進化するプライベートクラウド基盤、加速する革新的なサービス開発・提供

株式会社インターネットイニシアティブ 様

所在地:東京都千代田区富士見2-10-2 飯田橋グラン・ブルーム
URL:https://www.iij.ad.jp/

インターネットイニシアティブがHPE Primeraストレージを採用し、高性能・高信頼なストレージ環境をいっそう強化

インターネットイニシアティブ(IIJ)が、法人・個人サービス向けクラウド基盤「Next Host Network(NHN)」のストレージ環境を最新化した。NHNは、IIJのサービス事業部門が独自のアプリケーション/SaaSを開発・提供するための中核システムであり、多様な法人・個人向けサービスがここから提供されている。新たに採用されたインテリジェントストレージ「HPE Primera」は、既存ストレージ比で2倍以上の高性能を発揮し、あらゆるワークロードを安定的かつ高信頼に稼働させている。

業種

通信・クラウドサービス

 

ビジョン

法人・個人サービス向けクラウド基盤Next Host Network(NHN)をより高性能・高信頼に進化させ、サービス開発・提供を加速

 

戦略

ストレージシステムの最新化により性能と信頼性を向上させ、NHNの安定的なサービス提供能力を強化

 

成果

• HPE Primeraオールフラッシュ/ハイブリッドアレイによりサービス基盤全体の性能と信頼性を向上

• 新設のHPE Primera C630と既存HPE 3PAR StoreServ 8000を統合的に運用可能に

• 自社でのHPE Primeraのセットアップ、増設、メンテナンス、アップデート等が可能に

ご導入製品

HPE Primera C630


第6世代Next Host Networkの更なる進化

 

ネットワーク、クラウド、セキュリティ、モバイル、インテグレーション――インターネットイニシアティブ(IIJ)が提供する法人向け・個人向けサービスが大きな広がりを見せている。1992年に日本初のインターネット接続事業者として創業したIIJは、日本のインターネットを技術面でリードし続けてきた存在だ。高度な技術力を武器に事業領域とビジネス規模を拡大させ、現在はICTソリューションプロバイダーとして強い存在感を示している。基盤エンジニアリング本部の設樂大記氏は次のように話す。

「IIJでは、法人向けネットワークサービス、セキュリティサービス、クラウドサービス、アウトソーシングサービス、アプリケーションサービス、法人・個人向けモバイルサービス、システムインテグレーションまで幅広い事業を展開しています。これらを含め、数多くのサービスが『Next Host Network(NHN)』と呼ばれる独自のクラウド基盤から提供されています。特性の異なる多様なワークロードを統合的に扱い、24時間365日無停止で運用されるビジネスクリティカルな環境です」

NHNは「仮想化されたリソースプールを切り出して柔軟に利用可能なシステム基盤」として2008年に開発され、ネットワークの冗長化・広帯域化、オールフラッシュアレイの採用と可用性強化など着実に進化を重ねている。最新のNHNは第6世代にあたり、サーバーの規模は数千台規模に達する。

「NHNの基本方針は『徹底的なコストパフォーマンスの追求』と『サービス品質と運用効率の高水準での両立』であり、これは第6世代NHNにも正しく継承されています。松江・白井にIIJのノウハウを結集した自社データセンターを構築し、ラックあたりのサーバー集約率を大幅に高め、リモートでインフラ機器の設定やメンテナンスを行う環境も整備しています」(設樂氏)

「予期しない問題が発生する前提に立ち、迅速なサービス復旧が可能なシステム」というのがNHNの設計思想であり、高度なリモート管理は必須だ。物理サーバーの障害対策として、サーバーやネットワークの切り替えを自動化する仕組みも作り込まれている。

「サーバーはディスクレスとして障害のリスクを最小化し、必要なデータはすべてiSCSIストレージ上に配置しています。多数のサーバーとワークロードとデータを集約するストレージは、サービス基盤であるNHNの根幹を支えていると言っても過言ではありません。私たちがストレージ製品に高い性能と信頼性を求める理由はここにあります」と設樂氏は言う。

2021年12月、IIJはNHNのストレージ環境を最新化した。IIJが選択したのは、最新鋭のインテリジェントストレージ「HPE Primera」である。

HPE 3PARの後継機であるHPE Primeraを採用

 

HPE Primeraは、大容量メモリプールを中心に、コントローラーあたり4つの「第6世代HPE ASIC」がクラスターを構成する「オールアクティブアーキテクチャー」を採用した最新のストレージ製品である。クラウドのようなシンプルさと俊敏性に加え、ミッションクリティカルなアプリケーションを支える高いパフォーマンスと信頼性を併せ持つ。IIJの社内向けクラウド基盤NHNに採用されたのは、2コントローラーを搭載するHPE Primera C630だ。

「NHNでは、2019年よりHPE 3PAR StoreServ 8000をメインストレージに使用しており、稼働実績や運用管理性を高く評価していました。HPE Primeraはその後継機として、同等以上の性能と信頼性を備えていること、手順や枠組みを変えることなく既存システムと統合的に運用できることを評価しました。また、オールフラッシュ構成だけでなく、SSD/HDDのハイブリッド構成が可能なことも私たちにとっては重要なポイントでした」(設樂氏)

