全国の地方自治体や学校、企業のDXを支援、地域の社会課題解決と経済成長に貢献する
NTT西日本がHPE ProLiant for Microsoft Azure Stack Hubで地域創生クラウド・鳥取リージョンを構築、鳥取県情報センターがASPのサービス基盤として利用を開始
西日本電信電話(NTT西日本)は地域の社会課題の解決や経済成長を支援する目的で「地域創生クラウド」構想を策定し、西日本各地の同社データセンターにクラウド基盤を構築している。その拠点の一つが鳥取県情報センターと共同でサービス提供する「鳥取リージョン」だ。鳥取県情報センターは鳥取リージョンを活用して、鳥取県および県内の市町村のみならず、全国の地方自治体や学校、さらには全国の企業に向けて主にSaaSサービスを提供する計画だ。地域社会および地域経済への貢献が期待されている鳥取リージョンのクラウド基盤に採用されているのが、日本ヒューレット・パッカード(HPE)のクラス最高水準の性能と拡張性を持つ高性能インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載する「HPE ProLiant for Microsoft Azure Stack Hub」である。
業種
自治体向けITインフラソリューション
ビジョン
全国の地方自治体様にもサービス提供することで、各地域の社会課題の解決や経済発展に貢献したい
戦略
低コストで高度なシステム化が実現できるクラウドを利用したサービスを提供
成果
• 地域創生クラウドはマイクロソフトのAzureと様々な点で互換であるAzure Stack Hubが採用されているため、ビジネスアプリの開発やサービス提供がおこないやすい
• 国内外でAzure Stack Hubを用いたハイブリッドクラウド環境の提供実績が豊富なHPEのサーバーが採用されているおかげで運用開始からトラブルもなく、安定稼働を続けており、安心して自社サービスの展開に集中できる
鳥取県と県内の自治体の電算化を支援、県外の自治体にもビジネスを拡大中
世界中が突然コロナ禍に見舞われ、社会のあり方からビジネスのあり方まで一瞬にして大きく変化した。しかしネットワークやPCといったITを活用することで社会もビジネスもこの大きな変化に順応することができている。
この例のように今やITの活用は企業における業務の効率化やコスト削減だけではなく、社会課題の解決や地域経済の活性化など、地域社会にも欠かせない重要な役割を担うようになっている。
しかしITの活用には専門知識を持つ人材や予算の確保が伴う。そのため財源に乏しい地域の中小企業や地方自治体ではIT活用の恩恵を十分に受けられないケースもある。
そこで西日本電信電話(NTT西日本)は「地域創生クラウド」構想を策定し、日本マイクロソフトと共同でNTT西日本のデータセンターに専用のクラウド基盤を構築し、西日本エリア(富山県、岐阜県、静岡県以西の30府県)の地方自治体や学校、企業に向けてクラウドサービスを提供するプロジェクトを進めている。
2021年7月現在、「地域創生クラウド」の拠点(リージョン)は京都、愛知、鳥取の三カ所に展開しており、各リージョンを通じてNTT西日本がパートナーのサービスを地方自治体や学校、企業に提供したり、あるいはパートナーが「地域創生クラウド」を利用してサービスを提供したりする。
「地域創生クラウド」構想にいち早く関心を示し、リージョンの開設に動いたのが株式会社鳥取県情報センターだった。その理由について同社の常務取締役 奥田敏行氏は次のように説明する。
「当社は設立から50年以上にわたって鳥取県様および鳥取県内の市町村様にシステムやネットワーク、保守・運用などのサービスを提供してきました。その実績で培ったノウハウを生かして全国の地方自治体様にもサービス提供することで、各地域の社会課題の解決や経済発展に貢献したいと考え、サービスの提供基盤をNTT西日本の『地域創生クラウド』に構築しようと考えました」
鳥取県情報センターは鳥取県と県内の自治体の電算化を支援する目的で鳥取県が1969(昭和44)年に設立した非営利の公益財団法人だった。約40年にわたって鳥取県や鳥取県内の自治体のシステム化やネットワーク構築、それらの保守・運用などを担ってきたが、2008(平成20)年に民営化された。
同社 営業部 足定史人氏は「平成の大合併により鳥取県内の自治体は39から19へ大幅に減少し、県外の自治体にも広げるために民営化されました」と説明する。同社の役割は規模の小さな地方自治体にとって非常に魅力のあるものだ。
