AI人材育成とAI研究を加速、文理融合の新学部が挑むDX

国立大学法人 群馬大学 様

所在地:群馬県前橋市荒牧町4-2
URL:https://www.gunma-u.ac.jp/

群馬大学情報学部がOpenShift Container Platformを採用し、AI教育とAI研究を両立させるML教育DXプラットフォームを整備

群馬大学は、AI/データサイエンス分野の教育に力を注ぐ文理融合の学部として「情報学部」を新設、2022年4月には学部用「教育用電子計算機システム」を新たに構築した。多様なユーザーが利用可能な「ML教育DXプラットフォーム」として、Society 5.0の時代を担うAI人材の育成、学部の研究者によるAI研究に活用されている。パナソニックソリューションテクノロジーとHPE Pointnextが、本システムの設計・導入をトータルにサポートした。AI/データサイエンスに代表される先端教育・研究への取り組みは、群馬大学のデジタルトランスフォーメーション(DX)へのチャレンジでもある。

業界

教育

 

ビジョン

新設の「情報学部」におけるAI人材の育成、学部研究者によるAI研究の推進、大学教育のデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現

 

戦略

「教育用電子計算機システム」を新設し、多様なユーザーが柔軟かつセキュアに利用可能な「ML教育DXプラットフォーム」としての活用を推進

 

成果

・NVIDIA A100 GPU 搭載のHPE ProLiant Gen10サーバーとRed Hat OpenShift Container Platformにより、多様なユーザーが快適に利用できる計算機システムを構築

・個人PCからのアクセス、学内IDとの連携、カタログ化など、ユーザーのITリテラシーを問わず利便性の高い環境を実現

・セルフサービスでの利用を促進し運用負荷を軽減


社会のリアルなニーズに応える情報学部を2021年に新設

 

群馬大学情報学部は、社会情報学部と理工学部電子情報理工学科情報科学コースの統合により2021年4月に新設された。人文社会系と数理科学系が融合し、AI/データサイエンス教育も取り入れたユニークな学部として学生からの人気も高まっている。「情報を基軸とした文理横断型の教育」により、実社会で求められるスキルを備えた人材の育成に結びつけることが大きな狙いだ。群馬大学 情報学部 副学部長の奥寛雅教授は次のように話す。

「群馬大学情報学部は、仮想空間と現実空間が高度に融合する社会システム『Society 5.0』の時代を担うテクノロジースキルを備え、実社会におけるバランス感覚にも優れた人材の育成を目指しています。『情報学』を軸に、IoT、ロボット、ビッグデータ、AI/データサイエンスなどの先進テクノロジーとともに、人文科学、社会科学、自然科学を学べる幅広いプログラムを用意しています」

「文理融合」を掲げる情報学部は、ひとつのテクノロジーテーマを探求するだけでなく、システム発想による学際的な活用や応用までを視野に入れている。学びと研究を深めるために、学部生・研究者が自由に利用できる計算機環境も新たに整備された。

「情報学部では、2022年4月に最新の『教育用電子計算機システム』の運用を開始しました。これまで理工学部で運用してきた計算機とは大きく性格の異なるシステムです。具体的には、AI/データサイエンスの学習・研究環境を提供すること、文科系学生から研究者まで幅広いリテラシーのユーザーを受け入れること、学内の専用端末だけでなく個人のPCからも使用できること、システム運用負荷を抑制すること、といった新しい要件に応える仕組みを備えています」(奥氏)

群馬大学情報学部の「教育用電子計算機システム」の設計・導入を担ったのは、パナソニック ソリューションテクノロジーとHPE Pointnextである。

コンテナプラットフォームを採用した、ML教育DXプラットフォーム

 

群馬大学情報学部が運用を開始した「教育用電子計算機システム」は、CPUによる数値解析/シミュレーション環境と、GPUによるAI/データサイエンス学習基盤という2つの性格を兼ね備えている。本システムを特徴づけるのは、多様なユーザーが柔軟かつセキュアに同時利用できるマルチテナントGPUシステムであることだろう。NVIDIA GPUを利用するシステムで豊富な導入実績を持つパナソニックソリューションテクノロジーの木村亘氏は次のように話す。

