お客様導入事例
株式会社 Mujin Japan 様
製造/物流業務自動化を革新する、先進ロボット搬送システムの実現
大手企業のビジネスを支える搬送自動化ソリューションAGVに、HPEのOEMソリューション+ProLiantサーバーが貢献
知能ロボットコントローラ/知能ロボットによる次世代自動化ソリューション事業と独自のトータルエンジニアリング事業を展開するMujin Japanでは、工場や倉庫内の搬送業務を自動化するAGV(無人搬送車)ソリューションを提供している。製造・物流業界の顧客企業の重要な工程を自動化するソリューションであるため、その制御システムには高い品質を有するサーバー製品が求められた。そこで同社では、「HPE OEMソリューション」と日本ヒューレット・パッカードのクラス最高水準の性能と拡張性を持つインテル®Xeon®スケーラブル・プロセッサーを搭載した「HPE ProLiantサーバー」を採用。最大100台規模にも上るAGVを迅速かつ的確に制御・管理できる環境を実現している。
業種
製造業
ビジョン
製造業/物流業の自動化を革新する、知能ロボット自動化ソリューションの実現
戦略
QRグリッド式AGVソリューションに、HPE OEMソリューションを採用
成果
・顧客へのソリューション納入時点から、サーバー保守を開始することが可能に
・検証用貸出機を利用することで、ソフトウェアの動作検証を確実に実施
・HPEのサポートを活用し、万一障害時にも迅速に対応できる環境を実現
独自の知能化技術で、産業用ロボットの進化を加速
少子高齢化や労働人口の減少が大きな課題となっている日本社会。企業が成長を遂げていくためには、テクノロジーによる業務革新を進めていく必要がある。特に製造や物流の現場において、大きな期待が掛けられているのが、各種作業を自動化する産業用ロボットだ。これまで人手に頼らざるを得なかった作業をロボットに代替できれば、少ない人数でより多くの仕事をこなせるようになる上、人が人にしかできない作業に集中できるようになり、生産性向上やコスト削減を図ることができる。とはいえ、産業用ロボットも、決して万能の存在というわけではない。技術的な課題や制約も少なくないため、従来はロボット向きの単純な作業環境でしか効果を発揮できないケースも多かった。
こうした状況に風穴を開けようとしているのが、東京都江東区に本社を置くMujin Japanだ。同社システムエンジニア 湊 真司氏は「一般に産業用ロボットの分野では、ロボットに動作を教え込む『ティーチング』という作業を事前に行います。しかし、大規模物流倉庫などにおいては、多種多様な大きさや形状の物品を取り扱います。現実問題として、これらすべてのパターンに対応したティーチングを行うのは困難です。そこで当社では、『産業用ロボットの知能化』にフォーカス。物品をどうピッキングして運べば良いか、ロボット自身が自分で認知・判断して動作生成できる技術を強みとしています」と説明する。
「MujinMI(Machine Intelligence)」と呼ばれる同社のコア技術は、「ロボットを選ばない高速解析的逆運動学」「現実世界を考慮できるモーションプランニング」「3D認識技術」などの技術要素で構成されている。世界でも他に類を見ない「汎用的産業用ロボット知能化技術」であり、同社製コントローラで主要ロボットメーカーのロボットアームを制御することも可能だ。同社では、パレタイザー/デパレタイザーなどの知能ロボットを駆使した様々なケースの荷降ろし/積み付け自動化ソリューションも提供している。
数多くの利点を有する、QRグリッド式のAGVソリューションを展開
加えて、同社のビジネスでもう一つの柱となっているのが、「AGV」である。荷降ろしや積み付けはロボットで行うとしても、前後の物品搬送を人手で行っていたのでは、製造・物流現場が抱えている人手不足の課題は解決できない。そこで、ロボットとAGVを併せて提供することで、トータルな自動化ソリューションを実現しているのだ。
AGVにもいろいろな制御方式があるが、同社では製造・物流現場で実用性に優れた「QRグリッド式」を採用。湊氏は「単純なコスト比較では、床面に貼り付けた磁気テープでAGVを制御する『磁気テープ式』の方が有利な面もあります。しかし、レイアウト変更が難しい、1線路に1台しか走行できないなど、ネックとなり得る点も少なくありません。一方、QRグリッド式AGVは、床面に貼り付けられたQRコードを元に、自己位置を把握して自律的に走行します。特定ルートに縛られることはありませんし、複数のAGVを同時制御することもできます。最初は数台で業務を開始し、需要が増えたら台数を増やすといった運用も容易に行えます」と語る。顧客企業の製造/物流業務を支える重要なソリューションであるため、同社では手厚いサポート体制も用意しているとのことだ。
このAGVの制御を実際に行っているのは、「AGV RCSサーバー」と呼ばれる制御システムである。工場や倉庫のスペースは広いため、物品を搬送するにも様々なルートが考えられる。そこで、AGV RCSサーバーは、最も効率的に搬送できるルートをリアルタイムに生成してAGVへの指示を実行。さらに、AGVへのタスク割り当てや充電管理などの機能も備わっている。まさにこのシステムが、AGVという手足を自在に動かすための頭脳の役割を担っているのだ。「当社では最大100台以上のAGVを同時制御しますので、システムを構成するサーバー製品にも、高い性能・信頼性が要求されます」と湊氏。しかし以前は、このサーバーに関してある課題を抱えていたという。
