甲状腺疾患の専門医療を支える先進情報インフラを構築

医療法人 神甲会 隈病院 様

 

HPE SimpliVityを新たに導入し、よりシンプルで柔軟な院内仮想化基盤を実現

 

兵庫県・神戸市に本拠を構える隈病院は、甲状腺疾患の専門病院である。1932年の開院以来、約90年の長きにわたり、甲状腺疾患に悩む患者の治療に全力で取り組んできた。同病院の大きな特長となっているのが、先進ICTの活用を積極的に進めている点である。そうした取り組みの一環として、今回同病院では、情報系仮想化基盤の再構築に着手。クラス最高水準の性能と拡張性を持つインテル®Xeon®スケーラブル・プロセッサーを搭載する「HPE SimpliVity 380 Gen10」を新たに採用し、インフラ環境のさらなるシンプル化・最適化を実現している。

業種

ヘルスケア

 

ビジョン

甲状腺疾患の専門医療を支える柔軟な情報インフラの実現

 

戦略

情報系仮想化基盤をハイパーコンバージド・インフラストラクチャ製品で全面刷新

 

成果

・ストレージを含めた環境全体の統合的な運用管理を実現

・新たなニーズに応じて柔軟にシステムを拡張することが可能に

・オールフラッシュ構成とすることでインフラの性能を大幅に向上

開院から約90年にわたり、甲状腺疾患の専門医療を提供

 

古くから栄えた港町として、また関西経済・文化の中心都市として知られる兵庫県・神戸市。この地において、バセドウ病や橋本病、甲状腺がんといった甲状腺疾患の専門医療を提供しているのが隈病院である。同病院の理事長を務める隈夏樹氏は、その成り立ちを「当院は約90年の歴史を有していますが、開院当初は甲状腺以外に内臓外科や外科一般などの領域も担当していました。しかし、私の祖父である初代院長が甲状腺疾患を専門としていた経緯もあり、その後甲状腺の専門病院へと転換。それ以来、常に最新の甲状腺医療を患者様に提供することを目指してきました」と説明する。ちなみに甲状腺医療の歴史は意外と新しく、疾病の原因や治療法が徐々に発見されていくのは1900年代前半からのこととなる。1932年開院の同病院は、まさにこうした甲状腺医療の進歩と共に発展を続けてきたのである。

長年にわたる臨床経験から得られた豊富な知識と経験は、甲状腺疾患に悩む患者にとっても大きな拠り所だ。同病院は病床数58床と、病床数の規模でいえばそれほど大きな病院ではない。しかし、年間の外来患者数は実に約18万人、多い時には1日あたり800人を超える患者が訪れるなど、300床規模の病院と変わらない数の外来診療を行っている。また、甲状腺がんの手術についても、年間約1000件の手術を手掛けているとのこと。全国の大学病院やがんセンターの甲状腺がん手術件数が年間100件前後であることを考えれば、まさに驚くべき数と言える。

先進ICTを積極的に取り入れ、データ利活用や業務効率化を推進

 

さらに、同病院のもう一つの大きな特長として、先進ICTの活用に早くから取り組んできた点が挙げられる。「正確な記録は残っていませんが、1970年後半には既に海外製の汎用機を導入。それ以降もその時々の最新技術を導入し、院内の情報化やネットワーク化を進めてきました」と隈氏は振り返る。その中でも大きな転機となったのが、2005年の電子カルテ導入である。隈氏は「当時の病院施設が手狭になり老朽化も進んでいたため、新病院への建て替えを行うことになりました。これを契機として、紙カルテから電子カルテへの全面的な移行を決断。先行する医療機関への見学なども行いつつ、当院にふさわしい情報インフラの検討を進めていきました」と続ける。

当時の院内には、懸念や反対の声もあったという。しかし、それでもあえて電子カルテの導入に踏み切ったのには大きな理由があった。隈氏は「まずその一つは、データ利活用の促進です。当院には、甲状腺疾患に関する症例が非常に数多く蓄積されています。これを学会発表や論文などの形で社会へ還元し、医療の発展につなげていくことは、専門病院にとっての責務とも言えます。そのためには、様々な情報をデータ化し、後からでも容易に利用できるようにしておかなくてはなりません」と語る。当時の電子カルテベンダーの中には、データをオープンにすることに難色を示すところも多かったとのこと。しかし、この点については「絶対に譲らなかった」と隈氏は続ける。

