従量制のIT: ビジネスの起爆剤に

ITに対するアジャイルなアプローチにより、環境を迅速にスケールアップしてビジネスの成長に対応し、新たなビジネスイニシアチブに取り組む方法を紹介します。

デジタルの世界で競合し、ビジネスモデルを新しい市場ニーズに迅速に順応させる必要性が高まる現在、企業は業務効率を上げるための効果的な方法を求めています。

通常これらの企業は、レガシーIT、クラウドベースのIT、オンプレミスシステムなどの組み合わせで構成される複雑なITインフラストラクチャを広範囲にわたって保持しています。これらすべてを管理することは、特にリソースに制約のあるIT部門にとっては非常に大きなプレッシャーとなる場合があります。

この課題に直面した多くの企業が、従来型のITモデルから従量制のアプローチに移行しようとしています。従量制のアプローチは、ITを簡素化し、必要なときにのみITサービスおよびリソースの料金を支払います。高価で時間のかかる設備への資本投資を削減することが可能で、完全に排除できる場合もあります。

最終的な目標は、コスト、効率性、生産性のバランスを達成することです。企業は、業務をサポートし改善を助ける、信頼できるITアドバイザーと協力できます。このパートナーは、企業が市場での競争力を得るために必要な最新のイノベーションとテクノロジーへのアクセスも提供してくれます。こういったアプローチはAmazon Web Servicesのようなパブリッククラウドプロバイダーが提供する柔軟な消費モデルと似ていますが、オンプレミスのデータセンターのような制御、セキュリティ、信頼性も実現できます。

 

運用効率の向上

現代のITリーダーにとって最も重荷となっている問題の1つは、運用効率を向上させる必要があることです。新しいITサービスを開始して市場の新しいトレンドを取り入れようとする場合、新しいワークロードへの移行がなるべく負担にならないようにする必要があります。信頼できるアドバイザーが専門知識とスキルを活用し、ビジネスに向けてITサービスとITリソースを連携させることで、既存のリソースを再割り当てして、核となるビジネスのニーズにより適切な機能や慣行に焦点を当てることができます。これによって、チームのスキルセットの変更や、スタッフの新しい職務への再割り当てが必要となる場合があります。

ITインフラストラクチャの管理に信頼できるアドバイザーを活用することで、ITスタッフの効率性も向上できます。データセンター環境の管理や保守、または「電源を落とさない」ようにするために使う時間を減らし、ITイノベーションやビジネスのサポートにより多くの時間を費やすことができます。「HPEのデータセンターケアサービスによってビジネスの価値を創出」と題された最近のIDCのホワイトペーパーによれば、ITスタッフの効率性向上と時間の節約によって、平均で100人のユーザー当たり年間1万1,661ドル、または組織当たり106万ドルのコストを削減できます。

従量制のITによって、それぞれのビジネスラインが独自にクラウドを導入してしまうといったリスクも軽減できます。過去には、多くの負担を抱えたIT部門がビジネスラインによる新しいイニシアチブを拒否しなければならず、ビジネスラインがIT部門の視野と制御の及ばないクラウドサポートを求めるということが頻繁にありました。これによってデータ漏洩の脅威や、潜在的なコスト制御の問題が発生していました。現在はコンピュートリソースを迅速に拡大できるようになったため、プロジェクトの市場投入時間は大幅に短縮されました。また、新しいプロジェクトに取りかかるための帯域幅も確保できるようになりました。

制御性の向上も重要な利点です。パブリッククラウドのソリューションではIT運用を簡素化できますが、自社のITを他人の手に委ねる必要があります。パブリッククラウドのソリューションは基本的に「ブラックボックス」であるため、顧客がクラウドインフラストラクチャを直接選択または管理することはできません。オンプレミスで従量制のITアプローチを使用することで、パブリッククラウドを使用する場合に発生することがあるセキュリティ、プライバシー、レイテンシの問題を大幅に制御しやすくなります。企業のデータ漏洩が常にトップニュースとなるような時代には、企業はリスクを抑え、データの安全を保持したいと考えるはずです。

従量制のITは基本的に、企業とサービスプロバイダー間のパートナーシップです。これまで、企業は設備を事前に購入し、これらの資産を導入し、継続して保守してきました。現在、テクノロジーと市場の需要の急速な変化によって、この方法はリスクが高まっています。企業は従量制ITを利用することで、ビジネスのニーズに合わせて拡大または縮小できるITリソースを提供するITプロバイダーとリスクを共有できます。また、企業は高価な資本投資をする必要がありません。

 

