射出成形機生産品質管理システム「i-Connect」のエッジコンピューティング基盤にHPE Edgelineを採用



住友重機械工業株式会社 様

生産管理/品質管理の効率化を強力に支援

 

日本を代表する総合機械メーカーの住友重機械工業では、射出成形機に最適化された生産管理・品質管理システム「i-Connect」の提供を開始した。製造現場におけるIoT化ニーズにいち早く対応し、顧客企業のビジネスに貢献していくのが狙いだ。同社ではそのエッジコンピューティング基盤に、日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)の「HPE Edgeline Converged Edge System」を採用。過酷な環境下においても、大量のデータを迅速・確実に処理できる環境を実現している。

業界

製造

 

目的

射出成形機及び射出成形機に接続された周辺装置、各種センサーの情報を統合的に収集・蓄積し、成形セル(注)全体の監視・管理や品質管理の効率化を支援するIoTソリューションを提供すること。
(注)成形セル:成形工程向け生産設備群(射出成形機及び温調機や乾燥機などの周辺装置)

 

アプローチ

「HPE Edgeline Converged Edge System」によるエッジコンピューティング基盤を構築し、過酷な環境下においても大量のデータを高速に処理できる環境を実現する。

 

ITの効果

• 「HPE Edgeline Converged Edge System」によるエッジコンピューティング基盤を実現

• 優れた耐環境性能を活かし幅広い製造現場への対応を実現

• 50~100台規模の射出成形機のデータを確実に処理できるパフォーマンスを確保

• HPEとのOEM契約により海外製造拠点におけるグローバル保守を実現

 

ビジネスの効果

• 今後の成長を支える新たなIoTソリューションの創出に成功

• データ活用支援を通して顧客企業とのリレーションを強化

• ハードウェアをHPEに任せることでアプリケーション開発への注力が可能に

• HPE Edgeline OT Link Platform Softwareとの連携など将来的な発展性も確保

成形セル全体の効率的な管理を実現するIoTソリューション「i-Connect」

 

1888年(明治21年)に別子銅山で使用する機械・器具の製作と修理を担う「工作方」として創業以来、社会と産業の発展とともに歩んできた住友重機械工業。現在では、機械コンポーネント、精密機械、建設機械、産業機械、船舶、環境・プラントなど、幅広い領域で事業を展開。「一流の商品とサービスを世界に提供し続ける機械メーカーを目指します。誠実を旨とし、あらゆるステークホルダーから高い評価と信頼を得て、社会に貢献します。」の企業理念の下、多様化する顧客ニーズに確実に応え続けている。

その同社において、様々なプラスチック製品の製造に欠かせない射出成形機の開発・製造を担っているのがプラスチック機械事業部である。住友重機械工業 プラスチック機械事業部 技術部 主任技師 羽野 勝之氏は「海外では油圧式の射出成形機もまだまだ多いのですが、当社では早くから製品の電動化に着手。サーボモーターによる精密な制御が行えるメリットを活かし、自動車、医療、電子部品、日用品、容器、文房具など、様々な業種のお客様にご導入頂いています」と語る。効率的な生産を支援するために、「不良」「無駄」「面倒」をゼロにすることを目指す独自技術「Zero-molding」も提供。また、製品のカスタマイズ要望などにも柔軟に対応している。

さらに今回、同事業部では、今後のビジネスの成長を支える新たなIoTソリューション「射出成形機生産品質管理システム i-Connect」(以下、i-Connect)の提供を開始した。これは同社の射出成形機だけでなく、射出成形機に接続された温調機や乾燥機といった周辺装置のデータも一元的に収集・管理し、生産の効率化や品質向上に役立てるというものだ。成形セル全体の状況をトータルに監視・管理できることに加え、射出成形機の稼働データなどの情報を大量に保持して問題解決に役立てることもできる。羽野氏はi-Connectを開発した背景を「当事業部では、元々この分野についても早くから取り組んでおり、生産・品質管理システム『iii-System(i キューブシステム)』などのソリューションもご提供してきました。しかし、昨今では生産業務の標準化や効率化が一段と強く求められる上に、自社のビジネスにIoTを活用したいとの声も強まっています。既存製品の改良だけではご要望にお応えできないため、これからのIoT時代にふさわしいシステムに完全リニューアルしたいと考えたのです」と説明する。

