自治体DXの推進基盤となる、「ニューノーマルPC」を整備

上越市 様

所在地:新潟県上越市木田1-1-3
URL:https://www.city.joetsu.niigata.jp/

上越市職員1,600名の業務のデジタル化と機動力の高い執務環境を実現するVDI環境を、HPE GreenLakeによるas a Serviceモデルで導入

上越市が自治体DXの推進基盤と位置づけ、「ニューノーマルPC」と呼ぶ仮想デスクトップ(VDI)環境の整備を進めている。オンラインでの業務推進、タイムリーな情報共有と意思決定、場所を選ばない柔軟な働き方の実現を目指す本環境は、HPE GreenLakeによるas a Serviceモデル(月額・従量制/定額制)で導入された。初年度600ユーザーからスタートし、既存PCのリプレースに合わせて段階的にVDI基盤を拡張しつつ、2024年度までに最大1,600ユーザーを収容する計画だ。注目すべきは、先行投資を抑制しながら「使用した分だけ支払う」クラウドライクな費用モデルの期待以上の効果である。

業種

自治体

 

ビジョン

「上越市ICTによる情報化推進基本方針」に基づき、デジタル技術を活用したより良い市民サービス、効率的でスピード感のある業務の実現を目指す

 

戦略

オンラインでの業務推進、タイムリーな情報共有と意思決定、場所を選ばない柔軟な働き方を支えるインフラとして仮想デスクトップ(VDI)環境を整備

 

成果

• HPE GreenLakeを採用し「自治体DXの推進基盤」としてのVDI環境を上越市の年度計画に合わせて整備

• HPE ProLiant DL385 Gen10 Plusサーバー/HPE NimbleストレージによりVDI基盤を構築し、「従量制課金」ならではのシンプルな費用処理と投資の最適化を実現

• 「as a Serviceモデル」によりハードウェア/ソフトウェアなどのライフサイクル管理から解放

• システムリソースの使用量を定期的に計測・評価し、リソース不足や過剰投資を回避


上越市のDXへの取組を支えるインフラ整備

 

上越市は、新潟県南西部、北信越地域の中央に位置する人口約18万5千の都市である。北陸新幹線、北陸自動車道、上信越自動車道、直江津港など、陸・海の交通ネットワークが整った地方都市として大きく存在感を高めている。上越市役所 総務管理部 総務管理課 情報政策室室長の水澤弘光氏は次のように紹介する。

「北陸新幹線の開業により東京との行き来が2時間あまりに短縮されるなど、利便性の高さが上越市の大きな魅力となっています。市内には上杉謙信公の居城であった春日山城跡や、桜の名所として親しまれる高田城址公園などがあり、歴史遺産と自然に恵まれた観光都市でもあります」

上越市では、2021年に策定した「上越市ICTによる情報化推進基本方針」に基づき、市民分野、産業分野、行政内部分野の3軸でデジタル変革に取り組んでいる。

「中でも、デジタル技術を活用したより良い市民サービスの実現と、より効率的でスピード感のある自治体業務への改革は喫緊のテーマです。機動力の高い執務環境を実現するためのVDI、高速な無線LAN環境、持ち運び可能なノートPCは、私たちのDXへの取組を支えるインフラとして三位一体で重要な役割を担っています」(水澤氏)

上越市では、高速な無線LAN環境を整備し、ノートPCの新規導入と合わせて市職員1􀆕600ユーザーが使う「仮想デスクトップ(VDI)環境」の導入を進めている。折しもコロナ禍を背景とするテレワーク/在宅勤務の推進において、LGWAN系システムへの庁外からのアクセス、Webミーティングなどのオンラインコミュニケーションへのニーズが拡大していた。自治体情報セキュリティの原則である「三層分離モデル」を遵守しながら、これらの要求に応えなければならない。

「ノートPCというひとつの端末で、セキュリティを確保しつつLGWAN系とインターネット系の両方を使えるようにすることがVDI導入の大きな目的です。具体的には、ノートPC本体をインターネット系端末とし、VDIによる画面転送方式でLGWAN系システムをセキュアに利用できるようにしました」(水澤氏)

上越市のVDI導入プロジェクトを全面的に支援したのは、上越エリアを中心にICTソリューションを提供する株式会社ジェーミックスである。同社地域ICTサポートセンター 企画営業チーム チーム長の石田直人氏は次のように話す。