また、もう一つの大きな理由が、院内業務の効率化である。医療機関の中には、各種の部門システムを個別に構築し、その後の運用管理やデータ連携で苦労するところも少なくない。「その点、電子カルテの情報を中心として各部門システムと連携させれば、スタッフの業務負担を減らせますし、患者様の待ち時間なども短縮できます」と隈氏は語る。現在の同病院の環境を見れば、その選択が正しかったことは明らかだ。たとえば、外来で診療に訪れた患者は、受付で「NAVIT(ナビット)」と呼ばれる患者案内端末を手渡される。その画面には受付番号や次に向かうべき場所、待ち人数などが表示されており、バイブレーションによる通知も行われる。こうしたストレスフリーな診療環境も、電子カルテを中心に全部門システムが連携しているからこそ実現できているのである。

情報系仮想化基盤の再構築に着手

 

さらに、このような取り組みの一環として、今回同病院では、院内で稼働する仮想化基盤の再構築に着手した。元々同病院では仮想化にも早くから取り組んでおり、2012年の段階で既に各種業務サーバーの集約・統合化を実施している。その当時の狙いについて、隈氏は「従来型の医療情報システムでは、各アプリケーションベンダーがサーバーも一緒に納品するケースが多かった。これでは院内に様々なサーバー製品が乱立することになり、運用管理も煩雑になってしまいます。そこで、サーバーやストレージなどのインフラ領域については病院側で用意し、環境全体の標準化・最適化を図りたいと考えたのです」と語る。

今回の更新のターゲットとなったのは、主に情報系のシステム群を収容するための仮想化基盤である。隈病院管理課情報システム室中村義智氏は「グループウェアや勤怠管理システム、ファイルサーバー、DBサーバー、Active Directoryサーバーなど、十数台の情報系システムが本仮想化基盤上で稼働しています。導入から既に5年が経過しているため、最新の環境にリフレッシュするのが今回の目的です」と説明する。

それほど負荷の重いシステムが収容されていないこともあり、性能面や信頼性面で課題を感じるような場面はそれほど無かったとのこと。とはいえ、改善点がまったく無かったわけではない。隈氏は「たとえば、その一つがバックアップです。医師が執筆した論文データなどが障害で失われてしまったら大変ですから、これまでも様々な手法を用いてデータ保護に努めてきました。しかし、せっかく導入したバックアップソフトがうまく動作しないなど、トラブルに見舞われるケースも多かった。そこで、今回の更新にあたっては、迅速・確実なバックアップが実現できる仕組みを確立したいと考えました」と語る。

HPE SimpliVityを新たに採用し、インフラ全体をシンプルに刷新

 

こうした中、同社のITパートナーである三谷商事から提案されたのが、日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)の、クラス最高水準の性能と拡張性を持つインテル®Xeon®スケーラブル・プロセッサーを搭載する、ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ(以下、HCI)製品「HPE SimpliVity 380 Gen10」(以下、SimpliVity)である。同社の情報システム事業部関西支店営業課の坂本賢一氏は、その理由を「旧仮想化基盤はいわゆる3Tier構成で構築されていましたが、隈病院様はICT活用に独自の見識を持たれており、先進的な取り組みも進めておられます。こうしたことを考えれば、従来型の3Tier構成よりもHCIの方がマッチすると考えました」と説明する。

同病院としても、この提案を高く評価。隈氏は「従来型のシステムでは、人数が増えたりして能力が不足すると、その都度サーバーを買い足すしかありませんでした。これではインフラ環境がどんどん複雑になるばかりです。その点、SimpliVityであれば、必要に応じてシステムを柔軟にスケールさせていくことができます。加えて、運用管理についても、サーバーやストレージを個別に管理するのではなく、環境全体を一元的に管理できます。これは非常に素晴らしいと感じましたね」と語る。さらにSimpliVityは、高速かつ柔軟なバックアップ機能を標準で装備しており、前述のようなバックアップにまつわる課題も効果的に解消することができる。また、ストレージをオールフラッシュ構成とすることで、インフラのパフォーマンスを大きく引き上げることも可能だ。こうした点も、HDDベースの他社HCIに対する大きなアドバンテージとなった。

運用管理の効率化に貢献、部門システムへの展開も視野に

 

SimpliVityによる新仮想化基盤は、2021年4月より本番稼働を開始。三谷商事の情報システム事業部関西支店TS課の齊藤寛孝氏はシステム構築面での工夫を「従来は外付けのネットワークストレージでファイルサーバーを構築していましたが、今回からこれをWindowsサーバー化して仮想環境内に統合することをご提案しました。容量が数TB規模にも達するため、高いI/O性能が求められましたが、SimpliVityの能力を活かすことで問題なく対応できました」と説明する。実際の構築作業に際しても、HPEの導入支援サービスを利用することでスムーズに進められたとのことだ。

