必要十分で無駄のないスペックでOCR製品の精度と処理速度の向上を支え続けていく

グローリー株式会社 様

所在地:兵庫県姫路市下手野1-3-1
URL:https://www.glory.co.jp/

グローリーがHPE ProLiant ML350 Gen10をHPE DirectPlusで導入、新規事業展開の要となるOCR製品の開発環境を強化

グローリーは1950年に国産初の硬貨計数機を開発・製造して以来、同社のコアテクノロジーである「認識・識別」と「メカトロ」の技術を磨き続け、お金を「見分ける」「数える」「束ねる」などの処理を自動化する通貨処理機を世界各国の金融機関をはじめ、さまざまな業種の企業や機関に提供して業務の効率化・省力化に貢献し続けるとともに、新たなビジネスも創出している。グローリーが誇る技術力について同社の開発本部 システム開発統括部 生体・画像認識システム開発部 部長 森本雅人氏は次のように説明する。「通貨処理には限りなく100%に近い精度が求められます。同時に処理速度にも高いレベルの要求に応えなければなりません」(森本氏)

業種

通貨処理機メーカー

 

ビジョン

OCR製品開発の高速化

 

戦略

従来のマシンをリプレースし開発・テスト環境を増強

 

成果

• オンラインストア「HPE DirectPlus」によりスピーディな納品を実現

• 開発およびテストの環境が最新化、処理性能も向上し業務効率化に貢献

ご導入製品

HPE ProLiant ML350 Gen10


電子マネーの普及を契機に新規事業の開発を推進する

 

グローリーの「認識・識別」技術は紙幣や硬貨の識別、帳票判別、手書きを含む文字認識、顔認証、さらには性別・年齢推定などさまざまな分野で活用されている。また「メカトロ」技術には通貨選別や硬貨包装、紙幣帯封、紙幣整理(表裏反転)などの技術がある。

森本氏は「コンビニエンスストアのセルフレジなど小売店や飲食店、遊技施設、病院や薬局など支払いが発生する現場でも通貨処理機が利用されており、顧客満足度の向上につながっています。またコンビニエンスストアの無人店舗でも利用されており、新たなビジネスの実現にも貢献しています」と話す。

一方で森本氏は「電子マネーの利用が広がっており、将来的には現金が減るという危機感を持っています」と課題についても言及する。そこで同社は今後も通貨処理機を主要事業として発展させつつ、同時に新規事業の展開も進めていく。その新規事業として推進しているのが「データ」を扱うビジネスだ。

昨今のビジネスは「モノ」から「コト」へと変化しており、同社はこれまでモノを計測したり認識したりしてきたが、そこで得た情報をデータやシステムとしてコトを提供するビジネスにも力を入れていくという。

モノをデータ化するビジネスとして同社には帳票判別や文字認識などのOCRや、顔認証および性別・年齢推定などの技術がある。これらのビジネスの展望について森本氏は次のように説明する。

「OCRについては現金ではないが現金と同様の価値のある小切手などの有価証券や、帳票類などの紙の文書をシステムに取り込み管理・活用するドキュメントソリューションをすでに製品化して金融機関を中心に提供しています。今後は電子帳簿保存法への対応や業務のデジタル化に伴い多くの企業で帳票をはじめとしたあらゆるビジネス文書の電子化への需要が高まると見ています。特に現金を多く扱う流通・小売業のお客様から需要を創出開拓したいと考えています」(森本氏)

製品テスト時にWindows 11が使えないOCR製品を開発するホストマシンに課題

 

グローリーではOCRについても長年にわたり独自のノウハウを蓄積しており、手書きを含む文字認識の精度と速度を高めてきた。現在は従来の手法にディープラーニングなどのAI(人工知能)を組み合わせることで、精度のさらなる向上を図っている。

OCR製品の開発に携わる開発本部 システム開発統括部 生体・画像認識システム開発部 文字認識グループ グループマネージャー 金一滋子氏は文字認識の精度向上について次のように説明する。

