お客様導入事例
大阪信用金庫 様
デジタル変革を加速させるハイブリッドクラウドの実現へ
大阪信用金庫がHPE SimpliVityを採用し統合仮想化基盤を整備、運用負荷の低減とBCP/DR対策強化を同時に実現しDXへのチャレンジを加速
大阪信用金庫が統合的な仮想化基盤を構築し、ハイブリッドクラウドを視野に入れたIT環境の全体最適化に取り組んでいる。ハイパーコンバージドインフラ製品HPE SimpliVity 380 Gen10が採用された仮想化基盤には、情報系や業務支援系など多様なシステムの集約が進められている。本システムは、中期経営計画(2021-2023年度)で掲げた「デジタル化」への取り組みの一環であり、デジタル変革(DX)の推進基盤のひとつに位置づけられるものだ。HCI製品の戦略活用と、データ保護・BCP/DR対策の先進事例を紹介する。
業界
銀行
ビジョン
ステークホルダーとの深いエンゲージメントを通じて地域の繁栄と発展に寄与する
戦略
ハイブリッドクラウドの実現を視野にIT環境の全体最適化を進め、業務のデジタル化によって職員の生産性向上を図る
成果
• HCI製品HPE SimpliVityを採用し、様々な業務要求に応える俊敏性と優れた運用管理性を備えた統合仮想化基盤を実現
• 情報系・業務支援系などの多様なシステムを集約するとともに、将来のパブリッククラウドとの連携も可能に
• HPE SimpliVityの標準機能を活用し、BCP/DR強化策として堅牢なデータセンターでの確実なデータ保護と復旧を可能に
ご導入製品
世界市場を視野に創薬に取り組む戦略拠点
「だいしん」の愛称で親しまれている大阪信用金庫の歴史は1920年(大正9年)にまで遡る。創立以来、地元大阪の中小企業や住民とともに歩み、地域とともに発展してきた金融機関である。「この街のホームドクター」を掲げる現在も、地域のビジネスと暮らしをサポートする姿勢は不変のものだ。事業継承支援、創業支援、雇用支援における課題解決は、現在最も力を注いでいるテーマである。
大阪信用金庫は、中期経営計画(2021~2023年度)において、課題解決を通じた顧客・地域との絆の強化、収益の多様化と効率経営、役職員の生産性向上を基本戦略として示している。大阪信用金庫 システム部 システム課 調査役の西正弘氏は次のように話す。
「私たちシステム部では、中期経営計画の一環として『統合仮想化基盤』を構築し既存システムの移行を進めています。戦略テーマである生産性向上の実現のカギを握るのは『デジタル化』であり、これをベースにした業務の自動化や省力化の推進です。IT環境を全体視点で最適化し、デジタル変革(DX)の推進基盤としても活用できるようにしていく考えです。専任チームを編成してDXへの取り組みを具体化させています」
大阪信用金庫では、勘定系システムをしんきん共同システム運営機構に委託している。新たに構築された統合仮想化基盤には、これ以外の情報系・業務支援系など多様なシステムが集約される計画だ。
「IT環境全体の最適化においては、SaaSなどの外部サービスとも連携できるハイブリッドクラウド環境の実現を視野に入れています。新しい仮想化基盤には、クラウドとの親和性に加え、クラウドと同等の柔軟性・俊敏性を求めました。私たちは、ハイパーコンバージドインフラ製品を前提として慎重に検討を進め、最終的に日本ビジネスシステムズの提案を採用しました」(西氏)
大阪信用金庫の統合仮想化基盤に採用されたのは、金融業界でも実績が豊富なHCI製品「HPE SimpliVity 380 Gen10」である。日本ビジネスシステムズ(JBS)は、日本ヒューレット・パッカード(HPE)と緊密に連携しながら本システムの構築と移行を推進している。
日本ビジネスシステムズがHPE SimpliVityを提案
大阪信用金庫が採用したHPE SimpliVity 380 Gen10は、HCI製品として高いシェアを誇る。複雑なシステムをコンパクトに統合し、シンプルで扱いやすい仮想化基盤を実現できることはもちろん、高効率の「インライン重複排除・データ圧縮」や「秒速バックアップ」など、他のHCI製品にない特長を備えている。
