2020年4月17日

CIOが生き残るための基本戦略: 対人スキルを磨く

優秀なCIOはテクノロジーについて語るだけでなく、ROIに言及することも忘れません。

最高情報責任者は多くの組織で最高位の責任者の一員に加わるようになっています。それは苦労の末に勝ち取った信頼でした。 

この変化は、伝統的に保守的な金融業でよく見られます。CIOや技術責任者は通常、運営委員会から1~2レベル下位にある職位でしたが、今や、米国のトップ30の金融機関のうち16社は、自社の技術責任者を運営委員会に加えています (グローバルエグゼクティブ調査企業であるLeathwaite社の最近の調査による)。

CIOとビジネスリーダーの関係は変わりつつあり、CIOはこの機会を逃さないようにする必要があります。組織で存在感を高めるには、ビジネスリーダーと協力して働くために新しいスキルセットが求められます。

「CIOが皆、短期的または長期的な価値に基づいた説得力を身につける必要性を理解しているかどうかは定かではありません」とMatthew Mead氏は言います。彼はデジタルコンサルタント企業であるSPR社のCTOです。「デジタル企業へ進化する際には、多くのリスクがあり、多くの投資が必要になるので、ビジネスを従来のやり方でそのまま続けるわけにはいきません」。CIOが社内でテクノロジーへの投資について意見を交わすときは「説得力のある語り口で話し、ROIに言及することを忘れないでください」

しかし、今の地位を守るには、まだやらなくてはならないことがあります。ビジネスリーダーのおよそ2/3 (63%) が、CIOに必要なスキルはデジタルビジネスのエヴァンジェリストとしての優れた影響力だと言っています (最近のFinancial Times Focusの調査による)。

デジタル時代に求められる3つのスキルについて、3人のCIOに話を聞いてみましょう。

 

変化を推進し、関係者を説得する

Mike Mathews氏は、オーラルロバーツ大学 (ORU) のテクノロジーおよびイノベーション部門のバイスプレジデントです。彼にとって「今日、平凡なCIOとして従来の業務を続けるだけの仕事はまったく魅力的ではありません」。そのような状況では離職率も高くなります。「優れたCIOは、物事が改善することをユーザーに納得させることができなければ、自分が進歩の妨げになってしまうと理解しています」

Mathews氏によれば、今日のCIOにとって最も重要なスキルは、変化の推進者となることです。「あなたが何をどのような理由で行っているかを、周りに売り込んで説得できなければ、プロジェクトは成功しないでしょう」

自身のスキルアップのために、Mathews氏は多くのワークショップやカンファレンスに出席してきました。「そこでは、仮想現実が教育改革に重要である理由について語りました。この取り組みのおかげで、自分の組織で同じ内容をうまく語って理解してもらえるようになったのです」

また、CIOは人を説得するスキルを学ぶことも重要だと彼は言います。そのために、Mathews氏はハーバードビジネススクールの1日ワークショップに参加して、関係者とうまく協力する方法を学びました。「CIOはさまざまなベンダーとの契約を取り扱います。それらの契約を結べなければ、プロジェクトが遅れて、行き詰まり、止まってしまうでしょう」。デジタルトランスフォーメーションを推進するCIOは、プロジェクトを進めるためにベンダーと交渉し、特定のテクノロジーにゴーサインを出す経営陣と交渉するためのノウハウを身につける必要があるのです。

優れたCIOは、物事が改善することをユーザーに納得させることができなければ、自分が進歩の妨げになってしまうと理解しています。

Mike Mathewsオーラルロバーツ大学のテクノロジーおよびイノベーション部門のバイスプレジデント

彼は、教育テクノロジーの販売に関わった経歴が自分の資産だと考えています。他人の気持ちを理解できることも、CIOに必要なもう1つのスキルだとMathews氏は付け加えます。彼の今後の目標は、企業向けの人工知能についての知識を自分の守備範囲に加えることです。

AI、機械学習、ディープラーニングは、あらゆる分野に取り入れられるようになっていると彼は言います。Mathews氏は、AIがもたらす包括的な影響について理解したいと考えています。「事前にそのような知識があれば、小さなプロジェクトであっても、間違った方向に進まずに済みます。最初のAIプロジェクトに失敗したら、誰もそのプロジェクトを受け入れなくなるので、今後数年間にわたって会社全体にマイナスの影響を与えることになります」

Mathews氏にとって、必要とされる新たなスキルを身につけるための確実な方法は、たくさんの本を読み、さまざまな意見に耳を傾け、関係者と対話することです。さらに「反復設計を行って、大きなリスクを冒すことなく、確実に前進していることを示すことが重要です」