高い品質と手厚いサポートを評価し、HPE ProLiantサーバーをAGV制御システムに採用
元々、同社では、他のサーバー製品を利用していた。「このサーバー自体が海外製であるため、日本での調達ルートなども限定されていました。お客様の製造ラインや物流拠点でお使い頂くものですから、故障などのトラブルがあった際にすぐ対応できないのでは困ります」と湊氏は振り返る。
そこで白羽の矢が立てられたのが、日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)のクラス最高水準の性能と拡張性を持つインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載した「HPE ProLiantサーバー」だ。湊氏は「HPEのサーバー製品は非常に高品質ですし、保守・サポートの面でも信頼が置けます。そこで、AGVソリューションのリリース後、すぐにHPE ProLiantサーバーへの切り替えを実施しました」と続ける。
保守期間の調整やソフトウェアの動作検証など、サーバーにまつわる課題をHPE OEMソリューションで解消
もっとも、これで問題がすべてクリアされたわけではなかった。同社の顧客の中には、小規模環境で早期にAGVを導入したいと考える企業もある。こうした要望に応えるために、同社ではサーバーをある程度の台数を在庫するようにしている。「ところが、通常の調達方法だと、当社にサーバーが納品された時点で保守期間がスタートしてしまいます。お客様に導入するまでには、システムのセットアップ等で1ヶ月~数ヶ月の期間が掛かってしまいますので、保守期間にズレが生じてしまうのです」と湊氏は説明する。
こうした悩みを解消すべく、HPEが提案したのが、「HPE OEMソリューション」である。HPEはEdge to Cloudという戦略を掲げ、今後大きな成長が見込まれるEdgeでのデータの分析や活用を支える製品やサービスの提供に力を入れている。HPE OEMソリューションはまさにそういった自社ソリューションを展開する企業に最適なサービスであり、これを利用することで、OEMパートナー企業はHPEから製品やサービス、オペレーションなど、様々な付加価値を得ることができる。
湊氏は「HPE OEMソリューションであれば、お客様に納入した時点から保守を開始することも可能とのこと。我々としても、まさに渡りに船といった印象でしたね。OEM専用サーバーやOEM価格の提供、各種支援サービスなど、多くのメリットを備えたソリューションですので、早速当社でも採用することにしました」と語る。
HPE OEMソリューションのメリットを実感する場面も多いとのこと。「たとえば、当社のシステムでは、安定稼働を確保するために必ず動作検証を行います。サーバー製品の世代が代わった場合も、その都度検証を行うのですが、HPE OEMソリューションでは次世代モデルを検証用に貸し出してもらえます。こうした支援が受けられるのは大変ありがたいですね」と湊氏は満足げに語る。
また、ソリューションに組み込む製品についても、案件の規模や要件に応じて最適なモデルを選ぶことが可能。湊氏は「当社のソリューションでは、制御するAGV台数が数台から10台規模の場合は『ミニ』、50台規模の場合は『ベーシック』、100台規模の場合は『プロ』と、3種類のシステムをご用意しています。これらそれぞれに適したサーバー製品を提案してもらえましたので、モデル選択で頭を悩ませるようなこともありませんでした」と語る。加えて、グローバルベンダーならではの製品供給力も高く評価。湊氏は「半導体不足の時期には多くの企業が調達に苦慮されていましたが、そうした時でもきちんと製品を提供してもらえました。サーバーが確保できないと、お客様へのソリューション提供も行えなくなってしまいますので、我々としても大変助かっています」とにこやかに語る。
数々の大手企業で採用され、製造/物流現場の業務自動化に大きく貢献
現在、同社のAGVソリューションでは、「HPE ProLiant DL320 Gen11」「HPE ProLiant DL360 Gen10」などのサーバー製品を採用。大手自動車メーカーや大手日用品メーカーなど、日本を代表する大企業各社へ導入されている。たとえば前者では、仮置き場・仕分け場における充・空台車の自動入れ替えや出荷品/部品搬送に活用。重たい自動車のエンジンを丸ごと運ぶケースもあるという。また、後者では、AGVと同社の知能ロボットをスムースに連携させることで、出荷時の積み替え作業を自動化している。
これらの現場では数十台のAGVが稼働しているが、その制御・管理も非常にインテリジェントだ。AGVの行き先が混雑している場合には、空いているルートへと自動的に迂回。運ぶべき荷物の量が減ってきたら、自ら充電器へ移動して充電を行う。AGVの経路生成や指示割当のロジックに関するログを常時生成しているため、万が一のトラブル発生時でも、ログを調査することで正確な原因究明と、それに対する適切な対処が可能だ。 HPE ProLiantサーバーも、こうした複雑な処理を高速に実行する上で大きく貢献しているのである。
HPE ProLiantサーバーの品質に対しても、高い評価が寄せられている。「生産ラインや物流倉庫の業務を止めるわけにはいきませんので、当社ではHPEの保守サポートも導入しています。万一、サーバーに障害が生じた場合も、HPEによる24時間365日対応のオンサイト保守が受けられますので、お客様にも安心してAGVをご活用頂けます。もっとも、HPE ProLiantサーバーは非常に信頼性が高いため、一度もトラブルはありません」と湊氏は語る。