「2020年にコロナ禍への対策として、LGWAN系システムを庁外からリモートアクセスで利用できる環境の整備をご支援させていただきました。これと並行してVDI環境の設計・構築を進め、2021年初頭に約600ユーザー向けにVDI環境の提供を開始しました」

HPE GreenLakeによる「ハイブリッドなクラウド体験」

 

上越市におけるVDI環境の導入で注目すべきポイントは、上越市自身がVDI基盤を構成するハードウェア/ソフトウェアを所有せず「サービスとして利用」していること。そして、パブリッククラウドと同等の「as a Serviceモデル(月額・従量制/定額制)」で導入していることである。この「オンプレミスVDIのクラウドライクな導入」について水澤氏は次のように話す。

「VDI環境は、庁内にあふれる紙を一掃し、オンラインでの業務推進、タイムリーな情報共有と意思決定、場所を選ばない柔軟な働き方を実現するための共通基盤として位置づけられるものです。私たちはこのVDI環境を『使用した分だけ支払う従量制課金モデル』で導入しています。システム管理やハードウェア/ソフトウェアのライフサイクルを気にする必要もありません」

上越市のVDI環境は、初年度600ユーザーからスタートし、既存PCのリプレースに合わせて段階的にVDI基盤を拡張しつつ、2024年度までに1,600ユーザーを収容する計画だ。VDI基盤を支えるのは、メニーコアの優位性を活かして多くのVDIユーザーを収容できる、AMD EPYC™プロセッサー搭載のHPE ProLiant DL385 Gen10 Plusサーバー。そして、優れた性能と信頼性を備えるHPE Nimble Storageである。

「年度単位でユーザーを増やしていき、使用した分だけ月額での費用処理が可能です。大きな先行投資を回避して支払いを平準化しています。私たちの要件に最適化したVDI基盤をカスタムメイドできるメリットも大きいですね。パブリッククラウドとオンプレミス双方の良さを併せ持つ、まさに『ハイブリッドなクラウド体験』です」(水澤氏)

上越市に新しいクラウド体験をもたらしたのは「HPE GreenLake」である。HPE GreenLakeでは、HPEが提供するサーバー/ストレージ/ネットワーク製品はもちろん、OSや仮想化ハイパーバイザーなどのソフトウェア製品や各種サービスを包括的に「as a Service(従量制課金によるサービス)化」できる。

VDI基盤のリソース見積と投資を最適化

 

VDI環境の整備で最も難しいのは、VDI基盤の正確なリソース見積と投資の最適化だ。性能を心配するあまり過大な投資になってしまう、あるいはコストを優先するあまり性能が不足してしまう、という例は珍しくない。上越市のVDI環境におけるジェーミックスの提案はユニークなものだった。石田氏はそのポイントを次のように語る。

「初年度600ユーザー分のVDI基盤を構築し、運用開始後のリソース使用量を計測しながら、次年度以降のVDI基盤の拡張計画に反映する方法をご提案しました。2024年度までに1,600ユーザーを収容することを前提に、必要なタイミングで必要な分だけ投資できるようにするアイディアです。HPE GreenLakeは、この戦略を具現化するために重要な役割を果たしています」

先に述べた通り、HPE GreenLakeはVDI基盤を構成するハードウェア、ソフトウェア、構築・保守サービスまで包括的な「月額費用化」が可能だ。

「HPE GreenLakeが、従量制と定額制を組み合わせて支払いモデルを柔軟にカスタマイズできることに着目しました。リソース使用量の計測に基づき拡張のタイミングと量を検討しつつ、上越市様が年間計画としてコントロールしやすいように、独自の『従量制課金モデル』を設計したのです」(石田氏)

実際に、2022年度に想定していたストレージの増設を翌年に先送りしてコストを抑制することができたという。さらにHPE GreenLakeは、システムの保守やライフサイクル管理という重荷からも上越市を解放した。

「私たちにとっては、VDI環境を『サービス単位』で管理している感覚です。いかに高度で複雑なシステムでも、サービスとしてパッケージ化されていれば、私たちが評価すべきコストは『使用量に基づく月額費用』という実にシンプルなものです。次年度の拡張や投資を適切に判断することも難しくありません」と水澤氏は評価する。

2025年度にはシステム更新が始まるが、HPE GreenLakeの「テクノロジーリフレッシュ」により、移行期間中のインフラ機器の重複コストを発生させることなく、最適なテクノロジーへスムーズに移行することができる。上越市は、フルカスタマイズで導入したVDI環境を「サービス」として利用し続けることができる。

