全日本食品が、全国1,800の加盟店を支える次世代の高性能IT基盤をLinux環境で実現



全日本食品株式会社 様

 

フューチャーアーキテクトがHPE製品による仮想化統合基盤を構築、HPE PCIe IOアクセラレーターを活用しデータベースを大幅に高速化


"第10次5カ年計画の後、全日食チェーンでは今まで以上に高度で戦略的なIT活用が実施されているでしょう。第2次IT基盤はそのための実行基盤となります"

―全日食チェーン 全日本食品株式会社
 上席執行役員 情報システム本部
 本部長
 恩田 明 氏

全日本食品の成長戦略を支える第2次IT基盤

 

全日本食品が、基幹業務システムのIT基盤を再構築し商用UNIXからLinuxに移行した。フラッシュテクノロジーを採用してデータベースシステムの4倍高速化を実現。業務効率を大幅に向上させるとともに、「IT武装の強化」を軸にした成長戦略を支える実行基盤を構築した。この「第2次IT基盤」には、サーバー、ストレージ、保守サポートまでHPEの製品とサービスが全面的に採用された。設計から構築・移行までを全面的にサポートしたのは、フューチャーアーキテクトである。

 

業界

流通

 

目的

「第10次5カ年計画」で掲げた成長戦略を支える新たなIT基盤の構築。2007年から稼働させてきた第1次IT基盤を刷新し、「性能2倍、コスト1/2」を目標に、基幹・情報系、管理系、物流系システムのハードウェア機器およそ100台を更新する。

 

アプローチ

処理性能のボトルネックとなっていたデータベースサーバーおよびストレージのアーキテクチャを見直し、半導体ディスク(SSDおよびPCI-SSD)により大幅な高速化を図る。また、UNIXベースのシステムをLinux環境に移行。Windows環境とともにx86サーバーによる仮想化基盤に統合する。

 

ITの効果

・「HPE ProLiant DL380p」をベースに半導体ディスク(PCI-SSD)とInfiniBandを組み合わせ、I/Oのボトルネックを排除した高速ストレージサーバーを構築

・データベースシステムの性能向上により、業務システムのレスポンスを約4倍高速化

・将来の業務拡大に柔軟に応えられる拡張性を確保

・「HPE 3PAR StoreServ」を基幹系WEB/帳票、物流系ストレージに採用し仮想化環境での安定した運用を実現

・「HPE データセンターケア」による問合せ窓口の一元化によりスピーディな保守対応を実現

 

ビジネスの効果

・受発注処理、月末締処理などの高速化により、業務効率を大幅に向上

・夜間バッチ処理が最大12倍高速化したことで、就業開始時の業務サービスへの影響を回避

・サーバー集約によるデータセンター費用節減をはじめ、トータルコストを約32%削減

・新店舗システム、CRM構築など、次期IT戦略の基盤として活用

チャレンジ

加盟店の情報武装を支えるIT基盤

 

全日本食品は、全国およそ1,800の加盟店から構成される、日本最大規模の小売主宰ボランタリーチェーン「全日食チェーン」の運営会社である。生鮮食品、日用雑貨などの商品供給、売場づくりや経営の指導、POSをはじめとする情報システムの提供などを通じて、地域に根ざした加盟小売店の活動を支えてきた。個人商店や地域のスーパーチェーンなど加盟店の多くを占める小規模店舗の支援にあたって、全日本食品が重視してきたのがITの活用である。

「各店舗の販売実績に基づいてシステムが適正な発注を行う自動発注システムや、一人ひとりの購買履歴に基づきそのお客様が日頃購入する商品をその人だけに特価で提供するZFSP(全日食フリークエントショッパーズプログラム)など、ITとデータの活用によって、少人数の店舗でも経営効率化やワンツーワンマーケティングの実践が可能なしくみを提供してきたのです」と、全日本食品 情報システム本部 本部長の恩田明氏は語る。恩田氏は、地域に密着した小規模店舗ならではの“ハイタッチなサービス”と”ハイテクな情報武装”を併せ持つことが、全日食チェーン加盟店の強みと言う。

