機関投資家向けサービスを支える、高性能・高信頼ストレージ基盤を確立
ニッセイ情報テクノロジー株式会社 様
所在地:東京都大田区蒲田5丁目37番1号 ニッセイアロマスクエア
URL:https://www.nissay-it.co.jp/
NIT-XNETのインフラにHPE Primeraを新たに採用、処理能力と耐障害性の大幅な向上を実現
日本生命グループの資産運用ソリューションの提供で先進的な取組を行うIT企業であるニッセイ情報テクノロジーでは、大規模機関投資家向け有価証券運用管理ソリューション「NIT-XNET」を提供している。本ソリューションは、機関投資家の資産運用業務を支える重要な役割を担っているため、極めて高い性能・信頼性・可用性が求められる。そこで今回、同社では、そのストレージ基盤に「HPE Primera」を新たに採用。オンライン/バッチ処理能力と耐障害性の大幅な向上を実現している。
業種
情報サービス業
ビジョン
機関投資家向け高信頼サービスの提供
戦略
高いインテリジェンスを備えた最先端プライマリストレージを採用
成果
• ストレージのIOPSをリード/ライトとも約20倍に向上
• 障害や計画停止に伴うダウンタイムをゼロにすることに成功
• 設置スペースが約1/3に削減されデータセンター費用の削減に貢献
日本生命グループのIT戦略を担う先進システムインテグレータとして幅広い領域にわたるソリューションを展開
日本生命グループのIT戦略会社として、1999年に誕生したニッセイ情報テクノロジー。同社では、グループ各社の情報システム構築で培った豊富な経験を活かし、「保険・共済」「年金」「ヘルスケア」の3領域を中心に多彩なソリューションを提供している。
まず「保険・共済」領域では、商品/サービスの提案から契約、長期間にわたる契約情報の管理、保険金支払いなど、多種多様な保険業務をトータルにカバー。保険・共済のプロとして、先進性・信頼性の高いサービスを提供している。また「年金」領域では、重要な社会インフラを維持する堅牢なシステムと法改正などに即応する柔軟性で多くの企業/公共団体の年金業務を支援。さらに「ヘルスケア」領域でも、各種ソリューションの提供を通して医療・介護業務の効率化に貢献している。
事前のコンサルティングからシステム開発/運用、ビジネスプロセス・アウトソーシングに至るまで、クオリティの高いサービスを一貫して提供できる総合力も同社の大きな強みだ。また、AIをはじめとする最先端テクノロジーをフル活用し、顧客企業のDXを加速する取り組みも進めている。
有価証券運用管理ソリューション「NIT-XNET」の新たなサービス基盤構築に着手
こうした同社のソリューションの中でも、生保/損保会社をはじめとする大規模機関投資家の資産運用業務を支えているのが、有価証券運用管理ソリューション「NIT-XNET」だ。ニッセイ情報テクノロジー 資産運用ソリューション事業部 ソリューション開発ブロック 上席スペシャリスト 中村良太氏は、「機関投資家のお客様は様々な資産を運用することで収益を得ていますが、有価証券だけを取っても国内株式、海外株式、債券、デリバティブ商品など様々なものがあります。これらを管理するには大変な手間が掛かる上に、法制度や会計基準の改正などにも対応していかなくてはなりません。これらの課題を解消し、効率的な資産運用業務を実現するのが、NIT-XNETの役割です」と説明する。
NIT-XNETの特長としては、資産運用業務システムに求められる機能を網羅し、フロント業務とバック業務の一貫処理が可能な点が挙げられる。これにより同じデータ項目、内容に基づいた形で両業務が行えるため、業務処理全体の効率化が実現。また、データベースの情報をBIツールやオフィスソフトなどで自由に抽出・加工することもできる。加えて、FISC安全基準に準拠した設計を行うなど、セキュリティ/ガバナンス面でも抜かりはない。これらの点が高く評価された結果、大手生損保をはじめとする機関投資家14社が導入。その管理資産総額は、実に150兆円を超えるという。
