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2020年1月10日

ハイブリッドクラウドについてチェックしておきたい5つの質問

複数のクラウドが統合されたハイブリッドインフラストラクチャの管理が、ますます難しくなっています。クラウドのスプロール化を防ぎ、コストを削減すると同時に、ビジネス利益を高める方法をご紹介します。

現在のITを象徴する、これまでになかった普遍的な真理とは、ハイブリッドクラウドの普及です。企業は、オンプレミス インフラストラクチャにパブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせることで、ハイパーコネクテッド環境を実現・維持しています。こうした環境では、すべてのユーザーとあらゆるデバイスがデータの生成と共有を行い、新しい価値を生み出し、ビジネスをさらに加速させています。

ITにおけるもう1つの普遍的真理は、ほとんどの企業が、場当たり的にハイブリッド環境に至っていることです。たとえば、ある事業部門では、スタッフが、プライベートクラウドのアプリケーションを利用し、開発者が、パブリッククラウドで展開環境を構築しています。そのようにして、環境がハイブリッド化したのです。この意図されずスプロール化したクラウドは、無用の複雑さ、費用のかかるオーバープロビジョニング、活用されないリソース、スキルギャップ、人材不足、固定資産への投資の集中、予測不可能なコストといった状況を招きます。

そうした状況が好ましいはずはありません。ハイブリッドクラウドを常に快適に利用したり、費用対効果と効率性を高めたりすることは可能ですが、それには、さまざまなハイブリッドソリューションの運用、管理、戦略的な利用に対する考え方を変える必要があります。これは簡単なことではありませんが、HPEでは、何千もの企業と連携した経験から、ハイブリッドモデルの採用時に数多く寄せられる質問への答えをご用意しました。次に挙げるアドバイスに従えば、想像以上に簡単にハイブリッド環境に移行することができるでしょう。さらに、その移行によって、事業利益を大幅に向上させることもできます。

 

質問1: アプリケーションを配置するのに最適な場所は、どのように判断すればよいですか?


企業から寄せられる最初の質問は、アプリケーションの配置先に関するものです。たとえば、ある企業が500ものアプリケーションをレガシーポートフォリオで稼働させており、それらには、開発中の新しいアプリケーションは含まれていないとします。その場合、アプリケーションの稼働に適しているのは、パブリッククラウドとプライベートクラウドのどちらなのか、Amazon Web ServicesなのかAzureなのかを、IT部門でどのように確認すべきでしょうか。そのままオンプレミスで稼働を続けた方がよいのでしょうか。企業としては、アプリケーションの稼働を最適化できる場所をどう判断すべきでしょうか。

まず、すべてのアプリケーションを対象に、包括的な棚卸しを実施しましょう。アプリケーションを別個に確認してはなりません。全体的なアプローチをとり、それぞれの依存関係も確認するようにします。

次に重要なのは、ビジネス上の優先順位と、そうした優先順位が各アプリケーションに与える影響を把握することです。次のような検討が例として挙げられます。パフォーマンスよりコストを考慮すべきか。価格の安いソリューションを重視して、パフォーマンスの面は妥協するか。コストを抑えるためにレイテンシの改善をあきらめるか。さらに費用をかけて、セキュリティとコンプライアンスを確保できる環境を目指すか。そのほかに、レガシーアプリケーションの扱いも考慮しましょう。それらを徐々に縮小しますか、それとも、モダナイズしますか。 

そうした検討を終えたら、影響度の分析を行い、アプリケーションの中でも最も簡単に移行できるものと、ビジネスと財務への影響が最も大きいものを判定します。それぞれに最適な配置先を判断できるのはその時点ですが、すべてのアプリケーションに対して一度に判断を行わないことが重要です。ビジネスに最も影響のある20のアプリケーションを判定して、ただちに対応を開始します。 

 

質問2: クラウド環境でセキュリティとコンプライアンスを確保できているかどうかは、どのようにして判断しますか?