「ベンダー5社の提案に対して、機器構成、将来性、保守性、提案のプロセス(ベンダーの提案意欲)、コストの大きく5つのポイントで評価しました。その結果、HPE SimpliVityを軸にしたJBSの提案がトップスコアを獲得しました。リソースの有効活用(重複排除)、大容量データの遠隔地バックアップ、BCP/DR対策への適用のしやすさへの評価が高かったことが決め手でした。標準機能で遠隔地バックアップ&リストアが可能なこと、重複排除・圧縮で効率良く遠隔地へデータをコピーできることは、他のHCI製品にはないHPE SimpliVityのメリットです」とシステム部 システム課 課長代理の村田卓也氏は話す。
大阪信用金庫では、およそ90台のサーバーと80TB規模のストレージを運用しており、さらに日本橋にバックアップ用ストレージとして50TB、遠隔地にも50TBのバックアップ環境を整備している。ハイブリッドクラウド化を推進する上で、オンプレミスとして稼働するシステムのデータ量を考慮する必要があり、HPE SimpliVityの機能性は大きな優位性となった。
統合仮想化基盤の構築に際して、大阪信用金庫がHCI製品に求めた要件を整理すると次のようになる。
①複数の物理・仮想化環境をシンプルに統合し運用が容易なこと
②ローカルおよびリモートへのバックアップが可能で、確実かつ迅速にサービスを再開できること
③様々な業務要求に応える柔軟性・俊敏性・拡張性を備え、DXの推進基盤として活用可能なこと
④クラウドとの連携により、将来のハイブリッドクラウド化・IT環境全体の最適化に寄与すること
⑤重複排除・データ圧縮によるストレージリソースの有効活用が可能なこと
JBSは、HPE SimpliVityを中核に据えた提案で大阪信用金庫の要件をクリアしただけでなく、西氏・村田氏らが確信を持ってプロジェクトを推進できるようサポートした。JBSの西川直樹氏は次のように話す。
「HPE SimpliVityのデモンストレーションを通じて、重複排除・データ圧縮、秒速バックアップ、BCP/DRの自動化などを体験していただきました。中でも、HPE SimpliVity RapidDRによるリモートサイトでの仮想マシン起動とネットワーク接続の自動切り替えは、BCP/DRの安全性・確実性を向上させる機能として高く評価いただけたと思います」
JBSはHPE SimpliVityによるシステム構築経験が豊富で、金融機関をはじめ様々な業種で導入実績を積み重ねている。HPE SimpliVityに精通したエンジニアも多く、JBSによる支援体制が本プロジェクトを進めていく上で大きな力となった。
データ保護とBCP/DR対策を抜本的に見直し
大阪信用金庫ではこれまでも遠隔地でのデータ保護を行ってきたが、HPE SimpliVityによる統合仮想化基盤の構築に際してその仕組みを大きく見直した。目指したのは、より実効性の高いBCP/DR対策の実現である。
「データ保護先をデータセンター事業者が運営するデータセンターに変更し、勘定系システムを稼働させている堅牢かつセキュアな環境へ移行しました。本データセンターであれば、72ある支店ともすでにネットワークが接続されており、時間とコストを抑制しながらBCP/DRを強化できると考えました」と西氏は話す。
大阪信用金庫のプライマリデータセンターには本番サービス用のHPE SimpliVityが、データセンター事業者が運営するデータセンターにはバックアップ用のHPE SimpliVityが設置された。JBSはデータセンター事業者と協力し、RapidDRによって、仮想マシンの再起動からIPアドレスの書き換えとネットワーク切換えに至るワークフローを設計・実装した。
「バックアップ用のHPE SimpliVityへの切り替えテストは、業務影響の少ない5システムに絞り、切り替え拠点を1支店として実施しました。結果としては、ネットワークの自動切り替えからサービス再開までを約1時間で対応することができました。今後、対象のシステムと切り替え拠点を選定していく予定です」と村田氏は振り返る。
