2021年1月8日

5GとWi-Fi 6を連携させる方法

ビジネスアプリケーションには信頼性の高い接続が必要であり、そうしたアプリケーションでは帯域幅を最適な形で利用できなければなりません。ビジネスユーザーは、すぐに無線ネットワークでそのことに気付くでしょう。

私たちの誰もがシームレスに作業を行うためにWi-Fi通信とセルラー通信にどれだけ依存しているのかということを考えた場合、これまでにその2つがスムーズに連携したことはありませんが、最新世代の5GとWi-Fi 6は、そうした状況を変えようとしています。

2つのテクノロジーによって、さまざまなビジネスのユースケース、業種、およびIoTデバイスのための無線アクセスを提供しようという流れが加速する中、ユーザーが5GとWi-Fiの間をスムーズにローミングできるようそれらをどのように統合するのかが重要な問題となっています。無線媒体による低レイテンシでほぼリアルタイムの通信を必要とするクリティカルなビジネスアプリケーションは、データ通信の次のフロンティアであり、5GとWi-Fiは、クラウドにアクセスするためのより多くの手段を私たちに提供してくれます。

今日では、Wi-Fiはどこにでもあり、一般的なものと考えられています。私たちは、ショッピングセンター、診療所、飛行機などで当たり前のようWi-Fiサービスを利用できると思っており、Wi-Fiアクセス媒体は20年以上使用されてきました。

5Gはこれから利用が進むセルラーテクノロジーであり、次世代の無線ネットワークや5Gコアなどの新しいアーキテクチャーで構成されるビルディングブロックには、アクセス、トランスポート、クラウド、ネットワークアプリケーション、管理といった、Wi-Fiで使用されるのと同じモビリティの原則の多くが含まれます。

2018年には、キャリアが通話用にWi-Fiオフロードを行ってWi-Fi通話が誕生したことにより、セルラーとWi-Fiが連携するようになりました。それは、セルラー信号が足りないという課題にキャリアが対処するための手段だったのですが、Wi-Fi通話の中核となる概念は、IPsecトンネルを使用して、潜在的に信頼できないWi-Fiネットワークで電話をキャリアのネットワークに接続し直すというものです。

これにより、通常はセルラー経由で接続する音声通話でWi-Fiを使用できます。Apple社のリストによると、Wi-Fi通話は47か国の128を超える事業者の支援により、多くのキャリアで広く利用されるようになりました。ライブ通話のハンドオフには今も課題があり、Wi-Fi環境のカバレッジに隙間があると通話がドロップしてしまいますが、業界では、私たちが当たり前だと思うシームレスなハンドオフを5GとWi-Fiの間でも行えるようにするための取り組みが進められています。

 

パスポイント

パスポイントによって問題が解決されたと思っている人にとっては、正しい方向へと向かっています。セルラーネットワークからWi-Fiへのシームレスなオフロードがパスポイントの目的ですが、それによってWi-Fiと5G間の真のローミングが実現するわけではありません。

パスポイントにより、セルラーユーザーは、キャリアのデバイス認証情報を使用して何の操作もせずにWi-Fiネットワークに接続できるため、ローカルのWi-Fiネットワークへの5Gデータと音声トラフィックのオフロードが大幅に簡素化されます。

パスポイントは現在、米国のすべての大手事業者でサポートされており、5Gのカバレッジがドロップするか、より適切なWi-Fiカバレッジが利用可能になったときに、5Gネットワークのサービスを利用するデバイスがWi-Fiネットワークを検出し、そのネットワークに接続するための手段となっています。なおパスポイントは、ネットワークの検出を自動化してアクセスを合理化しますが、引き続きIDプロバイダー (おそらくはキャリア) やWi-Fiプロバイダー (空港、図書館、コーヒーショップなど) との間でのローミング契約が必要です。

現在では5GとWi-Fiが共存していますが、私たちはそれらを統合する必要があり、5G標準を支えるグループである3GPPは、5Gを拡張して5G以外のネットワークでAccess Traffic Steering, Switching, and Splitting (ATSSS) をサポートする方法を研究してきました。またWireless Broadband Allianceでは、Wi-Fiと5Gを統合する方法について議論が交わされてきました。