企業にとって、セキュリティとコンプライアンスの確保が難しくなっています。現在、非常に多くの企業データが、データセンター以外の場所に存在するからです。そうしたデータは、パブリッククラウドやプライベートクラウドに保存されたり、SaaSプロバイダーに管理されていたりしています。それらをすべて保護し、法的規制に準拠させる必要があります。

本番環境を構築するときには、一貫した対応と標準化を行い、ファイアウォール、ロードバランサー、セキュリティパラメーターの設定を、組織全体で具体化しなければなりません。これを場当たり的に実施している例が非常に多く見られます。そうした環境では、各開発グループが、異なるクラウドと異なる標準を使用しています。すべてをオンプレミスで運用している場合は、環境全体を簡単に標準化できていても、クラウドではそのような統一が行われていません。 

コンプライアンスと標準化を維持するには、ツールやプロセスを提供し、自動化を実現する必要があります。さらに、監査を日常的に実施して、すべての開発者が同じ方法で本番環境を構築できるようにします。

また、マネージドコンプライアンス管理サービスの利用も検討しましょう。これにより、企業ガバナンス・規制ガバナンスとセキュリティを継続的にモニタリングできます。そのほかにも、改善を促すリアルタイムアラートや、規制機関との継続的な同調を可能にしたり、改善とクラウドのコンプライアンスに役立つ提案を得られたりします。

 

質問3: どうすれば、クラウドの経済性が、ビジネス価値の向上につながっていることを確認できますか?


すべてをクラウドに移行すれば、以前のインフラストラクチャコストの50%は削減できそうに思えますが、実際にはそうはいきません。多くのケースでは、削減どころか、逆に以前より支出が増えていて、少なくとも、実績のないビジネス事例では想定以上に費用がかかっています。451 Research社の最近の調査によると、対象となった企業の約40%では、クラウドに予算以上の定期的な費用をかけており、約10%が「大幅に予算オーバー」と回答しています。

クラウドサービスに3年間で300万ドルの費用をかけることを決定した企業が、それを3か月で使い切った、という事例を目にしたことがあります。結果としてCEOが失職しました。この企業では、クラウドの利用をまったく管理していませんでした。開発者が複数の環境を設けたり、いくつもの複製データを作成したりしていて、データセンターでは不可能だった無駄の多い方法で実務を行っていたのです。 

そのため、企業では、費用をかけている対象や、費用がどのように使われているかを正確にモニタリングする必要があります。ビジネス成果に見合うクラウドの経済性を維持しなければなりません。まず、パブリッククラウドとSaaSソリューションの予算に基準を設けます。基準設定とその後のモニタリングを怠ると、クラウドがスプロール化してしまい、費用全体が大きく膨らみます。

費用の管理にはさまざまな手法があります。たとえば、特定の開発者や事業で利用できる月額を割り当てて、その額を超えると強制的にクラウドを利用できないようにするというシンプルな方法をとることもできます。また、チャージバックモデルを使用すると、事業や事業部門別に請求書を確認できるため、それぞれの部署に費用を管理させることができます。

使用できる手法や仕組みは、企業文化によって異なりますが、全体的に重要なことは、データセンター以外での費用に対して管理と制限を行えるガバナンスモデルを持つことです。

 

質問4: どうすれば、クラウド運用に最適なスキルを持っているかどうかを判断できますか?