 

複雑な概念を分かりやすく説明する

Scott Laverty氏は、自分は思いがけなくCIOになったのだと言います。彼は、宝石チェーンのShane Co.社のバイスプレジデント兼CIOであり、ビジネスの側からキャリアをスタートさせました。長年にわたってリテールコンサルタントとして働いてきたのです。 

その経験は大いに役立ちました。彼は、技術を扱うだけのCIOではなく、「自社のビジネス戦略と、そして何より顧客についての理解を深める必要がありました」

また、彼はShane Co.社のビジネス戦略をテクノロジーのロードマップに落とし込むことを求められています。「私は、とても複雑な概念をわかりやすく同僚に説明する必要がありました。彼らはIT部門の取り組みを理解できなかったからです」

CIOは機敏に対応できることも重要です。「私たちは非常に保守的な体制の元で、よりアジャイルなプラットフォームに移行しようとしていました。そのため、私は将来を見通して会社を正しい方向に導いていく必要がありました。技術的なスキルだけでそのような取り組みを行うのは難しいでしょう」とLaverty氏は言います。「あなたはコミュニケーションの達人でなければならないのです」

オーラルロバーツ大学のMathews氏と同じように、Laverty氏は現在、「AIがどういうもので、どのように機能するかということに注目しています。また、より高度な分析を通じて顧客との関係を強化するさまざまな方法論にも興味を持っています」。彼は熱心な読書家であり、カンファレンスへの出席も計画しています。多くの本を読むだけでなく、「見た目にだまされずに本当に価値あるものを見つけ出す必要があります。なぜなら、AIと呼ばれるものの多くは実際には違うものだからです。これはおそらく、私が今一番苦手なことですが、半年以内に克服するつもりです」

また、Laverty氏はアジャイルの手法をIT分野以外にも広げる方法について学ぼうと考えています。「私はアジャイルを得意としていますが、ビジネスの他のエリアにもアジャイルをうまく適用できるだろうと考えています」

 

信頼し、対話し、好感を得る

テクノロジー企業から非営利団体に転職することは大きなチャレンジだったとIsabel Sauerbrey氏は認めます。彼女はサンディエゴ観光局のITおよび運用部門のバイスプレジデントです。

大規模なIT部門で多くの営業・マーケティング担当者と一緒に働くのは、まったく異なる環境だと彼女は言います。「ここでは、テクノロジーだけを追求することはできません。「どうすれば他の人にプロジェクトを受け入れてもらえるか」という問題に取り組む 必要があります」

営業・マーケティング担当者はIT分野の言葉に慣れていないので、Sauerbrey氏は彼らの信頼を得るために尽力しました。「この環境では、そのような取り組みはとても重要です」と彼女は言います。時折、Sauerbrey氏は、経営幹部の首脳陣にテクノロジーを売り込むだけでなく、その下の職位の人にも同じことを行う必要がありました。「プレゼンテーションを行って何かを採用してもらう前から、売り込みを始めなくてはならないのです。そのためには、信頼と優れたコミュニケーションスキルが欠かせません」

Sauerbrey氏によれば、彼女は製品を売り込むだけでなく、自分が「他の人と関係を築き、後援者を見つけて、彼らが抱えている問題に耳を傾ける」ことに多くの時間を費やしていることに気付きました。

彼女が大切だと考えているもう1つのスキルは、「関心を集める存在になることです。IT専門家は自分の部門に閉じこもりがちですが、もはやそのようなわけにはいきません。どうすれば他の人と関係を築き、人的ネットワークを広げて、彼らに貢献できるのでしょうか?」。それには、マーケティングについてあらゆることを学び、なんらかのアドバイスを提供できることが求められます。また、「自分が取り組んでいることを受け入れてもらうには、ITの観点にとらわれずに、相手のわかる言葉で伝えることを学ぶ必要があります」

多数のクリエイティブな人たちと渡り合うには、ITが役に立つとは限らないと彼女は指摘します。「マーケティングチームとの関係を築き、彼らが取り組んでいるプロジェクトに関心を持ったら、参加しようと試みます。それこそが私の理想像であり目標です。IT専門家にとって技術スキルを学ぶのは簡単なことです。必要なのは、対人スキルを高めることだと思います」

 

CIOが生き残るためのスキル:  リーダーのためのアドバイス

  • 組織に最適なテクノロジーを推進し、どのように事業が改善して利益が増えるのかを前向きに伝えます。
  • 他の部門の人が理解でき、耳を傾けるような言葉を話すようにします。
  • テクノロジーの教師となり、テクノロジーが組織にもたらすメリットを説明します。

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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