HPE Nimble Storageを仮想化基盤に採用し、金融系システムに欠かせない高い性能と信頼性を確保
HPE InfoSightによる予兆監視で安定稼働も実現
「あおしん」の愛称で親しまれる青梅信用金庫では、各種の社内業務システムを収容する仮想化基盤の全面再構築を実施した。ここでは、金融機関のITインフラに求められる高い性能・信頼性やセキュリティを確保すると同時に、インフラコスト削減や運用管理の効率化を図ることが求められた。同金庫では、これらの要件をすべてカバーできる製品として、日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)の「HPE Nimble Storage」と「HPE ProLiant DL380 Gen10」を採用。数多くの成果を挙げることに成功している。
業界
金融
目的
信用金庫の基幹業務を補完する各種業務システム用仮想化基盤を刷新し、インフラコストの削減やリソース有効活用、運用管理の効率化などを推進すること。
アプローチ
「HPE Nimble Storage」+「HPE ProLiant DL380 Gen10」による新仮想化基盤を導入。
圧縮・重複排除機能や先進的なクラウドベースの人工知能(AI)管理ツールである「HPE InfoSight」も活用し、高信頼で柔軟なインフラを確立する。
ITの効果
・「HPE Nimble Storage」を導入し先進的なストレージ環境を実現
・ハイブリッドモデルを採用し性能要件とコスト要件を両立
・「HPE InfoSight」による効率的な運用管理環境を実現
・インライン圧縮・重複排除機能の活用によりIT投資対効果を向上
ビジネスの効果
・金融系システムに欠かせない高い信頼性・可用性を確保
・ファームウェア改ざんにも対処できるセキュアな環境を確立
・新たなビジネスニーズや市場環境変化への即応を実現
・遠隔地データセンターを用いたDR(災害対策)構築も容易に
ご導入製品
VMware vSphere
VMware ESXi
VMware vCenter
信用金庫業務を下支えする仮想化基盤の再構築を実施
大正11年(1922年)の創業以来、一貫して地域密着の事業活動を展開し続けてきた青梅信用金庫。2022年3月に創立100周年を迎える同金庫では、創業以来の精神である「共存同栄」の理念の下、現在も個人向け/法人向けの多彩な金融サービスを提供している。また、地域貢献活動に積極的に取り組んでいるのも同金庫の大きな特長だ。国内有数の市民マラソンとして知られる青梅マラソン大会への協賛を長年にわたり行っているほか、多摩川を軸に魅力ある地域づくりを目指す団体「多摩川フォーラム」への応援活動も行っている。ちなみに、同金庫では、地域顧客との親密な関係を築き上げることを「のめっこい」と定義している。これは、同金庫の事業エリアでもある西多摩地域/埼玉南西部地域の言葉で、「手触りがなめらか」「親しみやすい」などの意味を持つ。同金庫も「のめっこい信用金庫」として、地域の課題解決型金融に邁進しているのである。
その同金庫において、今回実施されたのが、社内仮想化基盤の再構築プロジェクトである。同社事務部システム課課長 山本昌彦氏は、「当金庫では情報インフラのスリム化/最適化に早くから取り組んでおり、勘定系システムなどの基幹システムについては、2004年に共同システムへの移行を済ませています。また、基幹業務を補完するその他の業務システムについても、2012年頃より仮想統合に着手。従来は個別の物理サーバーで構築していたシステム群を、VMware vSphereによる仮想化基盤に集約してきました」と説明する。この取り組みは大きな成果を挙げ、サーバーなどの機器台数も大幅に減らすことができた。しかし、当時導入した製品群もそろそろリプレース時期を迎えたことから、最新テクノロジーを活用してより最適な形に改めることを目指したのだ。
元々旧仮想化基盤に関しては、ハード/ソフトも含めて全て国内の大手ITベンダーの製品で統一していた経緯がある。しかし、今回の取り組みにおいては、この方針をゼロベースで見直した。同社事務部 システム課課長代理 礒部慶洋氏は、その狙いを「一社に全部おまかせの方が、面倒な手間が掛からないことは確かです。しかし、これからの時代にマッチしたインフラを目指す上では、やはりいろいろな製品をきちんと吟味した上で導入したい。特に今回は、IT投資対効果の改善を重要テーマとして掲げましたので、これまでの経緯に囚われず最適なものを選ぼうと考えました」と語る。
圧縮・重複排除機能に着目し、HPE Nimble Storageを採用