オーバープロビジョニングが不要

多くの企業では、時間のかかる取得サイクルによってオーバープロビジョニングが必要となっています。急速な成長を目指す企業、特定の期間に需要が急増する企業、新しいビジネスアイデアを迅速に実行に移したいと考える企業にとって、容量を迅速に増加し、必要な容量を積極的に維持する能力は、不可欠です。

例えば、Webサイトで販売される複数の主要製品の価格を下げる新しいマーケティングキャンペーンが、自社で開始されたと想像してください。あなたはキャンペーンが大きな成功となり、収益を伸ばして不要な在庫を一掃してくれることを期待していました。

キャンペーンによってたしかに売り上げは伸びましたが、その成功は諸刃の剣でした。値下げされる製品は非常に人気が高いため、ITインフラストラクチャに大きな負担がかかり、Webサイトは複数回クラッシュしました。マーケティングチームがプロモーションを考案した際、ITチームは計画に参加していませんでした。そのため、Webトラフィックの急増に対応するための容量を準備できていませんでした。その結果、プロモーションは失敗しました。原因は関心を集められなかったことではなく、IT容量が不足していたためです。

これは、多くのキャンペーンが直面するシナリオです。必要なIT容量と利用可能なIT容量が一致していないことは珍しくありません。現在の企業はビジネス変革を加速する必要性に駆られ、テクノロジー主導の機会を迅速に活用しようとしているため、このようなケースは今後ますます一般的な問題となってくるでしょう。容量が不足すれば新しいビジネスのアイデアを実行できませんが、オーバープロビジョニングは、ITに必要以上のコストを費やしていることを意味します。

HPE GreenLake Flexible Capacityなどのソリューションを利用することで、必要に応じて容量を拡張できます。お客様は、使用されている容量をリアルタイムで表示する分析ダッシュボードにアクセスできます。ITプロバイダーとお客様は定期的に面会し、お客様のビジネスにとって容量が最適かを確認します。これによってプロバイダーは、新製品の発売やマーケティングキャンペーンなど、今後需要が急増する期間が予測される場合はそれを把握できます。HPEは、必要に応じて引き出せる容量のローカルバッファーを提供します。アクティブな容量管理とオンサイトのバッファーを組み合わせることで、容量の不足を防ぐことができます。お客様が支払うのは、ビジネスで使用した分のみです。先行の設備投資は不要です。

IT部門は今後IT環境を管理するために大きな投資をする必要がなくなるため、このアプローチでは長期的に見てIT運用をより容易にすることができます。IT部門は、その分野の深い経験と専門知識を有する信頼できるベンダーにIT管理の仕事を任せることができます。企業の内部ITチームは、戦略的イニシアチブや核となるビジネスの目標に焦点を当てる時間をより多く確保できます。IT部門は再び組織で最も賢明なチームとなり、新しい市場機会に挑戦するためのITソリューションの創出に時間をかけることができます。

 

IT予算の簡素化

従量制のITは、設備投資費を削減し、ITの支出をビジネスのイニシアチブにつなげたいと考えている企業に最適なオプションです。企業は実際に使用したITリソース分のみの料金を支払うため、ニーズに基づいてコストを拡大または縮小できます。

概して、現在では多くの企業が、ユーティリティと電気通信の企業がずっと以前から提供してきた柔軟な従量制モデルを求めています。このアプローチによる財務的予測可能性やコストに対する明確な情報などの利点によって、予算に関するより優れた意思決定が可能となり、キャッシュフローと資本配分の戦略をより容易に実行できます。このように、従量制のITはコストのかかる資本投資モデルから可変的なコスト構造への変更を可能にします。全体的な結果はパブリッククラウドの体験に似ているものの、運用を社内でより厳密に制御できます。

また、従量制の支払いでは月ごとにコストを柔軟に調整できるため、オーバープロビジョニングを防ぐことができます。451 Researchによれば、59%の企業がITリソースをオーバープロビジョニングしています。しかし、従量制のアプローチではその余剰を避けることができ、使用した費用と企業のビジネス目標の間に明確な結びつきを作ることができます。

 

従量制のIT: リーダーのためのアドバイス

  • 従量制ITは、オンプレミスのデータセンターと同等の制御性、セキュリティ、信頼性で、クラウドの柔軟性を提供します。
  • 従量制ITモデルでは企業が必要なときのみITリソースとIT容量の料金を支払うため、設備投資などのコストを削減することが可能で、完全に排除できる場合もあります。
  • ITインフラストラクチャを迅速に拡大できることは、IT部門がより多くのビジネスラインの要求に応えることを意味します。

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもHewlett Packard Enterpriseの見解を反映しているとは限りません。

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