先進デジタル人材の育成を支える、新たな情報教育環境を構築

国立大学法人筑波大学 様

所在地:茨城県つくば市天王台1丁目1-1
URL:https://www.tsukuba.ac.jp/

HPE ProLiant DXシリーズで情報教育用仮想化基盤を刷新、インフラ環境の最適化と運用負荷軽減を実現

筑波大学 情報学群 情報科学類では、プログラミング実習などに用いられる情報教育用仮想化基盤を再構築した。先端技術を用いた最新プロダクトでインフラを刷新することで、高度情報人材の育成に役立てるのが狙いだ。本プロジェクトの提案並びにシステム構築は、大学や教育機関などの文教分野で豊富な経験を有する三谷商事が担当。Nutanix Cloud Platformを搭載した日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)の「HPE ProLiant DXシリーズ」を選択することで、インフラ環境の最適化と運用管理の効率化に成功している。

業種

文教

 

ビジョン

実社会の課題を解消し豊かで秩序ある社会の実現に貢献できる人材の育成

 

戦略

情報教育用仮想化基盤をHPE ProLiant DXシリーズで刷新

 

成果

• インフラ環境全体を一元的、かつ効率的に運用管理できる環境を実現

• ファームウェアやハイパーバイザのアップデートをワンクリックで実施可能に

• ラックスペースを約1/2に削減すると同時に、性能・容量も大幅に強化


情報のプロとして社会に羽ばたく、デジタル人材の育成を推進

 

現代の日本社会において、深刻な課題となっているのが先端IT人材の不足である。日本が国際的な競争力を維持し続けるためには、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の実現に向けた取り組みが不可欠。しかし、その推進役となるIT人材が、思うように確保できないのが実情だ。経済産業省が発表した「DXレポート」でも、2025年に約43万人のIT人材が不足すると指摘。これを「2025年の崖」として強く警鐘を鳴らしている。

大学をはじめとする各教育機関においても、こうした状況を変えるべく、IT人材の育成活動に注力している。筑波大学 情報学群 情報科学類も、そうした先進教育機関の一つだ。国内の情報系学科の草分け的存在である同学類では、情報に関する科学と技術の基礎や応用力を身に付け、情報のプロとして実世界の様々な課題を解決できる人材の育成を推進。1~2年生では情報科学の基礎となる理論・手法・技術を幅広く学べるほか、3年生からはソフトウェアサイエンス、情報システム、知能情報メディアの3専攻に分かれて専門的な知識をより深く学ぶことができる。

情報教育用仮想化基盤を学類内に独自構築し、学生への教材として活用

 

このように先端IT人材の育成に邁進する同学類だが、もう一つ注目される点がある。それは、全学情報基盤とは別に、情報教育用の仮想化基盤を自前で保有している点だ。本仮想化基盤は学生のプログラミング実習などに使われているほか、同学類のメール/Webサーバーとしても利用されている。

全学情報基盤とあえて別の仮想化基盤を保有しているのは、これ自体が一つの教材になるとの考えからだ。たとえばWebサーバーにはアクセスログが残るため、本物のログがどういうものなのかを学生が実地に観察することができる。また、授業で新しいソフトウェアを使いたい場合なども、すぐに導入することができる。現実に稼働中のシステムに触れられるということは、学生にとっても貴重な機会となることだろう。もっとも、プログラミング実習の時間割も詰まっているため、万一トラブルや障害などが生じた場合には授業への影響が避けられない。それだけに、情報教育用仮想化基盤には、高い信頼性と可用性が求められる。

Nutanix Cloud Platform搭載の、HPE ProLiant DXシリーズを新たに導入

 

さらに今回、同学類では、この情報教育用仮想化基盤の再構築に着手した。基本的にはハードウェアの保守切れに伴う定期更新だが、これを機に様々な環境改善も加えられている。たとえば従来は実習用の端末を大量に設置していたが、昨今ではほとんどの学生が自分用のPCを保有している。そこでBYOD(Bring Your Own Device)への対応を行うと共に、実習室の端末台数を大幅に削減することとした。一方、サーバーについては、既存環境による運用がうまくいっていたことから、引き続き高い性能と信頼性を備えた仮想化基盤を用いて安定運用を図ることとした。