もっとも、機関投資家の重要な業務を担うだけに、そのサービス基盤には極めて高い信頼性・可用性が要求される。「たとえば、機関投資家のお客様は、日々売買され変動する有価証券の評価額を毎日算出しなくてはなりません。たとえ一日分でもこのデータが無いと、監督官庁への報告などに重大な支障を来すことになります。従ってNIT-XNETも、『一営業日も絶対に止めない』ことを念頭に置いて、サービス基盤の設計・運用を行っています」と中村氏は語る。
こうした中、今回実施されたのが、ある大規模ユーザー向けのサービス基盤再構築プロジェクトである。NIT-XNET自体はASP型でサービスを提供しているが、その裏側で稼働するサーバー/ストレージなどは、個々のユーザーごとに専用の環境が用意されている。そこで今回の案件についても、最新鋭のハードウェアを活用し、より高い性能・信頼性・可用性を備えたインフラの実現を目指した。
高い性能・信頼性・可用性を評価し「HPE Primera」を新たに採用
今回のインフラ刷新にあたっては、ストレージの処理能力強化が重要なポイントとなった。中村氏は「NIT-XNETはディスクI/Oが頻繁に発生するシステムですので、リード/ライトの両面でできるだけパフォーマンスを引き上げたいと考えました。たとえば、夜間だけでなく日中にもバッチ処理が走るのですが、これが遅いとシステムの操作感などにも影響します。こうした点を改善する上でも、ストレージの性能を高めることは非常に重要です」と語る。
加えて、もう一つのポイントが、先にも触れた高信頼性・高可用性の確保である。中村氏は「元々NIT-XNETでは、ディスクや電源はもちろんのこと、コントローラ、回線、ネットワーク機器など、すべてのコンポーネントを冗長化しています。SPOF(単一障害点)をつくらない思想で設計されているため、これまでもSPOFに起因したサービスに影響を及ぼすようなトラブルは経験していません。とはいえ、万全の上にも万全を期したいと考えていますので、今回のストレージについても、より高い信頼性・可用性を備えた製品を選びたいと考えました」と続ける。
こうしたニーズをすべてクリアできる製品として新たに採用されたのが、日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)の高性能・高信頼プライマリストレージ「HPE Primera」(以下、Primera)である。Primeraは、オールフラッシュやストレージクラスメモリに最適化されたオールアクティブ・アーキテクチャを採用しており、重いトランザクションも高速に処理することができる。さらには、AIによる分析・障害予測分析をクラウドベースで行う「HPE InfoSight for Storage」を用いることで、「100%の可用性」も保証している。「『100%の可用性』と聞いた時には少々驚きましたが、仕組みを知ってなるほどと納得しました。信頼性・可用性を徹底的に追求する製品思想は、NIT-XNETのコンセプトとも合致します。これなら安心してサービスに適用できると判断し、Primeraの導入を決めました」と中村氏は語る。
圧倒的なシンプルさを活かし、インフラの短期構築に成功
このように卓越した性能と高い信頼性・可用性が高く評価されたPrimeraだが、その他にも大きな特長が備わっている。それは「圧倒的なシンプルさ」だ。ラックへの設置からアプリケーション稼働までに掛かる時間は約20分。プロビジョニングも数秒で行える上に、ストレージOSのアップグレードも1クリックで実施することができる。実際のシステム構築作業でも、これらの点が大きく寄与。中村氏は「新しいハードウェアでインフラを構築する際には、とかく予期せぬトラブルに見舞われがちです。その点、今回のPrimeraについては、非常にスムーズに構築作業を進められました」と満足げに語る。NIT-XNETでは、各ユーザーの業務要件に応じてアプリケーションのカスタマイズも行っているため、インフラ廻りで無駄な時間を取られないことは大きなアドバンテージとなる。