この情報武装を支えてきたのが、2007年に構築された商用UNIXベースの第1次IT基盤だ。全日本食品は、新たな成長に向けてこのIT基盤を全面的に見直した。

「2013年からの第10次5カ年計画では、売上1.5倍、加盟店3,000店という目標を掲げています。この成長を支える、より高い処理性能と拡張性を備えたIT基盤が不可欠でした」(恩田氏)

新たな「第2次IT基盤」の構築にあたって最も大きなテーマは、システムのパフォーマンス向上だった。現行の第1次IT基盤は、性能面でもキャパシティ面でも限界に達しており、システムの応答速度が目に見えて低下していたという。

「特に顕著だったのが夜間バッチ処理の遅れです。SQLチューニングの実施といった対策にもかかわらず、前日の売上データ処理が翌日の午後まで仕掛かるような大きな遅延が常態化していました」(恩田氏)

バッチ処理が長引くことで保守運用の時間も確保しにくくなり、メーカーへの発注業務への影響も懸念されるようになっていたという。

「当社のIT基盤では、基幹系、情報系といったすべてのシステムが『基幹・情報データベース』と呼ばれる単一のデータベースを参照しています。システム性能の低下はこのデータベースのパフォーマンス不足、より正確にいうとデータベースストレージのI/O遅延が原因でした。このボトルネックをいかに解消するかが、第2次IT基盤のパフォーマンスと拡張性を左右する重要な鍵だったのです」(恩田氏)

2012年12月、「性能2倍、コスト1/2」を目標に、全日食チェーンの新たな成長路線を支える第2次IT基盤の構築プロジェクトがスタートした。優れたパフォーマンスと拡張性を備えたIT基盤を構築するにあたって中心的な役割を果たしたのが、フューチャーアーキテクトである。選ばれたのはHPEのサーバー、ストレージ、保守サポートだった。

フラッシュテクノロジーを軸にデータベースを高速化

 

恩田氏たちは、第2次IT基盤を構築するにあたってシステムOSから、見直したという。

「Linux環境への全面移行と仮想化技術の導入が私たちの結論でした。すべての業務システムをLinux環境に移行し、x86サーバーによる仮想化基盤に統合することで、投資対効果の改善を狙ったのです」

大きな課題は、ストレージI/Oのボトルネック解消だった。

「そのためには、低レイテンシーでデータ転送が行える高速なストレージが必要でした。私たちは、当時市場に出始めていた半導体ディスクも含め、最新のテクノロジーを検討していきました」(恩田氏)

恩田氏とともにストレージ製品の検討を行ったのは、第1次IT基盤からシステム構築を担当してきたフューチャーアーキテクトである。フューチャーアーキテクトはベンダーニュートラルな立場から、それぞれの製品に対して実際の業務データを使った性能検証を実施したという。その中で、最も優秀な成績を収めたのがHPE ProLiant Gen8サーバーをベースにしたストレージサーバーだった。

「HPE ProLiant DL380pに半導体ディスク(PCI-SSD)を搭載し、fusion-io社のデータアクセラレーターソフトウェアIONとInfiniBandを組み合わせたシステムです。半導体ディスクに最適化された構成ということでしたが、実際、そのパフォーマンスの高さに驚かされました。検証では、他社製品の2倍から4倍の処理性能を発揮しました」とフューチャーアーキテクト エンタープライズサービスグループ スペシャリストの諏訪部梓氏は話す。

恩田氏は、ストレージサーバーのスケーラビリティについても、そのメリットを指摘する。

「第1次IT基盤で使用していた大型ストレージは部品供給や拡張性に難があり、業務負荷の増大に対応できませんでした。一方、複数のx86サーバーから構成されるこのシステムは、サーバーの追加だけで容量も処理能力も拡張できます。第10次5カ年計画の成長戦略の遂行にあたってこの拡張性は欠かせませんでした」(恩田氏)

性能、信頼性、拡張性を備えたHPEのストレージサーバーによって基幹・情報データベースを高速化する―これが全日本食品の結論だった。一方、仮想化基盤の核となる共有ストレージについては、より高い可用性を求めた。こちらにはVMwareと高い親和性を持ち、仮想化基盤への導入実績も豊富な「HPE 3PAR StoreServ」が選ばれた。その他、今回のシステム更改の対象となる約100台のハードウェア機器のマイグレーション先の大半にHPE製品の採用が決まった。

