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2021年12月10日

Disneyの臨場感あふれるアトラクションの舞台裏 大量のデータとエッジコンピューティング

Disneyで魅力を生み出す支援をしているエンジニアリングディレクターが、Disneyがエンタープライズテクノロジーをアトラクションに活用している方法と、航空宇宙分野での経験がどのように役立っているのかについて語ります。
Disneyのテーマパークを訪れた人が、必ずありがたく思うのに、おそらくほとんど認識していないことが1つあります。それは、極めてスリリングで臨場感あふれるゲスト体験を実現するうえで、エンタープライズテクノロジーが果たしている役割の大きさです。ミレニアム・ファルコン: スマグラーズ・ランなどの高度なテクノロジーを利用したアトラクションや、Disneyのテーマパークで人気のあるさまざまな体験は、エッジコンピューティング、高性能ハードウェア、高度なロボットシステムと制御システムなどを駆使した独自の設計により制作されています。

HPEの顧客であるDisney Parks, Experiences, and Productsで工学技術と分析担当ディレクターを務めるMichael Tschanz氏に、Disneyのアトラクションを実現するうえで欠かせないものについてお話を伺いました。Tschanz氏と同氏が率いるチームは、世界中のすべてのパークに工学技術と分析を提供しています。工学技術については多くの場合Tschanz氏がサポートし、エッジコンピューティングについては、Walt Disney World Resortの公式サーバーとしてHPEのサーバーが提供され、同氏の業務を後押ししています。

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それではまず、この数年間で、Disneyではどのような変化があったのかを、テクノロジーの観点からお聞かせください。

私たちは、Disneyのストーリーテリングと、最新の画期的なテクノロジーの進歩を組み合わせて利用しています。この方法は、ゲストにとって最も臨場感あふれる夢のような体験を生み出すために、これまで必ず行ってきましたし、これからも行っていきます。私たちは、アトラクションを設計し始めた頃から非常に多くのコンピューターハードウェアを所有しており、当時はそれらを、特定のショーやアトラクションにデジタルデータを転送するのに主に使用していました。

たとえば、スター・ウォーズ: ギャラクシーズ・エッジなどの場所と、そこで起こるあらゆることについて考えてみると、いろいろな要素があります。照明の制御、多種多様なショーアイテム、高度なロボットシステムと制御システム、そしてこれらのさまざまなものがすべて1つになって、リアルなストーリー展開を維持できるように、このユビキタスな体験を生み出す必要があります。長年にわたるテクノロジーの進歩は、こうした体験を生み出すうえで不可欠でした。また、このような大量のデータ処理に対応できるサーバーを保有しているという点も重要です。HPEが、エッジでデータを処理するサーバーを提供してくれています。

アトラクションをスムーズに運営するために、Tschanzさんが職務で利用しているツールについてお聞かせください。

Disney Parks, Experiences, and Products事業部門は、一人ひとりのゲストに最も臨場感あふれる体験を提供し、ゲストが物語の一部になることを目標に掲げています。私たちは、アトラクションで起こっていることを正確に把握するために、常に新しい手法や新しいプロセスを取り入れています。大量のデータを取り込んでアトラクションの状態を把握しようとしていますが、そのデータを取り込むことが、量によっては難しい場合があります。エッジコンピューティングは、こうした問題を解決するのに役立っています。

エッジコンピュートはどれほど重要なのでしょうか。

エッジコンピュートは、先ほどお話ししたデータストリームへの接続を可能にする、重要な要素の1つです。あらゆるものが相互接続されていると、さらに魅力的で臨場感あふれる体験を生み出すことができます。しかし、こうした要素がすべて連携していなければなりません。ですからエッジコンピューティングは、データ管理を可能にするこのパイプラインの主要な要素の1つです。

エッジコンピューティングでは、クラウドでの処理を増やすべきか、それともローカルでの処理を増やすべきかについての議論がよく起こります。私たちは、どちらかに決めるのではなく、ハイブリッド方式で処理すべきという結論に至りました。つまり、重要なのは、どのアプリケーションやソリューションが最も有効かを特定することです。それらが最も有効なのはクラウドで運用する場合か、それとも、エッジコンピューティングソリューションであれば、ローカル拠点で最も効果を発揮するのか。ビジネス上の的確かつ正しい判断を基に、そうした決定を下す必要があります。

もう1つの問題は、どうすればそうしたデータを最も効果的に処理できるか、つまり、クラウドの視点で考えて多数のコアを利用すべきか、それともエッジコンピューティングの領域を重視すべきかです。 必要なデータは今すぐほしい、リアルタイムで入手したいと思うものです。その点を考慮しなければなりません。汎用的なソリューションはないため、どのような場合にも効果を得たいなら、これらすべての要素が連携できるようにしておく必要があります。そうしたコンピューティングソリューションの中でも、エッジコンピューティングは非常に重要な役割を果たしています。

