足立区が、3,000ユーザーのVDI環境をデータレスPCに移行しセキュリティと快適性を両立
足立区 様
HPE Pointnextプロフェッショナルサービスが快適なWindows 10環境への移行とコスト削減を実現
"データレスPCは、従来型PCとの違いを感じさせない快適な操作感で、これなら校務の生産性向上に寄与できると確信しました"
ー足立区
政策経営部
情報システム課
原田 祐樹 氏
足立区が、104の区立小中学校で約3,000名の教職員が利用する仮想デスクトップ(VDI)環境を刷新した。新たに採用された「データレスPC」は、VDIと同等のクライアントセキュリティを確保しながら、従来型PCのリソースを活かした快適な操作性を実現する注目すべきソリューションだ。足立区では、データレスPCの導入に合わせて、サポート終了が迫るWindows 7からWindows 10への移行も完了させた。ネットワークの最適化、統合ファイルサーバーの構築を含め、本プロジェクトを全面的にサポートしたのは、HPE Pointnextプロフェッショナルサービスである。
業界
学校
目的
足立区立小中学校104校3,000名の教職員が使うVDI環境の刷新。VDIと同等のクライアントセキュリティを確保しながら、従来型PCと遜色ない快適な利用環境を実現する。
アプローチ
従来型PCをデータレス化するソリューションを採用。さらに、データ管理を新設のファイルサーバーに一元化し、校務で扱うデータ全体のセキュリティレベルを向上させる。
ITの効果
・端末側にデータを保持しない「データレスPC」へ移行し、VDIと同等のクライアントセキュリティを実現
・従来型PCをベースにした端末側のリソースで、アプリケーションの快適な操作やデータ処理の高速化を実現
・各校で運用していた100台以上のファイルサーバーを、本庁に新設したファイルサーバーに集約しセキュリティと信頼性を強化
・計約3,500端末のデータレスPC化と同時に、Windows 7からWindows 10への移行を完了
ビジネスの効果
・校務支援システムやOfficeアプリケーションの操作性を大幅に改善し、教職員の生産性向上に寄与
・ラック7本を占めていたVDIインフラ機器を、データレスPCへの移行でラック2本に削減
・「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」への対応を着実に前進
チャレンジ
3,000ユーザーのVDI環境の更新に「データレスPC」を選択
東京都の最北端に位置する足立区は、人口約69万人を擁するベッドタウンとして着実に発展を続けている。近年は積極的な大学誘致を推進し、2006年に東京藝術大学が千住キャンパスを設置して以降、東京未来大学、帝京科学大学、東京電機大学が次々と進出。2021年の開校に向けて文教大学あだちキャンパスの建設も進んでいる。足立区 政策経営部で情報システム課長を務める鈴木克己氏は次のように紹介する。
「約15,000人の学生が行き来する千住エリアは、積極的なシティプロモーションの効果もあり若い活気であふれています。また、区内7つのエリアを対象に、その特徴や魅力を活かした民間活力によるまちづくりを進めています。文化と産業、芸術を軸にした新都心構想が着実に進展していることを、区民だけでなく足立区を訪れた多くの方に実感していただけるはずです」
足立区は、都内最多となる区立小学校69校(31,669人)、区立中学校35校(13,434人)を擁しており、ICTを活用した学習環境や校務支援環境の整備にも積極的だ。足立区教育委員会事務局 教育指導部 教育政策課長の森太一氏は次のように話す。
「教職員の校務の負担を軽減し、教育の質の向上を図ることを目的に『校務支援システム』を利用しています。本システムは、指導要録、出席簿、学習評価など、機密性の高い情報を扱うため厳格なクライアントセキュリティが必須です。この要求に応えるために、およそ3,000名の教職員向けに仮想デスクトップ(VDI )環境を提供してきました」
足立区のVDI基盤は、2018年にハードウェア更新のタイミングを迎えようとしていた。鈴木氏が次のように続ける。
