DevOpsを成功に導くブループリント: Rosetta Stone社が継続的デリバリを実現した方法

Rosetta Stone社が継続的デリバリへの移行を実現しました。以下では同社の成功から学ぶべき点をご紹介します。

今日、多くの企業が継続的デリバリへの移行を検討しています。この種の変革を計画するにあたっては、同様の取り組みをすでに達成した組織の体験談が非常に役立ちます。先頃開催されたJenkins Worldカンファレンスで、Rosetta Stone社のDevOpsリーダーであるKevin Burnett氏が紹介したヒントと教訓は、DevOpsおよびその他の技術チームを率いる人々の間でとりわけ大きな反響を呼びました。

Burnett氏は、外国語学習ソフトウェアで名高いRosetta Stone社において、わずか2人の自動化プロジェクト専任担当者により、他のITスタッフにDevOpsのメリットを理解してもらい、目標値を正確に設定し、スタッフの能力を向上させることに成功しました。

継続的デリバリへの移行は決して平坦な道のりではありませんでした。変化に抵抗感を持つスタッフも少なくないため、Rosetta Stone社は慎重な移行を求められました。同社は一連の小規模な継続的デリバリを試験的に運用し、確かな手ごたえを得たうえで、複数チームにわたる展開を慎重に開始しました。

特に不都合がないにもかかわらず継続的デリバリへの移行が必要なのはなぜか

継続的デリバリに移行する以前、Rosetta Stone社のデベロッパーの作業は、プロジェクトに2週間取り組んだ後、次の2週間をテストに費やすようなやり方が一般的でした。「こうした手法では、展開が大規模なイベントになりがちです」とBurnett氏は指摘します。すなわち直接的な関係者ではない人々にまで影響範囲が拡大され、その結果として何らかの問題が発生するリスクも高まります。

さらに問題が発生した場合の修復も難しくなり、コードをロールバックするだけで問題を解決することはまず不可能です。「そのため私たちは計画を1歩ずつ前進させることにしました」とBurnett氏は振り返ります。「変更を取り消すためには、あらゆる要素を元に戻さなければならず、さまざまなチームによる機能変更やバグフィックスが必要になります。私たちは変更が大規模であればあるほど、ロールバックが非現実的になることを学びました」。

既存のプロセスで特に問題が発生していない場合は、スタッフが変化に抵抗する可能性がありますが、「私たちは2週間ごとのリリースを規則正しく断固として推進しました」とBurnett氏は述べています。

大規模な変革を推進しようとする際には、「それまで積み上げてきたものが台無しにされる」ことを心配する声が生じがちです。

しかしながらRosetta Stone社の場合は継続的デリバリのメリット、すなわち小規模な変更とテストを頻繁に実施する方が、多数の人々を巻き込んで大規模なプロジェクトをデバッグするよりも優れた手法であることが、社内のデベロッパーたちに理解されていました。

Burnett氏はわずか2人のDevOps専任担当者の1人です。このチームがこれほど小規模であることは、応答性が何よりも重要であることを意味しています。「私たちは人々とのつながりを大切にしており、常に数分以内の対応を心掛けています」とBurnett氏は説明します。

SAFEによる着実な取り組み

このように関係者全員が継続的デリバリのメリットを理解していると想定されるものの、Burnett氏は移行にあたり、人々を納得させるためにいくつかのことを実施しました。

まずBurnett氏は継続的デリバリのメリットを過度にアピールしないように留意しました。「私たちは、本番環境の障害を完全に回避できるといった (現実的に不可能な) 理想を語ることは避け、また条件が完璧に整ってから変更に着手しようとすれば、いつまで待たされるかわからないことを関係者に説明するよう努めました」と同氏は述べています。

またBurnett氏とDevOpsチームの同僚は、製品開発チームメンバーとの対面によるミーティングを頻繁に実施しました。この取り組みで使用された大規模アジャイル開発フレームワーク (SAFE: Scaled Agile Framework) と呼ばれるプロセスでは、四半期ごとのプランニングミーティングが推奨されています。

「ミーティングは常に対面で、また比較的自由な形式で行われます」とBurnet氏は述べています。「堅苦しい会議によって改革を推進することはできません」と同氏は笑って付け加えます。