住友重機械工業株式会社

プラスチック機械事業部
技術部
主任技師
羽野 勝之 氏

住友重機械工業株式会社

プラスチック機械事業部
技術部
松永 拓也 氏

エッジコンピューティング基盤の中核にHPE Edgeline Converged Edge Systemを採用

 

こうしてi-Connectの開発に着手した同事業部だが、その過程では様々な課題に直面することとなった。中でもポイントとなったのが、システムの中核を担うエッジコンピューティング基盤である。以前は生産・品質管理システムのソフトウェアのみを提供しており、ハードウェアの調達や実際の構築作業はユーザー側で実施する形であった。しかし、この方法だと、インストールの際などにトラブルが生じるケースがあった上に、Windows Updateなどの作業もユーザー側で適宜実施する必要があった。そこで今回のi-Connectでは、このような問題を避けるために、ハード/ソフトを一体で提供することを決断。そのためのサーバー製品を探す必要に迫られたのだ。

「お客様の生産業務に関わるシステムですから、サーバー製品にも極めて高い性能と信頼性が求められます。しかも、製造現場に設置することを考えると、優れた耐環境性能も必須です。加えて、当社自身はITの専門家ではありませんので、充実したサポート体制も求められました」と、住友重機械工業 プラスチック機械事業部 技術部 松永 拓也氏は語る。その期待に応えたのが、HPEのIoT/エッジコンピューティング専用機「HPE Edgeline Converged Edge System」(以下、Edgeline)である。

 

Edgelineを選定した理由を、羽野氏は「射出成形機は1台だけで使われることはまずありません。十数台から百台規模で設置するのが通常ですので、それだけのデータを確実に処理できるパフォーマンスが求められます。他社製品もいろいろ検討しましたが、Edgelineほどの性能を備えたエッジコンピューティング向け製品は他に見当たりませんでしたね。加えて、Edgelineは動作温度の幅が広く、低温/高温環境下でも確実な動作が期待できます」と説明する。さらに、もう一つの大きな決め手となったのが、OEM契約を結ぶことで、日本から輸出したEdgelineについても、HPEによるグローバル保守を提供できる点だ。「i-Connectは、海外のお客様や日本企業の海外製造拠点などにもご提供していきます。現地でハードウェアの保守サポートが受けられないということでは困りますが、Edgelineならこうした点もクリアできます。我々の要件をすべて満たすことができたのは、Edgelineだけでしたね」と松永氏は語る。

HPE IoTコンピテンスセンターで120台分のデータを処理きることを実証

 

今回、i-Connectに採用されたのは、コンパクトな筐体にファンレス・防塵・リモート制御などの機能を盛り込んだ「HPE Edgeline EL300」と、データセンタレベルの処理能力を有する「HPE Edgeline EL1000」の2モデル。接続する射出成形機の台数や要件などに応じて、適切な機種を選べるようにしている。日本市場では2019年2月、海外市場では同年10月よりソリューション提供も開始されており、既に多くの製造業で活用されている。なお、i-Connectに搭載されるソフトウェアについては、同社グループのIT企業である株式会社ライトウェルが担当している。

 

「HPEをパートナーに選んで良かったのが、『HPE IoTコンピテンスセンター』での事前検証が行えた点です。お客様に安心してシステムをご活用頂くためには、十分な性能が得られるかどうかあらかじめきちんと確認しておく必要があります。とはいえ、そのための環境を社内に用意するというのはなかなか難しい。その点、HPE IoTコンピテンスセンターの設備を利用できたことで、射出成形機が120台規模の環境でも問題なく動作することを実証できました。しかもこれが無償で実施できたのは、非常に助かりましたね」と羽野氏はにこやかに語る。

ちなみに、同社の射出成形機は、短時間で多くの製品を作り出すハイサイクル成形を強みとしている。ハイサイクル成形では、一つの製品を成形するのに掛かる時間は、概ね1秒~数秒しかないのだという。当然システム側でも、この短い時間の内に、射出成形機の充填時間や温度、圧力、さらには射出成形機に接続された周辺装置や各種センサーの情報など、多種多様なデータを収集しなくてはならない。「成形に分単位の時間がかかるのであれば、クラウドを用いてIoT基盤を構築するという手もあります。しかし、今回のような用途だと、スピード的に間に合わない可能性が高い。お客様が見たいデータの種類もどんどん増えていますので、製造現場に高性能で大容量なエッジコンピューティング基盤があることは非常に重要なのです」と羽野氏。大量のデータを迅速に処理できるEdgelineは、まさにi-Connectに最適のサーバーというわけだ。