一般競争入札の結果、本プロジェクトの担当ベンダーは三谷商事に決定。1914年創業の同社は、建設関連事業、エネルギー・生活関連事業、情報システム関連事業をビジネスの柱とする総合商社である。主力事業の建設関連事業では、セメント、生コンクリートの販売量で全国トップを誇る。また、情報関連事業においても、製造業・建設業・流通業・サービス業、医療、官公庁・自治体など、幅広い分野でソリューションを展開。中でも文教分野には特に強みを有しており、ICT教育の黎明期である1980年代よりコンピュータ教室の導入を支援。その後も、商社という立場での幅広いノウハウを元に、教育現場の課題解決に貢献してきた。現在は東京・京都・大阪・兵庫・広島・福岡・福井等に約120名の文教担当者を配置し、小中学校から高校、大学、専門学校まで、全国500校以上もの学校に対して導入・サポートを行っている。

その同社が、今回のプロジェクトに最適の製品として提案に盛り込んだのが、HPEのハイパーコンバージド・インフラストラクチャ(以下、HCI)製品、「HPE ProLiant DX360 Gen10 Plus」である。HPE ProLiant DXシリーズは、HPEとNutanixのパートナーシップから生まれた革新的なHCI製品であり、高い性能・信頼性と強固なセキュリティ機能を備えた「HPE ProLiant Gen10サーバー」と、市場でも豊富な実績を誇る「Nutanix Cloud Platform」の組み合わせで構成されている。

本件を担当した三谷商事 情報システム事業部文教営業部 東京テクニカルソリューション課 中嶋 健之氏は、ProLiant DXシリーズを提案した理由を「当初はVDIの導入などもご検討されていましたので、拡張性に優れた製品がマッチすると考えました。柔軟なスケーラビリティを備えたNutanix Cloud Platformは、まさにこうしたニーズに最適のソリューションといえます。もちろん、Nutanix Cloud PlatformベースのHCI製品は他社からも提供されていますが、HPE ProLiant DXシリーズは製品ラインアップが充実している上に、オプション類も豊富に用意されています。このため、お客様のご要望に合わせて柔軟に構成をカスタマイズできます。また、導入後のサービス・サポートなどについても、HPEによるワンストップ対応が受けられます」と語る。

「Nutanix Files」を活用し、ファイルサーバーも同一環境に集約

 

加えて、もう一つのポイントとなったのが、Nutanix Cloud Platformの独自機能である「Nutanix Files」だ。これを用いることで、仮想化基盤と同じクラスタ内にファイルサーバー環境も構築することができる。元々同学類では、仮想化基盤とは別建てのファイルサーバーを用意し、学生のホームディレクトリや個人データなどを保存していた。コロナ禍によって利用される頻度は減っていたものの、レスポンスの遅さがやや気になっていたという。三谷商事 情報システム事業部 文教営業部 東京文教課 福島 明氏は「この点についても、Nutanix Filesを用いることで、ファイルサーバーの集約・統合化やレスポンス改善などの効果が見込めます」と語る。

三谷商事株式会社
情報システム事業部
文教営業部 東京テクニカルソリューション課
中嶋 健之 氏

ハイパーバイザをNutanix AHVに変更し、インフラコストを削減、アップデートもワンクリックで実施

 

今回の更新はコロナ禍による半導体不足の時期と重なったことから、納期的にやや厳しい面もあったとのこと。「幸い、Nutanix Cloud Platformは、通常の3Tier構成のシステムよりアーキテクチャがシンプルです。SANスイッチなども不要ですので、設計構築にそれほど手間が掛かりません。この利点を活かすことで、無事スケジュール通りに本番稼働を果たすことができました」と中嶋氏は語る。ちなみに、今回は、仮想化基盤上で稼働するシステム群も新規構築しているが、Nutanix Cloud Platformには「Nutanix Move」と呼ばれる移行ツールも用意されている。このため、既存システムの移行なども簡単かつ確実に行うことが可能だ。