そして今後は6GHz帯での共存がさらに進むと思われます。5GとWi-Fiをうまく連携させる方法についての議論では、あまり成果は得られていませんが、私たちは2つのテクノロジーを統合する必要があります。

 

RANとしてのWi-Fi

4Gと比較した5Gのアーキテクチャーの変化により、新たなレベルの統合が可能になります。4Gと5Gではどちらも、クライアントデバイスと直接通信してそれらをコアネットワークに接続するネットワークの要素を無線アクセスネットワーク (RAN) と呼びます。

5Gでは設計がモジュール化されているため、コアへのRANインターフェイスにサービスを提供するネットワークをRANとして機能させることができます。セルラーである必要はまったくなく、Wi-Fi 6ネットワークにすることが可能です。また、LoRa、LPWAN、Sigfoxなど、いくつかのインダストリアルIoTネットワークプロトコルのいずれかにもできます。これはまだどこにも実装されていませんが、それが可能な設計となっています。

また実装すべき十分な理由があります。通信事業者は、実際のセルラーネットワークを展開しなくて済むように顧客のWi-Fi 6ネットワークに自社のコアを結合させる可能性があり、今もなお顧客ネットワークを制御してその可視性を確保しています。

 

統合の方法

統合には時間がかかりますが、そのための作業はすでに開始されており、今後次のようなパスに沿って作業が進められます。

  • 検出と認証: 承認済みのWi-Fiネットワークを特定し、デバイスの5G認証情報を使用してそれらに接続するためのデバイスの管理フレームワークのメカニズム。
  • モビリティと継続性: Wi-Fi通話の通話がドロップしてしまう問題を生じさせることなく、Wi-Fiと5Gネットワーク間で通話を転送するための両者のメカニズム。
  • データルーティング: セルラーまたはローカルWi-Fiネットワークのいずれかにより、電話との間でデータ接続をルーティングするためのメカニズム。
  • 集約とロードバランシング: 利用可能なネットワークリソースを最も効率的に活用するためのWi-Fiと5G両方の利用。

 

このような意思決定を行うメカニズムにより、さまざまな基準に基づいてさまざまな理由で統合が進められる可能性があります。たとえそれが一般的により短時間で宛先に接続できるルートだったとしても、セルラーネットワークは輻輳する可能性があり、帯域幅を増やす必要性がセルラーとWi-Fiを集約する正当な理由になるかもしれませんが、バッテリレベルなどの多くの要因によってそれが軽減されることも考えられます。

ネットワークの一部のプレゼンスでは、このすべてを追跡し、ポリシーに照らしてバランスを調整しなければなりませんが、そのようなシステムの場合、ネットワークで数多くの調整されたインテリジェンスが必要になります。

Wi-Fi 6は、このすべてを適切に機能させるためのもう1つの要件であり、旧世代のWi-Fiの機能では、5Gのサービス品質と決定論的な期待に対応することはできません。

 

ユーザーが気にする必要はない

私たちが使用するネットワークに注意を払う必要がなくなり、持っているべき考えが奇妙に思える日がそう遠くない将来に来るでしょう。ユーザーにWi-Fiからセルラー、またはその逆への移行を手動で管理するよう求めるのは妥当ではなく、それは自動的に行われるべきです。

モバイルデバイスが期待どおりに動作するよう、今こそより優れたデバイス、ネットワーク、管理レイヤーを構築するとともに、より優れたポリシーを設計すべきときであり、その目的を達成するまでのロードマップは明確です。

 

Wi-Fiと5Gの統合: リーダーのためのアドバイス

  • 今日の企業が無線ネットワークで成果を向上させているのと同じように、ネットワークの機能も大きく向上していきます。
  • Wi-Fiとセルラーは異なりますが、ユーザーはその違いを気にする必要はなく、各自の作業を進めることができるはずです。
  • テクノロジーを最大限に活用したい場合、企業は新世代のテクノロジーを受け入れる必要があります。

この記事/コンテンツは、記載されている個人の著者が執筆したものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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