「教職員が日々の校務に利用する環境を、どのようなテクノロジーで最新化すべきか。私たちは、2020年1月に迫るWindows 7のサポート終了も視野に入れながら現状の課題を整理していきました。基本方針を検討する過程で大きな転機となったのは、HPE Pointnextのユニークな提案でした」
HPE Pointnextの提案は、VDIと同等のクライアントセキュリティを確保しながら、従来型PCと遜色ない快適な利用環境を実現する「データレスPC」ソリューションだった。
足立区
教育委員会事務局
教育指導部
教育政策課長
森 太一 氏
足立区
教育委員会事務局
教育指導部
教育政策課
佐々木 直 氏
足立区
教育委員会事務局
教育指導部
教育政策課
石井 麻里奈 氏
ソリューション
VDIと同等のセキュリティと快適な操作性を両立するデータレスPC
HPE Pointnextは、企業や組織のデジタルトランスフォーメーションをトータルに支援するサービス組織である。世界80カ国、2万2,000人を超えるITプロフェッショナルが、豊富な実績とナレッジに基づくコンサルティング、構築サービス、運用保守サービスをトータルに提供している。足立区のプロジェクトでは、HPE自身が取り組んだ「ワークプレイス改革」の経験とモビリティ/ネットワーキングソリューションが威力を発揮した。
「老朽化が進んだVDI環境では、パフォーマンス不足が大きな課題となっていました。そのため、柔軟にユーザー数を増やすことができない状況でした。HPE Pointnextから提案を受けた『データレスPC 』は端末側にデータを保持しないため、VDIと同等のクライアントセキュリティを確保することができます。さらに、端末側のリソースでアプリケーション操作やデータ処理を行うため、ネットワーク経由で共有リソースを分け合うVDIよりもパフォーマンスの面で明らかな優位性がありました」と話すのは情報システム課の原田祐樹氏である。
HPE Pointnextの提案の軸となった「データレスPC(Flex Work Place Passage)」は、従来型PCとファイルサーバーを組み合わせたソリューションである。Windows OSとアプリケーションはPC上で稼働させるが、ローカルドライブ(内蔵ディスク)への書き込みが制御され、データはすべてファイルサーバー上に保存する仕組みだ。その名の通り端末側にデータを保持しないため、PCの紛失や盗難による情報漏えいのリスク、PCの故障によるデータ損失のリスクを解消できる。
「採用の決め手になったのはデータレスPCの快適な操作性です。実際にデモ環境を体験し、起動時間やアプリケーションのレスポンス、ファイル参照や保存などの動作を確認して手応えを得ました。従来型PCとの違いを感じさせない快適な操作感で、これなら校務の生産性向上に寄与できると確信しました」(原田氏)
VDIと同等のクライアントセキュリティ、快適な操作性に加え、コスト面の優位性も見逃せない。データレスPCではVDI基盤を構成するインフラ機器やVDAライセンスが不要なため、最新PCの導入やネットワーク増強に重点的に投資できるメリットがある。
HPE Pointnextが3,300台以上のデータレスPC移行を40日間で完遂
足立区では、データレスPCへの移行プロジェクトを2年度に分けて実施した。2017年度は学校あたり2台(計約210台)のデータレスPCをテスト導入し、実際の校務での活用を通じて課題を洗い出していった。そして2018年度、満を持して全104校およそ3,300台の導入を完遂させた。HPE Pointnextの藤村卓樹氏は次のように振り返る。
「2017年度は、Windows 10環境でのアプリケーションの動作やファイルサーバーへのリダイレクトなどを確認しながら、発見された課題をひとつ一つ解決していきました。2018年度はお客様環境に最適なカスタムイメージを完成させ、3,300台のPCにキッティングして夏休み期間中に全校への導入を完了させました」
「限られた期間内で104校への導入・設置をしてもらえたことに感謝しています。プロジェクト管理の重要性を改めて認識しました」と教育政策課 石井麻里奈氏は話す。
これと平行して、各校で個別に運用されてきたファイルサーバーを足立区本庁舎に新設された「統合ファイルサーバー」に集約。VDI環境で使用していた3,000ユーザーのデータもここへ移行された。情報システム課の菊地勇人氏は次のように話す。