加えて、HPE ProLiantサーバーは、シリコンレベルの高度なセキュリティ機能も装備。万一ファームウェアの改ざんなどが行われた場合も、速やかに検知して自動復旧することが可能だ。「近年ではお客様のセキュリティ意識も高まっていますので、こうした機能があることは大きなメリットとなります」と湊氏は語る。また、Gen10 + / Gen 11世代のサーバーでは、クラウドベースのリモート管理サービス「HPE GreenLake for Compute Ops Management」にも対応。これを利用することで、遠隔地の拠点などに配置されたサーバーの導入、運用、監視などをクラウドから一元的に行えるようになる。同社の顧客企業の生産/物流拠点は全国に広がっているため、こちらについても導入を検討していきたいとのことだ。
倉庫制御システムなど、他の領域への適用も視野に
今回の取り組みを振り返って、「HPEには事前の提案から検証支援、保守サービスに至るまで、幅広い領域にわたるサポートを提供してもらい大変感謝しています。当社としても、HPE OEMソリューションを選んで正解でしたね」と満足げに語る湊氏。将来は、他の分野での利用拡大も検討していく考えだ。「たとえば、WCS(Warehouse Control System:倉庫制御システム)への適用もその一つ。これはAGV RCSサーバーやロボットコントローラの上位に位置するシステムで、倉庫業務全体の制御・管理を行います。お客様からのご要望によっては当社自身で手掛けるケースも出てきます。そうした際には、ぜひHPE OEMソリューションを活用していきたい」と湊氏は続ける。
物流システムの構築には複数のメーカーが関わることも多く、問題が生じた際の対応やトラブルシューティングに苦労するケースもあるのだという。「その点、当社自動化ソリューションはリアルタイムに現場の状況やデータが見える化されており、万が一の際はリモートでの初期対応が可能です。そのため、このような問題に悩まされる心配もありませんし、ビジネススピードも速められます。お客様の満足度を高められるよう、今後も引き続き尽力していきたい」と湊氏は抱負を語る。日本の製造・物流現場の自動化を革新するMujin Japan。その成長を、HPEもしっかりと支えていくのである。
第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー
今回のHPEサーバーを支える心臓部にはインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを採用。さまざまな種類のワークロードに高い性能を提供し、内蔵のAIアクセラレーションと高度なセキュリティ機能も備え、エッジからクラウドまで最高のパフォーマンスを発揮します。2021年春には第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーに進化。最大40コアを提供し、メモリーやI/O帯域幅が強化されています。また、インテル® ディープラーニング・ブースト、インテル® アドバンスト・ベクトル・エクステンション512(AVX512)、インテル® スピード・セレクト・テクノロジーといったワークロード・アクセラレーション機能を内蔵し、パフォーマンスやスループットが前世代製品から大きく向上しています。
※ Intel、インテル、Intel ロゴ、Intel Inside、Intel Inside ロゴ、Celeron、Celeron Inside、Intel Atom、Intel Atom Inside、Intel Core、Core Inside、Intel vPro、vPro Inside、Itanium、Itanium Inside、Pentium、Pentium Inside、Ultrabook、Xeon、XeonInside、Intel Xeon Phi は、アメリカ合衆国および /またはその他の国における Intel Corporation またはその子会社の商標です。
ご導入製品情報
HPE ProLiant DL320 Gen11
第4世代インテル® Xeon®スケーラブル・プロセッサーを搭載したHPE ProLiant DL320 Gen11サーバーは、低コストでパーフェクトな高性能1U/1Pソリューションです。
HPE ProLiant DL360 Gen10
マルチワークロード環境に対応できるきわめて高い柔軟性と他にはない拡張性を備えた、2P/1Uの高密度コンピュートの標準です。
HPE OEMソリューション
HPE OEMソリューションとのパートナーシップにより、お客様はその能力を増大させ、適用範囲を拡張することができます。当社の世界クラスのITソリューション、サービス、スペシャリストおよびサプライチェーンは、成長のための強力な構造を構築します。HPE OEMソリューションを味方につけると、新しい機会を加速し、顧客の進化する要求へ迅速に対応することができます。
本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス
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