さらに見逃せないのが、今回からハイパーバイザを「VMware vSphere」から「Nutanix AHV」に変更した点だ。Nutanix AHVは無償で利用できるため、ハイパーバイザ部分に掛かるコストを丸ごと削減することができる。従来と同等の環境が利用できるのであれば、大学としてもコストは安いに越したことはない。これに伴い、運用監視もNutanix Cloud Platformの専用ツールである「Nutanix Prism」で行うことになるが、その使い勝手も良好とのこと。基本的な運用管理作業については概ね全く問題なく行えているという。

ちなみにこのハイパーバイザ変更においても、三谷商事が文教分野で培った知見がフルに活かされている。「たとえばソフトウェア製品の中には、Nutanix AHVでの動作保証を公式に行っていないものもあります。しかし、当社ではこれまでも多くの大学でNutanix AHVを導入していますので、他大学でどのようなソフトウェアの動作実績があるかもお伝え出来ます」と福島氏は語る。こうした豊富な経験を有するパートナーが支援してくれれば、ユーザーとしても安心してNutanix AHVを活用できる。

加えて、Nutanix Cloud Platformは、今後のアップデート作業についても大幅な省力化・効率化を図ることができる。一般に仮想化基盤のアップデートを行う場合、バージョンの整合性確認や新しいプログラムの適用作業などに多くの時間と工数を必要とする。中には、これを嫌ってシステムを古いバージョンのまま塩漬けにしてしまうようなケースも見受けられる。その点、Nutanix Cloud Platformには「ワンクリックアップデート」と呼ばれる機能が提供されており、ボタンを一つ押すだけでクラスタ内のノードを順次自動的にアップグレードできる。このため、面倒な手間を掛けることなく、常に最新の環境を利用することができるのだ。

ラックスペースを約1/2に削減、容量・性能も大幅に強化

 

新情報教育用仮想化基盤の導入により、インフラ環境の最適化も大きく進んだ。今回はコンパクトな1Uタイプの製品である「HPE ProLiant DX360 Gen10 Plus」を採用している上に、かさばる外部ストレージやファイルサーバーも不要となったことから、ラックスペースは従来の約1/2程度に減少。これに伴い、消費電力も引き下げることができた。その一方で、ストレージの容量は旧環境の約2倍にアップ。パフォーマンスも大きく向上している。普段の授業においても、性能が気になるような場面はないとのこと。旧環境での懸念点であったファイルサーバーのレスポンスについても、今後は改善されることが期待されている。

筑波大学 情報学群 情報科学類では、今回導入した環境を活かし、次世代を担う先進IT人材の育成を加速。プロジェクトを支えた三谷商事でも、Nutanix Cloud PlatformとProLiant DXシリーズを、引き続き大学・教育機関の課題解決に役立てていく考えだ。「たとえば近年では、教育研究用基盤と事務系基盤の統合を検討される大学様も増えています。シンプルさとスケーラビリティを兼ね備えたNutanix Cloud Platform+ProLiant DXシリーズは、こうした用途にもまさに最適。当社グループのISP事業者であるミテネインターネットは、学術情報ネットワーク『SINET』とも接続していますので、Nutanix Cloud Platformの機能を用いたDR/BCPシステムなども容易に構築できます」と中嶋氏は語る。

また福島氏も、今後に向けた展望を「当社では、総合アカウント管理システム『Campus UA』や、Learning Record Store / Learning Managementシステム、映像/音響システムなど、幅広い文教向けソリューション群をご用意しています。これらのソリューションも活用し、引き続き筑波大学様や他大学様への貢献を果たして参りたいと思います」と述べた。

三谷商事株式会社
情報システム事業部
文教営業部 東京文教課
福島 明 氏

(左より)

三谷商事株式会社 情報システム事業部 文教営業部 東京文教課 福島 明 氏 / 三谷商事株式会社 情報システム事業部 文教営業部 東京テクニカルソリューション課 中嶋 健之 氏


ご導入製品情報

HPE ProLiant DX

HCIのパイオニアであるNutanixを稼働させるための専用プラットフォームです。Nutanixが誇る洗練された管理ソフトウェアやツールはそのままに、世界標準の安心サーバー「HPE ProLiant」が提供する先進テクノロジーでNutanixを更に安心・安全にお使い頂ける環境を実現します。


ソリューションパートナー

三谷商事株式会社 様

 

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本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス

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