お客様導入事例

株式会社NTTデータグループ 様

カーボンニュートラルに寄与する、サーバーの電力使用量削減

株式会社NTTデータグループ 様

所在地:東京都江東区豊洲3-3-3 豊洲センタービル
URL:https://www.nttdata.com/global/ja/

NTTデータが、Armベースプロセッサー搭載のHPE ProLiant RL300 Gen11サーバーを検証し、システムグリーン化への効果を確認

NTTデータグループでは「NTT DATA NET-ZERO Vision 2040」を2023年に策定し、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量の実質ゼロを、2040年に実現することを目標としている。この達成には再生可能エネルギーの導入やサーキュラーエコノミーの推進など様々な角度からの実践が必要であるが、ICT企業として「電力使用量の削減」は活動の大きな柱となる。NTTデータグループではITシステムの電力使用量の削減に努めており、その実現手段のひとつとして、Armベースプロセッサーを搭載したHPE ProLiant RL300 Gen11サーバーに着目。Javaアプリケーションを稼働させる検証を通じて、省電力効果を明らかにした。

業種

IT

 

ビジョン

環境エネルギービジョン「NTT DATA NET-ZERO Vision 2040」に基づき、2040年度までにNTTデータグループ全体でカーボンニュートラルを実現する

 

戦略

主要な戦略である「電力使用量の削減」を推進するために、サーバーの電力消費量を削減できる可能性のひとつとしてArmベースのAmpere社製プロセッサーに着目

 

成果

• Ampere®Altra® Maxプロセッサー搭載HPE ProLiant RL300 Gen11サーバーの省電力性能を、インテル® Xeon®プロセッサ―搭載のサーバー機と比較検証

• SysBenchのCPUベンチマークにおいて3倍以上の計算性能と140Wの省電力効果を確認

• Java Webアプリケーションの実行テストにおいて消費電力を約37%抑制

• クラウド事業者のIaaS、PaaS、SaaSのサービス基盤や、エンタープライズアプリケーションへの適用可能性を提示


省電力と性能を両立させるサーバーの進化

 

年々深刻化する環境問題への対策として、企業のサステナビリティへの取組みがますます重要になっている。特に気候変動問題への対応が急務となっており、日本政府も「2050年カーボンニュートラル宣言」の発表を起点として関連活動に力を入れている。ICT企業であるNTTデータグループは、「電力使用量の削減」を活動の大きな柱と位置づけ、その一環として「IT機器の省電力化」における様々な取り組みを進めている。株式会社NTTデータグループ 技術開発本部 IOWN推進室 テクニカルリードの末永恭正氏は次のように話す。

「あらゆる企業が、サステナビリティ(持続可能性)活動の一環として脱炭素に向けた取り組みを加速させています。炭素排出量を削減するために最も重要なのは、『電力使用量を減らす』ことです。企業活動を支えるIT機器は、省電力と性能を両立させる目覚ましい進化を遂げています。私たちは、ArmベースのAmpere社製プロセッサーを搭載したHPE ProLiant RL300 Gen11サーバーに着目し、実際にどれだけの省電力効果が得られるか検証しました」

Armは、スマートフォンや組み込み機器などで多くの採用実績があり、優れた省電力性能を示してきた。最近ではHPC(High Performance Computing)分野を中心に適用領域を拡大しており、Javaアプリケーションにおける省電力性能も注目されている。

「NTTデータグループでは、Javaで開発したシステムを多くのお客様にご利用いただいています。Javaアプリケーションをグリーンに動かすことは、お客様のサステナビリティ活動への貢献にもつながります。HPE ProLiant RL300 Gen11サーバーの、エンタープライズJavaアプリケーションにおける省電力効果には大きな期待がありました」(末永氏)

株式会社NTTデータグループ
技術開発本部 IOWN推進室
テクニカルリード 末永 恭正 氏

高い処理性能とより少ない消費電力

 

Ampere® Altra® / Altra® Maxは、Ampere社が提供するArmベースのサーバー用プロセッサーである。これを搭載するHPE ProLiant RL300 Gen11サーバーは、コンパクトな1U/1CPUモデルながら最大128コアを搭載し、優れた処理性能と電力効率を両立させている。

