データバックアップ戦略が失敗に終わる5つの理由

オンプレミスのデータバックアップソリューションはコストがかかる可能性があることがわかっているうえ、パブリッククラウドソリューションでは規制要件に対応できない場合があります。社内で従量制のデータバックアップモデルを確立して両者のメリットを最大限に活用する方法をご確認ください。

バックアップはITの世界で最も魅力的なテーマではなく、ビジネスにとってきわめて重要なものです。データを失えばビジネスも失われてしまう可能性があります。

タスクの重要性から、オンプレミスでのバックアップの実行は大部分の企業で主流のアプローチとなってきました。セキュリティとプライバシーの観点から、ファイアウォール内にデータを維持することのメリットは明らかですが、こうした対応にはデメリットもあり、機器を取得するための初期費用がかさむうえ、トレーニングを受けたスタッフにバックアップを実行させる必要があります。また、新たな需要に迅速に対応するためのスケールアップが難しく、コストのかかるオーバープロビジョニングと容量不足のリスクのバランスを調整しなければならないため、キャパシティプランニングも容易ではありません。

さらに、クラウドを使用することでこうした問題のいくつかを解消しようとすると、制御が失われてプライバシーやセキュリティの問題が生じるうえ、予期せぬネットワークの問題が発生してバックアップデータにアクセスできなくなる可能性もあります。

しかし幸いなことに、今日では、クラウドのあらゆる長所と機密データを安全に保護してさまざまな地域のデータコンプライアンス規制への対応をサポートするオンプレミスのアプローチを組み合わせて提供する、「両者のメリットを最大限に活用することが可能な」オプションを利用できます。これは、ベンダーがハイブリッドITプラットフォーム向けの課金、監視、消費モデルを企業に提供する、従量制のITモデルによって実現されるわけですが、この方法で提供されるサービスの1つであるバックアップに関して、ベンダーは必要な機器、アプリケーション、プロセス、および管理機能を含むエンドツーエンドのサービスを提供し、顧客の拠点でそれを展開することが可能です。

ビジネスにもたらされるメリットは大きく、バックアップ計画の最も重要な部分にリソースを集中させる支払いモデルをベースにプロバイダーと連携できるといったことが挙げられます。また、単調なバックアップ作業ではなく、収益の向上につながるより創造的な業務にスタッフを振り向けるとともに、よりシンプルなコストと課金のアプローチを取り入れ、ビジネスの拡大に合わせて新たなワークロードを導入するときに、プロバイダーがデータを厳重に監視して常に正しい方向へと導いてくれるという安心感を得られます。さらに、確かなバックアップ計画を策定し、機能停止による生産時間の損失を減らすことで、組織あたりの1年間のコストを152億ドルも抑制できるというメリットも注目すべきポイントです。

オンプレミスインフラストラクチャで従量制のIT環境を実現するためのブループリント

 

以下に従来のバックアップ戦略が失敗に終わる5つの理由を示します。

 

1. ルーチンタスクに時間がかかりすぎる

バックアップは、重要であると同時に困難を伴います。バックアップを実行するにあたっては、計画の策定、管理、監視、およびトラブルシューティングが必要ですが、大部分のIT部門がすでに過負荷状態にあることを考えると、これはおそらく望まれない悩みの種となります。IDC社によると、ITスタッフはハードウェアの設置や導入、システムの監視、ソフトウェアのパッチの適用や更新といったルーチンタスクの処理に時間を費やしすぎていますが、バックアップも膨大な時間が必要とされるタスクです。実際、IT部門の管理者と運用スタッフがビジネスの推進につながる可能性があるイノベーションや新たなプロジェクトに費やしている時間は、1週間の中でわずか14.5%にとどまっています。

このような理由から、社内でバックアップを処理しようとするのではなく、従量制モデルをベースとするバックアップソリューションを導入する企業が増えていますが、このようなソリューションは、バックアップなどの毎日行わなければならないITタスクを引き受けることにより、ITスタッフが実際にコアビジネスの差別化につながる可能性があるプロジェクトに注力できるようにします。また、こうしたソリューションはコスト効率も高く、IDC社の分析結果によると、このアプローチを導入することで削減される時間と得られる生産性の価値は、100ユーザーあたり年間2万9,037ドルに相当します。

