お客様導入事例

オムロンソフトウェア株式会社 様

安全で快適な社会を支える、ソフトウェア開発基盤を確立

オムロンソフトウェア株式会社 様

所在地:京都府向日市寺戸町九ノ坪53番地
URL:https://socialsolution.omron.com/software/

HPE ProLiant サーバーで、駅務機器向けソフトウェアビルド環境を改善、設計開発業務の品質・スピード向上とセキュリティ強化を実現

オムロンソフトウェアでは、自動改札機や券売機といった駅務機器システムの開発を手掛けている。従来は、そこで利用されるソフトウェアのビルドを複数の環境で行っており、エンジニアが自分で使い分ける必要があった。そこで同社では、日本ヒューレット・パッカードのクラス最高水準の性能と拡張性を持つインテル®Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載する「HPE ProLiant ML110 Gen10」による新たな開発環境を構築。各ビルドマシンへのアクセスを一元化することで、設計開発業務の効率化と品質向上に貢献。また、旧世代の開発環境を外部から見えなくすることで、セキュリティの強化も実現している。

業界

ソフトウェア開発業

 

ビジョン

誰もがつながりデジタルの恩恵を受けられ、持続的に発展する社会の実現

 

戦略

本案件採用にあたっては、新たなソフトウェア設計開発環境をHPE ProLiant サーバーで構築

 

成果

• 3台のビルドマシンを意識することなく設計開発が行える環境を実現

• 旧世代機器向けの開発環境をセキュアな状態で維持することが可能に

• HPE DirectPlusによる効率的なハードウェア調達を実現

ご導入製品

HPE ProLiant ML110 Gen10


安心・安全・快適なデジタル社会の実現に、ソフトウェアで貢献

 

日本の製造業が世界に誇るモノづくり力。高い品質と信頼性を兼ね備えた製品を提供することで、これまでも飛躍的な成長を成し遂げてきた。そして現在、製造業を取り巻く環境に大きな変化が起きつつある。それはソフトウェアによるモノづくり変革だ。新たな社会ニーズへの即応を果たす上で、ソフトウェアの柔軟さは強力な武器となる。近年では、今までメカトロニクスで行っていたような制御をソフトウェアに置き換える動きも一段と加速。まさにソフトウェアこそが、製品やサービスの価値を決定する重要なファクターとなっている。

オムロン株式会社のビジネスカンパニーを前身とするオムロンソーシアルソリューションズグループの一員であるオムロンソフトウェアも、こうした先進ソフトウェアの開発を手掛ける企業である。オムロンソフトウェア 社会インフラソリューション事業部 企画品質グループ グループリーダー 林隆之氏は「当社は、オムロングループのソフトウェア開発専門会社として1976年に設立。以来40年以上にわたり、自動改札機や券売機をはじめとする駅務機器、銀行ATMやクレジットカード決済端末、血圧計などのヘルスケア機器、工場のファクトリーオートメーション機器など、社会性・公共性の高い製品を持ち前のソフトウェア技術で支えてきました。また、その他に、国内外300種以上の携帯電話・スマートフォンで採用された文字入力技術「Wnn」の提供なども行っています」と説明する。

現在同社では「誰もがつながり、デジタルの恩恵を受けられ、持続的に発展する社会を実現する」を2030年に向けた企業ビジョンとして、また「世界中の人々が安心、安全、快適に生活できる豊かな社会を創造する。~ソフトウェア技術でソーシアルニーズを創造する~」を企業ミッションとして策定。林氏は「我々が理想として描くのは『デジタル・ディバイドゼロ』な社会です。どんな方でも不自由さや不安を感じることなく便利に使えるインフラサービスの実現を目指して、日々業務に取り組んでいます」と続ける。

自動改札機・券売機などの、駅務機器システム向けビルド環境の改善が課題に

 

その同社の中核事業の一つが、先にも触れた駅務機器システムだ。オムロングループは1967年に世界初の自動改札機・券売機を提供するなど、この分野におけるパイオニア的存在でもある。オムロンソフトウェア 社会インフラソリューション事業部 事業開発部 第3グループ グループリーダー 建部宏太氏は「当社では、国内の様々な鉄道事業者様に対して製品を提供しています。当然、それぞれのお客様によってニーズも異なりますので、頂いたご要望を高いレベルで実現できるよう努めています」と語る。

特に最近では、交通系ICカードの普及によるサービスの多様化が進展。これにいかにスピーディに対応していくかも、同社のビジネスにとって重要なポイントとなっている。オムロンソフトウェア 社会インフラソリューション事業部 公共ソリューション部 第2グループ 主査 三代国将氏は「ミスなく処理が行われることは当然ですが、既存サービスの改良や新規サービスの開発なども次々と行われます。毎年約600テーマの設計開発業務を抱えることになりますので、できるだけ標準化・共通部品化を進めて、品質とスピードを維持するようにしています」と語る。