HPE SimpliVityでは重複排除・圧縮を経た差分データのみ転送されるため、リモートコピーに要する時間も大幅に短縮された。プロジェクトにPMとして参画したJBSの田口徹氏は次のように話す。
「HPE SimpliVityとRapidDRによるリモートバックアップ&リストアの仕組みは確実性が高く、JBSによる構築実績も豊富でお客様に安心してお勧めできます。BCP/DRワークフローのテスト機能は非常に便利で、本プロジェクトでも有効に活用しました。また、統合仮想化基盤の構築に際しては、サーバーサイドのネットワーク設計も合理的な形に見直し、より安定的に運用できるよう改善しています」
ハイブリッドクラウドを見据えた全体最適化へ
新たに整備された統合仮想化基盤上には段階的にシステム移行が進められている。2022~23年に計画されている次フェーズでは、HPE SimpliVityのクラスターが拡張される予定だ。計画外の突発的な業務要求があった際も、迅速かつ柔軟にリソースを提供できるようになったという。
「HPE SimpliVityでは、使い慣れたVMware vCenterでモニタリングや運用上の操作を行えます。経験の少ない若手スタッフでも仮想マシンの払い出しからユーザー環境の準備まで、システムを扱えるようになったことが大きいと考えています。運用にかかる業務効率やスピードは確実に向上しています」と村田氏は話す。
大阪信用金庫では、SaaSなどの外部サービスとも連携できるハイブリッドクラウド環境の実現を見据えて、IT環境全体の最適化を進めている。
「私たちのセキュリティポリシーを正しく適用しながら、生産性向上とDXへの取り組みを推進していくには、適材適所でクラウドとオンプレミスを使い分けながら上手に連携させる必要があります。統合仮想化基盤の構築でオンプレミス側の準備は整いました。すでにSaaSの評価と検討にも着手しており、DXの目標に合わせてハイブリッドクラウドを具体化していく計画です。マイクロソフト製品やAzureに精通したJBSには、引き続きサポートしてもらえることを期待しています」(西氏)
大阪信用金庫は、2020-21年と2年連続で『健康経営優良法人(ホワイト500)』に選出された。職員一人ひとりが心身ともに健康で活き活き働くことができる組織作りに取り組むとともに、職員と家族と地域住民の健康リテラシー向上に寄与する金融機関を目指している。西氏は次のように結んだ。
「IT環境を全体視点で最適化してDXの推進に貢献し、DXによる業務変革を通じて、職員の生産性とモチベーションの向上、さらには健康経営に貢献していくことが次の目標です。JBSおよびHPEとは今回のプロジェクトを通じて初めて一緒に仕事をさせてもらいましたが、技術力の高さとプロジェクトを成功に導く強い意志を常に感じていました。これからも私たちのチャレンジを支え続けてもらえることを願っています」
(写真左より)
日本ビジネスシステムズ株式会社 ソリューションセールス本部 ソリューションセールス3部 1課 担当課長 西川直樹氏 / 日本ビジネスシステムズ株式会社 モダンワークプレス本部 西日本モダンワークプレイス部 2グループ エキスパート 田口徹氏 / 大阪信用金庫 システム部 システム課 上田啓太郎氏 / 大阪信用金庫 システム部 システム課 調査役 西正弘氏 / 大阪信用金庫 システム部 システム課 課長代理 村田卓也氏 / 大阪信用金庫 システム部 システム課 谷地勇哉氏 / 日本ビジネスシステムズ株式会社 ソリューションセールス本部 ソリューションセールス3部 1課 升水啓介氏
ご導入製品情報
HPE SimpliVity
世界最高レベルの効率と耐障害性を備えた、大企業から中小企業まで幅広い企業で利用されているエンタープライズグレードのハイパーコンバージド(HCI)製品であるHPE SimpliVityは、複雑なIT環境をシンプル&コンパクトに統合し、これまでにないシンプルで扱いやすい仮想化基盤を実現します。
ソリューションパートナー
本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス
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