2019年7月19日

従量制ITベンダーに尋ねるべき5つの重要な質問

世の中には多種多様なIT消費モデルが存在しています。パートナーとなるベンダーの選択にあたっては、どの企業のモデルがニーズに最適かを見極めることが必要です。

多くのIT組織が抱えている共通の課題として、レガシーなインフラストラクチャの維持管理に伴う負担が大きく、戦略的な優先事項に費やすべき時間を奪われていることが挙げられます。事実、IDC社の調査によると、ITスタッフの業務時間の約80%が、ビジネス競争力を高めるためのイノベーションではなく、「差別化につながらない重労働」に費やされています。
こうした状況を背景に、IT組織の負担を軽減する先進的なアプローチという触れ込みで、従量制ITソリューションを売り込むベンダーが増加しています。
しかしながら、IT-as-a-Serviceベンダー各社のソリューションは多種多様で、用語の厳密な意味では従量制ITソリューションと呼べないものさえ存在しているのが実状です。
以下では、こうした点を見極めるために、ベンダーに尋ねるべき5つの質問をご紹介します。

 

1. 御社のビジネスモデルについて具体的に説明してください。

IT運用の改善に関する提案をベンダーから受けた場合は、その提案が意味するところを正確に把握する必要があります。そのベンダーのビジネスモデルにおいて「改善」とは何を指すのかを明らかにすることが大切です。
従量制ITモデルは、より効果的な計画とプロビジョニングを可能にし、業務の効率化とコストの削減に貢献します。しかしながらIDC社が指摘しているとおり、世の中には一見同じようなIT消費モデルが数多く存在しています。例えば、従量制、複数年リース、ハードウェアの所有と運用のアウトソーシング、IT機器移行オプション、CAPEXによる所有と内部管理/メンテナンスなど、その形態はさまざまです。
先進的な従量制モデルとは、パブリッククラウドのアジリティや経済性と、オンプレミスインフラストラクチャのセキュリティやパフォーマンスを融合した、ハイブリッド型のアプローチでなければなりません。こうしたハイブリッド型のアプローチは、組織が業務を簡素化し、また実際に使用したITサービスやリソース分の対価のみを支払うことを可能にします。そのため組織は多額の先行投資を抑制、あるいは完全に排除できます。
その他のアプローチは性質が大きく異なり、ベンダーの中にはIT-as-a-Serviceにうわべを似せただけのモデルを提供している企業も存在します。
例えば一部のベンダーが提供しているモデルでは、顧客が従来型モデル内のハードウェアやソフトウェアの購入を求められる可能性があります。こうしたアプローチは従量制とはまったく異なるものであり、キャッシュフロー、ROI、およびコミットメントに独自の影響を及ぼします。このモデルのマイナス面は、顧客が当該機器を購入する頻度が低く、数年に1回程度であることです。そのため顧客は将来的なニーズを予測しなければならず、過剰購入による投資の無駄が生じがちです。
同様にリースの場合も、初期購入コストはかかりませんが、一定期間にわたって契約した料金を支払い続けることになります。このことは、将来的な必要性がはっきりしないまま、プロビジョニングレベルを決定することを意味します。そのため前述のアプローチと同様にオーバープロビジョニングが発生しがちで、従量制サービスならではの経済的メリットが得られません。

 

2. メータリング機能を提供していますか。

Gartner社のレポートによると、「2020年までに80%の組織で、コスト最適化アプローチの不足により、Infrastructure as-a-Service (IaaS) 予算の超過が発生する」と予測されます。また同レポートでは、「2020年までに、最適化を行うことなくリフトアンドシフト方式でクラウドIaaSに移行した組織の45%が、最大55%ものオーバープロビジョニングに陥り、最初の18ヶ月間の過剰支出は70%に達する恐れがある」ことも指摘されています1。

こうしたコストの抑制に有効なアプローチの1つがメータリングで、使用状況を把握できるだけでなく、データ分析を通じてより掘り下げた情報を引き出すことも可能です。(なおメータリング機能の重要性は、オンプレミスやパブリッククラウドベースのIT環境でも変わりません。)
しかしながら驚くべきことに、少なくとも1つのベンダーが、各月の消費量を予測することを顧客に求めています。実際の使用量が予測した値に近ければ、容量単価が引き下げられ、予測が低すぎた場合にはより高い単価が適用されます。
強力なメータリングツールは、このような不条理な仕組みを不要にします。メータリングツールを使用すれば、誰がどのサービスをどのような目的で使用しているのか、また購入したサービスがフル活用されているかどうかを正確に把握することでコストを抑制でき、当て推量を行う必要がなくなります。
例えば、組織によってはストレージ容量を約半分しか使用しておらず、稼働率をせめて70%に引き上げたいと考えています。メータリング機能を使用すれば、使用量を正確に把握することで無駄な投資を排除し、100%という経済的な稼働率を達成することも可能になります。
消費計画および支払いには、確かなメータリングアプローチが欠かせません。そのためどのようなメータリング機能を提供可能であるか、ベンダーに正確な説明を求めてください。ベンダーの中には、驚くほど初歩的なツールしか提供できていない企業も存在します。使用状況を (きめ細かく) 追跡するための高度な機能に加えて、進行中の状況の可視化、傾向の特定、ITニーズの予測などが可能な成熟した消費分析ポータルを提供できるかどうかは、ベンダーの選定における重要なポイントです。