「最新のNVIDIA A100 GPUを3基搭載するHPE ProLiant DL385 Gen10サーバー2台により、GPUリソースプールを構成しました。このGPUリソースをMulti Instance GPU(MIG)により分割し、複数のユーザーに割り当てる仕組みです。ML教育DXプラットフォームを実現するためのキーとなったのは、コンテナ技術とRed Hat OpenShift Container Platformの採用です」

Red Hat OpenShift(以下 OpenShift)はCloud Native Computing Foundation (CNCF)の認証を取得したKubernetesのディストリビューションとして、エンタープライズユーザーを中心に幅広い支持を獲得している。多数のコンテナイメージを効率良く管理してアプリケーションの稼働を最適化するとともに、可搬性・再現性に優れるコンテナの特長を活かすための様々なツール群を利用できる。

「複数の学生向けに演習用のGPU環境をWebアクセスで提供したり、研究者が研究の初期段階でアイディアを確かめるためにGPUリソースを使うような要求にも柔軟に対応できるでしょう。コンテナ環境は、学生と研究者の要求を両立できるメリットが大きいと考えました」と奥氏は話す。

木村氏は「リテラシーの高くないユーザーでも自分の環境をセットアップして、不要になったら自分で削除するようなセルフサービス的な運用も可能です」と続ける。

ユーザーによる「セルフサービス化」は、運用に携わる情報学部の技術職員の負荷軽減に直結する。リテラシーを問わずユーザーが容易に操作できる環境の整備に、OpenShiftならではの機能群が活用された。

「複数のユーザーが使うコンテナ環境の運用は私たちにとって初めてでしたが、HPE Pointnextによるワークショップやアドバイスを通じてOpenShiftのメリットを理解していきました。新しい『教育用電子計算機システム』では、ユーザーが利用しやすく運用も容易なコンテナ環境を具体化できたと思っています」(奥氏)

HPE PointnextのエキスパートがOpenShift環境の最適化を支援

 

HPE Pointnextは、企業や組織のデジタルトランスフォーメーションをトータルに支援するサービス組織である。世界200カ国、1万5,000名を超えるITエキスパートが、豊富な経験と知見に基づくアドバイザリーサービス、プロフェッショナルサービス、オペレーショナルサービスをトータルに提供している。OSS製品をはじめ幅広いテクノロジーへの精通が求められるKubernetes/OpenShift環境の構築経験も豊富だ。HPE Pointnextの米倉章良氏は次のように話す。

「GPUサーバーを利用して大学様が何をしたいのか、どのような要件をクリアしなければならないか、そのためにOpenShiftをどのように活用すべきかをワークショップを通じてディスカッションし、必要な機能を選定していきました。OpenShift Projectによるマルチテナント機能の実装、大学様のLDAP認証システムと連携するユーザー認証・認可機能の活用は必須と考えました」

文科系学生から研究者まで幅広いリテラシーのユーザーを受け入れて、それぞれに利便性の高い環境を実現するという要件に関しては、GUIを提供する「Webコンソール」とこれに付属する「カタログ」が有効だった。OpenShift環境の設計・構築を担当したHPE Pointnextの杉山禎夫氏は次のように話す。

「機械学習フレームワークや各種OSSを組み合わせて、様々な目的・用途に対応するカタログを充実させました。ユーザーは、Webコンソールから自分が使いたいカタログをクリックするだけで、GPUリソースのアタッチされたコンテナを立ち上げることができます。コマンドラインでYAMLファイルを書いてコンテナを起動させるKubernetesよりも、はるかに扱いやすい環境として仕上がっています」

運用の視点では、限られたGPUリソースを複数のユーザーに対して適切に配分することが重要になる。

「OpenShiftでは、分割されたGPUリソースのプロジェクトごとの割り当てや、割り当て量の変更をGUI操作で柔軟に行えます。本システムでは、1つのプロジェクトで使えるリソースの上限を設定していますので、特定のユーザーがGPUリソースを使い切ってしまうようなこともありません」(杉山氏)

