福岡大学が、仮想化環境の最適化に向け、ブレードサーバーによる情報基盤を強化
福岡大学 様
HPE BladeSystem により全学の仮想化環境を集約、サービスの安定供給とパフォーマンスの向上を実現
"HPE ProLiant BL460c Gen9は高い信頼性と性能でFUTURE5の仮想化環境とPC教室のシンクライアント環境を支えてくれています"
―福岡大学
総合情報処理センター研究開発室
准教授
藤村 丞 氏
西日本有数の私立総合大学である福岡大学は、教育、研究環境のさらなる拡充を目指して、情報基盤「FUTURE」を更新した。仮想化環境の中核には、HPE BladeSystemが採用され、仮想化の集約率を飛躍的に高めるとともに、優れたパフォーマンスと安定性、運用性によって情報基盤のサービスレベルの向上に貢献している。
業界
教育
目的
教育・研究現場での情報基盤に対する高品質なITサービスの提供。PC教室のシンクライアント環境の高速化とともに、仮想化環境の集約率向上による管理コストの削減を図る。
アプローチ
パフォーマンス、信頼性、管理性、省電力性に優れたサーバーを選定し、ネットブートのシンクライアント環境と全学の仮想化環境を集約することで、サービスの安定供給と管理コストの削減を実現する。
ITの効果
・クラス最高水準の性能と拡張性を誇るインテル® Xeon® プロセッサー E5-2600 v3 製品ファミリーを搭載する「HPE ProLiant BL460c Gen9サーバーブレード」を採用し、仮想化環境へのシステム集約を推進
・HPEバーチャルコネクトにより10Gbpsのネットワーク帯域を確保し、シンクライアント起動時のボトルネックを解消
・HPE Integrated Lights-Out 4、HPE Insight Control、HPE ProLiant Onboard Administratorによりサーバー管理の自動化と管理負荷の軽減を実現
ビジネスの効果
・シンクライアント端末の起動時間を90秒以下に短縮し、スムーズな授業運営を支援
・仮想化環境の集約率を大幅に向上し、物理サーバー台数を1/4に
・サーバー集約により消費電力を53.7%削減
・ハードウェアトラブルのない安定したサービス供給を実現
チャレンジ
教育、研究を支える基盤システムを刷新
福岡大学は、9学部31学科、大学院10研究科34専攻を擁する西日本最大規模の私立総合大学である。福岡市内の広大なキャンパスに全学部学科が集約され、約20,000人の学生が集う。単一キャンパスのメリットを活かし、医学部教授による文系学生への授業など学際教育・研究にも積極的に取り組んでいる。現在、「福岡大学ビジョン2014-2023」を活動指針として掲げ、教育・研究・医療のさらなる発展に向け邁進中だ。
その発展を支える情報環境を全学に提供しているのが福岡大学総合情報処理センターである。学内ネットワーク、教育研究システムから学務・人事・給与などの事務システムに至るまで学内システムの企画立案、設計構築、管理運用を担う組織だ。
「大学の競争力強化につながる情報教育戦略を策定し、その先進技術のスピーディな導入やシステムの最適化を図ることが私たちの役割です。企業における情報システム部門と同じポジショニングの組織といってよいでしょう」と、総合情報処理センターの准教授 藤村丞氏は語る。
教育、研究における競争力強化に直結するシステムとして同センターが注力するのが、全学生、教員を対象とする教育研究の情報基盤「FUTURE※」である。
※Fukuoka University Telecommunication Utilities for Research and Education
「FUTUREは、学内31ヶ所に展開する約1,500台のPC群、各種情報サービスやコンピュートリソース、学内ネットワークやインターネット、国立情報学研究所の学術情報ネットワークへの接続サービスなど、日々の教育・研究活動の基盤を提供するシステムです。私たちはシステム更新の度に授業や研究活動を支えるための安定性と教育・研究の高度化につながる先進性の強化を図ってきました」
1994年のサービス開始以来、スーパーコンピューターやEWSの導入、ネットブート方式のPC教室など、歴代のFUTUREは常にその時代の一歩先を行く環境を提供してきた。前回のFUTURE4では仮想化環境の構築と物理サーバーの集約に挑戦し、大きな成果を挙げている。
「このFUTURE4は安定性にも優れ、教育研究システムの完成形とも言えるシステムでした。次のFUTURE5ではこの成果を継承しながら、さらなる効率化と運用コスト削減にチャレンジしようと考えたのです」
福岡大学
総合情報処理センター研究開発室
准教授
藤村 丞 氏
ソリューション
仮想化の集約率向上に向けHPE BladeSystemを採用
FUTURE5の検討作業は、2012年の夏から始まった。スマートデバイスの普及やセキュリティリスクの拡大といった状況に応えるため、モバイルアクセスへの対応とセキュリティの強化がテーマとして掲げられた。一方、導入コスト低減という視点からは、仮想化環境の集約率の向上が大きな課題となった。
「FUTURE4ではHPE BladeSystem上に仮想化環境を構築することで、運用コストの低減や消費電力の削減といったサーバー統合のメリットを享受しました。FUTURE5ではそのメリットを最大化するために仮想化の集約率を上げようと考えたのです。故障の原因となる物理コンポーネントを極力減らす狙いもありました」
仮想化できるサーバーはすべて仮想化する。これがFUTURE5の方針となった。ここで問題になったのが仮想化環境を構成するサーバーの選定である。
「集約率を高めるほどサーバーにかかる負荷は増大し、故障時の影響範囲も拡大します。特に懸念したのはすべてのPC教室で利用しているネットブート方式のシンクライアント環境への影響でした。PC教室では授業開始時に全端末が起動するため配信イメージを送り出すサーバーには高い処理能力と広いネットワーク帯域が求められます。集約化を行いつつ、このシンクライアント環境を利用していくためには今まで以上の高性能サーバーが求められました」