こうした中、大きな課題となっていたのが、駅務機器向けソフトウェアビルド環境の改善だ。建部氏はその背景を「当社では、設計効率と品質を高めるために作業の自動化を推進しています。しかし、従来はソフトウェアのビルド環境が3台のビルドマシンに分散しており、必要に応じてエンジニア側で使い分ける必要がありました。設計開発業務のピークが重なると、多くのエンジニアが各ビルドマシンに張り付いているような状況でしたので、これを何とか改善したいと感じていました」と振り返る。

元々、複数のビルドマシンを使用していたのには理由がある。PCやサーバーなどの情報通信機器と異なり、駅の券売機や自動改札機は10年以上にわたって使われることも珍しくない。もちろんその間も、必要に応じて随時ソフトウェアの改良が行われる。このため、新しい世代の駅務機器がリリースされたとしても、旧世代機器向けの開発環境をなくしてしまうわけにはいかないのである。

さらにこうした事情は、セキュリティ面でも問題を生むこととなった。三代氏は「10年以上にわたって稼働するとなると、その間に開発環境のOSがサポート切れになる場合もあります。とはいえ、駅務機器の開発には高い信頼性と透明性が要求されますので、当社側で開発環境を勝手に作り替えることはできません。必然的に、旧世代機器向け開発環境のセキュリティをどう担保するかも重要な課題となりました」と語る。

セキュリティと使い勝手を改善すべく、HPE ProLiant サーバーによる新たな開発環境を構築

 

このような課題を解消すべく、同社では新たなソフトウェア開発環境の構築に着手。そのためのプロダクトとして導入されたのが、日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)のクラス最高水準の性能と拡張性を持つインテル®Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載する高性能タワー型サーバー「HPE ProLiant ML110 Gen10」(以下、ML110)である。

「ビルドマシンそのものを更新することも考えましたが、この方法では旧世代機器向けの開発環境を再現することができなくなってしまいます。また、ビルドマシンの使い分けが必要という問題も従来と変わりありません。そこで、エンジニアが直接ビルドマシンにアクセスするのではなく、その前段にゲートウェイの役割を担うサーバーを一台配置して、これにアクセスする形に改めることにしました。こうすることで旧世代機器向けの開発環境をサーバーの後ろ側に隠せますし、エンジニアもビルドマシンの違いを意識しなくとも済むようになります」と建部氏は語る。

「踏み台サーバー」と名付けられたML110には、CI(Continuous Integration:継続的インテグレーション)/ CD(Continuous Delivery:継続的デリバリー)ツールとして広く利用されている「Jenkins」や、「Git」「Subversion」などのバージョン/構成管理ツールを導入。ビルドマシン側のJenkinsと連携することで、ソフトウェアのビルド作業を一元的に行えるようにしている。三代氏は「エンジニア側では、それぞれのお客様向けに用意した実行ボタンを一つ押すだけ。各ビルドマシンへの振り分けや処理結果の戻しなどはすべて踏み台サーバーが行いますので、迷うことなく作業が行えます」と説明する。

HPE DirectPlusを利用し、必要な機材をスピーディに調達

 

加えて、今回の取り組みで注目されるのが、ML110の調達をHPEのオンラインストア「HPE DirectPlus」で行った点だ。オムロンソフトウェア 社会インフラソリューション事業部 公共ソリューション部 第1グループ 吉田孝之氏は「当社の開発環境では、以前からHPE製サーバーを数多く利用しています。今回もHPE製品を第一候補に考えていたところ、HPEの営業担当者からHPE DirectPlusの紹介を受けましたので、早速利用してみることにしました」と語る。

機種としてML110を選ぶという点については、あらかじめ同社側で決めていたとのこと。吉田氏は「メモリをふんだんに搭載できる上に、CPUの性能や拡張性も十分。ファームウェア改ざんなどの攻撃をシリコンレベルで防御できるなど、セキュリティ面でも安心です。さらに、静音性の高さや、コストパフォーマンスに優れた製品であることも決め手となりました」と続ける。

すべてのエンジニアのアクセスが集中することから、ML110の性能を最大限に発揮するためのカスタマイズも実施。6スロットあるメモリスロットにメモリをフル実装しているほか、HDDも2TBに増設している。HPE DirectPlusでは、Windows Server OSの無償プリインストールサービスも提供しているため、到着後はすぐに製品を活用することが可能だ。「購入までのやりとりはすべてメールベースでしたが、こちらの要望をいろいろと汲んでいただき大変助かりました。ちょうどコロナ禍の最中だったため納期が心配でしたが、無事予定通りに納品していただきました。今後の調達でも、またHPE DirectPlusを利用したいと考えています」と吉田氏は満足感を示す。

