革新的な映像表現を可能にする先進のGPUレンダリング環境



株式会社SOLA DIGITAL ARTS 様

 

SOLA DIGITAL ARTSがHPE ProLiant DL385 Gen10 Plusサーバーを採用し、3DCGのレンダリング処理を最大6倍に高速化


革新的な映像表現で世界を驚かせてきたSOLA DIGITAL ARTSが、制作体制の大幅な強化を進めている。2020年7月、その一環として、第2世代AMD EPYC™プロセッサーおよびNVIDIA® Quadro RTX™を搭載するHPE ProLiant DL385 Gen10 Plusサーバー16台を新たに稼働させた。同社は、メニーコアCPUによりレンダーファームの処理能力を大幅に強化するとともに、本格的なGPUレンダリング環境を新たに立ち上げ、3DCGアニメーション制作の生産性を劇的に向上させている。

業種

3DCGアニメーション制作

 

ビジョン

3DCGアニメーションによる革新的な映像表現の追求

 

戦略

メニーコアCPUによりレンダーファームを増強するとともに、新たにGPUレンダリング環境を整備

 

成果

• CPUリソースを3倍に増強するとともに、GPUリソースを新たに活用可能に

• GPUによりレンダリング処理を最大6倍に高速化

• より多くのトライ&エラーが可能になり作品の高品質化に貢献

誰も見たことのない驚きに満ちた作品づくり

 

攻殻機動隊SAC_2045(2020年)、ULTRAMAN(2019年)、スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット(2018年)、ブレードランナーブラックアウト2022(2017年)――SOLA DIGITAL ARTSが手掛けるフル3DCGアニメーションは常に驚きに満ちている。その革新的な映像表現と圧倒的なクオリティを支えているのは、創業者の一人であり、3DCGアニメーションの第一人者として世界に知られる荒牧伸志氏の「誰も見たことのない、驚きとエンターテインメントに満ちた作品を作りたい」という強い思いである。

「SOLA DIGITAL ARTSは、グローバルマーケットに向けた3DCG映像作品を企画から制作まで一貫して行うスタジオとして、着実に実績を積み重ねています。高度なスキルを備えたクリエイターが集結し、1年に1本のペースで高品質な作品を送り出してきました」と話すのは、Design Engineerとして同社の3DCG制作を支えるシステムを統括する笹倉逸郎氏である。

荒牧氏がProduction I.Gの神山健治氏と共同監督を務めた「ULTRAMAN」では、フォトリアルな3DCGともセルアニメーションとも違う独特の映像表現を確立した。同作品と「攻殻機動隊SAC_2045」はすでに続編の制作が決定しており、SOLA DIGITAL ARTSは制作体制の強化を急いでいる。

「2019年に、スタッフを拡充して2つの作品を並行して制作できる2チーム体制に移行しました。同時に、次期プロジェクトに向けてレンダーファームの増強に着手しました。作品の高品質化とともに扱うデータ量は増大しており、最新作では前作比で2倍規模にまで達していました。レンダリング能力の拡充はまさに喫緊の課題だったのです」(笹倉氏)

レンダリングは、クリエイターがワークステーションで制作した3DCGを、サーバーを使って2次元の静止画に書き出す処理だ。3DCG映像では1秒あたり24枚の静止画を使用するため、1時間を超えるような長編映像の制作では、大規模な計算リソースとのべ数万時間に及ぶレンダリング処理が必要になる。

「制作工程で大きな時間を占めるレンダリングは、3DCGアニメーション制作の生産性を大きく左右します。しかし、レンダリング時間を大幅に短縮するにはブレークスルーが必要でした。私たちは、かねてから検証を進めてきた『GPUレンダリング』の導入を決断しました」と笹倉氏は話す。

本格的なGPUレンダリング環境の導入、というSOLA DIGITAL ARTSのチャレンジを支えたのはシネックスジャパンである。同社の提案は、第2世代AMD EPYC™プロセッサーを搭載し、NVIDIA® Quadro RTX™を組み合わせた「HPE ProLiant DL385 Gen10 Plusサーバー」だった。

GPUレンダリングにより1時間の処理を10分に

 

HPE ProLiant DL385 Gen10 Plusは、第2世代AMD EPYC™プロセッサー搭載の2Uラックマウント型サーバーとして世界中で急速にシェアを拡大している。