2014年5月に主要ベンダー各社の提案を受け検討を重ねたが、最終的に選ばれたのは、HPE BladeSystemの最新のサーバーブレード「HPE ProLiant BL460c Gen9」だった。その理由を藤村氏は次のように語る。
「第一の理由は、ネットワーク帯域を有効活用するI/O仮想化テクノロジーHPE バーチャルコネクトです。最新のHPE バーチャルコネクトFlexFabric 20なら20Gbpsもの帯域がまとめて確保できます。これだけの帯域があれば、仮想化の集約率を上げてもネットワークがボトルネックになる心配はないと判断したのです」
サーバー自体のパフォーマンスも飛躍的に向上していた。新世代インテル® Xeon® プロセッサー E5-2600 v3 製品ファミリーと新世代DDR4-2133メモリを搭載したHPE ProLiant BL460c Gen9は、高集約の仮想化環境においても十分なパフォーマンスが期待できる。
「さらに大きな理由は信頼性です。HPE BladeSystemの信頼性は FUTURE4の運用実績が明白に物語っています。仮想化環境の集約度を上げながら安定したサービスを提供するために、私たちは5年間に渡って一度もトラブルを起こしたことのないHPEのブレードサーバーを選択したのです」
2014年10月、次期FUTURE5の中核サーバーとしてHPE BladeSystemの採用が決定された。
ベネフィット
消費電力は46.3%に、ネットブート端末も高速起動
約9ヶ月にわたるシステム構築の後、FUTURE5は2015年夏に完成し、夏季休暇期間に全システムを移行した。PC教室のネットブートサーバーから全学の仮想化環境まで、ほとんどのサービスがHPE ProLiant BL460c Gen9に集約されている。
「残っていた物理サーバーの大部分を仮想化できました。仮想化環境の集約率も大幅に向上しています。仮想マシンは50%以上増えたのに対し、VMware ESXを搭載する仮想ホストは半減しています」
集約率の向上によって4機あったブレードエンクロージャーも2機に減らすことができたという。これにより省電力効果も高まっている。
「高効率な電源モジュールを備えたブレードエンクロージャーの省電力効果もあり、サーバー全体の消費電力はFUTURE4の46.3%にまで減っています」
PC教室のシンクライアント端末の安定稼働については、予想通りHPEバーチャルコネクトが大いに貢献しているという。授業開始時には、HPE バーチャルコネクトに接続された18本の10Gbpsネットワーク1本ずつに、140Mbpsから2Gbpsものトラフィックが流れ、PC教室の各端末にディスクイメージを高速に配信している。
「150台もの端末をもつ大規模PC教室でも、全端末が90秒以内に起動しています。総合大学なので授業では文系から理系まで多彩なアプリケーションを使用しますが、画像系ソフト、動画系ソフトやCADなどを含む大きなディスクイメージも遅延なく配信できます」
起動スピードだけではなく、トラブルもない。このため、医薬系の公的試験であるCBT(Computer Based Testing)もPC教室のシンクライアント端末を使って実施しているという。
「HPE ProLiant BL460c Gen9は高い信頼性と性能でFUTURE5の仮想化環境とPC教室のシンクライアント環境を支えてくれています」
総合情報処理センターでは、HPE Insight Control、HPE ProLiant Onboard Administratorによってハードウェアの管理を行なっている。ハードウェアの削減に加えて、これら運用支援機能の利用による運用業務の自動化により、担当者の負荷も大幅に軽減している。
情報基盤のさらなる強化に向け今後もHPE BladeSystemに期待
安定性とパフォーマンスを備えた仮想化環境を基盤として、FUTURE5ではモバイルアクセス環境も整備され、約250所にも及ぶ無線LANのアクセスポイントが新設された。無線LANの利用者は全学生の3/4を超え、学生たちの間では登校するとすぐにスマートフォンのWi-FiをオンにしてFUTURE5にアクセスするのが日常的なスタイルになっているという。
「ブレードサーバーには、この無線LANの膨大なアクセスログも蓄積されています。現在の課題はこのビッグデータの活用です。学生がいつどこでどのサービスを利用したかを解析することでより付加価値の高いサービス提供に繋げたいと考えています」
HPE BladeSystemは、世界のブレードサーバー市場を牽引する製品である。福岡大学はFUTURE4、5においてこのNo.1ブレードサーバーを採用することで安定性と先進性を備えた仮想化環境を構築した。藤村氏は福岡大学の情報環境において、これからもHPE BladeSystemが重要な役割を果たしていくという。
「仮想化環境の集約を続けていく中で、実績のあるHPE BladeSystemを使わないという選択肢は考えられません。トラブルと無縁の卓越した安定性に加えて、最新の技術にいち早く対応する先進性にも期待しています」
HPE BladeSystemが誕生して10年。仮想化をはじめとする情報システムの革新に貢献してきたNo.1ブレードサーバーはこれからも高い信頼性と先進性であらゆる分野の情報活用を支えていく。教育、研究のさらなる発展を追求する福岡大学の挑戦を支えるのも、HPE BladeSystemである。
ご導入企業様
福岡大学 様
本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス
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