「手書きを含めた文字認識の精度と速度の向上にはより多くの演算を高速に処理する必要があります。以前はCPUの処理速度が遅く、メモリ容量も足りなかったため、開発が思うように進みませんでした。現在のコンピューターの処理能力は飛躍的に向上しており、手元のPCでも膨大な演算を処理でき、開発効率が向上しています」(金一氏)

同社ではOCR製品の開発を各担当者の開発作業用PCでおこなうとともに、サーバールームで運用しているホストマシンにアクセスして共同作業もおこなっている。またホストマシンは製品の出荷時のテストにも利用している。ところが導入時は満足できた環境だったが、時間の経過とともに開発担当者の要求に応えられなくなっていたという。

ホストマシンのリプレースを担当した開発本部 システム開発統括部 生体・画像認識システム開発部 文字認識グループ テーマリーダー 前田雅史氏は次のように説明する。

「導入して4~5年が経ち、CPUの性能やOSの環境が時代遅れになりつつありました。例えば従来のホストマシンでは仮想マシンでWindows 11が稼働させられないため、実施できないテストが生じるなど業務に支障も出ていました」(前田氏)

そこでホストマシンのリプレースを検討することとなった。

手間と時間がかかる機種選定と構成をHPE DirectPlusに任せてラクラク導入

 

OCR製品の開発には高性能なコンピューターが有利ではあるが、無駄なリソースは不要だ。同社が必要としたリソースは次の通りだ。OCR製品の開発は7人から8人でおこなっており、将来的にはテスト時に同時に各自2台の仮想マシンを使用するとして合計最大16台の仮想マシンが動作する。16台の仮想マシンを動作させるには2ソケット合わせてCPUに32コアが必要となる。またメモリも100GBが必要となる。

このように使用する人数に対してちょうどいいスペックを求めて機種選定をおこなったところ、従来のホストマシンの後継機種には適切な選択肢が用意されていなかった。そこで前田氏は社内で他社製品の評判を聞いたところ、導入実績があった日本ヒューレット・パッカード(HPE)を勧められた。さっそく担当者に連絡したところ、即座にクラス最高水準の性能と拡張性を持つインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載する「HPE ProLiant ML350 Gen10」を提案してくれたという。

前田氏は「サーバーやワークステーションの構成には選択肢が多く用意されているため、希望のスペックで構成するのに手間と時間がかかります。しかしHPEの担当者に当社の希望のスペックを伝えると即座に機種を選定してくれて、それ以降はオンラインストアの「HPE DirectPlus」で構成を入力するだけでスピーディに納品されました。HPE DirectPlusは担当者が手厚く対応してくれ、レスポンスも常にテンポ良く、オンラインと対面の良いところを組み合わせて効率とコミュニケーションを両立させたサービスでした。今回初めて利用しましたが、社内で相談があればHPE DirectPlusを推薦します」と評価する。

同社が導入した「HPE ProLiant ML350 Gen10」はすでにOCR製品の開発の現場で活躍している。導入後の効果について前田氏は「開発およびテストの環境が最新化され、処理性能も向上したことで業務効率の向上を図ることができました。さらにHPE ProLiant ML350 Gen10にはCPUスロットの空きが1つあるため、今後より高い処理能力が必要になった場合にも対応できます」と満足しているようだ。

最後に森本氏は「当社では顔認証や生体認証のソリューションも提供しており、その開発と製品にAIを活用しています。今後はHPEのGPUを搭載した製品に関心があり、さらなる品質向上に向けて最新技術の採用を検討していきたい」と期待を語った。

(写真左より)

グローリー株式会社 開発本部 システム開発統括部 生体・画像認識システム開発部 部長 森本雅人氏/文字認識グループ グループマネージャー 金一滋子氏/文字認識グループ テーマリーダー 前田雅史氏/文字認識グループ 神德直知氏/文字認識グループ 赤松潤一氏/文字認識グループ 栗栖知美氏/文字認識グループ 福田尚悟氏


ご導入製品情報

HPE ProLiant ML350 Gen10

HPE ProLiant ML350 Gen10は、HPE ProLiantタワー型サーバーの中で最も高いパフォーマンスを発揮するサーバーです。


本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス

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導入ハードウェア

HPE ProLiant ML350 Gen10