お客様導入事例

株式会社テプコシステムズ 様

データ駆動型アプローチとシステム開発変革でゼロカーボンエネルギー社会の実現へ疾駆

株式会社テプコシステムズ 様

所在地:東京都江東区永代2丁目37番28号
URL:https://www.tepsys.co.jp/

プロジェクトを挙げたアジャイル推進で、開発組織の変化に大きな手応え

テプコシステムズは、東京電力グループをITとエンジニアリングでサポートするプロフェッショナルである。電力の安定供給とゼロカーボンエネルギー社会の実現を両立するというグループの大きな事業構造変革を受け、既存領域での技術の磨きこみと、ゼロカーボンエネルギー社会の実現をITで支援するという目標に向けた取り組みを展開している。特に後者においては、同社のクラウドサービス上に徹底的なデータ活用のためのプラットフォーム「TEPCO Data Hub on TEPcube」構築を主導。その物心両面のパートナーとしてHPEを選んだ。同社がこのプラットフォームでめざすビジネスモデルとは何なのか。そしてなぜHPEだったのか。そこには、グループで掲げた変革への強い意志と、変革を実現する同社の高い技術力があった。

業種

情報サービス

 

ビジョン

TEPSYS DXによる業務変革の推進

 

戦略

既存領域での技術の磨きこみと、ゼロカーボンエネルギー社会実現への貢献

 

成果

• 4つのサービスプロダクトをローンチ

• データ利用アプリケーションを整備

• 「as a Serviceモデル」によりハードウェア/ソフトウェアなどのライフサイクル管理から解放

• アジャイル人材がビジネスアジャイルセンターとしては140名、TDHとしては80~100名程度の体制にまで拡大


ITとエンジニアリングのプロフェッショナル

 

テプコシステムズは、東京電力をはじめ東京電力グループ企業をサポートするIT&エンジニアリングのプロフェッショナルである。設立以来、業務システム、監視・制御システム、解析システム、確率論的リスク評価を含む原子力エンジニアリングなど、幅広い情報技術で東京電力グループの経営に貢献し続けている。

現在、東京電力グループでは電力の安定供給とゼロカーボンエネルギー社会を両立するという大きな事業構造変革というビッグビジョンに基づいたDXを進めている。これを受け、テプコシステムズも2つの重点施策を掲げている。株式会社テプコシステムズ ビジネスアジャイルセンター 副所長 望月 大輔氏は、次のように語る。

「私たちの組織・取り組みを一言で表すと、『守る』と『攻める』の両立です。『守る』はこれまでも、これからも非常に重要であり、電力の安定供給のため、基幹システムや制御システムの開発・保守を、高い技術力でしっかり達成していきます。一方、これからは『攻める』も注力して取り組んでいく必要があると認識しています。これまでの進め方や考え方から自らを解放し、攻める姿勢で、私たち自身も試行錯誤しながら、東京電力グループに新たな地平線を示すために、DXやゼロカーボンエネルギー社会の実現という大きな取り組みに挑戦しています」

「TEPSYS DX」にテプコシステムズのビジョンが結集

 

つまり、同社はITで東京電力グループ変革の一翼を担っている。同社 執行役員 中嶋 好文氏は語る。

「当社は東京電力グループにおいて『この事業変革で確かな役割を果たしてくれ』と、強い期待が寄せられています。今、東京電力グループ自身が大きく変わっていこうとしており、さらなる電力安定供給やゼロカーボンエネルギー社会の実現をめざすというときに、そこには必ずITが必要だからです。私たちも、テプコシステムズが置かれている立場の重要性は十分に認識しており、成否のカギは私たちが握っているというぐらいの覚悟と使命感を持って臨んでいます」

そうした中、「TEPSYS DX」は、同社のこうした思いが結実したものだ。「安心で快適なくらしのため エネルギーの未来を切り拓く」という東京電力グループの新経営理念に呼応し、東京電力グループのDX実現に貢献し、さらに自らもDXによる業務変革を推進するため、同社はこれをビジョンとして定めた。