「高い信頼性を備えた統合ファイルサーバー上に、トータルで3,500台以上の端末で扱うデータと学校ごとに管理していたデータを一元化できたことは大きいですね。バックアップが統合化されたことも含め、校務で扱うデータの情報セキュリティと信頼性を大きく高めることができました」
ラック7本を占めていたVDI基盤は、統合ファイルサーバー中心のシンプルな機器構成となり、ラックも2本に削減された。採用されたのは、4コントローラー搭載の「HPE 3PAR StoreServ8000ストレージ」である。
「データレスPCへの移行に合わせて、計3,500台以上のPCをWindows 10にアップデートしましたが、Windows 7のサポート終了前に余裕をもって対応できたことも、大きな成果のひとつと言えるでしょう」と、導入プロジェクトの現場をリードした情報システム課の松田直剛氏も評価する。
HPE Pointnextの大塚尚之氏は、「Windows10で必須となる年2回の機能更新プログラム(FU)、月1度の品質更新プログラム(QU)に対応するための準備も万全に整えました。WSUS(Windows Server Update Services)を利用し、大規模な環境でネットワーク負荷を抑制しながら安全にアップデートを実行できます」と話す。
足立区
政策経営部
情報システム課長
鈴木 克己 氏
足立区
政策経営部
情報システム課
菊地 勇人 氏
足立区
政策経営部
情報システム課
松田 直剛 氏
足立区
政策経営部
情報システム課
原田 祐樹 氏
日本ヒューレット・パッカード株式会社
Pointnext事業統括
アドバイザリー・プロフェッショナルサービス統括本部
製造・流通サービスデリバリー本部
第一本部 第三部
プロジェクトマネージャ
藤村 卓樹 氏
日本ヒューレット・パッカード株式会社
Pointnext事業統括
インテリジェントエッジ ソリューション推進本部
プリセールスコンサルタント
大塚 尚之 氏
ベネフィット
教職員の「働き方改革」の推進と文科省ガイドラインへの準拠へ
教育政策課の佐々木直氏は、「情報をきちんと守りながら、一般的なPCと変わらない操作性を実現できた意義は大きいと思います。忙しい教職員の事務処理を少しでも軽減して、子供たちと向き合う時間を増やしてもらえることを期待しています」と語る。
「モビリティ/ネットワーキング領域におけるHPEならではのテクノロジーとノウハウを活かして、より柔軟な情報アクセスとネットワークセキュリティを両立させるユーザー環境をご提案したいと考えています」とHPE Pointnextの藤村氏は抱負を話す。
すでに足立区では、学習系タブレット導入のプロジェクトに着手している。ここでは、校務系に高性能なHPE Aruba無線LANアクセスポイント、校務系・学習系にLAN環境を可視化する統合運用管理ツールHPE Aruba AirWaveをはじめ、最新のHPEネットワーキングソリューションが採用される。
足立区では、文部科学省が推奨する『教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン』への対応を着実に前進させていく考えだ。3,500ユーザーのデータレスPC環境構築プロジェクトを無事に終えた鈴木氏が、次のように語って締めくくった。
「データレスPCは従来型PCを利用するソリューションですから、VDIのようにシステムリソースを統合管理することはできません。今回のような大規模なデータレスPCの導入に際しては、ネットワークやファイルサーバーを含むシステム設計の確かさ、緻密な展開計画と実行力の高い支援体制、安全かつ効率的なソフトウェア更新手順の整備――すべての条件が整っていなければ実現できなかったと考えています。HPEPointnextには、今後の文科省ガイドライン対応への強力なサポートを期待しています」
本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス
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