ビルドマシンの違いを意識することなく、開発作業を行うことが可能に

 

ML110による新開発環境が稼働したことで、これまで抱えていた課題は完全に解消。三代氏は「エンジニアがビルドマシンの使い分けを意識せずに済むようになったことが最大のメリット。作業時に考慮しないといけない点を減らせますし、複数案件の作業が集中した際にも踏み台サーバーに処理を投げるだけです。ビルドマシンが空くのを待ったりする必要がありませんので、より効率的に開発作業を進められるようになりました」と語る。ちなみに同社では、コロナ禍以前から積極的にリモートワークを取り入れているが、アクセス先が一つに集約されたことで社外からの作業もやりやすくなったとのことだ。

加えて、新人エンジニアの教育においても大きな効果を発揮。3台のビルドマシンはそれぞれ環境や使い勝手が異なるため、従来はすべての操作方法を教える必要があった。「しかし現在では、踏み台サーバーの使い方を一つ覚えてもらうだけ。おかげで教育に掛かる手間やコストも1/3に減っています」と三代氏は語る。

ビルドマシン自体は従来のものをそのまま継続使用しているため、当初は中間にサーバーを挟むことによる性能低下が懸念されていた。しかしこの点についても、全くの杞憂だったとのこと。三代氏は「もちろんビルド時間自体はこれまでと変わりません。しかし、ML110の性能が優れているおかげで、各ビルドマシンへの処理振り分けやデータ連携などによる遅延はほとんど感じられません」と続ける。なお、同部門ではML110の運用管理を自前で行っているため、ProLiant サーバー専用リモート監視/管理ツール「HPE integrated Lights-Out 5(iLO5)」の活用も進めていくとのことだ。

得られた知見を今後の改善にも活用し、より良いサービスを追求

 

このように大きな成果を収めた今回のプロジェクトだが、同社ではその経験を今後の環境改善にも活かしていく考えだ。「今回は駅務機器システム向けのビルドマシンを対象としましたが、社内には他にも同様の開発環境がいくつか稼働しています。これらも今回導入したML110に接続する、あるいは新たに別の踏み台サーバーを立てるなど、いろいろな改善方法が考えられますので、今後検討を進めていきたい」と三代氏は語る。

また建部氏も「鉄道分野を担当する我々にとっては、駅やその周辺環境を利用される方々にいかに貢献するかが最大のテーマ。これを支えるソフトウェアに対する使い勝手や利便性、セキュリティといった様々な要求にも応えられるよう、より良いソリューションの実現に向けて力を尽くしていきたい。その取り組みを通して、安心、安全、快適な社会に寄与できればと考えています」と展望を述べた。

第3世代インテル®Xeon® スケーラブル・プロセッサー

 

今回のHPEサーバーを支える心臓部にはインテル®Xeon® スケーラブル・プロセッサーを採用。さまざまな種類のワークロードに高い性能を提供し、内蔵のAIアクセラレーションと高度なセキュリティ機能も備え、エッジからクラウドまで最高のパフォーマンスを発揮します。2021年春には第3世代インテル®Xeon® スケーラブル・プロセッサーに進化。最大40コアを提供し、メモリーやI/O帯域幅が強化されています。また、インテル® ディープラーニング・ブースト、インテル® アドバンスト・ベクトル・エクステンション512(AVX512)、インテル® スピード・セレクト・テクノロジーといったワークロード・アクセラレーション機能を内蔵し、パフォーマンスやスループットが前世代製品から大きく向上しています。

※ Intel、インテル、Intel ロゴ、Intel Inside、Intel Inside ロゴ、Celeron、Celeron Inside、Intel Atom、Intel Atom Inside、Intel Core、Core Inside、Intel vPro、vPro Inside、Itanium、Itanium Inside、Pentium、Pentium Inside、Ultrabook、Xeon、XeonInside、Intel Xeon Phi は、アメリカ合衆国および /またはその他の国における Intel Corporation またはその子会社の商標です。

オムロンソフトウェア株式会社

社会インフラソリューション事業部
事業開発部 第3グループ
グループリーダー
建部 宏太 氏

オムロンソフトウェア株式会社

社会インフラソリューション事業部
企画品質グループ
グループリーダー
林 隆之 氏

オムロンソフトウェア株式会社

社会インフラソリューション事業部
公共ソリューション部 第2グループ
主査
三代 国将 氏

オムロンソフトウェア株式会社

社会インフラソリューション事業部
公共ソリューション部 第1グループ
吉田 孝之 氏


本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス

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導入ハードウェア

HPE ProLiant ML110 Gen10