こうして仮想化基盤の刷新に着手した同金庫では、市場に提供されている様々な製品/ソリューションをチェック。その結果、新たに導入されたのが、HPEの高性能・高信頼ストレージ「HPE Nimble Storage」(以下、Nimble Storage)である。礒部氏はNimble Storageに着目した理由を「最大の決め手は、高効率なインライン圧縮・重複排除機能を装備している点です。旧環境のストレージにはこの種の機能が備わっていなかったため、新規サーバーを追加する際などにディスク増設を強いられることも多かった。その点、Nimble Storageなら、ストレージリソースをより有効に活用できます」と語る。
加えて、もう一つのポイントが、金融機関の厳しい要求にも応えられる高い信頼性・可用性を有している点だ。「前述の通り基幹システム自体は共同化しているものの、仮想化基盤にも自動振替や有価証券管理などの業務システムが数多く収容されています。当金庫にとっての重要性という意味では、基幹システム本体と何ら変わりがありません」と山本氏は説明する。ディスクの三重障害にも対応できる「トリプルパリティ+RAID」を実装するNimble Storageであれば、こうした事業活動の根幹を担う重要システムにも問題なく適用できる。山本氏は「HPEからは、99.9999%の可用性を備えているとの説明を受けましたので、信頼性・安定性の面で不安を感じるようなことはありませんでした」と続ける。
さらに、サーバーについても、同じくHPEの高性能ラックサーバー「HPE ProLiant DL380 Gen10 サーバー」を導入。礒部氏は「当金庫でも以前からHPEのサーバーを利用していますが、大きな障害やトラブルもなく安定稼働を続けてくれています。そこで新仮想化基盤用のサーバーについても、迷わずDL380 Gen10 サーバーを選びました」と語る。ちなみに、Gen10 サーバーに搭載されるHPE独自開発のシリコンチップ「HPE Integrated Lights-Out 5(以下、iLO 5)」は、ファームウェアの改ざんを検知して自動復旧する機能も装備している。長期間にわたってシステムを利用し続ける中では、現在はまだ顕在化していない脅威に直面することも考えられる。しかし、iLO 5のセキュリティ機能を活かすことで、こうしたリスクも回避することが可能だ。
青梅信用金庫
事務部 システム課
課長
山本 昌彦 氏
青梅信用金庫
事務部 システム課
課長代理
礒部 慶洋 氏
約20台の業務サーバーを新環境へ移行、HPE InfoSightの予測分析機能にも高評価
今回の導入・構築作業については、HPE製品に関する豊富な経験とノウハウを有する日本ビジネスシステムズ(以下、JBS)が担当。同社では、持ち前の高いシステムインテグレーション力とプロジェクトマネジメント力を最大限に活かすと同時に、金融機関のシステムに求められる信頼性の確保や稼働中VMの安全な移行作業などを行い、新たなインフラの実現を目指す取り組みを強力に支援した。「6年前のシステムということもあり、OSのバージョン問題などで多少移行に苦労した面もありました。しかし、Nimble StorageやProLiantサーバーなどのハードウェア廻りに関しては、特に問題になるような点もなくスムーズに導入できました」と礒部氏は振り返る。ちなみに、OSについては当面そのままの状態とし、移行作業が落ち着いてから改めてアップデートを行う予定とのこと。現在では約20の業務サーバーが新仮想化基盤への移行を済ませており、2019年11月より無事本番稼働を開始している。
また、この過程において、その有用性が大きくクローズアップされてきたのが、AI/ビッグデータ分析技術による予測分析機能を備えた運用監視プラットフォーム「HPE InfoSight」(以下、InfoSight)である。礒部氏は「Nimble Storageの採用を決めてからInfoSightの存在を知ったのですが、非常に素晴らしい仕組みだと感心しましたね。ハードウェアの状況がクラウドから常時監視されている上に、もし障害の予兆などが検知された場合にはすみやかに通知や対応も行ってもらえます。おかげで、面倒な手間を掛けることなく、インフラの安定稼働を維持できるようになりました。また、Nimble StorageだけでなくProLiantサーバーも監視対象にできるとのことですので、安心感は格段に高まりましたね」と満足げに語る。金融機関のシステムは高い公共性・社会性を有しているだけに、障害やシステムダウンなどが発生してからの対応では間に合わないケースも多い。その点、InfoSightを利用すれば、先んじて必要な手を打つことが可能だ。
