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2018年6月13日

組織としての知識の必要性

チームのメンバーは常に入れ替わります。メンバーが去ると、企業が今後成長するために必要な情報も失われます。ここでは、そのような知識の流出を最小減にする方法を紹介します。

こんな経験はありませんか? チームの業務は順調で、パフォーマンスは上向く一方です。その時、責任者が社内で昇進を受け、次の日にチームを去ってしまいました。こんな場合はどうでしょう。大きなプロジェクトのプロジェクトマネージャーが突然他社に引き抜かれてしまうケースです。エグゼクティブアシスタントが早期退職してしまう場合もあるでしょう。このようなことがあると、すべてが急停止してしまいます。責任者の優先事項が何だったのかということや、大きなプロジェクトの現状、翌月のカンファレンスの予約および支払い方法を誰も知らないためです。

どうすればよいでしょうか?

現代の複雑なビジネス環境において摩擦や不確実性は当たり前のことですが、計画が不十分だったからといって、想定外の状況で業務を遂行できないことの言い訳にはなりません。チームにおける摩擦を制限する方法の1つは、組織としての知識を尊重することです。

組織としての知識とは、組織による効果的かつ効率的な業務遂行を促進するプロセス、フレームワーク、関係性を指します。分かりやすいように、組織としての知識の特徴と、現代のビジネスチームにおいてその知識がどのように実践されているか (またはされていないか) の例を簡単に紹介します。

最初に、組織としての知識とは共有知識です。残念なことに、現代のビジネス情報のほとんどは区分けされていません。猛烈な進行速度と、コラボレーションにおいて文化を尊重しないことが組み合わさり、お互いをさらに悪化させてしまうこともあります。競争の激しい環境では、情報を役立てるためには自由かつ迅速にやり取りする必要があり、このような組み合わせは状況悪化の原因となります。また、McKinsey & Co.が指摘しているように、「プロセスと情報の所有権は断片化されて熱心に防衛され、役割は視野の狭い要件に基づいて設定されているため、結果として内部の複雑さは増し、必要性が非常に高い業務間のコラボレーションが停滞する」場合もあります。

「私にだって秘密はある」という有害な考えによって、企業の収益性と生産性は抑制されてしまいます。また、組織内での競争を促進して士気とコラボレーションを損なうため、市場における企業の競争力を下げてしまいます。

第2に、組織としての知識は記録されたアクセス可能な知識です。人気のない森で木が倒れた場合に音がするだろうかという有名な問いかけのように、リーダーは、獲得した知識が自分のチーム内外で最も効果的な方法で使われているだろうかと問いかける必要があります。情報は、組織内の他の従業員が簡単に活用できるでしょうか? 「簡単に」とは、組織のあらゆる従業員が適切な情報を見つけることができる時間的な早さを指します。「活用」とは、消費および使用可能な形式の情報にアクセスすることを意味します。どちらの基準も必要不可欠です。非常に重要な分析情報が個人のラップトップに理解不能なファイル名で埋もれていたら、他の従業員はその情報を見つけることができるでしょうか?

第3に、組織としての知識はプロセスです。新しい状況、計画、プレゼンテーションが、ゼロから始まる独立したものとして扱われることが非常に頻繁にあります。新しい状況には独自の側面もあるかもしれませんが、実際は、チームが従う必要があるほとんどの要件は、繰り返し発生する要件です。通常、これらの要件は、確立済みのプロセスやフォーマットを採用、実装、強化することで対応できます。私の前職での例でいえば、米国陸軍にはさまざまな状況で使用する計画の考慮事項やフォーマットをまとめた「バトルブック」というものがあります。迅速な計画、慎重な計画、攻撃計画、防衛計画などです。このようなフレームワークはリーダーが不在の時に特に価値を発揮し、「一体何をすればいいのか?」という思考が 蔓延することを防ぎます。

最後に、そして最も重要なことに、組織としての知識とはチームのアクティビティを管理する計画済みの優先事項です。効果的なシステムは、重要な部分が欠落または損傷しても (効率性は落ちるものの) 機能し続けます。同様に、効果的なチームは1人のメンバーがいなくても機能し続けます。たとえそのメンバーがリーダーであってもです。チームが機能し続ける唯一の方法は、何をする必要があるかと、どの目的が他の目的よりも重要かを全員が把握していることです。組織としての知識として計画済みの優先事項が確立されていなければ、優先事項は単なる主観の問題となってしまうか、その瞬間に表面的に最も重要と思えるものが優先されてしまいます。残念なことに、表面的に何が重要と思えるかは、人によって異なる場合があります。