というのも地域や規模が異なっても地方自治体の業務は共通であるためシステムも似通う。ただし規模の小さな地方自治体には大規模なシステムは必要なく、そもそも予算に限りもある。
奥田氏は「鳥取県は日本で最も人口が少ない規模の小さな地方自治体です。そのため当社が提供するシステムやサービスは規模の小さな地方自治体に最適化されており、全国の小規模な地方自治体様からの需要が高く、現在は県外の地方自治体様にもご利用いただいております」と説明する。
地域創生クラウドを活用して地域の企業のDX推進も支援
鳥取県情報センターにおいて県外の地方自治体へのサービス提供が拡大したきっかけとなったのが、鳥取県のシステムの全面クラウド移行だった。鳥取県では庁内のシステムをすべてクラウドへ移行する決断をし、その要請を受けて鳥取県情報センターは自社のクラウドサービス「TiCクラウド」を構築して鳥取県と県内の市町村にIaaSサービスを中心に提供している。この設備を活用してサービス提供を県外の地方自治体に拡大した。
同社は地方自治体の電算化を支援することで行政サービスの効率化やコスト削減、新たな行政サービスの提供などを通じて地域の社会や経済に貢献してきた。しかし奥田氏は時代の変化とともに自社の役割も変わっていくべきだと主張する。
「全国で少子高齢化に伴う経済の縮小が進んでおり、DX(デジタルトランスフォーメーション)による変革が求められています。DXへの取り組みは地方自治体だけではなく地域の企業にも求められていますが、地域にはIT投資に向けた予算を潤沢に確保できる企業は少ないのが実情です。そこで低コストで高度なシステム化が実現できるクラウドを利用したサービスを提供することで、地域企業のDXへの取り組みと地域経済の発展に貢献できると考えました」
鳥取県情報センターでは地域企業のDX推進の支援に加えて、地域のソフトウェアベンダーのビジネスの拡大にも寄与するべく、サービスの開発やビジネスのプランを検討していた。その最中に公表されたのが「地域創生クラウド」構想だった。
足定氏は「企業向けにサービスを提供するにはさまざまな要望に応えなければならず、ビジネスアプリケーションを開発しやすい環境が必要です。『地域創生クラウド』はWindowsと相性の良いマイクロソフトのAzure Stack Hubが採用されており、パブリッククラウドのAzureのサービスが提供されていくところが魅力でした。またLGWAN(総合行政ネットワーク)やSINET(学術情報ネットワーク)に接続されていること、NTT西日本のデータセンターとネットワークを利用することで、提供するサービスに高次元の信頼性と安全性が実現できることも利点です」
こうしてNTT西日本は鳥取県情報センターの要請を受けて「地域創生クラウド」の鳥取リージョンを構築し、鳥取県情報センターは鳥取リージョンをASPサービスの提供基盤として活用している。
インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー搭載
今回の地域創生クラウドを支えるHPEサーバーの心臓部にはインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを採用。さまざまな種類のワークロードに高い性能を提供し、内蔵のAIアクセラレーションと高度なセキュリティ機能も備え、エッジからクラウドまで最高のパフォーマンスを発揮します。
統合認証基盤システムをSaaS提供、自治体のリプレース需要に期待
「地域創生クラウド」の鳥取リージョンは自治体や学校をはじめ、企業が機密データを安心して扱える閉域システムを、日本ヒューレット・パッカード(HPE)のクラス最高水準の性能と拡張性を持つ高性能インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載するHPE ProLiant for Microsoft Azure Stack Hub(以下、HPE ProLiant for Azure Stack Hub)によるプライベートクラウド環境で構築している。
選定については、「鳥取リージョンはAzure Stack Hubで閉域システムが構築されていますが、Azure Stack Hubを用いたハイブリッドクラウド環境の構築実績が豊富なHPE ProLiant for Azure Stack Hubが採用されているおかげで運用開始からトラブルもなく、安定して稼働を続けています。当社はこれまでもHPE製のサーバーやストレージを数多く利用して来ましたが、信頼性や性能を高く評価しています」と奥田氏は言う。