「レンダリングをリアルタイムに近づけることが最大のチャレンジです。具体的には、現状で1時間を要している典型的なレンダリング処理を、GPUレンダリングにより10分に短縮することを目指しました。私たちが使っていたレンダラーがGPUを正式サポートしたタイミングで実機テストに着手し、その結果『GPUによる6倍の高速化』が十分に達成可能との確証を得ました」と笹倉氏は話す。

SOLA DIGITAL ARTSが採用したHPE ProLiant DL385 Gen10 Plusサーバーは、GPUレンダリングのために「NVIDIA® Quadro RTX™ 6000」を3台内蔵する構成が採られた。NVIDIA Turing™ GPUアーキテクチャーに基づく高性能GPUとして、ビジュアルコンピューティングの領域で幅広く支持されている製品だ。

「GPUによる並列処理は確かに強力ですが、データセットをどう作るかで成果は大きく変わります。私たちは、GPUのメモリ量に見合ったデータサイズを見極め、テクスチャー表現などの精度を調整しながらモデルを最適化することでエラーを解消し、GPUの最大のパフォーマンスを引き出すことに成功しました」(笹倉氏)

価格性能比で圧倒したAMD EPYC™プロセッサー

 

笹倉氏は「GPUレンダリングで1時間を10分に短縮すること」を起点に必要なGPU数を算出し、サーバー構成と導入規模の検討を進めていった。その過程でAMD EPYC™プロセッサーに辿り着いたという。

「当初、HPE ProLiant DL385 Gen10 PlusはGPU専用機として使うつもりだったのですが、今後制作が決まっている作品群を見通して、CPUリソースも増強する判断をしました。『GPUレンダリング環境の新設』という基本方針に加え、『CPUレンダリングの高速化』もサーバー構成の要件としたのです。1システムでGPUとCPU、2つのレンダリング要求に応える環境です。AMD EPYC™プロセッサーは、より多くのコアを利用できることに加えクロック数でも明らかな優位性があり『これしかない』と直感しました」(笹倉氏)

HPE ProLiant DL385 Gen10 Plusが搭載する「第2世代AMD EPYC™プロセッサー」は、世界初の7nmプロセスルールで製造され、1ソケットあたり最大で64コア/128スレッドを実現している。PCIe Gen4やDDR4-3200のサポートと合わせ、優れたシステムパフォーマンスへの評価は高い。

「私たちが選んだのは、32コアを2.35GHzの高クロック数で使えるAMD EPYC™ 7452プロセッサーです。自社テストの結果と公開されたベンチマーク数値を比較したところ、同価格帯の他のCPUとの比較で、レンダリング性能が2~3倍高速であることがわかりました」(笹倉氏)

GPUとCPU、2つのレンダリング環境を1筐体に

 

2020年7月、HPE ProLiant DL385 Gen10 Plus(計16台)が稼働を開始した。この新しいレンダーファームは、2つの要件に同時に応えるユニークなシステムとして完成された。Hyper-V仮想化でサーバーリソースを2分割し、①GPUレンダリング環境 ②CPUレンダリング環境を1筐体内に構築したのである。リソースはそれぞれ次のように割り当てられた。

①GPUレンダリング環境:NVIDIA® Quadro RTX™ 6000×3GPU+AMD EPYC™ 7452×1CPU/32コア

②CPUレンダリング環境:AMD EPYC™ 7452×1CPU/32コア

「①GPUレンダリング環境は3つのGPUと1CPUを1クライアント(ユーザー)が占有します。最適化されたデータセットを使用することで、1時間を要していたレンダリングが10分程度に短縮される期待通りの性能を発揮しています。GPUパススルーによりOSがGPUリソースをダイレクトに利用できるようにし、仮想化のオーバーヘッドを最小化させました」

②CPUレンダリング環境も同様に、1クライアント(ユーザー)が1CPU/32コアを占有して処理を実行する。

「サーバー16台の合計でCPUコア数は1,024に達します。既存サーバー60台(約500コア)の2倍規模を増強できたわけです。AMD EPYC™プロセッサーをレンダリング環境で使うのは初めてでしたが、出力イメージに問題がないことも検証で確認していました」と笹倉氏は笑顔を見せる。