加えて、長期間にわたって安定的な製品供給が受けられる点も、大きな安心材料だったとのこと。松永氏は「一度導入した生産設備は、十数年から二十年くらい使われるのが一般的です。当然i-Connectにも、これと同じだけのライフサイクルが求められます。ソフトウェアの改善は我々が行うにせよ、肝心のハードウェアが提供されなくなったら、また振り出しに戻ってしまいます。その点、Edgelineは長期保守サポートが受けられますし、性能が向上した新製品(後継機)の開発も継続的に行われます。ハードウェアのことを気にせず、ソフトウェア開発だけに注力できるのは、我々としても非常に大きなメリットでしたね」と語る。

住友重機械工業株式会社

プラスチック機械事業部
営業室
営業技術部
テクノロジーセンター 成形G
鈴木 啓介 氏

住友重機械工業株式会社

プラスチック機械事業部
営業室
営業技術部
テクノロジーセンター 開発G
宮崎 祥希 氏

モノづくりの効率化や品質向上に貢献、日本の製造業を力強く後押し

 

i-Connectは、同社の射出成形機事業にも大きな貢献を果たしている。住友重機械工業 プラスチック機械事業部 営業室 営業技術部 テクノロジーセンター 成形G 鈴木 啓介氏は、「少子高齢化や人手不足が社会問題となる中、日本の製造業でもより少ない人員で生産現場を廻すことが強く求められています。その点、i-Connectをご活用頂ければ、複数台の装置を少人数で効率的に監視・管理できます。生産の進捗状況などを本社や別の工場からリモートで把握することもできますので、お客様からもご好評を頂いています」と語る。また、成形に関わるデータを網羅的に可視化できるため、新人オペレーターの教育などにも非常に有効だとのこと。「特に海外の製造拠点などでは、現地人材の技量を均質化するのが難しいケースもあります。こうした場合も、i-Connectに蓄積されたデータを活用することで、適切な指導や管理が行えます」(鈴木氏)。

さらに、もう一つ見逃せないのが、ユーザー企業とのリレーション強化にも役立っている点だ。住友重機械工業 プラスチック機械事業部 営業室 営業技術部 テクノロジーセンター 開発G 宮崎 祥希氏は「我々営業技術部では、しばしばお客様先を訪問して情報交換やご支援を行っていますが、i-Connectをご導入頂いたお客様からは、データをどのように分析・活用すればいいかといったご相談も寄せられるようになりました。たとえば『自社の生産現場ではこういうデータが取れているが、それについて当社としての見解を聞きたい』といった具合ですね。こうしたデータに基づいたコミュニケーションが行えるようになったことで、お客様との関係もより密接になり、当社への信頼感も深まったと感じています」と語る。近年では、工場のスマート化に向けた動きも一段と加速している。そうした取り組みにおいても、i-Connectが強力な武器となることは間違いない。「成形業界は長らく職人の『勘と経験』に頼ってきました。しかし、これからの時代には、IoTやデータの分析・活用抜きには成り立ちません。そうしたお客様の要求に応えていく上でも、i-Connectをご提供できたことは非常に良かった」と宮崎氏は語る。

ちなみにi-Connectは、製造実行システムをはじめとする他の業務システムとの連携も可能だが、同事業部では今後もさらなる機能強化を推進していく構えだ。「たとえば、射出成形機や射出成形機に接続された周辺装置のデータをクラウド上で稼働する各種の上位システムへ転送し、様々な用途に活用するといったことが考えられます。もちろん、当社だけでこうした環境を全て実現するのは難しいので、『HPE Edgeline OT Link Platform Software』をはじめとするHPEのソリューションも積極的に利用していきたい」と展望を語る羽野氏。同事業部ではこうした取り組みを通して、日本のモノづくりをしっかりと後押ししていくのである。

ご導入企業様

住友重機械工業株式会社 様

 

所在地:東京都品川区大崎2丁目1番1号(ThinkPark Tower)

URL:https://www.shi.co.jp/