NTTデータグループでは、HPE ProLiant RL300 Gen11サーバーの省電力効果を検証するため次の環境を整えた。

■検証機

  • Ampere® Altra® Maxプロセッサー搭載 HPE ProLiant RL300 Gen11サーバー(1CPU/128物理コア/128論理コア、以下、Armサーバー)
  • 第3世代インテル® Xeon®プロセッサー搭載サーバー(2CPU/56物理コア/112論理コア、以下Intelサーバー)
     

■下記における消費電力を測定

①SysBenchのCPUベンチマーク(素数探索)
②Java Webアプリケーション

株式会社NTTデータグループ 技術開発本部 IOWN推進室 テクニカルリードの阪田浩一氏は次のように説明する。

「SysBenchのCPUベンチマーク(①)は、10000以下の素数をマルチスレッドで探索するものです。検証では、探索を60秒間実行しながらサーバーの消費電力を測定しました。2つの検証環境は論理コア数が異なるので、スレッド数をIntelサーバーに合わせた数で実行した場合(112スレッド)と、Armサーバーに合わせた場合(128スレッド)の2パターンで検証しています」

HPE ProLiantサーバーは、HPE Integrated Lights-Out(iLO)と呼ばれるサーバー管理専用チップ(ASIC)を搭載している。iLOはサーバー管理の業界標準であるRedfish APIに準拠したAPIも提供する。

「Redfish APIを呼び出すことで消費電力を含めサーバーのさまざまな情報を取得できます。消費電力に関しては、iLOからPowerリソース情報を取得し、レスポンスに含まれるPowerControl項目のPowerConsumedWattsの値を見ればわかります。消費電力を測定するために特別な装置を用意する必要はありませんでした」(阪田氏)

「図1は素数探索における処理性能の比較です。ArmサーバーはIntelサーバーよりも3倍以上の計算処理を実行できました。図2は各テストパターンの消費電力を表したものです。スレッド数に関係なく、Armサーバーの方が消費電力を抑えられていることがわかります。Armサーバーの論理コア数に合わせた128スレッドのグラフに着目すると、Armサーバーの消費電力が350Wに対しIntelサーバーは490Wであり、140Wという大きな差がでました。Armサーバーは、高い処理性能を持ちながら少ない消費電力で動作することが実際に確認できました」と阪田氏は話す。

アプリケーション処理時の消費電力を約37%抑制

 

次に、2つの検証環境それぞれで同じJavaアプリケーションを実行し、同量の負荷を一定時間かける際の筐体消費電力を測定する検証(②)が行われた。

「このJavaアプリケーションは、エンタープライズ向けの典型的なWebアプリケーションを想定したものです。リクエストに含まれるパラメータをもとにリレーショナルデータベースからデータを取得し、それをJSON形式でレスポンスとして返します」と阪田氏は説明する。
使用したOSはRocky Linux 8.7、Javaのバージョンは19.0.2である。アプリケーション実行時に、Java仮想マシン(JVM)のチューニングを行うオプションは指定していない。

「このアプリケーションに対し、別のサーバーに用意した負荷試験ツールGatlingを実行して負荷をかける仕組みです。負荷はトータル15分間かけており、最初の5分間は徐々にユーザー数を増やし、5分後に最大ユーザー数に到達してから、同じユーザー数のままさらに10分間負荷をかけ続けました」(阪田氏)

JavaはプログラムをJVMで動作させるため、対応するJDK(Java SE Development Kit)さえあれば、アプリケーションの変更や再コンパイルをすることなくどの環境でもアプリケーションが動作できる。JDKは64ビットArmアーキテクチャ(AArch64)にも対応していることから、本検証でも追加の作業なくArm上でアプリケーションを実行できた。