企業は、クラウドの専門技術を持つスタッフが不足しているという、深刻なスキルギャップの問題も抱えています。451 Research社の調査によると、ITスキルの中でも、クラウドプラットフォームの専門技術が、ほぼ定常的に最も不足しており、人材獲得競争が激化しています。そのため、マルチクラウドとハイブリッドクラウド環境を管理する十分なリソースを自社で確保していても、そうした管理をアウトソーシングではなく社内で行う場合の機会費用をよく考える必要があります。

では、どのようにしてスキルギャップに対処し、場合によっては社員を再教育するか、それともサードパーティに依頼するべきかを判断すればよいでしょうか。まず、アプリケーションが現在稼働している場所と、将来予想される稼働場所を確認します。AWSなど、1つのプラットフォームのスキルを持つ技術者は、一般にその他のプラットフォームのスキルを持っていません。そのため、ハイブリッドクラウドを利用中の企業では、中核となるプラットフォームを決定したうえで、そうしたプラットフォームに対応可能なスキルを開発する必要があります。それ以外のプラットフォームのスキルは、サードパーティサービスで後から補うことができます。 

これらを判断するには、企業の専門性について自己評価を行う必要があります。大多数の企業では、自社のスキルセットを過大評価していますが、徹底的に客観視して評価することが重要です。これを行えるさまざまなベンダーや、このために活用できる多数の認定資格制度があります。 

また、トレーニングは社員への投資でもあり自社への投資でもあると認識することも重要です。これにより、適切な人材を適切な業務に配置することに注力できるようになり、それを遂行するための投資計画を立てることができます。 

 

質問5: 複数のクラウドの運用をスムーズに行えるように、簡素化するにはどうすればよいですか?


ハイブリッドソリューションの管理は、非常に複雑になっています。1つの企業で400種類ものSaaSソリューションが利用されていることも少なくありません。そうしたソリューションのどれもが、データベースに接続し、CRMソリューションとも連携し、データセンターともつながっています。 

SaaSソリューションだけではありません。企業では通常、複数のパブリッククラウドを利用していますし、オンプレミスのプライベートクラウドを利用していることもあるでしょう。そうした場合、多数のコンソールや、多種多様な運用モデルを使用したいとは誰も考えませんし、異なる形式の発注や請求が同時に発生するのも望ましくありません。複数のクラウドの運用を簡素化して、業務をスムーズに行えるようにすべてを共通化し、統一するに越したことはないのです。 

そのためには、複数のクラウド全体で共通した、ツールセット、プロセス、方法を開発しなければなりません。まずアプリケーションの稼働場所を決定したら、そうした選択が、クラウド全体での運用の標準化にどのような影響を与えるかを考えます。そうした検討を怠れば、所有コストが膨れ上がり、管理が非常に難しくなります。

また、すべてのクラウド運用を統一できるサードパーティとの契約も検討しましょう。これにより、共通のダッシュボードでポータルを統一するとともに、クラウドサービスの消費と購入の方法を共通化できます。451 Research社の調査によると、ハイブリッドクラウド環境を持つ企業の65%が、ワークロードの一部を外注しています。

 

価値とビジネス利益を最大限に高める


ハイブリッドクラウドは非常に複雑化しており、多くの企業が、多額の投資に見合うだけの価値を得られていません。しかし、ここで取り上げた5つの質問とその答えが、改善の指針として大いに役立つはずです。これらの参考にすることで、投資した対象を最大限に活用できるうえ、ビジネス利益を最大限に高められるでしょう。

 

ハイブリッドクラウドのベストプラクティス: リーダーのためのアドバイス

 

  • アプリケーションの棚卸しを実施して、各アプリケーションを該当の業務要件に一致させ、適切なクラウドに配置します。
  • ハイブリッド環境でセキュリティとコンプライアンスを維持します。これを行うには、複数のクラウド、オンプレミス インフラストラクチャ、SaaSアプリケーション全体で、ルールを標準化します。
  • ハイブリッドインフラストラクチャ管理の一部をアウトソーシングすることを検討します。これにより、共通のダッシュボードを使用して運用方法をクラウド全体で統一したり、クラウドサービスの消費と購入の方法を共通化したりすることができます。

この記事/コンテンツは、記載されている個人の著者が執筆したものであり、必ずしもヒューレット・パッカード エンタープライズの見解を反映しているわけではありません。

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