GIGAスクール構想に基づく校務支援仮想化基盤を「HPE SimpliVity」でシンプルに刷新

富士市教育委員会 様

所在地:静岡県富士市永田町1丁目100番地
URL:https://www.city.fuji.shizuoka.jp/

業務も学びも止めないインフラが実現、消費電力も4割減

静岡県下の富士市教育委員会では、2011年から5年ごとに教職員向けに先進的な仮想化基盤をリプレース提供してきた。2021年に始まる第3期システム構築に当たっては、校務支援システムと、GIGAスクール構想に基づく教育支援システムを、1台のPCで利用できる「二刀流」システムとして実現することを決断。このうち校務支援のサーバー環境については、コスト最適化効果が高く事業継続性強化も図れる「HPE SimpliVity」を採用した。いつでもどこからでもアクセスでき、業務も学びも止めない基幹システムとして完成した新システムは、教員から大好評を博すと同時に、消費電力4割減を果たすなど確かな導入効果を上げている。

業種

公共

 

ビジョン

GIGAスクール構想に基づく校務支援システムインフラの構築

 

戦略

校務支援のための仮想化基盤をHCI製品で全面刷新

 

成果

• 業務も学びも止めない事業継続性の高いインフラ環境が実現

• どこからでもセキュアに接続でき、教員の働き方自由度が拡大

• 消費電力4割減を始め、省エネ/省スペース/コスト最適化効果も発揮


富士を間近に望む環境で、学びを楽しむ子どもを育成

 

静岡県の東部に位置する富士市は、文字どおり富士山と駿河湾を間近に臨む地方自治体だ。豊富な地下水や美しく雄大な景観などの富士山の恵みを活かし、多様な産業が集積する都市として発展してきた。人口は、浜松市、静岡市に次いで3番目に多く、市内には27の市立小学校、16の市立中学校、そして市立高校1校が存在する。児童・生徒数は約19,000名にも上る。

これらの公立教育機関を統括するのが、富士市教育委員会である。富士市民憲章に掲げられた「『共助・環境・学び・健康・平和』の精神を兼ね備えた『ふじの人』」に則り、「明日を拓く 輝く『ふじの人』づくり」を基本目標に掲げる。富士市教育委員会 学校教育課 教育指導室 指導主事 石塚洋行氏は、「富士市では、「一緒に学ぶ 一生学ぶ」を基本方針に、『明日を拓く人材を育成する教育基盤の推進』『学びを楽しみ、輝く子どもの姿を実現する学校教育』『生涯にわたって学び続ける「ふじの人」の育成』の施策方針のもと、学びを楽しむ子どもの育成をめざし、子どもたちが生き生きと学べる環境の提供に注力しています」と語る。

第3期システムでめざした、校務・教育「二刀流」の基盤構築

 

富士市教育委員会では、早くから先進的なICT環境の導入を進めてきた。皮切りとなったのは、2011年に構築された教職員向け校務支援システムだ。これが仮想デスクトップ環境(VDI)で、全小中学校の教職員1,200名(当時)にシンクライアント端末が配布された。これにより、教職員は自宅においてもセキュアに校務を履行できるようになり、先進的な取り組みとして全国的にも注目された。

上記が第1期システムとすれば、2016年に導入されたシンクライアント環境は第2期システムだ。校務支援システム上で教育用動画コンテンツを作成したいとの教職員からの要望を受け、これを高性能に実現するためにSBC方式でシステム構築した。

それでは、続く第3期システムではどのようなシステムをめざすのか。2021年に初年度を迎えるが、その構想検討はすでに2019年ごろから開始された。このとき、教育ICTにおいて最大のテーマは、GIGAスクール構想の実現だった。この構想は、Society5.0時代に生きる子どもたちにとって、PC端末は鉛筆やノートと並ぶマストアイテムであるという前提の下、協働学習支援ツールやデジタルドリルなどといった教育支援システムとともに1人1台端末環境を実現するというもの。インターネット接続も容易にして、外部の専門家とつなぐといった遠隔教育にも対応することが望まれていた。つまり、校務支援システムがセキュリティを第一に考えるシステムであるのに対して、GIGAスクール構想に基づく教育支援システムは接続性を重視していた。富士市教育委員会はこの点について次のように考えた。

「校務支援システムと教育支援システムが完全に分かれていると不便です。校務の仕事は職員室のPC端末で、教材づくりはパソコン室にある別のPC端末で、と、教員はいちいち使い分けなければなりません。それでは業務効率が大きく低下して、仕事にならないことが目に見えていました。次期システムでは、セキュリティは十分確保しつつも、1台の端末から両系システムにアクセスできることが重要だと考えました」(石塚氏)。