「多岐にわたるシステムをいかに安定稼働させるかが私たちにとって大きな課題でした。HPE製品で全社のシステムを統一するとともに、保守窓口もHPEに集約することで、トラブル時のスピーディな対応を構築しようと考えたのです」(恩田氏)

窓口を一本化しつつ、多様な保守ニーズに応える。これを実現するソリューションとして採用されたのが、複雑化するIT環境全体を包括的にサポートする保守サポートサービス「HPEデータセンターケア」である。

全日食チェーン 全日本食品株式会社

上席執行役員
情報システム本部
本部長
恩田 明 氏

ソリューション

劇的な性能向上とコスト削減効果

 

2013年9月から始まった設計作業では、全日本食品とフューチャーアーキテクト、そしてHPEの担当者が、毎週の進捗会議で顔を突き合わせ、細かな仕様や障害時の対応手順などを詰めていった。基本設計を作り込むことで、システムの信頼性を確保したのである。

約1年3ヶ月の準備、開発、テストなどの期間を経て、2015年初頭、第2次IT基盤がカットオーバーする。フューチャーアーキテクトとHPEは、万全のデータ移行とシステムの切り替えを実施。大規模システムの移行を無事終了させている。

第2次IT基盤の導入効果を見ていこう。まずデータベースシステムのボトルネックを排除した高速ストレージサーバー。その導入効果は劇的だった。画面アクセス時間は約4倍、ジョブ実行時間は約8倍とすべての処理が目標を上回る高速化を達成した。特に大きな効果を上げたのが、夜間バッチ処理だ。

「最大12倍高速化を達成したことで、始業時間前に余裕をもってすべてのバッチ処理が終了できるようになりました。これにより、経営や業務の判断もタイムリーに行えるようになり、発注が遅れる心配も解消されました」(恩田氏)

経済的な効果も大きい。仮想化基盤の導入によって100台あった物理サーバーを約40台にスリム化。さらにこれらのサーバーの運用を外部のデータセンターに委託することで、月間ランニングコストを約32%削減することができたという。

さらに、HPEデータセンターケアによる問合せ窓口の一元化により、保守対応も迅速化された。

「HPE ProLiant Gen8サーバーは、HDDやメモリなどコンポーネント障害の予兆を検知してHPEのサポートに連絡してくれます。これにより、深刻なサービス停止が発生する前に問題解決が可能で、大規模なIT基盤を安心して運用することができます」(恩田氏)

 

フューチャーアーキテクト株式会社

アドバンスドビジネス本部
エンタープライズサービスグループ
エグゼクティブマネージャー
山岸 敬 氏

フューチャーアーキテクト株式会社

アドバンスドビジネス本部
エンタープライズサービスグループ
スペシャリスト
諏訪部 梓 氏

ベネフィット

ビジネスの成長を支えるIT基盤

 

第2次IT基盤は、高いパフォーマンスで全日食チェーン加盟店の情報武装を支えている。データベースストレージの一新により、パフォーマンスのボトルネックを解消した上に、処理量の増大に即応できる拡張性も実現している。

設計から構築・移行まで、今回のプロジェクトをトータルにサポートしたフューチャーアーキテクトについて恩田氏は、そのきめ細やかで真摯な対応がプロジェクトの成功に欠かせなかったと強調する。フューチャーアーキテクト エンタープライズサービスグループでエグゼクティブマネージャーを務める山岸敬氏は次のように語る。

「ビジネスの成功や最適なシステムをお客様と共に考え、実現していくことが私たちの使命です。ビジネスとシステムのあるべき姿を全日本食品様と長年共有してきたことが、今回のプロジェクトの成功につながったと思います」

最後に、恩田氏には将来への展望を語っていただこう。

「第10次5カ年計画の後、全日食チェーンでは今まで以上に高度で戦略的なIT活用が実施されているでしょう。第2次IT基盤はそのための実行基盤となります。ZFSPを中心としたワンツーワンマーケティングの発展や、オムニチャネルに対応した顧客ポータルサイトの構築、そして次期店舗システムなど、様々な施策を展開していく計画です。フューチャーアーキテクトとHPEには私たちのベストパートナーとして、全日食チェーンの挑戦を支えてもらいたいと期待しています」

ご導入企業様

全日本食品株式会社 様