「今回の更新に関しては、これまで動いていたシステム群を円滑に新しいインフラへ移行することが最大の目的でした。しかし、ファイルサーバーをSimpliVity上に移したことで、ストレージの取り扱いが以前より劇的に楽になりましたね」と中村氏は満足げに語る。一般に外付けストレージの運用管理には専門的な知識が要求されるケースも多く、業務の属人化を招く要因にもなりがちだ。その点、SimpliVityであれば、ストレージも含めた全ての環境を一つの画面で統合管理できる。中村氏は「元々当院では、以前からVMware vCenterによる管理を行っていましたので、新しいツールの使い方を覚えたりしなくとも済むのは大変良かった」と続ける。

また、インフラの性能や柔軟性が大きく向上したことで、今後の新たなニーズにも迅速に対応することが可能に。中村氏は「SimpliVityは最小2ノード構成でシステムが組めますので、当院でもまずこの構成で今回の仮想化基盤を導入しています。しかし、将来的に負荷の重いシステムを載せることになった際にも、スイッチを追加して簡単に3ノード以上の構成に拡張できます。こうした自由度の高さも、従来の3Tier時代にはなかったものですね」と語る。

既に具体的な検討も進められているとのこと。「当院では、今回の情報系仮想化基盤以外に、様々な部門システムを集約した仮想化基盤も稼働しています。こちらも今後更新時期を迎えることになりますので、SimpliVityの適用を考えているところです」と語るのは、隈病院管理課情報システム室大川亜有美氏。また、隈病院診療情報管理室長岡里歩氏も「せっかく先進的なインフラを導入したわけですから、患者様へのサービス向上や院内の業務効率化に役立てていきたい」と続ける。

圧縮・重複排除機能でシステムリソースを有効活用、ラックスペースも半減

 

SimpliVityの多彩な機能も、インフラの環境改善に大きく貢献。前述のバックアップ機能はもとより、高効率な圧縮・重複排除機能もリソース有効活用に役立てられている。機器類を設置するためのラックスペースについても、以前の半分程度にまで削減できたとのことだ。ちなみにSimpliVityは、AIによる予測分析機能を備えたクラウドベースの運用監視プラットフォーム「HPE InfoSight」による遠隔監視にも対応している。障害の予兆などを検知した段階ですぐに通知が行われるため、手間を掛けることなくシステムの安定稼働を維持することが可能だ。

こうして情報系仮想化基盤の刷新に無事成功した隈病院だが、今後もインフラ環境の整備・拡充を推進していく考えだ。隈氏は今後の展望を「マイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになるなど、医療を取り巻く環境にも新しい動きがどんどん出てきています。こうした変化に即応する上では、システムのスケーラビリティやデータの一元管理がより一層重要になります。当院でもそうしたインフラを目指していきますので、HPEと三谷商事の提案・サポートにも大いに期待しています」と述べた。

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第3世代インテル®Xeon®スケーラブル・プロセッサー

 

今回のHPEサーバーを支える心臓部にはインテル®Xeon®スケーラブル・プロセッサーを採用。さまざまな種類のワークロードに高い性能を提供し、内蔵のAIアクセラレーションと高度なセキュリティ機能も備え、エッジからクラウドまで最高のパフォーマンスを発揮します。2021年春には第3世代インテル®Xeon®スケーラブル・プロセッサーに進化。SimpliVityのベースになるDL380にも搭載可能に。最大40コアを提供し、メモリーやI/O帯域幅が強化されています。また、インテル®ディープラーニング・ブースト、インテル®アドバンスト・ベクトル・エクステンション512(AVX512)、インテル®スピード・セレクト・テクノロジーといったワークロード・アクセラレーション機能をサポートします。パフォーマンスやスループットが前世代製品から大きく向上しています。

※ Intel、インテル、Intel ロゴ、Intel Inside、Intel Inside ロゴ、Celeron、Celeron Inside、Intel Atom、Intel Atom Inside、Intel Core、Core Inside、Intel vPro、vPro Inside、Itanium、Itanium Inside、Pentium、Pentium Inside、Ultrabook、Xeon、XeonInside、Intel Xeon Phi は、アメリカ合衆国および /またはその他の国における Intel Corporation またはその子会社の商標です。


ご導入製品情報

HPE SimpliVity

世界最高レベルの効率と耐障害性を備えた、大企業から中小企業まで幅広い企業で利用されているエンタープライズグレードのハイパーコンバージド(HCI)製品であるHPE SimpliVityは、複雑なIT環境をシンプル&コンパクトに統合し、これまでにないシンプルで扱いやすい仮想化基盤を実現します。


ソリューションパートナー

三谷商事株式会社 様

 

所在地:福井県福井市豊島1-3-1(三谷ビル)

URL:https://www.mitani-corp.co.jp/

ご導入企業様

医療法人 神甲会 隈病院 様

 

所在地:兵庫県神戸市中央区下山手通8-2-35

URL:https://www.kuma-h.or.jp/

本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス

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導入ハードウェア

HPE SimpliVity 380 Gen10