山﨑建設が、OSのサポート終了を見越しWindows Server 2016への移行をBIシステムから先行してスタート

山﨑建設株式会社 様

所在地:東京都中央区日本橋富沢町8-6
URL:http://www.yamazaki.co.jp/

AMD EPYC™プロセッサー搭載、性能と経済性を両立した1ソケットのHPE ProLiant DL325 Gen10サーバーを採用

"HPE ProLiant DL325 Gen10サーバーを採用することで、サーバーの調達コストを想定の6割ほどに抑えることができました"

―山﨑建設株式会社 管理本部 人事総務部 情報システム課 課長 田村 貞 氏

重機を使った大規模な機械土工を得意とする山﨑建設では、全国に散らばる工事現場のコスト管理などを担うBIシステムのITインフラを刷新した。2020年1月に迫ってきたWindows Server 2008のサポート終了を見据え、様々な業務システムを計画的にWindows Server 2016へ移行していくための先行事例を作りたいという狙いからだった。採用されたのは、最新のAMD EPYC™プロセッサーを搭載したHPE ProLiant DL325 Gen10サーバー。企業規模で利用するシステムの要求仕様を満たしつつ、シングルプロセッサーならではの経済性を備えることが決め手になった。

 

業界

建築・建設

 

目的

サポート終了が目前に迫ってきたWindows Server 2008上のシステムをWindows Server 2016上へ移行する。

 

アプローチ

複数のシステムで確実な移行ができるよう、参照できる先行事例を作る。そのために、コンピューティングパワーをそれほど必要としないシステムで移行プロセスを検証する。

 

ITの効果

・AMD EPYC™プロセッサーを搭載し、経済性と性能をバランスさせたHPE ProLiant DL325 Gen10サーバーを採用。最適な構成で投資の無駄を回避

・物理サーバー2台を仮想化により1台に統合、運用管理のコストと手間の削減に期待

・iLO 5の進化により、専用ツールを使わなくとも、ブラウザだけでシンプルに管理作業

 

ビジネスの効果

・移行プロセスの経験が、重要な基幹系システムでもスムーズなOS移行の自信に

・サーバーOSからクライアントOSへと移行のステップを踏むことで、ユーザー、情シス双方の混乱を最小限に抑制

ご導入製品

HPE ProLiant DL325 Gen10


チャレンジ

サポート終了でサーバーOSの移行は待ったなしの状況に

 

2018年に創立70周年を迎えた山﨑建設は、高速道路やダム、空港、発電施設といった社会インフラの建設に伴って必要となる大規模な土木工事を、大型の重機を駆使して実施する機械土工のエキスパートとして業界内でその存在を知られている。

機械土工以外にもトンネル工事や地下空間開発などの都市土木の分野にも積極的に進出。近年ではその施工能力の高さに加え、土量配分や重機運用の計算シミュレーション、UAV(ドローン)を使用した航空写真測量による3D図面等を活用した技術提案力が高い評価を得ている。

また、豊富な実績を活かして様々な大規模プロジェクト、東日本大震災の復興工事、災害復旧対応に取り組んでいる。築地に代わる東京都の豊洲市場建設、群馬県に建設中の八ツ場ダム工事、岩手県陸前高田市の復興工事、2018年では北海道胆振東部地震や西日本豪雨の災害復旧工事など、代表的な施工実績を並べてみれば、いかに同社が全国的に活躍しているかよく分かる。

山﨑建設では、複数の業務システムがWindows Server 2008上で稼動している。同OSのサポートが2020年1月で終了することは既に発表されており、同社でも新しいサーバーOSへの移行を検討する必要に迫られていた。しかし、情報システム部隊は少数精鋭の体制。同社管理本部人事総務部情報システム課の田村 貞課長は、どのように進めるかに頭を悩ましていたという。

「Windows Server 2016へ切り替えることは決めていたのですが、サーバーOSの後にはクライアントOSの移行も控えています。ユーザーサポートの負担増を考慮すると、複数のクライアントOSが混在する状況はぜひとも避けたい。そこでまずサーバーOS、次に一斉にクライアントOSを、とステップを踏んで計画的に移行することにしたのです。また、サーバーOSの移行では、移行の難易度が比較的高くなさそうなシステムを1つ選び、先行して経験を積んでおこうと考えました。それがBIシステムでした」(田村氏)