これまでのIT部門は、パッチや更新プログラムなどのサポートサービスを提供したり、自社の運用環境に新しい機能を追加したりなど、ビジネスに対してリアクティブでした。しかし、ITインフラストラクチャが企業の成長を支える重要な存在になりつつある中、今日のIT組織は革新的かつプロアクティブな対応で自社のビジネスニーズの先を行かなければなりません。これはつまり、従来のサポート役の枠を超えてサービスを提供することを意味します。

 

2. 制御が失われる

オンプレミスではなく、主にパブリッククラウド環境でデータをバックアップしていると、データの脆弱性が高まります。たとえば、病院ではパブリッククラウドプロバイダーの環境に患者の情報をバックアップすることはなく、企業は多くの場合、顧客データや知的財産といった機密情報の保護を強化したいと考えています。ネットワークの問題が発生して突然バックアップデータへのアクセスが遮断されると、何時間にもわたって不安定な状態が続く可能性がありますが、パブリッククラウドでは、データプライバシー、セキュリティ、および保護に関する慢性的な悩みを完全に解消することはできません。

オンプレミスのIT消費モデルのメリットは、負荷の高い作業を他社に任せると同時に自社の環境でアプリケーションやデータをセキュアな状態に維持できる点にあります。また、バックアップするデータの料金を支払うだけで済むため、事前のハードウェアコストが不要になります。ITサービスを迅速に提供すると同時に自社のリスクとコストを最小限に抑えることを強く求められているITチームには、このバックアップのアプローチが必要です。よりセキュアな環境を構築すればリスクが軽減され、障害が起きることが少なくなります。

 

3. CAPEXが多すぎる

IT企業では、バックアップシステムのセットアップなどの新たなITプロジェクトでハードウェアやソフトウェアに対する大規模な投資を行い、数か月を費やして新しいシステムを稼働させるのが一般的です。そして最終的には、アプリケーションを実行するためのまったく新しい高額なハードウェアが多数設置されることもありますが、多額の資本支出はITに対する古い見方を象徴するものです。

これに関してはより効果的な方法があり、事業部門のリーダーは従量制のアプローチを導入することでITコストを管理して収益と整合させ、より柔軟な対応を行うことができます。こうしたシナリオでは、企業がベンダーと連携してオンプレミスでバックアップ機能をセットアップし、各月の使用量に基づいて課金が行われます。また、必要なときに十分な容量を確保できるよう、外部のITプロバイダーがバックアップを監視し、企業側は最小限の使用量に関して合意を交わしますが、自社のITニーズに合わせてバックアップ容量を増やしたり減らしたりすることが可能です。このようなエンドツーエンドのソリューションには通常、バックエンドストレージと管理サーバー、およびバックアップソリューション用のソフトウェアとオペレーティングシステムが含まれます。

もう1つのメリットとしては、ITプロバイダーがオンプレミスで使用する機器をビジネスニーズに確実に対応させてくれる点が挙げられます。IDC社の調査によると、一般的な大企業ではIT機器の約45%が5年以上使用されていますが、これはより新しくエネルギー効率の高いテクノロジーをベースとする先進的なシステムの管理機能とセキュリティの方がはるかに優れているにもかかわらず、多くの企業が古くて効率の低いIT機器の管理に資金を投じていることを意味します。古いテクノロジーを保持することで生じるコストとリスクは新しいテクノロジーのメリットを打ち消してしまいますが、こうしたアプローチを導入すれば、ITプロバイダーが必要なテクノロジーを確実に提供してくれます。

最新のハードウェアを購入しなければならないというプレッシャーを感じることの多いIT部門にもメリットがあり、バックアップサービスプロバイダーがお客様に代わってオンプレミスにハードウェアを設置し、ハードウェアがバックアップの要件を満たしていれば、不必要なアップグレードの費用を支払わなくて済むようにしてくれます。結局のところ、近くの食料品店との間の往復が移動の大半を占め、トヨタの車で事足りているのであれば、レクサスを購入する必要はありません。

 