Burnett氏はこうしたミーティングで、「野心的な目標」を提示し、その達成に向けた支援を求める手法を好んで用います。また同氏が指摘するとおり「可能な限り多くの人と対話して、将来的なプランに対する関心を喚起する」ことも大切です。Burnett氏はアーリーアダプターやアドボケイトの発見に努め、得られたフィードバックに基づいてDevOps計画を調整しました。

 

チームが少人数であることは 問題ではない

一般的にDevOpsはより大人数のチームによって運用されます。2年前にこの役職に就いて以来、Burnett氏は、考え方が近く計画の支えとなる有能な人材を社内で見出すことにより、DevOpsチームを書類上の人数よりも拡大できることに気付きました。

Rosetta Stone社では継続的デリバリのメリットをいち早く実感したアーリーアダプターが、継続的デリバリへの移行の強力な支持者になってくれました。「このように私たちは、DevOpsグループを実際に増員することなく、DevOpsグループを拡大させるように常に努めています」とBurnett氏は述べています。

「味方を見出すことが大切です」と同氏は付け加えます。「DevOpsトランスフォーメーションのような取り組みは、支援の不足や熱意の欠如といった理由で失敗しがちです。こうした障害はいずれも多くの支援者を得ることで克服するのが一番です」。

Rosetta Stone社において、こうした支援者を見出せる可能性が高い場所の1つが品質保証 (QA) グループです。同社のQA/テストチームでは、チームの拡大や組織的な展開からテストデータの体系化に至るまで、組織全体にわたる数多くの変更作業が行われました。「実際のところ、彼らの支援と協力なしに有意義な成果を達成することは不可能でした」とBurnett氏は振り返ります。

多くのパーソナルネットワークの専門家が提言しているとおり、支援を得たければ、まずは支援を提供することが大切です。そのためBurnett氏のグループは、プロジェクトを通じて運用スタッフやQAチームを支援することに力を入れました。こうした努力の結果、DevOpsイニシアチブをいざ開始した際には、QAチームによる受け入れが非常にスムーズに進みました。

 

自律性、熟達、目的

Daniel Pink氏はその著書『モチベーション3.0: 持続するやる気をいかに引き出すか』で、モチベーションを維持する秘訣として、自律性、熟達、および目的を挙げています。

Burnett氏はこの主張に賛同しており、とりわけ自律性を重視しています。「自律性は非常に大切です。DevOpsを実践している人々のうちどの程度が、ビジョンの定義と実行の両方に関与しているのかは不明ですが、当社においては両方に関与することが極めて好結果を生んでいます」。DevOpsチーム (そして恐らくは何のチームであっても) を直接的または間接的に統率しているリーダーは、チームメンバー自身に要件を決定させることによる改善機会について考察すべきである、と同氏は指摘します。

Burnett氏は、この言わば「囚人に刑務所を運営させる」やり方に抵抗を感じる人も少なくないことを理解しています。しかしながら同氏の経験によると、スタッフに対して要件を指示するよりも、プロジェクトへのアプローチ方法を自分で選択させる方が、各自の創造性やスキルが発揮されやすくなります。「技術者は、作業方法やソフトウェアパイプラインの効率性をより真剣に考えるようになります」とBurnett氏は指摘します。「組織内には、作業への取り組み方を変えさせることで、より優れた成果を達成できる人材が多数存在していると私は確信しています」。

こうした取り組みの結果、「今では当社の大部分で継続的デリバリが実現されています。私たちは1日複数回のリリースを行っており、個々の変更は小規模かつ低リスクです」とBurnett氏は説明します。「継続的デリバリへの移行は、当社の利害関係者の大多数から、成功した取り組みとして高く評価されています」。

 

リーダーへの教訓

  • DevOpsのメリットを周知させる時間をとって、利害関係者の参加を促すことが必要です。
  • DevOpsの目標と価値に賛同してくれる支持者を見出して、それらの人物を支援します。
  • 人々を失望させたり驚かせたりしないように、適切な目標値を設定します。

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもHewlett Packard Enterpriseの見解を反映しているとは限りません。

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