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2022年1月14日

クラウドかオンプレミスかの 二者択一ではない新たな選択肢とは?

両方のメリットを得られる新しい選択肢をご紹介します。

データ活用にしのぎを削る今日の企業では「デジタルトランスフォーメーション」が合い言葉となり、デジタルトランスフォーメーションと言えば「クラウドへの移行」を指すことが少なくありません。クラウドサービスプロバイダーは400億ドルもの規模に成長し、どの戦略計画にも「移行」が組み込まれるようになりました。

しかし、企業の約70%が、アプリケーションとデータを自社のデータセンターに残したままオンプレミスで運用しています。つまり、どのような戦略であれ、大部分のデータはクラウドには保存されません。そのため常に葛藤が生まれます。クラウドに完全移行した方がよさそうでも、実際にはオンプレミスに残すべきデータがあるからです。

「クラウドに移行させるのは負荷が高くないアプリケーションです。たとえば、Webや電子メールはパブリッククラウドに非常に適しています。こうしたアプリケーションはよく理解されている上、それぞれに異なるセキュリティ要件が設定されているからです」。HPE GreenLakeクラウドサービス コマーシャルビジネス担当SVP兼GMのKeith Whiteはそう指摘します。「しかし、病院の医療記録は事情が異なります。医療機関や医療制度によって、電子医療記録に巨額が投じられていますが、多くの組織では、機密性とセキュリティが高いオンプレミスの施設でデータを維持しなければなりません。そのため、オンプレミスでもクラウドでもITデータをホストすることになるのです」。

しかし、今ではこうしたジレンマが解消されつつあります。ある新しい方法でデータを管理すれば、アプリケーションの稼働場所やデータの保存場所に関係なく、クラウドのメリットを得られます。ハイブリッド環境という選択肢ができたのです。

Edge-to-Cloudテクノロジーとは

多くの企業がクラウドへの完全移行にやや固執している中、一般的なデータ管理は、クラウドサービスの利用か、オンプレミスデータセンターでの維持かの二者択一となっています。これが、両方のメリットを得たいというニーズにつながりますが、そこでお勧めしたいのがEdge-to-Cloudプラットフォームです。この新しいクラウドエクスペリエンスでは、クラウド、エッジ、ローカルデータセンターそれぞれのメリットを同時に得られる、ハイブリッド環境を実現できます。

詳しくお話ししましょう。Edge-to-Cloudプラットフォームなら、データインフラストラクチャを自分の近くに配置して、セキュリティとコストをオンプレミスで管理するだけでなく、クラウドの大きな利点を享受できます。たとえば、セルフサービスインターフェイスや従量制課金を利用することも、サードパーティに管理を依頼し所有者の負担をなくすこともできます。

ベテラン技術者でOpenTechWorksの取締役会会長を務めるAdam Drobot氏は、次のように話します。「仕事に必要なリソースをクラウドにすべて移動する余裕はありませんし、近い場所になければならないリソースもあります。近くに置くとなると、自分で所有すべきか、必要なときにインフラストラクチャとしてベンダーに提供してもらうべきかを選択しなければなりません」。

現在、代わりに利用できるエコシステムが急速に拡大していて、HPE GreenLakeのEdge-to-Cloudプラットフォームはこの分野のパイオニア的存在です。こうしたソリューションやサービスを利用すれば、アプリケーションとデータの一部をパブリッククラウドで維持することも、所有や保守が不要なインフラストラクチャを使ってエッジで管理することもできます。

「アプリケーションには自然な優先度が存在します」。1つのデータ管理システムでクラウドとエッジの両方を活用する方法について触れながら、Drobot氏はそのように解説します。「優先度を判断するにはこう自問するとよいでしょう。どれくらいの期間でそれを完了する必要があるのか? クラウドまたはオンプレミスでの実行にはそれぞれどのようなリスクが生じるのか? データ処理とデータ転送はどちらを先に行うのか? 工程を踏まえて判断すればよいだけで、多くの場合重要なのは、必要な場所の近くで処理を行うことです」。