また、Hyper-Vによるサーバー仮想化では性能面で興味深い結果が得られていた。

「1CPU/1OSの性能を『1』としたとき、2CPU/1OSでの性能は『1.5』程度にとどまりました。レンダラーが2CPUのリソースを十分に使いきれなかったことが原因と考えられます。これに対して、Hyper-V仮想化で2CPUを2つに分割しそれぞれにOSを稼働させた場合、計算性能は『1+1=2』に達しました。仮想化環境の方がデュアルソケットの性能を引き出せたわけです。仮想化によるオーバーヘッドは1%以下に抑えられています」(笹倉氏)

株式会社SOLA DIGITAL ARTS

DESIGN ENGINEER
笹倉 逸郎 氏

「ひとり情シス」をサポートするHPE InfoSight for Servers

 

SOLA DIGITAL ARTSでは、2017-18年にかけて60台規模のレンダリングサーバーを自社(メーカー保守なし)で導入し運用してきた。HPE ProLiant DL385 Gen10 Plusの選定にはどのような狙いがあったのだろうか。

「安定的なレンダリング処理を支える高品質のハードウェア、リモートメンテナンスツールの装備、GPUを含むハードウェア一括保守、というのが今回のサーバー選定の基本要件でした。レンダリングサーバーは100%近いCPU使用率で24時間フルに稼働させます。ハードウェアの不調を最小限に抑え、プロセスの不調時にOSをリモートで再起動できるようにすることは切実なニーズでした。また、過酷な環境下でGPUを安心して使い続けるには、信頼のできるメーカーによる一元保守が必須と考えました」と笹倉氏は話す。

レンダーファームの不調は、SOLA DIGITAL ARTSの映像制作=ビジネスの生産性に直接的に影響する。シネックスジャパンの米澤賢治氏は、HPE ProLiant DL385 Gen10 Plusの優れた運用管理性、中でも「HPE InfoSight for Servers」による予兆検知の有用性を紹介したという。

「使いやすい管理ツールは必須ですが、サーバー運用そのものを支援するソリューションも重要になると考えました。HPE Nimbleストレージで効果が実証されたAIベースの予兆検知テクノロジー『HPE InfoSight』を利用すれば、サーバー運用を自動化に大きく近づけることができます」と米澤氏は話す。

「業務系サーバーとしてHPE ProLiant DL325 Gen10 Plusを導入しており、管理ツールHPE iLO5の使いやすさを実感していた」と言う笹倉氏は、「問題が顕在化する前に部品交換などの対処が可能になれば、システムの安定性・信頼性はいっそう高まるだろう」とHPE InfoSightへの期待を示す。

革新的な映像制作を追求するための理想のシステムへ

 

レンダリング処理が1時間から10分にまで短縮されたことで、待ち時間から解放されるクリエイターの仕事はどのように変わるだろうか。

「限られた時間内でどれだけクオリティを高められるか、いかにスケジュール通り次工程へ成果を渡すか――クリエイターたちは常に時間と戦っています。クリエイターも人間ですから、集中力を途切れさせないことが大事です。ひとつのタスクに集中して、10分単位で結果を見ながら修正や見直しが可能になれば、クオリティと生産性を同時に高めることができます」(笹倉氏)

現在SOLA DIGITAL ARTSが取り組んでいる作品は、いずれも話題作だ。期待とプレッシャーが高まる中、「誰も見たことのない映像づくり」へのチャレンジは続く。笹倉氏は次のように話して締めくくった。

「シネックスジャパンには常に適切なアドバイスをいただき、私たちが求めていた環境を適切な機器構成で実現することができました。将来的には3DCG制作スタジオをクラウド上に構築したいと考えていますので、引き続き技術支援をお願いします。ビジュアルコンピューティングの世界は、独特のハードウェア構成や要求仕様があります。引き続きHPEには、システムの安定性・信頼性と合わせて、そうした尖ったニーズにも応えていただける革新的なサーバー製品を期待しています」

ソリューションパートナー

シネックスジャパン株式会社 様

 

所在地:東京都江東区東陽6-3-1 東京イースト21 ビジネスセンター 2F

URL:https://www.synnex.co.jp/

ご導入企業様

株式会社SOLA DIGITAL ARTS 様

 

所在地:東京都武蔵野市中町1-19-3 YSビル1F

URL:https://sola-digital.com/jp/