チームがDisney Parksのアトラクションをサポートできるように、最近導入したテクノロジー、または開発したテクノロジーについてお聞かせください。

いくつもありますが、シミュレーションエンジンとシミュレーションアーキテクチャーについてお話しします。私たちが長期的な成長を図ったり、何かを開発したりする方法をサポートする手段の1つです。また、コスト削減に役立つほか、新しいアトラクションや体験を実用化する時間の短縮につながります。

世界では私たちのビジネスに限らず、シミュレーションベースの製品やモデルベースの設計に対応するビジネスを行っているすべての企業が、強力な後押しを受けています。シミュレーションを利用して、新しい航空宇宙技術/製品から宇宙機までのあらゆるものが開発されています。こうしたタイプの設計と開発を行わなければ、ブースターロケットを大西洋の真ん中に落とすことはできません。1990年代初めに私がTexas Instrumentsにいたときに、航空宇宙分野で取り組んでいたのが、そういったことです。

実際にそれを組み立てる前に、仮想のスペースで組み立てる方法を検討しなければなりません。それを行わなければ、必要な要件を満たさないものができてしまうからです。また、Disneyの空間では、創造的な意図から外れているかもしれません。仮想スペースで組み立てができれば、デジタルパイプランが、非常に厳密なエンジニアリング、物理学、数学に基づいて、製品がどのように機能するかを示します。次にそれを組み立てると、最初に予想したとおりのものになります。

ここしばらく、そうしたシミュレーションとモデルベースの設計パイプラインの構築に取り組んできましたが、その作業には多くの処理能力が必要となります。エッジコンピュートに話を戻すと、私たちは多くのエッジ処理能力を必要としています。それをクラウドと共有することについてどう考えるかにも影響します。その答えがすぐに必要になることもあります。全体として見れば、アトラクションの設計をサポートするために私たちが開発したシミュレーションエンジンは、チームが成し遂げた最も大きな進歩の1つと言えます。

エッジテクノロジーと他の業界についてお話を伺ってきました。Tschanzさんにとって、今後数年間でエッジテクノロジーの重要性はさらに高まっていくでしょうか。

間違いなく高まります。エッジとクラウドのどちらを活用するのが適切かなどをここまでお話ししてきて、ある議論を思い出しました。1990年代半ばに行われていた端末の議論です。デスクトップで動作する端末とデータセンターにあるような端末のどちらがよいかが話題になりました。そのような、テクノロジーに関する議論は何十年も行われてきました。

こうした議論が展開されたときに、私たちは技術者として、完璧なユースケースなどないということを学びました。たとえば、アプリケーションで非常に負荷の高い処理を行う、または他のデータをローカルで処理するといった要件が常に存在します。帯域幅が十分にあることなどありませんし、100%クラウドベース、あるいは100%エッジベースのユースケースも存在しません。

ビジネスの意思決定と最も妥当と思われる選択についてあらためて考えてみると、あらゆるものをクラウドにすぐに移行することが一般常識だった頃とは違い、他の選択肢を再検討している人が多くなったと感じます。私たちがそうした移行を行ったとき、多くの人が、ハイパフォーマンス画像処理、音声処理、高速データ転送などを検討していましたが、これらのユースケースをクラウドで実現してもリアルタイムには処理を行えないことに、すぐに気が付きました。そうしたユースケースでほぼ必ず登場するのがエッジ処理です。なぜなら、常に多くの帯域幅を使ってエッジの外にあるものを管理できるからです。

最後に「スター・ウォーズ: ライズ・オブ・ザ・レジスタンス」について伺います。このアトラクションではどのようにして臨場感を高めているのですか。

「スター・ウォーズ: ライズ・オブ・ザ・レジスタンス」は、ディズニー史上で最も野心的で臨場感のある高度な体験を得られるアトラクションの1つです。このアトラクションでは、複数のライドシステムの連携によって、ストーリーを映画のようなスケールで次々と展開させています。どう表現したらよいかわかりませんが、これまで体験したことのない素晴らしい世界に観客を引き込みます。この画期的なアトラクションでは、クライマックスであるファースト・オーダーとレジスタンスとの戦いや、カイロ・レンとの対決の場にも入っていくことができます。フルサイズの輸送船でスター・デストロイヤーに近づいて乗り込むなど、現実かファンタジーかがわからなくなるスリルに満ちた冒険を楽しめます。間違いなく感動していただけると思います。特にスターウォーズマニアやこのストーリーを心から気に入っている人は興奮を覚えるでしょう。まさにスター・ウォーズのストーリーの一部を最初から最後まで演じることになるのですから。ぜひ皆さんに楽しんでいただきたいと思います。このアトラクションは、映画の中に入り込んで自分も登場人物となり、あのキャラクターたちと一緒に物語をたどってみたいという誰もが抱く願望をかなえてくれます。これまでお話ししてきたテクノロジーの多くが、こうした演出のいずれにも不可欠なのです。

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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