「TEPSYS DX」は、データやデジタル技術の徹底利用を核としており、たとえば、コミュニティ型クラウドサービス「TEPcube」の導入により、セキュリティと高可用性を兼ね備えた環境を提供し、東京電力グループや企業が安全にクラウドを利用できるようにしている。また、アジャイル開発やデザイン思考を取り入れたインキュベーションセンター「tepsys labs」を設立。IT企業ならではの俊敏性を活かし、オープンな環境での革新的な開発体制を確立している。これらによって狙うのは、既存事業の生産性を飛躍的に高めると同時に、新たなビジネスモデルやサービスを創出し、非連続の改革を実現することだ。「オープン」「スピード」「コ・クリエーション」を行動原則として、様々な活動を推進してきている。

徹底的なデータ化を実現するプラットフォーム「TEPCO Data Hub on TEPcube」

 

新たなビジネスモデルは、確かに形になりつつある。その代表が「TEPCO Data Hub on TEPcube」だ。これは「TEPcube」に、あらゆる事象や知識をデータとして過去から現在まで蓄積した上で、価値を創出していくという目的で構築されているDXのためのスケールの大きなプラットフォームだ。TEPCO Data Hub on TEPcubeは大きく「取得」「蓄積」「利用」という3つのフェーズから構成されている。

「取得」では、東京電力グループを含む社内外の各種情報・知識・ノウハウ、これらをITシステムやOTシステム、さらにはそれ以外のプロバイダを通じてデータとして取得する。取得したデータは「TEPCO Data Hub」に「蓄積」し、それらのデータは、AI、生成AI、データ分析、さらにはアプリケーションなどを駆使して、個人の需要家や様々な企業との価値共創、また東京電力グループ社員の生産性向上のために「利用」される。

「このような形でDXのためのプラットフォームを構築できたのは、非常にタイムリーでした。『TEPcube』は2020年、もともと東京電力グループでの利用から始まったIaaSでした。このクラウドサービスのさらなる発展形を見極めようとしていたときに気づいたのが、東京電力グループは大きな設備産業であるということでした。設備からは毎日膨大なデータが出ています。ならば、私たちはインフラを提供するだけではなく、そのデータを加工するプラットフォーマーになるべきだと考えました。データ活用で新しいビジネスを創出したいという東京電力の意向に触れ、必要なプラットフォームはテプコシステムズが運営を担いPaaSとして提供していきたい、と私たちの方からアプローチをしてこのプロジェクトが実現しました」。中嶋氏はTEPCO Data Hub on TEPcubeが誕生した経緯をこのように語る。

アジャイル開発への思い

 

テプコシステムズは、「TEPSYS DX」でも盛り込まれているとおり、一連の取り組みをアジャイル開発で進めることを重視している。ビジネスアジリティを実現するフレームワークである米国Scaled Agile社「SAFeⓇ」を採用し、今やビジネスそのものや戦略の上流からアジャイル思考で考える文化を根づかせつつある。これは同社にとって顧客へ提供する価値を最大化させるためのビジネスモデル変革でもあるのだ。アジャイル開発へ思いを強める理由を望月氏は次のように語る。

「アジャイルには価値が早く届けられるというメリットがあります。従来のウォーターフォール型開発では、開発期間に2~3年かかると、お客様に価値を届けるのも2~3年後になります。しかし、アジャイル開発なら、開発期間を短く切って、段階的にお届けし、さらにそこから評価をいただきながら、より使いやすく、より利便性や価値の高い製品/サービスづくりができ、ビジネスと共に成長できるというところにアジャイルの重要性を感じています」

「TEPCO Data Hub on TEPcube」を支えるHPE製品群

 

今回、この徹底的なデータ活用を目的としたDXのためのプラットフォーム基盤に、HPE製品群が採用された。中核となっているのは、データ分析、機械学習、AIワークロードのための統合型分析およびデータレイクプラットフォームである「HPE Ezmeral Software」だ。また、そのインフラとして数々のサーバー製品も同時に採用された。さらに、運用基盤としてEdge-to-Cloudプラットフォーム HPE GreenLakeやITインフラからアプリケーションまでの監視、オペレーション、運用最適化をグローバル標準で提供するHPE Managed Servicesも重要な役割を果たしている。

なぜHPEだったのか

 