また、前述した通り、VDI環境では「性能とリソース割り当ての最適なバランス」の見極めが重要だ。一般に、VDI基盤では必要な性能(=CPUコア数)を確保するために物理サーバーの台数が増えてしまう傾向がある。AMD EPYC™プロセッサー搭載のHPE ProLiant DL385 Gen10 Plusサーバーであれば、メニーコアを活かして性能とリソース、コストのバランスを最適化しやすい。

「ニューノーマルPC」の活用を通じて意識変革に挑む

 

上越市では、新たに整備されたVDI環境と端末を「ニューノーマルPC」と呼んでいる。市職員をデスクから解放し、外出先や自宅など場所を選ばずLGWAN系のメールやグループウェアなどの各種システム、インターネット系のWebブラウジングやクラウドサービスを利用できるこの環境は、市職員の働き方だけでなくデジタル活用に対する意識を変えつつある。

「市職員からは『想像以上に速い』という声が上っています。ニューノーマルPCを市議会本会議場やミーティングルームで利用することは当たり前になり、テレワークや在宅勤務など庁外での活用も進んでいます。場所を選ばず快適に業務を遂行できるこの環境は、DXの推進基盤として欠かせないものとなり、市職員のデジタル活用に対する意識の変革にも結びついています」と水澤氏は話す。

「想像以上の速さ」は、ジェーミックスの高品質なデータセンターファシリティ、データセンターと市庁舎を結ぶ10Gbps専用線(ジェーミックスの親会社である上越ケーブルビジョンが提供)、HPE ProLiant Gen10サーバーとHPE NimbleストレージによるVDI基盤、庁内に整備されたHPE Arubaの高速無線LAN環境などが一体となって実現された。

「HPE InfoSightの予兆検知と連携した万全のインフラ監視・保守フローを整備しており、上越市様にはシステムの稼働状況を意識していただく必要はありません。HPE GreenLakeとジェーミックスにより、すべてを『サービス』としてお届けします」(石田氏)

上越市にハイブリッドなクラウド体験をもたらしたHPE GreenLakeは、edge-to-cloudプラットフォームとして目覚ましい進化を続けている。ハイブリッド/マルチクラウド、コンピュート、ストレージ、ネットワーク管理のための先進的なサービス群は「HPE GreenLake Platform」からオンデマンドで利用できる。ハイブリッド/マルチクラウド環境のセルフマネージメント機能の大幅な強化を果たした「HPE GreenLake for Private Cloud Enterprise」にも注目したい。いま、HPE GreenLakeは、自治体・官公庁をはじめ、企業、組織のDXプラットフォームとして急速に支持を拡大している。

上越市のDXは行政内部分野から始まったが、今後は、市民分野・産業分野のあらゆる対象に対してDXへの取組がいよいよ本格化する。水澤氏は次のように結んだ。

「上越市 情報政策室では、これまでの経験・知見を活かして全分野のDXを横断的に支援する環境整備をさらに進めていきます。その起点となるのが『ニューノーマルPC』であり、この共通基盤の活用を通じて職員のデジタル変革に対する意識をさらに高め、DXの成果を着実に積み上げていきたいと考えています。ジェーミックスとHPEには、引き続き私たちのチャレンジを支えるテクノロジーとサービスを提供してもらえることを期待します」

上越市役所

総務管理部
総務管理課
情報政策室
室長
水澤弘光氏

株式会社ジェーミックス

地域ICTサポートセンター
企画営業チーム
チーム長
石田直人氏


ご導入製品情報

HPE GreenLake

HPE GreenLakeは、エッジ、コロケーション、データセンターでオンプレミスのワークロード向けに、従量制課金モデルでフルマネージドのパブリッククラウドサービスとInfrastructure as a Serviceを提供します。

HPE ProLiant DL385 Gen10 Plus

AMD EPYCプロセッサを使用し、仮想化およびメモリ中心のワークロードに対して高度なパフォーマンスを提供する安全で柔軟なサーバーです。

HPE Nimble Storage

SSDとHDDを最適に組み合わせて活用する独自技術によって、圧倒的なスピードとTCO削減に貢献する経済性を両立できる予測分析フラッシュストレージです。


ソリューションパートナー

株式会社ジェーミックス 様


本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス

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導入ハードウェア

HPE ProLiant DL385 シリーズ
HPE Nimble Storage AF60

導入サービス

HPE GreenLake