「OpenShiftの機能を上手に活用して、可能な限り人手を介さず運用できるようにしていくことが理想です。そうした知見を得る体系的な学習環境として、Red Hatラーニングサブスクリプションをご活用いただければと思います」と米倉氏は続ける。

パナソニック ソリューションテクノロジーとHPE Pointnextは、調達仕様書に示されているか否かを問わず、奥氏との対話を通じて潜在的な課題を探り当て、次々と先手を打つ形でプロジェクトをリードした。

「教育用電子計算機システム」を活用し情報学教育・研究のDXに挑む

 

「教育用電子計算機システム」は計画通り2022年4月に運用を開始した。委員会の中心メンバーとして本システムの実現に尽力した奥氏は、情報学部教授としては「ダイナミックイメージコントロール」という先鋭的な研究テーマを掲げている。専門は高速画像処理、高速光学デバイスなどに代表されるシステム工学であり、研究成果は最新の動的プロジェクションマッピングなどに応用されている。

「私自身の研究にも、新システムを積極的に活用していく考えです。高速かつランダムに動く対象を追跡できる、高性能カメラの画像認識・画像処理を実行する機械学習アルゴリズムの開発などに役立てたいと思っています」と奥氏は期待を示す。

AI/データサイエンスに象徴される情報テクノロジーに精通した人材へのニーズが高まっている。群馬大学情報学部は、まさにそうした社会の期待に応えるために新設された。教育用電子計算機システムを活用する新しい教育・研究アプローチは、デジタルトランスフォーメーション(DX)へのチャレンジと言えるだろう。奥氏は次のように結んだ。

「新システムの導入によって、授業や演習内で機械学習のトレーニングを実行し、現実的な時間内で学習結果を評価するといった活用が可能になるでしょう。また、若手研究者が自分のアイディアを手軽にPoC(概念実証)で試すといった機会を増やせるものと期待しています。パナソニック ソリューションテクノロジーとHPE Pointnextには、今後も私たちのチャレンジを支える技術支援を期待しています」

(写真左より)

パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社 ITコンサルティング部 ソリューションSE一課 一係 係長 ゴールドエキスパート PMスペシャリスト 木村亘 氏/群馬大学 情報学部 大学院 理工学府 電子情報部門 副学部長 奥寛雅 氏/日本ヒューレット・パッカード合同会社 Pointnext事業統括 テクノロジーアーキテクト部 米倉章良 氏/日本ヒューレット・パッカード合同会社 Pointnext事業統括 テクノロジーアーキテクト部 杉山禎夫 氏


ご導入サービス情報

お客様のチャレンジを支えるHPE DXプラットフォーム

HPEは、革新的なDXプラットフォームを幅広い経験に基づく技術・ノウハウとともに提供し、お客様のDXへのチャレンジを加速させます。

HPE Pointnext

HPE Pointnext Servicesは、お客様がデジタルトランスフォーメーションを作り出し、HPEのエッジからクラウドまでの包括的な専門知識に基づいてトランスフォーメーションを計画し、適切なテクノロジーとプラットフォームを使用してデジタル化への高い目標の遂行加速を支援します。

HPE GreenLake

HPE GreenLakeは、エッジ、コロケーション、データセンターでオンプレミスのワークロード向けに、従量制課金モデルでフルマネージドのパブリッククラウドサービスとInfrastructure as a Serviceを提供します。


ご導入製品情報

HPE ProLiant DL380 Gen10

マルチワークロードのコンピュートに対応できる世界最高レベルのパフォーマンスときわめて高い汎用性を備えた、業界をリードする2P/2Uサーバーです。


ソリューションパートナー

パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社 様

 

所在地:東京都港区東新橋2-12-7 住友東新橋ビル2号館

URL:https://www.panasonic.com/jp/company/pstc.html


本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス

本ページに記載されている情報は取材時におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承下さい。

導入ハードウェア

HPE ProLiant DL385 Gen10

導入ソフトウェア

Red Hat OpenShift Container Platform