 

3. ポートフォリオは充実していますか。

従量制のIT環境は、一部のベンダーが顧客に信じ込ませようとしているほど単純なものではありません。
この分野に参入間もないベンダーは、自身が提供可能な1つまたは2つのソリューションに重点を置きがちです。例えばストレージベンダーや仮想化ベンダーは、ごく限定的な従量制課金ソリューションのみを提供している可能性があります。
しかしながら従量制課金ITが効果を発揮するためには、顧客が求める成果に応じて多様なサービスを提供できなければならず、さもなければ真の価値をもたらすことはできません。
例えば、ある組織が非常に特殊なワークロードである、ハイパフォーマンスコンピューティング向けインフラストラクチャの運用を望んでいるとします。ITチームはこのワークロードをどのように運用するか、またベンダーからどのような支援を得られるかを考察する必要があります。これに対して、組織がAzureスタックをプライベートクラウドとして運用することを望んでいるケースも考えられます。これはまったく異なるアーキテクチャーであり、ワークロード要件も大きく異なることが予想されます。また組織がコンテナーの実行や仮想マシン環境の拡張を望んでいる場合は、それらのワークロードに特化したインフラストラクチャが必要になります。
こうした要件は、ベンダーに求めるサポートや成果の優先順位を考えるうえで、重要な判断基準となります。注目すべきは製品そのものよりも、ベンダーがワークロード要件に対応可能かどうかであり、ベンダーとの対話にあたっては、その能力の見極めに時間をかけることが大切です。

 

4. この事業を始めてどれくらいになりますか。

事業分野によっては、遅れて参入した企業がベテラン企業と同等あるいはそれ以上の競争力を発揮できますが、従量制ITの分野ではそうしたケースは稀です。
長年の経験を有する企業は、ITスタッフのニーズを的確に把握できます。また顧客の声を反映した、堅牢かつ幅広いソリューションポートフォリオを保有しています。こうした企業の製品は、時間の経過とともに洗練されており、不具合も解消されています。また継続的な取り組みを通じて、卓越した専門知識と経験も蓄積されています。
さらに成熟した企業はその多くが、広範なパートナーエコシステムを構築しています。このことは、非常に特殊なワークロード要件が存在する場合にも、パートナーの支援を得て、顧客のニーズに応えられる可能性が高いことを意味します。ベテランの従量制課金ベンダーの中には、顧客の目標達成を資金面で後押しするファイナンス部門を保有している企業も存在します。こうした企業が提供している包括的なパッケージは、大多数の新参企業には真似のできないものです。
包括的なソリューションは一夜にして構築できるものではありません。従量制ITベンダーとの契約にあたっては、その企業が提供可能な機能を事前に入念に確認することが必要です。

 

5. 必要なサービスは含まれていますか。

従量制ITモデルとは、オンプレミス環境の制御権を譲渡するものではなく、信頼できる外部アドバイザーの支援により、IT運用の負担を軽減することを目的とするものです。こうした目的の一部は、顧客のニーズに応える方法を熟知している経験豊富なサービスプロバイダーの関与を必要とします。
as-a-Serviceモデルにおいて最も重要なのは優れたサービスエクスペリエンスですが、ベンダーの中には従量制ITをハードウェアを販売するための新たな手段と捉えている企業も存在します。このような企業は、そうした目的を阻害するプロフェッショナルサービスモデルを最小限に抑制しがちであるため、顧客は従量制ITのメリットを十分に得られません。
必要なサービスが提供されなければ、予期せぬコストや時間の無駄が発生する可能性があります。顧客は新たなスキルを習得したり、従業員のトレーニングに投資したり、単純作業のための支援を提供したりしなければならず、as-a-Serviceモデルを利用する意味が失われかねません。
成熟した有能なベンダーは、こうした負荷の大半を顧客に代わって担うことができ、顧客の要望があればIT環境全体を管理することも可能です (通常は追加料金が発生します)。大多数の顧客は業務を簡素化して、「差別化につながらない重労働」から解放されることを願っています。ベンダーとの契約にあたっては、どのようなサービスが契約に含まれており、どのようなサービスについては追加コストが発生するのかを正確に理解することが大切です。
従量制ITは組織の運営を抜本的に変革します。この成果ベースのIT消費モデルによりIT環境は劇的に簡素化され、組織はより優先度の高い事項にリソースを振り向けることが可能になります。さらに重要な点として、このモデルではパブリッククラウドとオンプレミスITの両方のメリットが提供されます。
ただし、ベンダー各社のIT消費モデルは多種多様であることに注意してください。そのため適切な質問を通じて、ニーズに最適なソリューションを提供可能なベンダーを見極めることが大切になります。


Gartner社、「Ten moves to lower your AWS IaaS costs」、2017年4月25日初版、2018年10月15日改訂。 

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