Edge-to-Cloud戦略を進める際のポイント

いくつかの点を考慮することで、アプリケーションとデータの配置先を判断できます。クラウド、自社のデータセンター、エッジのどれを選択すべきかを検討するには、次の点に着目してください。

  • データグラビティ: これはデータの「重さ」であり、Edge-to-Cloud戦略の実践に大きな影響を与えます。Whiteはこう話します。「こうしたデータセットは巨大になります。30GBのMRIデータが病院全体だとどれほどの容量になるか、想像してみてください。木星の重力に例えたくなります。それほど巨大な容量をクラウドに移動するには時間もコストもかかります。しかも、その容量を保存すると、取り出すのが非常に困難です」。
 
  • 制御: 多くの制御を必要とする機能は、データセンターの近くから操作するとよいでしょう。たとえば、ロボットを稼働させている製造工場は、エッジデバイスのソフトウェアで運用するのが最適です。ソフトウェアがクラウドにあると、それにアクセスできない場合に工場が停止する危険性があるため、ローカルでの制御が必須となります。
 
  • データセキュリティ: セキュリティはデータを管理する上で重要な課題です。クラウドではデータを保護できますが、オンプレミスよりも仕組みが複雑で、さまざまな手続きが必要です。とりわけ、顧客や患者の機密情報を扱う銀行や医療機関などの組織では、データセキュリティの確保を慎重に検討しなければなりません。場合によっては、規制上、オンプレミスソリューションの利用が要件となることもあります。
 
  • コスト: Edge-to-Cloudプラットフォームでは、標準的なクラウド環境と同じように、データストレージやデータ処理の料金を、利用した分だけ支払います。完全に自社運用のローカルデータセンターでエッジデバイスを稼働させるのと同じメリットを得られるのです。ロックインも深刻な問題です。クラウドに移行したアプリケーションをデータセンターに戻すには、非常に高額な費用がかかります。ジョージア工科大学コンピューターサイエンス学部で准教授を務めるAda Gavrilovska氏は、「(移行の際には) すべてのデータが必要なわけではありません。大ざっぱに言うと、有用なのは全体の10分の1です」と述べています。移行対象のデータ量を削減すれば、コスト削減にもつながります。
 
  • 運用上の問題の軽減: 自社のデータセンターを日常的に管理する必要がなければ、そうした運用業務から解放されたスタッフが、より戦略的で革新的な業務に専念できます。これは、クラウドの大きなセールスポイントですが、Edge-to-Cloudソリューションでも同様のメリットを得られます。このソリューションでは、ローカルデータインフラストラクチャのセットアップと保守をサードパーティが行います。「IT部門の仕事がこれで大きく変わります。全員で運用業務に張り付く必要がなく、そうした担当者がビジネス成果につながる業務に集中できるようになります」とWhiteは述べています。
 
  • リファクタリング: すべてのアプリケーションがクラウドで稼働するように設計されているとは限りません。移行を決めたら、場合によっては、アプリケーションとそのデータを分離して稼働を継続する必要があります。これをリファクタリングと呼びます。そのため、クラウドネイティブアプリケーションのみを移行して、それ以外はエッジデバイスで稼働させた方が有利なこともあります。

今後の傾向

Edge-to-Cloudプラットフォームは普及が進み、今後数年間のうちに、エンタープライズデータ管理で一層重要な役割を果たす可能性があります。

Drobot氏はこう予測します。「この分野では、今後20年から30年間で大きな成長が見られます。全体的に、非常に強力で役に立つ機能が提供されるようになるでしょう」。

クラウドでは、使いやすさ、迅速なスケールアップ/ダウン、従量制課金、サードパーティによる管理などのエクスペリエンスがもてはやされていますが、Edge-to-Cloudプラットフォームもこれらの特徴を持ちます。その一方で、このプラットフォームは、従来のオンプレミスデータ管理のように、ローカルでの制御、高度なセキュリティ、高負荷に耐えうるコンピューティング性能なども実現できます。

Whiteはこう述べています。「多くの人が、オンプレミスでの稼働を続けるか、クラウドに移行するかの二者択一だと思い込んでいます。選択肢はその他にもあります。それはハイブリッド環境です。どちらかを選ぶのではなく、両方のメリットを得ればよいのです」。

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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