HPE ProLiant for Azure Stack Hubはパブリッククラウドサービスでエンタープライズレベルの高い信頼性と安全性を実現するマイクロソフトのAzureが提供する最新技術をオンプレミスでも利活用できるAzure Stack Hubソフトウェアを、HPE ProLiant DL380または HPE ProLiant DL360をベースモデルとしてサーバー、ネットワークスイッチ、ソフトウェアを個別に組み合わせて提供するのではなく、Azure Stack Hubアプライアンスシステムとして設定が済んだ状態で提供するHPEとマイクロソフトが共同で開発したハイブリッドクラウドソリューションだ。HPE ProLiant for Azure Stack Hubをオンプレミスに導入し、パブリッククラウドのAzureと連携することで容易にハイブリッドクラウド環境が実現できるメリットがある。
そうした信頼性のある閉域システムにはLGWANやSINETが接続されており、鳥取県外の地方自治体や大学および研究機関等が鳥取リージョン上のサービスを利用しても通信コストの負担を抑えられる利点がある。またSINETを全国の小中学校、高等学校にも開放する計画があり、県外の学校に向けたサービス提供も有利になる。
さらに鳥取県が運営する地域インターネットエクスチェンジ「鳥取情報ハイウェイ」にも接続しており、産官学で活用できる環境が整っているほか、今後はパブリッククラウドであるAzure上のサービスと連携する予定もあり、さまざまな顧客に幅広くサービスを開発、提供できる。
鳥取県情報センターは各種行政事務のサービスをLGWAN-ASP提供事業者として、鳥取リージョンから全国の地方自治体へ向けて提供するほか、学校や企業に向けたサービスも拡充していく計画だ。その手始めとなるサービスが「Themis LGWAN-ASP」である。
Themis LGWAN-ASPはディー・ディー・エスが開発した統合認証基盤システム「Themis」(テミス)を鳥取県情報センターが鳥取リージョンからLGWAN-ASPとして提供するSaaSサービスだ。指紋や顔などの生体認証やICカード等の物理デバイスなど多様な認証要素を組み合わせて安全性と利便性の高い認証がおこなえるのが特長だ。奥田氏はThemis LGWAN-ASPのビジネスについて次のように見通しを語る。
「2016(平成28)年度に実施された自治体セキュリティ強じん化事業において2要素認証システムがマイナンバー系ネットワークでは必須、LGWAN系ネットワークでは導入推奨の位置づけで全国の地方自治体が導入しましたが、令和3年度はそのシステムリプレースの時期を迎えます。しかしリプレースするにあたり今回は費用の補助がないため、サーバーやアプリケーションの調達が不要で低コストで利用できるThemis LGWAN-ASPへの需要が高まると期待しています。さらに地方自治体だけではなく学校や企業にも多要素認証システムの需要が拡大すると見ています」
Themis LGWAN-ASPは2021年4月よりサービス提供が開始されており、鳥取県情報センターの既存の顧客である県内外の自治体をはじめ、NTT西日本を通じてほかの地方自治体や学校、企業からの問い合わせも多く、実際の利用件数も増加が続いており好評だ。最後に奥田氏は次のように締めくくった。
「これまで当社は自治体様を支えることを通じて住民サービスの充実を図り、地域に貢献することを企業理念としてきました。さらにこれからは地域創生クラウドを活用して企業様や学校様のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するなど、地域貢献を全国各地へ広げていきたいと考えています。HPEは全国規模でサポートの体制とサービスが充実しており、当社がビジネスを全国展開していくにあたり、とても心強く感じています。これからも機器だけではなくビジネスにおいてもHPEのサポートを期待しています」
株式会社鳥取県情報センター
常務取締役
奥田 敏行 氏
株式会社鳥取県情報センター
営業部
副部長
足定 史人 氏
ご導入製品情報
HPE ProLiant for Microsoft Azure Stack Hub
HPE ProLiant for Microsoft Azure Stack Hubは、データセンターでAzureと整合性のあるサービスを実行し、一貫したシンプルな開発、管理、およびセキュリティエクスペリエンスを実現することが可能な、Azureハイブリッドクラウドソリューションです。
本件でご紹介の日本ヒューレット・パッカード製品・サービス
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