 

また第3期システムでは、大規模自然災害対策も重視された。富士市は富士山のふもとにある。気象庁はこの山を活火山と定義しており、噴火による被災を否定することはできない。近年はさらに、異常気象が多発しており、いつ富士市が大型台風や線状降水帯に遭遇してもおかしくなかった。

 

一方、セキュリティという観点からは、ランサムウェアが懸念された。もはや組織の大小や事業の種類を問わず攻撃が繰り返されており、非営利の教育機関だからといって安心することはできない。子どもたちの学びを止めないという大きな目的のためにも、こうした災害対策やセキュリティ対策面でいっそうの強化を図ることとした。

 

加えて、もう一つの要件として挙がったのが、コスト削減や省電力、省スペースである。教育委員会の管理するシステム環境は、第1期システムから富士市役所のサーバールームに設置されている。市役所のシステム環境自体はデータセンター移行が進んでおり、サーバールームの中で以前ほどスペースを取っているわけではなかった。しかし、市役所予算の多くは市民の税金から支出されている。収支状況のさらなる健全化を図るために、ハードウェアコスト、空調を含めた消費電力コストの削減に取り組む必要があった。

コスト最適化効果の高い、HCI「HPE SimpliVity」を提案

 

パナソニック インフォメーションシステムズ(以下、パナソニックIS)は、この校務支援システム構築を第1期から担っているシステムインテグレータである。同社は、GIGAスクール構想の実現に基づいた文部科学省の「教務情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」、総務省の教育情報化の推進方針、富士市の情報化計画、富士市教育委員会のICT導入意向などをすべて勘案した上で、第3期の校務支援システムのインフラ基盤として、日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)の、ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ(以下、HCI)製品「HPE SimpliVity 380 Gen10」(以下、SimpliVity)を提案した。

SimpliVityは、HCIでありつつも、柔軟なリソース拡張が可能であることを最大の特長とする。また、仮想化基盤構築のベースとなるVMwareや、AIを活用した次世代運用管理システム「HPE InfoSight」など、運用に必要なソフトウェアがあらかじめパッケージされており、環境構築プロセスを短縮できるのも大きな魅力だ。

パナソニックIS エンタープライズソリューション事業部 インフラソリューション部 部長 田中暢浩氏は、SimpliVityをこう語る。

「この製品は、HCIでありながら、CPUやメモリなどのコンピュート資源とストレージ資源を別々に拡張できます。そのため、追加したいのはコンピュート資源だけなのに、ストレージ資源も一緒に追加しなければならないといった無駄な投資を行う必要がありません。また、増やしたいコンピュート資源も『HPE ProLiant』という汎用サーバーを利用可能で、さらにコスト最適化効果を高めることができます。数あるHCI製品の中でもSimpliVityを独特かつおもしろいと私が思う点はここで、予算が有限の教育機関に最適だと考えました」

SimpliVityこそふさわしいと、田中氏が考えた理由がもう一つある。それは要件として挙がっていた、大規模自然災害やセキュリティへの対策の実現だ。実は、このインフラもデータセンターへ移行し、バックアップ環境だけ元のサーバールーム内にとどめる案が当初検討されていた。そうした中、この製品であればバックアップ機能を標準搭載しているため、サードパーティー製品を調達し、別途サーバーを構築してバックアップ運用するという手間をかけることなく、簡単に遠隔地保管を実現できた。さらによいことに、バックアップ機能は元データ比90%以上という高効率で圧縮・重複排除が可能で、ネットワークデータ量を大幅に削減可能だった。結果として、データセンター移行は予算の都合で実現しなかったが、それでもサーバールーム内のネットワーク負荷削減に寄与することができた。

また、パナソニックIS 営業統括部 文教ソリューション営業部 東日本営業所 冨田浩司氏も、「くわえて当社は、これまでのシステムインテグレーション実績から、SimpliVityがサポートするVMware環境の構築・運用に精通しており、すでにこの製品を用いて他の教育委員会の仮想化基盤構築を成功に導いていました」と続ける。

2021年4月、富士市教育委員会はこれらの点を総合的に評価し、提案を正式に採用した。

利便性と事業継続性を実現した、第3期仮想化基盤のシステム構成

 

上図は、今回構築された校務支援仮想化基盤のシステム構成である。SimpliVity 380 Gen10 Gで構成されたサーバー上に、校務支援システムが搭載されている。これはVMwareをベースとする仮想化基盤であり、この上にSBC方式のシンクライアント環境として搭載されている。第1期システムの時代から導入され、教職員の間ですでに慣れ親しまれた環境がそのまま継承された。