このシステムは、同社が日々の業務を進めていくうえで不可欠な存在であり、全国に散らばる工事現場で発生する入出金の管理や労務費計算のための勤怠管理などに主に利用されている。ユーザー数はグループ会社も含め事務系スタッフ100名ほど。システムの構成は自社用に1台、グループ会社向けに1台の計2台のサーバーを用意、それぞれにWindows Server 2008上で「WebFOCUS」というBIソフトウェアを稼動させていた。これをWindows Server 2016上へ移行するために採用されたのが、最新のAMD EPYC™7000 プロセッサーを搭載したシングルプロセッサーサーバー、HPE ProLiant DL325 Gen10サーバーだった。

山﨑建設株式会社

管理本部 人事総務部
情報システム課
課長
田村 貞 氏

ソリューション

シングルの価格でデュアルの性能 HPE ProLiant DL325 Gen10サーバー

 

HPE ProLiant DL325 Gen10サーバーの最大の特長は、シングルプロセッサー専用のサーバーならではの優れた経済性、エンタープライズクラスのシステム要求にも十分に応えられるパフォーマンス、という相反する2つを極めて高いレベルで両立していることだ。

近年、デュアルプロセッサーがサーバーの主流を占めるようになっている。このため、処理パワーをそれほど必要としないシステムでも、メモリーやI/O 性能などの要請から、選択肢の多いデュアルプロセッサーモデルを導入するケースがよく見られる。しかし、せっかく導入しても実際に使うのは1つのプロセッサーだけ、といった過剰投資に陥ることも多い。そこで投資効率を優先してシングルプロセッサーサーバーを選ぼうとすると、そもそもプロセッサー性能が低く、メモリーやI/O 性能もエンタープライズ水準の要求を満たせない。山﨑建設でも同じようなジレンマを感じていた。

「新しいBIシステムでは、それまであった2台の物理サーバーを仮想化で統合する予定でした。高い処理パフォーマンスは求めないけれど、アクセスは会社ごとにネットワークポートを分けたいと、ポートを3基以上備えるシングルプロセッサーサーバーを探しました。しかし、なかなか見つからない。単純なことですが、これがHPE ProLiant DL325 Gen10サーバーにたどり着くための出発点になりました」(田村氏)

いわば、「シングルプロセッサーの経済性でデュアルプロセッサークラスの性能」を提供するHPE ProLiant DL325 Gen10サーバー。その実現を可能にした重要な要素の1つが、搭載するAMD EPYC™プロセッサーだ。HPEは、その設計仕様の策定段階から、AMDと密接に連携しながら開発を支援してきた。

日本AMDの関根正人氏は同プロセッサーのアドバンテージを次のように解説する。

「コア数は8から32までをサポートしており、山﨑建設様でも採用いただいた8コア製品については、特に戦略的な低価格で提供しています。性能に関わる部分では、コア数に関係なく、コアあたり8つのメモリーチャネルを備えます。最小の8コアでも広大なバンド幅を確保できるため、メモリーを大量に使う重い処理や仮想化統合でも高いパフォーマンスを実現します。こうしたAMD EPYC™プロセッサーの強みをHPEは深く理解しているからこそ、経済性と性能を絶妙にバランスさせたHPE ProLiant DL325 Gen10サーバーを市場に送り出すことができたのでしょう」

長年馴染んできたiLOの使い勝手の良さを高く評価

 

HPE ProLiant サーバーが“自働サーバー”と呼ばれる所以となっている、自律動作も交えた高度な管理機能。その実現を担っているのがHPE独自開発のシリコンチップ(ASIC)「Integrated Lights-Out(iLO)」だ。HPE ProLiant DL325 Gen10サーバーをはじめとするHPE Gen10サーバーでは、このiLOがバージョンを1つ上げ「iLO 5」へと進化した。

その進化の最大のポイントはセキュリティ機能の大幅な強化だ。近年、サイバーアタックの脅威はこれまでの対象だったアプリケーションやOSのレベルから、より下のレイヤーであるファームウェアへと拡大している。こうした攻撃に対抗するため、iLO 5ではiLOチップ上にファームウェアの正常性確認ロジックを焼き込む「Silicon Root of Trust(シリコンレベルの信頼性)」という技術を実装。サイバーアタックでは改変不可能なこの技術を起点に、ファームウェア改ざんの検知や改ざん発生時の復旧などを自律的に実行する。さらにAMD EPYC™プロセッサーが提供するメモリー内データの暗号化技術、TSME(Transparent Secure Memory Encryption)と連携することで、信頼性の一層高いキュリティ環境を提供。HPEが掲げる「世界標準の安心サーバー」というコンセプトを目に見える形で実現している。