なお、今回の案件ではオールフラッシュモデルの「HPE Primera A650」が採用されているが、Primeraにはその他にも同じくオールフラッシュモデルの「HPE Primera A630/670」、あるいはコンバージドモデルの「HPE Primera C630/650/670」なども用意されている。「お客様の規模や要件に応じて、最適なモデルが選べるのはありがたいですね」と中村氏。また、万一の大規模自然災害などに備えるべく、HPEのバックアップアプライアンス「HPE StoreOnce」、並びにリアルタイム同期方式を用いた2種類の遠隔バックアップ/レプリケーションシステムも用意されている。
パフォーマンスを約20倍に向上、ダウンタイムもゼロに
Primeraを導入したことで、NIT-XNETのサービスにも数多くのメリットが生まれている。まず一点目は、システムのパフォーマンスを大きく引き上げられた点だ。これまで利用していたストレージと比較して、IOPS値はリード/ライト共に20倍以上もアップ。中村氏は「この結果、運用管理業務とお客様向けサービスの両面で大きな改善効果が得られています。たとえば前者では、夜間バッチの処理時間を劇的に短縮できました。元々NIT-XNETでは、万が一夜間バッチ処理にエラーが発生した場合も、翌朝のオンライン開始までにもう一度実行できるようにサイジングしています。これがPrimera導入後は、さらにもう1回バッチ処理を廻しても、十分間に合うようになりました」と力強く語る。
また、ユーザー企業側でも、日中バッチ処理のレスポンスタイムが向上。システム内のデータをBIツールなどで分析する際にも、より快適に作業が行えるようになった。「問い合わせの結果が迅速に戻ってくるため、これまでより複雑なSQL文を駆使されるケースも増えています。やりたいことがストレスなくできるようになったという意味でも、お客様のビジネスに貢献できているのでは」と中村氏は続ける。
加えて、信頼性・可用性の面でも、大幅なレベルアップを実現している。現在ではたとえエンクロージャーをまたいだRAID構成時のエンクロージャー障害や、読み取りキャッシュのミラーリング時のコントローラ障害などが発生した場合も、問題なくサービス稼働を継続することができる。中村氏は「従来の環境では、平均して約1.5年に1回程度の頻度でハードウェア障害が発生。また、2年に1度くらいは計画停止も行っていました。その点、Primeraは、本番稼働開始から約2年にわたりハードウェア障害はゼロ。計画停止も1度もありません」と中村氏はにこやかに語る。
インフラコストの削減にも寄与、次世代ソリューションでの活用も視野に
さらには、インフラコスト削減の面でもPrimeraが役立っているとのこと。中村氏は「従来ストレージと比較して設置スペースが約1/3に減りましたので、その分データセンターへのロケーションコストも抑えられます。導入検討の段階でも、できるだけコンパクトなストレージにしたいと考えていただけに、この点でも期待通りの製品でしたね」と語る。
ちなみに、NIT-XNETでは、フロント・バック・インフラが一体となった強固な障害監視体制を敷いており、24時間・365日体制でサービスの安定稼働を支えている。こうした取り組みを進める上でも、Primeraが大きく寄与。「アラート通知やヘルスチェックなど、予防保守に役立つような仕組みが充実している上に、当社のインフラ運用監視システムともスムーズに連携できます。長年にわたり、ミッションクリティカル分野の製品を手掛けてきたHPEの知見が感じられますね」と中村氏は語る。
既に20年の歴史を誇るNIT-XNETだが、次世代ソリューションへの進化に向けた検討も進められている。中村氏は将来に向けた展望を「今後はクラウドが重要なキーワードとなりますが、インハウスで自社の環境を持ちたいというお客様も一定数いらっしゃるはずです。Primeraはそうした際の有力な選択肢となり得ますので、『HPE GreenLake』などのサービスとも併せて引き続き活用を図っていきたい。我々にとってHPEは重要なパートナーですので、今後の提案や支援にも大いに期待しています」と語った。
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