重要なシステムは冗長化が図られている。これによりコストはかさむことになるが、子どもたちの学びと教職員の業務を止めないためにも、データセンター移行はあきらめたとしてもこの構成はそうするべきではない、とパナソニックISは譲らなかった。

バックアップサーバーとして用意されたのは、SimpliVity 380 Gen10 Hである。たとえばファイルサーバーは、SimpliVity 380 Gen10 G側で1日2回スナップショットを取得し、バックアップサーバーへ送られる。万が一本番サーバーが何らかのトラブルに遭った際は、バックアップサーバー上の簡単な操作で、データがクライアント側からただちに閲覧できる。すでに閲覧可能であることも確認されている。サーバー環境にアクセスする教職員用PC端末はWindowsベースの2in1PCで、第3期システムに入って1,300台が新たに配布された。

学びも業務も止めないシステムは、消費電力4割減も実現

 

SimpliVityで構築された新しいインフラ環境は2021年8月より本稼働を開始、導入から1年が経過した。ここまで安定稼働を続けており、教育ICT基幹システムとしての役割をしっかりと果たしている。

また、大規模自然災害対策、ランサムウェア対策も強化された。これまでは、何かあってもパナソニックISがリカバリ作業を行ってデータを提供しないと閲覧が困難だった。つまり、最悪の場合は空白時間の生じるリスクがあった。しかし今では、パナソニックISが駆けつけられなくても教育委員会と運用担当者で対処できる。事業継続性がさらに向上した。

石塚氏は、新しいインフラ環境は使い勝手の面でも大きく進化したと語る。「SimpliVityで校務支援システムを構築、また教育支援システムをクラウドで実現することで、2in1PCで両系システムにアクセス可能な環境が整備されました。これにより、職員室、教室、自宅など、教職員がインターネットにつながるところならどこからでもシステムにアクセスできます。それでいながら、校務ではサーバー上の仮想デスクトップを画面転送で呼び出して利用するため、PCに機微情報は残りません。今はコロナ禍もあっていつ学校に出勤できなくなるかわからないため、『どこででも仕事ができるのはすばらしい』と大変好評を博しています。新環境によって教職員の時間の使い方、その選択肢が大きく広がりました」

省電力・省スペース効果も、確かな数字として表れている。消費電力量は第2期システム比で17723.4Wから9522.7Wへと4割減を達成した。また、利用ユーザー数は1,280から約1,300へ、ファイルサーバー領域は15TBから16.5TBへと増加しているのに機器ユニット数は44Unitが28Unitになり、ラック3台を要していたのが2台に収まるまでになった。

次なるテーマは、教員の働き方改善につながるICT

 

第3期システムが一段落したところではあるが、第4期システムが2026年に本稼働することを考えると、構想の準備を始めたとしてもおかしくない。そこでは果たしてどのような環境が実現されるのだろうか。石塚氏は今後の展望を「今、教員の働き方が大きくクローズアップされています。そうした中、ICTを活用してどう課題解決できるかは十分に考えたいテーマです。また、安全とさらなる業務効率向上という視点も欠かせません。次はデータセンター移行なども見据えながら、子どもたちの学びを第一に考えた環境を整備していきたいと考えています」と述べた。

(写真左より)

パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 営業統括部 文教ソリューション営業部 東日本営業所 冨田浩司氏 / 富士市教育委員会 学校教育課 教育指導室 指導主事 石塚洋行氏 / パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 エンタープライズソリューション事業部 インフラソリューション部 部長 田中暢浩氏

ご導入製品情報

HPE SimpliVity

世界最高レベルの効率と耐障害性を備えた、大企業から中小企業まで幅広い企業で利用されているエンタープライズグレードのハイパーコンバージド(HCI)製品であるHPE SimpliVityは、複雑なIT環境をシンプル&コンパクトに統合し、これまでにないシンプルで扱いやすい仮想化基盤を実現します。


HPE ProLiant DL360 Gen10

マルチワークロード環境に対応できるきわめて高い柔軟性と他にはない拡張性を備えた、2P/1Uの高密度コンピュートの標準です。


HPE Apollo 4000システム

構造化されていないデータ、ビッグデータ分析、バックアップとアーカイブ、およびその他のデータストレージを多用するワークロード専用のインテリジェントなデータストレージプラットフォームです。


ソリューションパートナー

パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 様


所在地:東京都中央区銀座8丁目21番1号

URL:https://is-c.panasonic.co.jp/


本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス

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導入ハードウェア

HPE SimpliVity 380 Gen10 G
HPE SimpliVity 380 Gen10 H
HPE ProLiant DL360 Gen10
HPE Apollo 4200 Gen10