図3のグラフで消費電力が安定した期間に着目すると、Intelサーバーの消費電力が380Wに達する一方、Armサーバーでは240Wに抑えられていることがわかる。

「CPUベンチマークと同様に、ArmサーバーはIntelサーバーよりも消費電力が140Wも少ないという結果となりました。Intelサーバー、Armサーバーともに、主に動作しているのは検証用のJavaアプリケーションだけです。Armサーバーは、アプリケーション処理時の消費電力をIntelサーバーより約37%抑制できた、と言ってよいでしょう。ここでも、Armサーバーの電力性能比の高さが証明される結果となりました」(阪田氏)

また、負荷がかかる前(アイドル状態)の消費電力を見ると、Intelサーバーは195W、Armサーバーは145Wと両者の差は50Wしかなかった。

「アプリケーションの負荷が高まるにつれ、IntelサーバーとArmサーバーの消費電力の差が広がっており、Armサーバーの方が消費電力の増加が緩やかであることがわかります。企業におけるWebアプリケーションは、長時間実行し続けるものが多くを占めます。瞬間的な消費電力の差だけではなく、利用時間を加味したエネルギー消費量の差は時間の経過とともに大きくなっていきますので、ここも注視すべきポイントです。Webアプリケーションの消費電力においては、実行するハードウェアの消費電力がその多くを占めます。サーバーをArmサーバーへ変更するだけで、大きな省電力効果を得られることがわかったことは、今後省電力化を進めていく上で実りのある一歩になったと考えています」(阪田氏)

本検証において、末永氏、阪田氏らは、2台の検証機(IntelサーバーとArmサーバー)を使用して様々なJavaの実行時オプションを指定してテストしたが、いずれのパターンでもここまで紹介した検証結果と大きな違いはなかったという。

「Javaの最適化が十分に行われれば、ハードウェア利用の面で大きな差が生まれないため消費電力の差に影響がなかったと分析しています。このような結果は、Javaアプリケーションに限らず他のプログラミング言語で作成したアプリケーションにも当てはまるものです。しかし、ソフトウェアやツール(ランタイムやコンパイラ含む)では、Armに対する実装成熟度に強く依存するケースもあります。Javaはオープンソース実装であるOpenJDKにおいてArmへの対応・改善が積極的に行われているため、今回の検証ではArmサーバーの省電力効果の大きさが明確になりましたが、他の言語やソフトウェアの場合は注意が必要となるでしょう」(末永氏)

IaaS、PaaS、SaaSのサービス基盤としても期待

 

「『グリーンなアプリケーション』という言葉からは、アルゴリズムなどのソフトウェア面での処理効率向上による省電力化をまず思い浮かべますが、プログラムは最終的にハードウェア上で実行するものです。今回の検証を通じて、ソフトウェアとハードウェア両面から省電力化に取り組むことが重要と改めて認識しました。そして、HPE ProLiant RL300 Gen11サーバーのようなモダンなIT機器は、ハードウェア省電力化にしっかりと貢献できると確信しました」(阪田氏)

Armベースプロセッサーを搭載したサーバーは、主にクラウドネイティブなワークロードやHPCシステム向けに使われている。今回の検証では、エンタープライズアプリケーションへの適用と、エンタープライズシステムのグリーン化にも貢献できる可能性が示された。末永氏は次のように結んだ。

「Ampere社によれば、Ampere® Altra® / Altra® Maxはクラウドネイティブなワークロードに最適とされていますが、私たちが検証したエンタープライズアプリケーションにおける優れた電力効率を考えると、適用範囲はさらに拡大できるものと考えています。このプロセッサーを搭載するHPE ProLiant RL300 Gen11サーバーは、クラウド事業者のIaaS、PaaS、SaaSのサービス基盤としても、性能とグリーン面で高い付加価値を与えてくれるでしょう。さらなる適用範囲の拡大に期待したいと思います」

株式会社NTTデータグループ
技術開発本部 IOWN推進室
テクニカルリード 阪田 浩一 氏


ご導入製品情報

HPE ProLiant RL300 Gen11

HPE ProLiantを卓越した基盤として構築されているHPE ProLiant RL300 Gen11サーバーは、新たに出現するさまざまなクラウドネイティブアプリケーションやユースケースで、次世代のコンピュートパフォーマンスと電力効率を実現します。


本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス

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