InfoSightの使い勝手にも、高い評価が寄せられている。「ユーザーインターフェースがシンプルで分かりやすく、圧縮・重複排除率やストレージの使用状況推移なども簡単に確認できるので大変便利ですね」と礒部氏は語る。なおInfoSightには、ストレージ本体だけでなくVMware環境の可視化やパフォーマンス分析などを行う機能も備わっているが、この点についても大きな関心を抱いているとのこと。礒部氏は「以前はハードウェアとVMware環境の監視を別々のツールで行う必要がありましたので、操作が非常に煩雑でした。これをInfoSightで一元化すれば、運用管理負担も大きく軽減できますので、今後積極的に活用していきたいと考えています」と続ける。
ストレージ容量を約1/4に削減、インフラの性能・信頼性向上にも成功
Nimble Storageを導入したことで、同金庫のインフラにも様々な改善効果が生まれている。まず一点目は、インライン圧縮・重複排除機能によるストレージ容量削減だ。「当初は容量を3割程度減らせればと考えていましたが、実際に運用を開始してみたところ、実容量の約1/4程度にまで容量を削減できました。これほどの効果があるとは驚きでしたね」と礒部氏は満足げに語る。今後はOSの更新作業なども控えているため、一時はディスク増設を検討していたとのこと。しかし、インライン圧縮・重複排除機能が大きな効果を発揮していることから、当面は増設の必要なしと判断。礒部氏は「IT投資対効果の最大化が今回の大きなテーマでしたから、新規投資を抑えられたのは大変良かった」と続ける。今回のプロジェクトを支援したJBSでも、5年ごとのシステム入れ替え負担を軽減する長期保守提案などを行うことで、コスト削減に向けた取り組みを後押し。山本氏は「システムを長く使い続けることができれば、それだけ更新作業の回数も減らすことができます。これにより、数百万円規模のコスト削減が図れますので、当金庫としても非常に大きいですね」とにこやかに語る。
さらに、インフラの性能・信頼性も大きく向上。今回同金庫ではハイブリッドモデルの「HPE Nimble Storage HF20」を採用しているが、Nimble Storageにはハイブリッドモデルでもオールフラッシュ・ストレージ並みの性能を実現する独自アーキテクチャ「CASL」(Cache Accelerated Sequential Layout)が装備されている。このため、パフォーマンスに不満を感じるような場面は全くないとのこと。「旧環境では、DBのチューニングを徹底的に行うなどしてレスポンスを稼いでいましたが、Nimble Storageはこうした苦労をしなくとも簡単に必要な性能が得られます」と礒部氏。また、山本氏も「今後新たなサーバーをどんどん追加していっても、ストレージがボトルネックになる心配をしなくて済むのはありがたい。信頼性についても事前の説明通りで、全くトラブルなく安定稼働を続けてくれています。金融機関の重要なインフラにも、安心して導入できる製品という印象ですね」と語る。加えてJBSでも、「HPEプロアクティブケア」のさらなる活用や、InfoSightによるESXiの監視対象化など、運用負担軽減と可用性向上に向けた取り組みを支援していく構えだ。
金融機関には顧客の個人情報なども多数蓄積されているため、そう簡単にはクラウド化に踏み切れない面もある。それだけに、オンプレミス仮想化基盤に掛けられる期待は非常に大きいとのこと。「ハードウェアについてはHPEへの全面移行を決断したわけですが、性能・信頼性、セキュリティなどあらゆる面で納得のいく成果が得られたと感じています。今後は、まだ物理環境で残っているサーバーの集約を進めていくと同時に、Nimble Storageのレプリケーション機能を用いたDR環境の構築なども検討していきたい」と展望を語る山本氏。地域貢献を目指す同金庫の事業活動を、今後もHPEのソリューションが下支えしていくのである。
ご導入製品情報
HPE Nimble Storage
SSDとHDDを最適に組み合わせて活用する独自技術によって、圧倒的なスピードとTCO削減に貢献する経済性を両立できる予測分析フラッシュストレージです。
ソリューションパートナー
本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス
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導入ハードウェア
導入ソフトウェア
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