4. キャパシティプランニングが推測で行われている

バックアップのキャパシティプランニングは、多くの企業にとって頭の痛い問題であり、現在のところ、単に今後数年間で必要になる容量を見積もって、その需要に見合った量のIT機器を購入している企業は少なくありません。また、組織の拡張のニーズの先を行くために環境を監視したり、現在の容量をはるかに上回る可能性がある突然の需要のピークを見込んだりしなければならないことが問題をさらに難しくしており、容量と需要をうまく合致させている企業がほとんどなく、必要以上の容量が確保される傾向にあるのも不思議ではありません。

幸いなことに、従量制のITアプローチでは容量不足を心配する必要がなく、一般的に、ITプロバイダーが提供するバックアップサービスには、必要に応じて使用できる容量のローカルバッファーが含まれています。また、十分な容量が提供されるようプロバイダーが絶えずバックアップを監視します。

たとえば、毎週平日に1回バックアップを行っており、後から週末にもバックアップを行うことを決定した場合、環境を監視しているプロバイダーは、そのような変化に気付いてプロアクティブに容量を追加することが可能です。また、予測分析によって今後数か月、さらには数年で必要になる可能性がある容量を予測できるため、ビジネスが中断したり、プロビジョニングサイクルが長期化したりすることがありません。容量不足が企業に悪影響を与える可能性があることを考えると、これはITマネージャーにとって魅力的なメリットと言えます。451 Research社によると、50%の企業が不十分なキャパシティプランニングに起因するダウンタイムを経験しています。

 

5. 課金が複雑すぎる

クラウドの使用量を追跡して (データの送信量と送信回数を監視および測定して) 計算と見積もりを行う方法は、多くの場合に複雑で時間がかかります。

課金の観点から、ITプロバイダーがお客様に代わってこのような課題に対応すれば、プロセスはきわめてシンプルになります。たとえば、お客様が3台のサーバーを使用しており、プロバイダーが請求期間中に各サーバーの最大のバックアップを1つずつ取ってそれらを集約する場合、1台目のサーバーの最大のデータバックアップが10TB、2台目のホストが15TB、そして3台目が22TBだったとすると、請求対象のデータは合計47TBとなります。

これは、従来のオンプレミスのバックアップソリューションで見られることが多いオーバープロビジョニングの結果として、必要以上の料金を支払ってしまう恐れのないシンプルな課金方式と言えます。

さらにプロバイダーは、事業部門ごとに個別にバックアップを処理することも可能です。これまでは、組織内の2つの部門が個別にバックアップを維持したいと考えた場合、必要な容量が2倍になっていましたが、従量制のモデルでは容量が共有される傾向にあり、月末に使用した分の料金を支払うだけで済むため、コストが最小限に抑えられます。

必要なバックアップの量が決まると、組織は必要以上の容量を確保したり、容量が不足したりすることに頭を悩ませなくて済むようになります。これに関しては水道料金のように使用料を支払うことになりますが、そのことについて心配する必要はなく、たとえば自動車メーカーは、ストレージデバイスの料金のことを気にせずに優れた車の開発に注力できます。

従量制課金のアプローチを導入することにより、企業は引き続き非常に柔軟な対応を行いながら、コストを管理して収益と整合させることができます。月額料金を請求される企業側は使用した分の料金を支払うだけで済み、使用量の監視と必要に応じた容量の追加は外部のITプロバイダーによって行われます。

多くの場合、このモデルは大規模な先行投資ではなく継続的な運用コストとして処理できるため、こうしたアプローチは大部分の組織、特にCFOにとって非常に魅力的です。

上記の5つのいずれかがバックアップのアプローチを制限する要因になっていることがわかった場合は、従量制の戦略を検討すべきときかもしれません。信頼できるITプロバイダーとともに従量制のITのアプローチを確立すれば、素晴らしいオンプレミスソリューションが手に入るうえ、引き続き強力なデータセキュリティとデータリカバリのメリットを得ながら、社内のITインフラストラクチャに対する多額の投資を回避できるようになります。

この記事/コンテンツは、記載されている特定の著者によって書かれたものであり、必ずしもHewlett Packard Enterpriseの見解を反映しているとは限りません。

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