「HPE ProLiant サーバーはほかのシステムで以前から利用しており、iLOも日常的に活用してきました。管理画面の分かりやすさは抜群で、今回 HPE製を選んだ理由の1つになっています。iLO 5から、すべての操作をブラウザだけで実行できるようになったことも、うれしい進化でした」と、田村氏はiLOの存在を高く評価する。

見積ツールとしても多くのニーズに対応するHPE DirectPlus

 

採用機種をHPE ProLiant DL325 Gen10サーバーに決定した後は、オンラインストア「HPE DirectPlus」を使ってサーバー構成を細かく検討した、と田村氏は振り返る。HPE DirectPlus は、購入するためだけのサイトとして思われがちだが、見積ツールとしても多くのニーズに対応する機能を備えている。サイトであるメリットを最大限に発揮し、分かりやすいインターフェイスを選択していくだけで、キャンペーン価格まで適用した見積は24時間365日取得できる。また、サイトで作成した見積・構成ID を基にHPE販売パートナー経由で発注できるのも特長のひとつで、多くのHPE販売パートナーの中からお客様と取引のある販売代理店を選択でき、無駄な工程を踏まずにスムーズな購入が可能だ。

「今回はサーバー単体での調達ではなく、ラッキングやOSのインストールまで一括して外部に依頼しようと考えていました。このためHPE DirectPlusの利用は構成の決定までに留め、この構成のサーバーを販売代理店を通して発注したのです。HPE DirectPlusでは選択可能なコア数やメモリー量などのバリエーション、オプションの品揃えなどの情報を素早く確認できたため、作業をスムーズに進められました。その結果、HPE ProLiant DL325 Gen10サーバーを採用することで、サーバーの調達コストを当初想定の6割ほどに抑えることができました」(田村氏)

日本AMD株式会社

データセンター・エンベデッド・
ソリューション営業本部
セールスエンジニアリング担当
マネージャー
関根 正人 氏

ベネフィット

サーバー運用管理の効率化を進化させるHPEの先進的な取り組みに今後も注目

 

2018年内の完了を目標に、BIシステムのOS移行プロジェクトは同年夏、サーバーの機種検討からスタートした。9月に入って候補機をHPE ProLiant DL325 Gen10サーバーに絞り込んだうえで細かい仕様を検討し、販売代理店に見積もりを依頼。9月末までにはHPE ProLiant DL325 Gen10サーバーの購入を最終決定し、すぐに発注。10月末にはWindows Server 2016のインストールを済ませたサーバーが納品されてくる、といったように調達はテンポ良く進んでいった。

11月に入ると、新OSに対応したバージョンのBIソフトウェアの事前テストを実施し、2週間ほどをかけて移行に伴う課題の洗い出しとその解決法を検討。BIソフトウェアの移行作業自体は大きなトラブルもなくわずか1日で完了した。11月後半からは事前テストで判明した課題を解決法に基づいて対応する作業を着々と進めており、年内の本番稼動に向けて作業は最終段階にある。BIシステムでの成功を受け、2019年初頭からは同社の基幹システムであるデータベースシステムのOS移行プロジェクトがスタートする。このプロジェクトは2018年年度内に完了させる予定だ。その後はクライアントOSの移行が控える。

「今回のプロジェクトでは、サーバーOSの移行だけでなく、サーバー本体のメーカー変更、仮想化ソフトウェアHyper-Vの初適用、BIソフトウェアのバージョンアップなど、様々なレベルで変化がありました。それだけに大きなトラブルに見舞われるのではと心配していましたが、実際は非常にスムーズに進行しました。HPE ProLiant DL325 Gen10サーバーのITインフラとしての信頼性、安定性は期待以上でした」(田村氏)

HPEでは、HPE Gen10サーバーの先進的な管理機能をさらに進化させるため、2019年から、AIとセンサー技術の組み合わせにより障害の予測と回避を可能にするサービスをサーバー向けに開始する予定だ。これは「HPE InfoSight」というサービスで、すでにストレージ製品向けに提供が始まっている。ストレージ領域では、このサービスを利用することで、発生するトラブルの86%を自動的に予測し、解決できたという驚異的な実績を積み上げつつある。

「仮想化により、BIシステムの物理サーバーは2台から1台に減り、運用管理のコストや手間も半減することを期待しています。しかし、少数精鋭でITシステムを稼動させている当社にとって、運用管理業務の効率化は常に関心のあるテーマ。サーバーの管理を少しでも楽にしてくれるHPEのこうした先進的な取り組みを今後も注目していきたい」と田村氏は話しを締めくくった。

 


本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス

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導入ハードウェア

HPE ProLiant DL325 Gen10