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2019年10月11日

データサイエンティストになる: 転職者向けのキャリアパス

データサイエンスが優れたキャリアパスであることはよく知られています。この職種の需要は多く、収入は魅力的で、仕事内容も興味深いものです。どうすればそのキャリアを始めることができるでしょうか?

ウィリー・サットン (アメリカの有名な銀行強盗) が銀行を襲った理由は、「そこに金があるから」でした。実際にはそう言わなかったかもしれませんが、その気持ちは明らかです。つまり、自分が最も稼げる可能性がある場所を見つけるのです。

あなたのITキャリアが行き詰まっているのであれば、より報酬の多い職種に方向転換する気になるかもしれません。今日、データサイエンスには多くの可能性があります。この転換に欠かせない事柄について説明していきましょう。


数値から見たデータサイエンティストの需要

キャリアチェンジを行うときは常に、成長している分野に向かう必要があります。そこにはより多くの雇用があり、より興味深い仕事内容、有意義な成果、そして理想的にはより高い給与が伴います。データサイエンスの仕事は、まさにこのような職種です。
データサイエンスの求人数は、その職を求めている技術者の数よりも速いペースで増え続けていると、IEEE Spectrum誌はレポートしています。実際、Indeedという求職サイトの調査によれば、「すべての求人数に対するデータサイエンティストの求人数の割合は、2017年12月と比較して2018年12月に29%増加しているのに対し、検索数の増加は約14%にすぎない」ことがわかっています。

企業はこれらのスペシャリストを見つけることができていません。多くの企業はデータサイエンスのスキルを持つ人員の不足に直面しているのです。「データサイエンスのスキルが不足している状況は、米国のほぼすべての大都市で発生しています」と2018年のLinkedIn Workforce Reportは報告しています。「全国的に、データサイエンスのスキルを持つ人員が151,717人不足しています。特にニューヨーク (34,032人)、サンフランシスコ・ベイエリア地域 (31,798人)、ロサンゼルス (12,251人) は深刻な人手不足に陥っています」。さらに、このニーズは高まる一方です。LinkedInの最も将来性のある2019年の職種では、データサイエンティストがトップの座にあり、給与の中央値は13万ドルです。

 

「データサイエンス」とはどういうものか

データサイエンスは間違いなく魅力的なキャリアですが、その中にはさまざまな専門分野が含まれています。

「人からアドバイスを求められたら、私の最初の質問は「データサイエンスとはどのようなものだと思いますか? あなたの考える理想的な仕事内容は?」というものになるでしょう」とデータサイエンティストのCarly氏は言います。「一般的に知られているデータサイエンスの定義はいまだにありませんし、その役割は組織によって大きく異なります。また、データサイエンティストについての世間の認識はしばしば現実とはかけ離れています」。機械学習や製品分析、昔ながらの統計といった領域で役割を果たすことがあり、それらはすべてまったく異なる内容だとCarly氏は付け加えます。

この分野をどのように細分化できるかわからなくても、自身の無知によるものだと考えないでください。専門家の間でも、データサイエンスに含まれる領域が何であるかは議論の的になっているのです。それでも、ハーバード・ビジネス・レビューの「データサイエンティストは実際何をやっているのか。35人のデータサイエンティストに聞く」という記事に引用されたある専門家の意見によれば、データサイエンスは、ビジネスインテリジェンス、意思決定科学、機械学習という3つの手法で分類できます。「ビジネスインテリジェンスは本質的には「企業の持つデータを収集して適切な人の前に差し出す」ことで、ダッシュボード、レポート、電子メールなどの形式が用いられます。意思決定科学は「データを取得して会社の意思決定に役立つように活用する」ことです。機械学習は「どのようにしてデータサイエンスのモデルを取得して継続的にビジネス環境へ適用できるか」というものです」

 

あなたが一番魅力的だと思うものはどれでしょう?

たとえば、データサイエンティストのBailey Karl氏はデータ編成の価値を強調します。「データの準備には、特定のシステムコードを変換してデータを使用可能な形式にすることから、エラーがあるデータや不完全なデータの処理まで、数多くの手順が必要です」とKarl氏は言います。つまり、不良データを排除してデータを編成し、価値ある洞察を引き出すためのスキルを持つ専門家は常に求められています。


キャリアを変更する際のアドバイス

新しい分野に転向したいITプロフェッショナル向けの推奨事項がいくつかあります。たとえば、しかるべき書籍を読むことです。また、図書館員の友人に連絡して、オンラインのトレーニングクラスを調べます。特にLynda.com (現在はLinkedIn Learningと呼ばれます) のクラスはお勧めです。公立図書館のカードがあれば無料になることが多いからです (日本では図書館との連携は未提供)。この分野に特化したオンラインコースとして、MITのMatrix Methods in Data Analysis, Signal Processing, and Machine Learningがあります。また、多数のデータサイエンス短期集中講座があります。

キャリアカウンセラーのEbony Johnson氏によれば、もう一つの選択肢があります。「LinkedInや、あなたが属するソーシャルネットワークや専門家のネットワークで、その分野の専門家に連絡してみましょう。会ってくれるよう頼んで情報収集し、データサイエンティストの職に就くために必要なことを学ぶのです」

住んでいる地域のデータサイエンスに関する会合を探し、データと分析に関するカンファレンスに出席しましょう。実際のデータサイエンティストから直接学べるだけでなく、専門家と知り合いになる機会もあるので、パーソナルネットワークを広げるのに役立ちます。新しい友人は、その分野について学ぶあなたの情熱に好印象を持って履歴書のコピーをもらい、それを人事部の担当者に手渡すかもしれません。(これはいいかげんなアドバイスではありません。私は最初のプログラマーの職をそのようにして得たのですから。)