 

組織としての知識を確立する最初のステップ

組織としての知識には文化的なルーツと実際的なルーツがあります。そのため、その利点を維持するためには、リーダーは両方の要素を強く継続的に強調する必要があります。以下は、実行が必要な重要なステップの一部です。

文化としてのコラボレーションを強化する。現代のビジネスはコラボレーションを称賛していますが、口先だけであり、うんざりさせられます。ただし、現代の組織で真のコラボレーションを報奨および強化するためのインセンティブプログラムやディスインセンティブプログラムはほとんど実施されていません。コラボレーションは、単なるコミュニケーション以上のものである必要があります。そしてもちろん、情報のリクエストに対して受動的なメールを返信することや、最新の業務コラボレーションアプリケーションを購入するだけでは十分ではありません。

そうではなく、リーダーは積極的な情報の共有、開放性、フォローアップが当然である文化を作り出す必要があります。コラボレーションをさらに推し進めるには、以下を問いかけてください。チームメンバーは、「自分はこの仕事をした」という観点だけでなく、「自分はこの仕事をした、そして、この仕事はあの人やあのチームの業務とこのように関連している」という観点で考えるようにガイドされているか? マネージャーは、チームとの個別のミーティングやグループミーティングで、常にこの文化を強化しているか? プロフェッショナルパフォーマンスの評価指標として、コラボレーションの基準は含まれているか?

標準作業手順を作成する。クライアント企業の予備的評価を開始する際、私が最初に確認することの1つは、標準作業手順 (SOP) があり、使用されているかどうかです。「標準作業手順」はどちらかといえば曖昧な言葉ですが、通常は、繰り返し発生するタスクをより効率的に遂行できるように、組織が習慣的に実行しているプロセスや手順を指します。一部のSOPには、ファイルとフォルダの名前付けの共通フォーマット、共有データベースを使用したファイル作成および情報普及のルールやその他の類似の手順など、単純な手順も含まれます。より高度なSOPには、新しい業務を遂行するための、または新しい販売機会を迅速に捉えるための詳細な計画フレームワークなどがあります。SOPの最も重要な側面は、1) 共通の理解 2) その使用方法です。

チームに有効なSOPがない場合は、小規模なものから始めてください。チームメンバーからのインプットを促し、チームの当事者意識を高めます。リーダーは、「自分の」SOPではなく「チーム」のSOPという感覚を持つ必要があります。すべてのファイルの名前付けフォーマット (例: チーム名_プロジェクト名_ファイル名_作業者名_日付) などのシンプルなものでも、全員が進む方向を合わせることができます。さらに、自分たちが構築しているものが、より大きなコミュニティによってアクセスおよび利用されるという感覚をチームメンバーが持つことができます。次のステップとして、メンバーが情報を保存および取得するチームフォルダの階層を (ここでもチームのインプットを促して) 作成します。次に、SOPの使用を厳格に義務付けます。この部分は、リーダーが明確に責任を負う必要があります。結局のところ、メンバーが従うか従わないか決めているような作業手順に「標準」などないのです。

正面からリードし、優先順位を付ける。過去十年における最も誤った考えの1つは、「背後からリードする」という滑稽なものです。リーダーは、正面からリードするべきです。リーダーはチームが通常はできないようなことを達成できるように刺激するだけでなく、優先事項を決定し、それを伝える必要があります。意思決定の責任は、リーダーシップの特権であり重荷でもあります。意思決定の要素としての優先順位付けは組織としての知識の本質的な構成要素であり、チームの有効性にとって必要不可欠です。リーダーがチームの努力を厳格に優先順位付けしていなければ、そのリーダーは成功を計画しているのではなく、成功を祈っているだけです。

長期的視点を持つ。優れたチームや組織は長期的な視点を持ちます。この点を強化する方法の1つは、組織としての知識を構築することです。これにより、業務を円滑にし、効率性を高め、有効性を構築するためのツールを手に入れることができます。より重要なことに、組織としての知識を健全に信頼することで、従業員の文化的な理解と、自分自身や個人の努力よりも大きなものの一部であるという自信を高めることができます。最後に、最高のチームと最高のリーダーは、財布の中身をいっぱいにするだけでなく、多くの人を駆り立てるやりがいを与えてくれます。

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもHewlett Packard Enterpriseの見解を反映しているとは限りません。

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