同社ビジネスアジャイルセンター DX戦略部長 髙橋 悠二氏は、HPEを選んだ理由を次のように語る。

「実は、検証はすでに別製品で進めていましたが、いろいろな事情があって、新たな製品を検討しなければいけなくなったときに、HPEが非常にいいタイミングで提案をしてくれました。そこで別製品と同様の処理を動かしてみたところ、性能が別製品より数倍よくて、これはいけるなと思ったのです。HPE Ezmeral Softwareに関しては、ハードウェアとソフトウェアがまるで一体であるかのようなソリューションとして提供され、そこにHPEのベストプラクティスも反映されている点もよかったと感じています。また、ほとんどのソフトウェアがオープンソースベースで、私たちのSEがこの分野の知識を深めるのにも役立つと考えましたし、HPEは外資系企業にも関わらず日本企業のようなところがあり、非常にサポートが手厚い点も魅力でした。さらに、当社で進めているアジャイル開発についてきてくれたことも大きかったと思います。『SAFe』はアジャイル開発手法そのものだけではなく、経営視点のマネジメントや、個々のエンジニアのマインドセットまでカバーしています。体系的に習得しないと理解が難しいところですが、HPEはエンジニアから営業担当者までトレーニングを受講して体制を組んだ上でプロジェクトに臨んでくれました」

加えて、HPE GreenLakeの存在もプラスに働いたようだ。柔軟性がありファイナンスの要素も含んだシステム調達のための仕組みは他になく、HPE GreenLakeの背景にあるサステナビリティ意識も、東京電力グループがゼロカーボンエネルギー社会の実現をめざす中で親和性が高いと判断された。

変革の今、そして未来

 

「TEPCO Data Hub on TEPcube」では、この一年、まずデータの「取得」「蓄積」にフォーカスし、データレイクなどのプロダクト開発を行い、これまでに4つのサービスがローンチされた。「利用」に関しても、単にデータを提供するだけではなく、利用しやすい形に加工して提供したり、ビジネスの最前線に使い勝手がいいようにアプリケーションを用意したりするなど、整備が進められている。

「tepsys labs」から発展したビジネスアジャイルセンターに在籍するアジャイル人材は、総勢約140名になった。社員比率でいうとすでに1割を超えている。スタート時は10名だったということから、規模は確実に大きくなっている。ここまでスケールできた要因として、まずはカイゼン感覚で小さな規模からボトムアップで取り組みを始め実績を積み重ねてきたことと、その後に『SAFe』によるトップダウンの対応と、「TEPCO Data Hub on TEPcube」という実践の場があったことが大きかったという。

そして何より、テプコシステムズとHPEのSEからなるプロジェクトチームには、今や大きな一体感が形成されているという。「TEPCO Data Hub on TEPcube」という徹底したデータ活用のための大スケールプラットフォーム構築に魅了されたエンジニアたちが、組織の壁を超えてスクラムを組み、ゴールに向かうプロジェクト、その未来は明るい。髙橋氏もHPEに期待をかけている。

「まったく新しい取り組みであるために、東京電力も、テプコシステムズも、まだまだ試行錯誤しているところであり、本当にチャレンジングですが、私たちは恐れずに前へ進みたい。そこにHPEも前がかりに加わって頂きたい。一体感のあるプロジェクトチームを作れたのを機に、新しい未来を切り拓く旅を私たちと一緒に歩んでほしい」

データ駆動のアプローチを採用し、ゼロカーボンエネルギー社会の実現に貢献するという東京電力グループの事業改革。それは、業界をリードして社会を変革していくというグループの強い意志と、それを推進するテプコシステムズの高い技術の融合があって成り立つ大規模プロジェクトだ。DXをITで支援するHPEは、同社の期待に応え、さらに貢献できるよう、しっかりと支えていく。

株式会社テプコシステムズ

執行役員
中嶋 好文 氏

株式会社テプコシステムズ

ビジネスアジャイルセンター
副所長
望月 大輔 氏

株式会社テプコシステムズ

ビジネスアジャイルセンター
DX戦略部長
髙橋 悠二 氏


ご導入製品情報

HPE Ezmeral Software

HPE Ezmeral Softwareは、データ分析、機械学習、AIワークロードのための統合型分析およびデータレイクプラットフォームです。

HPE GreenLake

HPE GreenLakeは、エッジ、コロケーション、データセンターでオンプレミスのワークロード向けに、従量制課金モデルでフルマネージドのパブリッククラウドサービスとInfrastructure as a Serviceを提供します。


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