HPE Primeraは、HPE 3PAR StoreServの長年にわたる技術的蓄積を基盤に開発された。新開発の「HPE Primera OS」は、複数のコントローラーによる並列処理を最適化してパフォーマンスを最大化するとともに、コントローラー障害に際しては瞬時にフェイルオーバーを実行しサービスを継続できる。シンプロビジョニング、インライン重複排除・データ圧縮などの実効性に対する評価も高い。

「HPE Primeraの実機を用いて導入前の検証を行いました。性能面では、シンプロビジョニングを利用しても、IIJの標準ベンチマークで既存機の2倍以上のIOPSを発揮することが確認できました。また、可用性・耐障害性のテストでは、擬似的なポート障害、ノード障害時を発生させ、正常にフェイルオーバーされることを確認しています」と基盤エンジニアリング本部の齋藤慶氏は話す。

技術力を活かした自社運用・自営保守

 

NHNの設計思想である「予期しない問題が発生する前提に立ち、迅速なサービス復旧が可能なシステム」を可能にしているのが、基盤エンジニアリング本部が独自に開発した統合管理基盤を起点とする運用管理体制である。

「限られた技術者でNHNという大規模システムを安定的に運用していくために、統合管理基盤で全体を俯瞰的に捉えながら、適材適所でシステムごとの管理ツールを使い分けています。人的なミスを排除するために運用手順の自動化にも取り組んできました。HPE Primeraは、これまで築き上げてきた様々な手順や枠組みをそのまま適用できることがやはり大きいですね」と基盤エンジニアリング本部の稲森景氏は話す。

HPE PrimeraではHPE 3PAR StoreServと共通のGUIベースの管理コンソールが提供されるが、稲森氏らはコマンドラインインターフェイス(CLI)を主に使うという。

「軽快に動作するCLIやAPIは、多くのシステムを運用する私たちにとってGUIよりはるかに使い勝手が良いものです。HPE PrimeraのCLIやAPIはHPE 3PARと共通なので、違和感なく扱うことができました。また、これらのCLIやAPIを用いてHPE 3PAR向けに大量のVMに対するボリューム割り当てを自動化する内製スクリプトも手直しすることなくHPE Primeraに適用できています」(稲森氏)

インテリジェントストレージを謳うHPE Primeraの特長のひとつに「シンプルかつ容易な運用」がある。代表例がHPE Primeraソフトウェア(OSおよびファームウェア)の自動アップデートだ。ユーザー企業のストレージ管理者の操作により、1クリックで、安全かつ自動的に、わずか5分で更新できる。ハイエンド~ミドルレンジのストレージで「セルフアップデート」が可能な製品は市場でも極めて限られる。

「自社構築、自社運用を基本としているIIJにとって、セルフアップデートを含む自営保守が可能なHPE Primeraには、コスト面でも大きなメリットがあります」と設樂氏は言う。

多様なサービス開発・提供を支えるストレージ基盤

 

NHNは、法人・個人の顧客に向けて開発・提供される多様なサービスを「共通基盤」として支えている。直接的なユーザーであるサービス事業部門は、サービスの要件ごとに最適な冗長化構成やバックアップ環境などを、IaaSであるNHN上に作り込むことができる。

「HPE Primeraを含め最近のストレージ製品では様々な機能を利用できますが、NHNでは極力プレーンな状態で使いたいと思っています。独自に作り込んできた管理基盤や自動化の仕組みを活かしたい、ストレージ機能に起因する不具合を回避したい、という2つが大きな理由です。自分たちが必要なものは自分たちで作る、というのはIIJの文化と言えるでしょう。一方で、HPE Primeraではシステムのメトリクスの収集しやすくなったので、こうした機能は積極的に活用していく考えです」(稲森氏)

設樂氏は、AIベースの予兆検知が可能なクラウドサービス「HPE InfoSight」や、オンプレミス環境を従量制/定額制で利用できる「HPE GreenLake」にも関心を示す。特に、システム資産を費用化でき、予備リソースを事前に導入可能なHPE GreenLakeはサービス事業者にとってメリットが大きい。

HPE Primeraの導入プロジェクトを振り返りつつ、設樂氏は次のように話して締めくくった。

「基礎体力が高く全体のバランスもいいHPE Primeraは、多様なワークロードが混在するNHNには理想的な選択肢でした。HPE独自のASIC、CPUの負荷をオフロードできる点もユニークですね。HPE Primeraの導入により、性能、信頼性、運用すべての面で、安心して利用できるストレージ基盤を整備できたと考えています。将来予測の難しい時代ではありますが、これから投入される新サービスの成功も、既存サービスの更なる成長もしっかりと支え続けてもらえることを期待しています」

(写真左より)
株式会社インターネットイニシアティブ 基盤エンジニアリング本部 基盤技術部 サービス基盤運用課 設樂大記氏 / 基盤エンジニアリング本部 基盤技術部 サービス基盤技術課 齋藤慶氏 /基盤エンジニアリング本部 基盤技術部 サービス基盤技術課 稲森景氏


ご導入製品情報

HPE Primera

卓越した耐障害性とパフォーマンスに加えてクラウドの俊敏性を備えた、ミッションクリティカルなアプリケーションに最適な、世界をリードするインテリジェントストレージです。


本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス

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導入ハードウェア

HPE Primera C630