すでに身につけている知識を生かしましょう。たとえば、銀行でのIT業務にうんざりしている人がいて、彼にはデータベースの経験と財務テクノロジー分野の知識がありました。ある経験豊富なデータサイエンティストは次のように提案しています。「データの分析と統計について学習し、ある程度の知識を身につければ、これまでと同じ業界で同じデータベースを扱う、なんらかのアナリストの職に就けるかもしれません。データベースの経験があるので、データベース管理やデータエンジニアリングの方向にもキャリアを進めていけるかもしれません」

キャリアチェンジを実現するためのもう一つの (内向的な人向けの) 方法は、必要なスキルをリバースエンジニアリングすることです。Helena Goote氏はヘルスケア分析に関わっている定量リサーチアナリストです。彼女は、職務内容の中で、特に自分がまだ条件を満たしていない項目を確認することを勧めています。好みの職を見つけたら、その要件を確認して必要なスキルを身につけるのです。


どのスキルを身につけるか?

「データサイエンス」という言葉に決まった定義はないので、誰もが学ぶべきスキルの一覧と、職を探す前に習得するテクノロジーの専門知識を示すのは簡単ではありません。

しかし、データと分析に関する基本的な知識は必要不可欠です。ITの別の領域からデータサイエンスに足を踏み入れるのであれば、多少はこの知識がある可能性が高いでしょう。たとえば、「SQLに通じていることは、今ではほとんどのデータサイエンスの職務で必須の要件です」とCarly氏は言います。

数学もそうです。少なくともテクノロジーの比重が高い職では欠かせません。「データサイエンスは、統計学にいくらかの線形代数を組み合わせて、SPSSなどの統計解析ツールの代わりにRやPythonのコードを付け加えたものです」とIsac Artzi氏は言います。彼はグランドキャニオン大学のコンピューターサイエンスの准教授です。「そのため、プログラミングの経験がある人は、最初に統計学の基礎、その中でも主に線形回帰を学ぶ必要があります。その次は線形代数の基礎に進み、ベクトルと行列に重点を置いて学習します。機械学習やニューラルネットワークは、線形回帰と行列代数を聞こえの良い言葉にしただけです」

「機械学習、ニューラルネットワーク、そしてビッグデータソフトウェアについて学びましょう」とGoote氏は付け加えます。「PythonとRも習得しましょう」

PythonとRは、推奨されることが多い言語です。幸い、最近ではPythonは人気の高い言語の1つになっているので、おそらくすでに知っている人が多いでしょう。「最新のデータサイエンスでは、Pythonと、特にJupyter Notebooksを使用してデータをテストし、分析します。そのため、両者を効果的に使用する方法を学ぶ必要があります」とアナリストのZach氏は言います。「さらに、NumPy、SciPy、Matplotlib、そしてScikit-learnについての基本知識があれば大きな助けになるでしょう」

Zach氏は、必要な知識をすばやく身につけて基礎を固めるための具体的な推薦書を挙げています。まずは、Hastie、Tibshirani、およびFriedmanによる『The Elements of Statistical Learning (邦題: 統計的学習の基礎)』から始めます。実践的な内容については、Géronによる『Hands-On Machine Learning with Scikit-Learn and TensorFlow (邦題: scikit-learnとTensorFlowによる実践機械学習)』を勧めています。
「前者の本の7章までは、実用的な回帰分析を学ぶためにかなり役立ちます」と彼は言います。

独学を進めるには、野球ファンになることが役立つかもしれません。「セイバーメトリクス (野球のデータの統計的研究) には多くの読み物がありますが、これは特定の領域、この場合は野球にデータを適用する方法のわかりやすい例だと言えます」とCarly氏は言います。「ビジネスであることを別にすれば、プロダクトデータサイエンスにはそのような側面があります」


転職の準備ができたら

転職者を受け入れるのは小規模な会社になるかもしれません。そのような会社はデータ分析を必要としているので、さまざまなデータサイエンスツールを使用する機会を与えてくれる可能性があります。「入門レベルのデータサイエンティストは、小規模な会社や新興企業で求められる傾向があります。その主な理由は、データサイエンティストが持つ広範なスキルが小規模な組織にとって有益だと考えられるからです」とKarl氏は説明します。「また、小規模な会社の雇用プロセスは、大きな組織よりも比較的迅速にすすみます」

また、キャリアチェンジを徐々にすすめることが理にかなっている場合もあります。「実際にゼロから始めているのであれば、最初から完全なデータサイエンスの職を目指すのは良い考えでないかもしれません」とKarl氏は指摘します。「代わりに、特にデータ分析やデータ可視化の専門家といった、この分野で比較的容易な職を目指すべきです。このようなポジションでは通常、データサイエンティストと一緒に作業を行うため、より大きな目標を目指す前に経験を積む良い機会となります」

 

データサイエンスへのキャリアチェンジ: リーダーへのアドバイス

  • 職務内容のリストをリバースエンジニアリングします。つまり、夢の仕事を見つけたら、条件を満たすために欠けているスキルを特定し、それらを学習します。

  • すでに身につけている知識を土台にします。特定のビジネス領域のスキルやその他のテクノロジーに関する知識は、あなたに合った新しいデータサイエンスの職を見つけるのに役立ちます。

  • 大企業でなく、より小規模な会社の職に応募することが理にかなっていることもあります。そのような会社では、職務要件はあまり厳しくなく、データサイエンスに関する幅広いスキルを学ぶ機会に恵まれます。

この記事/コンテンツは、記載されている個人の著者が執筆したものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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