではありません。

カスタマー・エクスペリエンスが重要であることは周知の事実であり、カスタマー・エクスペリエンスはお客様が心にとめる最大の差別化要因として製品と価格の両方を上回る要素となっています。新規顧客を獲得するには、一般的に既存のお客様とビジネスを継続する場合と比較して7倍のコストがかかるため、既存のお客様との関係の維持に投資すれば大きな利益がもたらされるわけですが、今日では、オンライン広告、オンライン購入、ビデオ会議、チャット、製品提供など、複数のチャネルのお客様にアピールできるように設計されたデジタルテクノロジーにこうした資金を投入すべきです。

 

増加するデジタルチャネル

人間の行動を研究しているデジタルビジネスストラテジストは、コンシューマーが慣れ親しんだ手法を変えない一方、新しい手法やより優れた手法に移行するのにやや時間がかかる傾向があることに気付いています。少数派の革新的なアーリーアダプター、多数派の主流の購入者、およびそれに続く少数派のラガードには大きな違いがあり、そのサイクルは、Everett Rogers氏が世に広めた理論である普及学で詳しく明示されています (図1)。

こうした状況を背景に、今回のパンデミックは従来のお客様とのやり取りのチャネルを崩壊させ、もはや対面でデモを行ったり、ランチミーティングを行ったり、魅力的な店舗で購入者の注目を集めたりすることは不可能になりました。そのため、企業はその代わりにデジタルアプローチで既存のお客様との関係を深めるとともに、新たな購入者層を引き付けていかなければなりません。

こうした主張は、McKinsey社の調査で裏付けられています。このパンデミックの中でデジタルチャネルを使用することの必要性が初めての利用者の数を急増させており、同社によると、コンシューマーによるデジタルチャネルの導入は約8週間で一気に5年分進みました。

最も重要なのは、ロックダウンが終了したときお客様が以前の行動パターンに戻る可能性が低いという点です。自転車に乗るのと同じように、オンラインツールを使用できるようになるというのは、一度学習したら決して忘れることのないスキルであり、新たに導入されたデジタルインタラクションがニューノーマルになるのは確実だと思われます。

 

カスタマー・エクスペリエンスの向上

経験豊富なITリーダーとビジネスリーダーは、カスタマージャーニーを見直して再設計する際にこうした傾向に留意すべきですが、5つの重要なカスタマータッチポイント (認知、検討、購入、継続、支持) の各段階にデジタルテクノロジーを導入すれば、数年間にわたって大きな見返りが得られます。以下にその例を示します。

  • 認知: すでに強力な手段となっているオンライン広告は、勢いを増し続けています。提供する製品やサービスの検索エンジンの結果を最適化することに加え、LinkedInセッション、TEDトーク、ウェビナーなどのスポンサー付きのイベントをはじめとするオンラインフォーラムの開催を検討してください。
  • 検討: ほとんどのお客様は、購入を検討する際にオンラインで調査を行っています。Webサイトにテストレポートやレビュー、自社製品と他社製品を比較できるツールなどを含めるようにしてください。
  • 購入: オンライン購入のシンプルさと使いやすさは、そうした購入に抵抗を感じるお客様さえも引き付けており、店舗での購入がパンデミック前の水準に戻る可能性は低いと思われます。クリック & コレクトなど、オンライン、店舗、およびそれら2つの組み合わせを含む、すべてのチャネルでのスムーズなエクスペリエンスの実現を目指してください。
  • 継続: お客様は、オンライン、店舗、または電話のいずれであっても、すべてのチャネルで一貫したエクスペリエンスを得られることを期待しており、どのチャネルであっても自身の行動を同じように認識してくれる (認識すべきである) と思っています。
  • 支持: お客様はそれぞれのタッチポイントにおける自身への対応を思い出し、オンラインレビュー、メール、ソーシャルメディアへの投稿などの形で口コミを広めます。お客様が支持者になればブランドが確立され、将来の売上が増加します。

 

誰のアプローチが正しいのか

McKinsey社の調査によると、パンデミックがあらゆる場所で従来のビジネスに混乱をもたらす中、一部の業界の企業は革新的なアプローチを実践に移しています (図2)。以下にその例を示します。

  • 旅行 ロックダウンの方針が打ち出されてから、多くの人が旅行を夢見ていますが、バーチャル旅行はどうなのでしょうか。デジタルテクノロジーを活用すれば、旅先の風景をインタラクティブな3Dビューで表示し、旅行に行きたいと思っている人は、ガイドとやり取りする中で異国情緒豊かな場所について尋ねることができます。今素晴らしい仮想体験をした人は、その場所を旅行の候補地に入れ、後日実際に現地を訪れる可能性があります。
  • 博物館 バーチャルツアーで展示物を見ることができれば、感動的な教育体験になる可能性があります。訪問者が他の訪問者やツアーグループのメンバーに邪魔されることなく見たいと思っている芸術作品に近づくことができるなど、多くの場合、オンライン体験にはさまざまなメリットがあります。このような仮想体験は、後日実際に現地を訪問してさらに満足感を得たいという訪問者の欲求を刺激する可能性があります。
  • コールセンター パンデミックの中でコールセンターのスタッフがリモートで働ける環境を整えてお客様に関するすべての情報をスタッフに提供し、スタッフとお客様がビデオセッションでやり取りできるようにすることにより、企業は重要なタッチポイントを維持するとともに強化することが可能です。これについては、Apple社が真似する価値のある例を示しています。同社の担当者は、ミーティングのスケジュールを設定してリマインダーを送り、すべての履歴情報にアクセスしてFaceTimeで顧客とやり取りしています。

機会を捉える

これまで世界的に長年にわたってデジタルチャネルへの依存度が高まりつつある傾向が続いてきましたが、今回のパンデミックはそうした動きを加速させています。多くのケースにおいて、カスタマージャーニーはロックダウンの期間中に100%デジタル化されましたが、今後もその傾向は続くと思われます。今日のディスラプションは、組織が大胆に行動してこれまでとは考え方を変え、あらゆるタッチポイントでカスタマー・エクスペリエンスを向上させる機会をもたらしており、こうした機会を捉えた企業は、数年間にわたって優位に立つことになります。

この記事/コンテンツは、記載されている個人の著者が執筆したものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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